【オフィシャルレポート】KEIJU as YOUNG JUJUメジャー・ローンチパーティー

128日に渋谷SOUND MUSEUM VISIONで行われたKEIJU as YOUNG JUJUのメジャー・ローンチパーティー『KEIJU as YOUNG JUJU Presents 7 Seconds Supported by PIGALLE』が開催。超満員の中行われた同イベントのレポートが到着した。

Photo by 金子優司 & junpei kawahata

KANDYTOWNのメンバーとして活動しつつ、2016年にはソロアルバム『juzzy92’』2017年には記憶に残る客演の数々でシーンにその存在感を見せつけたKEIJU。

彼がいよいよソニー・ミュージックと待望の契約を交わし、アーティスト名をKEIJU as YOUNG JUJUと改め、開催された今回のローンチパーティー。

開場前から会場周辺には多くのファンが集い、チケットが完売しているにも関わらずごく少数発売される予定の当日券を求める列は渋谷の駅の方までおよそ30メートルにも及んでいた。その光景からも、彼のヒップホップ・シーンにおける注目度の高さを伺わせる。

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開場し、オープニングDJとして登場した、KANDYTOWNのメンバー、DJ Minnesotahのプレイで徐々に温まっていくフロアは、ライヴ開始直前には既に移動も困難な程の混雑を見せる。また客層はデイ・タイムという事もあってか、10代から20代前半のファッション感度の高い若いオーディエンスが中心となり、そこからも次世代のニュー・ヒーローとしてのKEIJUのカリスマ性が浮き彫りにされる。

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ライヴ・パートはKEIJU のホームグランドでもあるKANDYTOWNからスタート。なかなかクラブではお目にかかれない十数人に及ぶメンバーが入り乱れるステージは、現在の彼らの勢いを体現するかのような圧倒的な熱量を放ち、会場のテンションは一気に最高潮に。リーボックとのコラボ曲"Get Light"や昨年リリースのティンバーランドとのタイアップ曲、 “Few Colors”など、KANDYTOWNのヒット楽曲を惜しみなく展開していく。そして、彼らは数々のインタビューで「ソロもKANDYTOWNの楽曲」と公言しているようにメンバーのソロ楽曲もセットリストに組み込み、それに対してもメンバーが次々にラップを被せるなど、そのチームワークの高さを見せた。またライヴ中にKEIJUは「(会場の)前の女の子が押されてかわいそうだから、あんまり押さないで」とアナウンスする気遣いを見せ、ジェントルな一面を覗かせる。ほぼノンストップで繰り出されたタフなライヴは全15曲に及び、KANDYTOWNの集団MCによる迫力のパフォーマンスが嵐のように会場を席巻した。

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ステージを引き継いだDJ HARADA KOUSUKEのDJに続いては、KEIJUがゲストを招いた”KEIJU with FRIENDS”セクションが始まる。まず登場したのはラッパー/トラックメイカーとして活躍するJJJ(Fla$hBackS)。彼のアルバム「HIKARI」に収録された、KEIJUが参加した”COWHOUSE”を共演、そしてJJJはソロとして”BABE”も披露し、KEIJUの同世代の実力派として気を吐いた。

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続いてはKANDYTOWNと共に、現在のヒップホップ・シーンを代表する川崎出身のクルー:BAD HOPよりYZEERとVingoが登場し、DJ CHARI & DJ TATSUKI"Right Now feat. KEIJU & YZERR”をパフォーム。先日、配信されたばかりの楽曲にも関わらず、会場からは大合唱が起き、近年のBAD HOPへの注目度の高さを否応なく感じさせられる。

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そこからは矢継ぎ早にヒップホップ・フロア・ヒットの応酬。JP THE WAVYが派手なスモークと共に”Cho Wavy De Gomenne”で登場し、そのまま初公開となるKEIJUを迎えた”Young Rich”の別バーションを披露。続いてシークレットゲストとしてセクシー衣装を身に纏ったAwichが登場し、フロアを物凄い声援で沸かせた”Remember feat. YOUNG JUJU”をパフォームし、その展開には会場全体が大きくバウンスしていく。

