【インタビュー】Minchanbaby 『たぶん絶対』pt.2 | 「ヒップホップ・カルチャー」から遠く離れて

FEATURED  2018.04.03  FNMNL編集部

- 『たぶん絶対』以外のプロジェクトについても聞きたいのですが、リリースに先駆けて、2017年の春頃からsoundcloudやYoutubeで新曲をアップしていきましたよね。

Minchanbaby - 『たぶん絶対』のレックは"NISHIVI"が最後で、16年末には終わっていて。で、その後の作業……ミックスなんかをやってると間が空いちゃうんで、並行してリリックを書いておこうと思ったんです。今(2017年末)、ネットで発表してるのは2017年産。

- そこで一緒にやっているのが、例えばITAQとかharuru犬love dog天使だったりして。僕は彼らをミンちゃんの曲で知ったんですが、凄く面白くて、GIRLZ N' BOYZの頃から変わらず目利きというか、こういったまだあまり知られていない才能をどうやって見付けてくるんだろうと思ったんですが。

Minchanbaby - ITAQくんは応募してくれたんですよ。あのビート(Das Racist - "You Oughta Know"、10年)はいつか使いたいと思ってたんですけど、今は何か書いてないと怖くなってくるというか、別のいらないことを考えちゃうので、勢いで書いて。で、「もし同じ気持ちの人がいたら……」とリリックを添えてツイートしたら、ITAQくんがすぐにヴァースを送ってきてくれたんです。
haruru犬love dog天使は前の名義でやってる時から気になってて。それで、あの曲(MONYPETZJNKMN - "ZUTTO"、17年)は原曲の人数がいないと成立しないと思ったから、自分だったらこの組み合わせかなと思って、誘った感じですね。

 

- 若い世代のラッパーとの楽曲が多いですが、同世代のラッパーとも付き合いはあるんですか?

Minchanbaby - ないです。辞めずに残っている人は偉いさんになったり、若い子を育てる側になってるので。それはそれでいいことだ思いますけど、自分はプレーヤーでいたい。負けてもいいんで、今の10代の子と同じ競技で、同じ土俵で比べられたい、評価されたい。

- ITAQさんなんか、あの年齢の子供がいてもおかしくないぐらい歳が離れていますもんね。

Minchanbaby - そうですね、本当に。自分もどうしようもなくおっさん感は出てきてるんですけど、上からごちゃごちゃいうだけなのはセコいなと。やっぱり、ラップしていたい。

- 〝がちむちギャング〟改め〝ふたりのテロリズム〟というユニットの結成も発表していました。

Minchanbaby - ふたりのテロリズムはなかむらみなみちゃんと組んだプロジェクトで、彼女はTENG GANG STARRというユニットをやってるんですが、"No Mercy"という曲がバズった時に、「凄い女の子がいるな」と。で、今年(2017年)に入って女の子とデュオをやろうと思った時に、「そういえば、あの変わった女の子おるやん」と声をかけたら「やります、やります」と。それで、関西ノリで「がちむちギャング、結成しました」とツイートしたら、一切、曲がないのにいきなりライヴのオファーがきた。恐らく彼女に何かがあるんですよね。僕とは違う光り方が。

 

- いずれにせよ、彼ら、新しい才能とはネットで出会ったということになると思うのですが、GIRLZ N' BOYZの時代はネットがオルタナティヴな現場だったのに対して、現在はメインになっていると言ってもいいですよね。その辺りの変化は感じますか?

Minchanbaby - 確かに普通になってますよね。ネットに音源を上げるのも普通で、データのやり取りで制作をするのも普通で。でも、古い考え方の人も山ほどいると思いますよ。「直に会わないと曲なんて出来ない」みたいな。

- また、ヒップホップにおいて社交性が重視されるところが性に合わないという話がありましたが、ネットはネットで社交性が高まっているとも思うのですが。

Minchanbaby - あ、〝FF外〟とかですか?

- そうそう(笑)。

Minchanbaby - 日本っぽいというか、あんなことやってるのはこの国だけでしょ。あれはあれで若い世代の変な礼儀ですよね。

- 現代版〝ネチケット〟ですね。昔からあると言えばある。もしくは、フィルターバブルみたいなことが指摘されて久しいですが、ネットにおけるラップ・ミュージックでさえ細分化されているじゃないですか。そんな中でミンちゃんがツイートを消したり、ネット離れしつつあるように見えるのは、息苦しさを感じているから?

