2NE1解散 ー アジアで最もガールズをクラッシュしてきたグループについて

MUSIC  2016.12.25  FNMNL編集部

先月、2NE1が突然の解散を発表した。今年メンバーのミンジが脱退、その後残った3人(CL、ボム、ダラ)で活動するとしていたが、結局3人でのアルバムを出すことはなく11月末に正式に解散がアナウンスされた。

韓国のアイドルには事務所との契約が、7年に限定されていることから、7年目のジンクスという言葉があるほど、どんなに人気を博したグループであっても7年目の解散や脱退が多い。今年はそのような節目を迎えるグループが多く、2NE1は特に個人的にショッキングなものだった。

個人的な話になるが、K-POPにハマりだしたのが丁度2009年だった。

東方神起は流行っていたけど、K-POPブームが来る前の時期で、Wonder GirlsやSE7ENの映像を見て、おお韓国の音楽ってこういう感じなのか!と新鮮に思っていた。

そこにBIGBANGとのコラボソング"Lollipop"でデビューした2NE1のMVを見て、なんだこの子たちは!?と思った矢先、本人たちのデビューシングルの"FIRE"が公開。ファッショナブルで、尖ってて、こんなに個性的なガールズグループがいるなんて!と衝撃を受けたのを覚えている。

 

今でこそK-POPのイメージとして馴染んでいる激しいエレクトロミュージックや、個性的なファッションは当時新鮮で驚いた。

マドンナやビョークの衣装も制作したジェレミー・スコットが衣装を手がけ、何千万もする衣装で登場するかと思えば、若手のデザイナーのブランドもよく着こなし、彼女達のスタイリストであったXINもまた注目を集めた。今のK-POPの代名詞とも言える派手さや奇抜さの先駆けともいえる存在だったと思う。

彼女達の音楽のテーマでもある”独立”と"女性の権利拡大”であることから、まさに見るものを惹きつけるその堂々たるパフォーマンスはグループ名通り「21世紀の新しい進化」を感じるようだった。

ガールズグループといえば、制服を着て可愛らしい純粋な少女か、ボディラインを強調した服でセクシーなダンスを踊るグループかで二分されてきた中で、その真ん中に立って女性がカッコいいと思う女性像を魅せてくれたのが2NE1だったと思う。

それはアジアの中では、本当に新しい出来事だった。

MVでは、派手なメイクと衣装で、カッコいいスポーツカーや大型のバイクにまたがって、バットを振り回したりもしていた。

「あなたが1番 I LOVE YOU」という内容の歌ばかりが溢れる中で「私が1番 I HATE YOU」を歌ってくれるのは唯一、2NE1だけだった。ガールズグループであるにも関わらず、男性に媚びるような歌詞が全くなかった。

 

そして"UGLY"も、2NE1だからこそ歌えた歌だったと思う。

”ムリに明るく 笑ってみても

可愛くはなれないよ 目立ちたくて

歌ってみても 誰も聴いてくれないし

世の中は不平等 生まれた時から

スタートラインが違うんだ

何もかもうまくいかなくて

イライラする

素敵なあなたのようにいかないの

I think I'm ugly

And nobody wants to love me

Just like her I wanna be pretty I wanna be pretty

Don't lie to my face tellin'me I'm pretty”

 

自分は可愛くない。可愛くなりたい。誰も私のことなんか愛してくれない。
そんな歌を叫んでくれるガールズグループが、美容大国であり、顔やスタイルに完璧を求められる美意識の高い国にいたことに、韓国の女性だけでなく、多くの女性にとって励みになっていたと思う。
ただ愛でる対象としてのアイドルではなく、共感できる存在としていつも自分の代わりに叫んでくれるような存在だった。

コンサートに行けば、メンバーから叫べ!!!声が小さい!と声を枯らして煽られた。

"CRUSH"には「私は全ての女達の熱いCRUSH 君のハートを揺さぶるRUSH」という歌詞があるが、韓国で流行っている<ガールクラッシュ>という女性が女性に憧れる現象を指す言葉があるがまさに2NE1が世界の女子達のガールクラッシュだった。

 

今年韓国の文化面で印象深かった出来事といえば、イルミン美術館のキュレーターの女性作家に対するセクハラ問題から派生し、SNSで文化的活動をする女性達が、一気に今まで自分が同じように被害にあったことを暴露するという事が起きた。連日多くの文化人や作家、アーティスト、音楽家が告発され大きな話題になった。

女性軽視、LGBTの問題は今年大きな韓国国内のトピックであった。

先月行われたソウルアートブックフェアでも、女性達で力を合わせて立ち上がろう!といった内容のパンツやピンバッジが販売されるなど、女性軽視問題やLGBTの問題を作品として訴えている作家がよく目に付いた。(勿論今の大統領問題についても、だが。)

個人的に今年の秋のキュレーター問題から一気に火が付き、SNSを中心にそういった活動がよく目につくようになった。

最近韓国で話題になったツイートがある。

「この世界を導いていくのは誰ですか?女性だ。
私は仕事を尊重してくれる男性、私の能力を認めて受け入れてほしい」

Beyonceの"Run the world"の歌詞だ。韓国ではまさに今こういう声を上げることが共感され、重要とされている。

私自身、日本も同じように社会の中にまだまだ女性軽視の問題はあると思うが、もしかしたら韓国ではもっと根深いのかもしれないと感じる出来事だった。

そういうアジアの社会の中でこそ、拳を突き上げて好き勝手な格好をして、ついてこい!と叫んでくれる存在がひときわ輝いて見えたのではないだろうか。

そして、Beyonceのように拳を突き上げてくれるのがアジアでは2NE1だった。

今の社会状況だからこそ、今こそ私たちを先導して全てをCRUSHしてくれる姿を見てみたかったなと残念に思う。

最後に、K-POPのMVの中でもひときわ好きな映像である"IT HURTS"を。

 

「君の事を考えるだけですごく辛い、辛いよ」

私達のかっこいい2NE1がいなくなって辛いよ。
それでも、またそれぞれ別の活動になってもかっこいい姿を期待して待っていたい。

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Erinam

韓国在住のグラフィックデザイナー ・イラストレーター。

韓国ブランド等のアテンド・コーディネーターとしても活動。

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