インディペンデントアーティストが知っておきたいこと Vol. 1 | 楽曲登録編

2010年代後半にかけて、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスの勃興が日本でも起こり音楽ビジネスを取り巻く環境は急激に変化し始めた。その代表的な例として、インディペンデントのアーティストが活動しやすくなったという点があるだろう。CD全盛の時代では、個人でCDを作ってもそれを全国で流通させるのには様々な障害があったが、今やTuneCoreなどのサービスを使用することで、誰でもApple MusicやSpotifyに楽曲をアップロードすることができ、その楽曲が大ヒットになることもあり得るようになった。

こうした状況は歓迎すべきことであり、FNMNLにも初めて楽曲を作ったというアーティストからプレスリリースも届くようになっている。しかし楽曲のリリース自体は誰でもできるようになったが、正しい楽曲登録方法や楽曲のPR方法などを知っているか、知らないかでは大きな差がついてしまうことがある。

もちろんこれをやれば絶対売れるという正解はなく、アーティスト自身が考えて行うべきではある。FNMNLでは今回から3記事にわたり、インディペンデントのアーティストが楽曲をリリースする際に、最低限知っておくべきポイントを項目毎に掲載していく。

まず初回はTuneCore Japanによる楽曲登録の際の気をつけた方がいいポイントだ。

文:TuneCore Japan

今やディストリビューションサービスを利用すれば個人でも楽曲を配信リリースすることができるようになった。ただし、配信マナーに関し基本的なことを知らないまま準備すると、いざディストリビューションサービスに登録しようとした時に過不足のため二度手間になってしまうというケースもある。そこで、ディストリビューションサービスを利用するにあたっての基本的なポイントをまとめた。もちろんこれら以外の多岐にわたる細かいポイントがあるが、まずは基本中の基本の部分を事前におさえておこう。

1. 文字の入力ミス、打ち間違いがないか

自分のアーティスト名はもちろん、フィーチャリングのアーティスト名、著作者名にいたるまで、ひらがな、カタカナ、英数、記号、全て1文字も間違いがないよう正しい表記で入力すること。既に配信リリースをしているアーティストの場合は、ストリーミングサービス上の表記で改めて確認するのもよいかもしれない。また、ほとんどの音楽ストリーミングサービスではアーティスト単位でアーティストページが生成される仕様になっているため、特に新しいアーティストの場合は、検索で見つけてもらいやすいよう同一名のアーティストと被らないユニークさ(一意性)もアーティスト名をつける時に考慮してみて欲しい。また半角、全角などアーティスト名や楽曲タイトルの入力ブレがないようにする。スペースについても同様に細部まで気をつけよう。

2. ジャケットが正確か

アートワークは誤解を招かないものにすること。例えば、リリースタイトルと関係の無いタイトルがアートワークに記載されている、リリースと関係の無いアーティスト名がアートワークに乗っているものなどは却下される場合がある。またジャケットはTunecore Japanの場合は現状は下記のファイル形式であればスムーズな登録ができる。

・JPGまたはPNG イメージファイル

・カラースペースはCMYKではなくRGB

・3000 x 3000ピクセル以上のサイズ

・正方形

・アスペクト比は1:1

3. 正式アーティスト名以外の情報が追記されていないか

すべてのコンテンツで一貫性が保たれるようにアーティスト名には間違いのない公式アーティスト名を使用するようにする。例えば正式名が ◯◯ にも関わらず、フィーチャリングの際にアーティスト名を ◯◯ from △△ とするなど追加情報を含めないようにしよう。またリリースタイトル名、楽曲タイトル名、アーティスト名、著作者名等において、それぞれブレがないようにチェックしよう。

4. 歌詞やタイトルがExplicitに該当するかどうか

タイトルや歌詞を確認し、Explicit (暴力的・性的など露骨な表現が含まれるコンテンツ) に該当するものかどうかをチェックしておこう。Explicitに該当するにも関わらず、登録しておかないとやはり却下される場合もあるようだ。

6. 権利確認

カバー楽曲の場合、下記リンクから、あらかじめ作品コードを確認して欲しい。登録の際に、作品コードおよび著作者(作詞・作曲)の情報が必要になる。またJASRACやNexToneなどが配信権を管理していない場合は、著作者の許諾を取る必要がある。またカバー楽曲でなくとも登録する音源・画像・情報・内容に権利的な問題がないか確認しよう。タイプビートを使用する場合はリースにせよ購入したものにせよ、使用証明できるように記録を残しておく必要がある。

JASRAC:http://www2.jasrac.or.jp/eJwid/

NexTone:https://www.nex-tone.co.jp/

7. 楽曲データ

登録する楽曲データがマスタリング前のものだったり意図していない無音などが入っていないかをチェックする。またディストリビューションサービスの案内に沿った適切なフォーマットとなっているか確認しておこう。

<例> サンプルサイズ:16ビット 〜 サンプルレート:44.1kHz 〜 ビットレート:1411bps チャンネル:ステレオ ファイル形式:WAV

上記はあくまでごく一部だが、アーティストサイドの意図しないテイクダウンなどが起きないよう、音楽ストリーミングサービスのレギュレーションに沿ってアーティストのリリースを正しいメタデータでスムーズに納品するため、ディストリビューションサービスはこのような部分を確認している。

無事に配信がスタートした後も、その楽曲を広めるために可能なことは、山ほどあるので、活動の幅を拡げていくためにも順次整えていくことをおすすめする。

Info

TuneCore Japan
https://www.tunecore.co.jp/

インディペンデントアーティストが知っておきたいこと Vol.2

インディペンデントアーティストが知っておきたいこと Vol. 3

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