Minchanbaby - 大喜利大会ですよね。しょうもないネタも、真面目なネタも。何日か毎に話題が提供されて、延々と皆で大喜利をやってるっていう。若い子達にとっては出会いのツールなのかもしれないですけど、楽しさは感じないですね。実はアルバムが発売する何日か前にもツイート全消ししたんですよ。ちょっと落ちてて、酷いツイートしちゃって。そういう自分にさらに落ちて、黒歴史クリーナーで。だから、活動休止するっていうツイートももう消えてる。

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- アルバムもリリースされて、最近は落ち着いていますか?

Minchanbaby - ありがたいことに良い評価を頂いてるんですが、でもなぁ……っていうところもあって。ソロではライヴのオファーがなかったり。まだこれからなんでしょうけどね。

- じっくり聴き込むべきアルバムだと思いますし。

Minchanbaby - 「このアルバムに関するライヴ・オファーがゼロだったので、今後は受け付けません」ってツイートしたくなるけど、ダメだぞって自分に言い聞かせてます。

- (笑)。東京でもライヴを観たいです。

Minchanbaby - 計画はしてるんですけどね(17年12月15日、代官山<saloon>で開催された「Mango Sundae」に出演)。腰痛が酷いんですが、まぁ、動けはするので。坐骨神経症を悪化させてしまったんです。加齢なんでしょうね。歳をとることにもコンプレックスがあるので、おじさんになっていくにつれてまたストレスが溜まるわけです。

- 5年振りのアルバムで、その間に色々とあったわけですが、またモードが変わって、今後は継続的な活動を期待してもいいのでしょうか?

Minchanbaby - そうですね。『たぶん絶対』は〝ラスト・アルバム〟と謳ってますけど、それはアルバムという形式でのリリースが最後かな、という感じで捉えてもらえれば。ストリーミングの時代ですし、フル・アルバムだとお待たせしてしまうので。EPくらいのヴォリュームで出していけたらなと。

- ミンちゃんの場合、完璧主義でいながら、ラップ・ミュージックのモードのスピード感が好きなので、制作に関しては悩むところが多いのでは?

Minchanbaby - だから、ふたりのテロリズムみたいなことをやるのはいいんですよ。他人はコントロールしきれないので。自分の完璧主義が緩むし、スピードも早められる。今はアルバムを出すという大きなストレスを乗り越えてすっきりしたし、「次はこんなことをやろう」ってアイディアが色々と浮かんでる状態なので、悪くない感じですね。

- では、今後も楽しみにしています。

Minchanbaby - あ、最後にもうひと言だけいいでしょうか。今回、思い知ったのは、フィジカルでアルバムを出すことって、めちゃくちゃメンタルを削られるんですよ。自分の場合、1人でやってるので、つくり始めなけりゃ良かったと後悔するくらいしんどい。気を使いすぎなんでしょうけど。だからこそ、いま、何処かのレーベルに所属したいと思っていまして。それは、サポートして欲しいっていうのもありますけど、ライヴのオファーを取ってきて欲しいとか、給料が欲しいとか、そういうことではなく、死ねない理由を増やしたい。

- 死ねない理由。

Minchanbaby - 責任感が強いので、何処かに所属すれば死ねなくなると思うんです。だから、レーベルを募集中だと書いておいて下さい。クルーやコレクティヴでもいいんですけど。僕のやってることを認めてくれて、一緒に音楽をつくれて、でも、つるまなくていいような……。

- やっぱりつるみたくはないんだ(笑)。

Minchanbaby - 今は個人で発表していく時代なので、逆行してるのかもしれないですけどね。でも、Taylor GangにJuicy Jがいることで生まれるような説得力が欲しいレーベルはないかなと。

- 「クルーを辞めたくせに、クルーに変な憧れがあった」と言っていましたが、やはり、理想のクルーを求めているようなところがあるんですね。

Minchanbaby - そうですね。やっぱり、色々なひとと一緒にやることって楽しいんですよ。今回、自分の世界を突き詰めたからこそ、そう思うようになりました。

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Info

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ARTIST : Minchanbaby (ミンチャンベイビー)

TITLE : たぶん絶対 (タブンゼッタイ)
LABEL : 粗悪興業
CAT NO. : soaku-0001
発売日 : 2017年9月06日(水)
税抜価格 : 2,000円
バーコード : 4526180426905

収録曲
01. まさかのマサカー
02. 蛇田ニョロ
03. ただそれだけだ
04. 横取り40萬
05. ゴッドアーミー feat. Juicy JJ, Jinmenusagi, onnen, Cherry Brown
06. エンジのアプリオ
07. 肉喰え肉
08. たぶん絶対
09. 終末(仮) feat. Jinmenusagi
10. NISHIVI

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