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そして「好きなアーティストと聴きたい曲があるから」とKEIJUからレコメンドされ招き入れられたのは、女性R&Bシンガー:RIRI。先日、東京・大阪の2都市で開催する"RIRI Release Party"両公演へのKEIJUの出演が発表されたばかりの彼女がソロとして”RUSH”などを披露し、現役高校生ながら、その卓越したヴォーカル力は、沸き立った会場を一気に彼女色に染め上げる。

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続いて登場した沖縄出身ラッパー:唾奇は、彼を注目させるきっかけとなった、唾奇,IO & YOUNG JUJU名義での”Same As”を披露。tofubeatsは、これも昨年最大のフロアヒットとなった”LONELY NIGHT feat. YOUNG JUJU”をKEIJUと共にパフォームし、再び会場では大合唱が起きる。2017年は数々の楽曲に客演し、その多くをフロアで大ヒットさせ、ヒット請負人とも言える動きを見せたKEIJUの動きが集約したような豪華なラインナップには本当に驚かされた。

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そのまま舞台上はtofubeatsにバトンが渡され、“SHOPPINGMALL(FOR FANTASY CLUB)”や“WHAT YOU GOT”といった最新アルバム収録曲で観客を盛り上げ、最後はクラシック”水星 feat. オノマトペ大臣”で締め、KANDYTOWN のメンバー、RyohuのDJに繋いでいった。

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RyohuのDJが終わり、会場が再び暗転すると、スタンド・マイクを携えたKEIJUが登場し、これからリリースされる予定の新曲を二曲披露。照明が暗転し今日のライヴで見せた、これまでのお祭り騒ぎとは感触の違う、ややクールでファッショナブルな世界のヒップホップとシンクロするようなシリアスな音楽性を有しながら叙情的とも言えるライムなど新たな側面を新曲では提示し、その音楽の幅広さを見せる。

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そしてスポット・ライトに照らされながら「ECD IN THE PLACE TO BE」と書かれたTシャツを掲げるKEIJU。「俺の作品をレコーディングしてくれてるエンジニアのILLICIT TSUBOIさんが長年一緒に制作してきたECDさんが亡くなりました。俺も数年前に大事な友だちを失った。みんなも大事な人を思い浮かべて、祈ろう」と黙祷を会場に促し、その大事な友だちに捧げたという新曲を披露。明言はされなかったが、KANDYTOWNの一員であり、精神的な支柱であったとメンバーが話す、YUSHIに捧げられたであろうこの曲は、まだ未完成だと話すが、思い出をエモーショナルに描いた内容で、非常に胸を打つものがあった。

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そして、最後のスペシャルシークレットゲストとして登場したのは通常こういったイヴェントではなかなか見ることのできない清水翔太。”Drippin' feat.IO,YOUNG JUJU”をKEIJU,IOと共にじっくりと披露し、この日最大のサプライズに騒然とするオーディエンスを優しく包み込んでいく。そして「これからも期待してよ」と充実の表情で舞台を降りるKEIJUの背中に、クロージングDJを務めたDJ MASATOのプレイが被さり、この日のイヴェントは終了した。

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現在のヒップホップ、R&Bシーンのショー・ケース的な側面もあり、KEIJUの全体像というよりは、その断片が表現されたという感触のあるイヴェントだが、逆に言えば、ここ1〜2年でKEIJUがこれほどまでにシーンの中で広く需要され、ヒット曲を生み出し、注目されたという事実に、改めて驚かざるを得ない。ここで断片的に表現されたKEIJUのポテンシャルの高さが、これからどのような形でメジャー・フイールドにおける作品として開花していくのか、期待しか感じないイベントだった。

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