韓国と香港の地下音楽シーンを観る | 映画『パーティー51』と『HIDDEN AGENDA The Movie』の上映イベント
都内で活動する自主上映グループAfter School Cinema Clubは、2017/7/8(土)阿佐ヶ谷 LoftAにて、香港とソウルのインディ・ミュージックシーンを描いたドキュメンタリー映画2作の上映イベントを開催。上映後にはトークショーも実施する。
昨年 9 月、アジアのアンダーグラウンド文化圏の人々が東京に集結し、ライブやトークショーなど30 を超えるイベントの開催を通じて謎の自治区を出現させた、巨大D.I.Y 祭り「NO LIMIT 東京自治区」。今年は韓国・ソウルにて開催が決定しているが、今回の2作上映はそのプレイベントにあたる。
上映される作品は、『パーティー51』(韓国)と『Hidden Agenda The Movie』(香港)という、ドキュメンタリー映画2作だ。『パーティー51』は、都市開発で家賃が上昇するソウルで、大企業に立ち退きを迫られた食堂の夫婦と、ライブハウスが減少し将来に不安を募らせた音楽家たちが協力し、ユニークかつユーモアあふれる方法で抵抗運動を展開する様子を記録したもの。一方『Hidden Agenda The Movie』は、社会問題になるほど家賃が高騰している香港で、何度も国から立ち退きを迫られながらも、完全DIYでライブハウスを運営する「Hidden Agenda」(HA)の奮闘を追っている。
この2作に共通するのは、アンダーグラウンドな音楽シーンにまつわるドキュメンタリーであることと、その背景に「高騰する家賃」という問題があること。映画の中では、そういった問題がインディペンデントに活動する音楽家や音楽関係者にどのような影響を与えているのか、それに対して彼らはどういった行動を起こしたのかについて描かれている。
特にHA では今年5月、招聘していた UKのバンドTTNGと、USのユニットMylets のライブ中に警察が踏み込み、興行用のビザを取得していない「不法就労」が原因で、ミュージシャンとライブハウスの責任者などが一時逮捕されるという事件が起きており、日本でもファンの間で大きく話題になった。この事件の原因も、家賃が高すぎるためにグレーゾーンで営業せざるを得なくなり、その結果ビザを取得しにくくなるという悪循環にある。
高騰する家賃問題は、ソウルと香港のインディ音楽シーンに限った話ではない。昨年末、米カリフォルニア州オークランド市のロフトで、パーティー中に発生した火災により多くの人が亡くなった事故の背景にあったのも、同じ問題だった。現場となったパーティーには、DIYで実験的な地下シーンを支えてきたLAの老舗レーベルが関わっていたといわれており、世界有数の高額家賃都市である東京に住むわたしたちにとっても、無縁な話ではないだろう。
なお、上映後には九龍ジョーや松本哉といった、アジアのオルタナティブ/インディペンデントなカルチャーの現在を知るキーパーソンをゲストに迎えた、トークショーも開催される。(Yuuki Yamane)
INFO:
No Limit ソウル自治区 プレイベント
「パーティー51」×「HIDDEN AGENDA The Movie」上映+トークショー
日時:2017/7/8(土)
OPEN:10:30 / START 11:00
会場:阿佐ヶ谷ロフト A http://www.loft-prj.co.jp/lofta/
上映作品:
「パーティー51」
ドキュメンタリー|2013 年|韓国|101 分|韓国語|日本語字幕|監督:チョン・ヨンテク
「HIDDEN AGENDA The Movie」
ドキュメンタリー|2012 年|香港|68 分|広東語|日本語字幕|監督:Hidden Agenda
トークゲスト:
九龍ジョー(編集者、ライター)、松本哉(リサイクルショップ「素人の乱5号店」店主)、山本佳奈子(Offshore主宰)
問い合わせ: