インドの名門ムンバイ大学でラッパーになるための講義が設置か
ヒップホップが世界のチャートを席巻するようになったここ数年。ハーバード大学でラップアルバムが卒業論文として提出されるなど学術研究のテーマとしてもヒップホップは注目を集めているが、インドでもその波が広がっているようだ。
インドの名門であるムンバイ大学にて、ラッパーを養成する講義の設置が提案されているとmid-day.comが報じている。この授業のために動いているのはムンバイ大学コミュニケーション・ジャーナリズム学科のSanjay Ranade博士とYatindra Ingle助教授。二人は大のヒップホップファンでラップに造詣が深く、さらにIngle助教授はラッパーとして音楽活動をしていた過去もあるという。Ingle助教授は「ここ数年で、私はヒップホップがもはや文化ではなく、若者のコミュニケーションのための一つの言語体系だと気づきました。しかし、多くの人はこのジャンルについてあまりよく知っていません」と語る。ラップを一つのコミュニケーションツールとして捉え、実践していくことで理解を深め研究することが講義の目的ということだろう。
インドでは先月『Gully Boy』というラップをテーマにしたボリウッド映画が公開され、大ヒットを記録。音楽によって生活環境やカースト制の壁が破られる様子を描いたこの作品は広く共感を呼んだようで、インドでのヒップホップ熱がかなりの高まりを見せているようだ。
Ingle助教授は「インドでは芽が出る途中のラッパーたちが、YouTubeでヒップホップを掘り始めています。なので、我々のヒップホップ教育では彼らがメインストリームのヒップホップ、そしてコンシャスラップのニュアンスを理解できるようにすることを目的とします。最終的には学生たちがヒップホップの社会的、文化的なルーツを分析できるようになり、それらの世界的な広がりについて議論していきます。講義を通して移民、人種、ジェンダーについての理論についても批評し、それらと都市の貧困、そしてストリートカルチャーの繋がりについても学ぶことができるでしょう」と語る。ラップを単なる音楽、あるいはスポーツとして捉えるのではなく、ヒップホップというカルチャーの社会的意義を包括的に学ぶことが出来るという。
ムンバイ大学のヒップホップ講義は今年の4月からスタートすることを目指しているとのこと。日本にもヒップホップファンの大学生は数多く存在するが、このような授業があればかなりの人気講義になるかもしれない。