TREKKIE TRAX×Double Clapperz Pt.3 ー東京と海外、そして彼らの展望する音楽シーンの未来とは

FEATURED  2016.07.14  FNMNL編集部

東京は渋谷を拠点に国内外で活躍する音楽レーベルTREKKIE TRAX(トレッキー・トラックス)主宰の一人であるSeimei、そして日本の新世代グライムシーンを代表するプロデューサーユニットDouble Clapperz(ダブル・クラッパーズ)よりSinta、海外経験豊富な2人を中心に、同じくTREKKIE TRAXのAndrewとFNMNL取材クルーも交えての座談会pt.3

TREKKIE TRAX×Double Clapperz Pt.1

TREKKIE TRAX×Double Clapperz Pt.2

TREKKIE TRAX×Double Clapperz Pt.4

- なるほどね。次は、音楽の聴き方について聞きたいと思います。海外だとネットももちろんあるんだけど、それ以上に口コミの影響が大きいって聞いたことがあって、特にアメリカでの口コミのコミュニティーでヒット曲が生まれていくみたいな。例えば、ラップだけどFetty Trapのあのヒット曲「Trap Queen」は、リリースされた2014年から長期間で売れてるんだよね。それって口コミのコミュニティーがあるから、たぶんそういう売れ方をしているんだと思う。日本だとなかなかそうはいかなくて、1週目1位になったけどもう2週目にはどーんと落ちるってことが普通で、数ヶ月前の曲だけどいいよねって感じで後から曲がもてはやされることって日本ではあまりないよね。

Seimei - アメリカだとTwitterやFacebookが強いね。東京レベルの規模のクラブシーンがある街がたくさんあるから、各地での口コミが連鎖して大きくなっていってる。

Sinta - 口コミと言うと、UKのグライムには昔からオンラインチャットや掲示板カルチャーというのがあるんです。今でもFacebookグループでDouble Clapperzの曲がポストされて、それがきっかけで今でもずっと再生され続けてるんですよね。それはヒットだけど、インターネットの目に見えるコミュニティがあって、そこに向かってアプローチしてるってのがあります。

- あとはトレンドについてだけど、日本だと大体トレンドって輸入されるものになってるよね。「今年はトロピカルハウスが来る」って言われてるけど、日本で盛り上がってるわけじゃなくて、海外で盛り上がってそれが連れて来られたみたいな感じだよね。

Seimei - あ~!その話いいっすね。僕はトレンドを作る側になりたいんですよ最終的に。だから今のトレンドを作る側の人たちが作ってきた基準で勝負してるんです、さっき言ったみたいに。「TREKKIEの曲がDiploにかけてもらってやったー!」みたいな。それを最終的に、DiploやSkrillexたちが日本人の曲を毎回何曲もかけるようになったら、世界のダンスミュージックシーンの中で日本の発言力がめちゃちゃ増すと思うんです。そうなると、今度は僕らがトレンドを作る時代が来るんです。というところまで僕はやりたいと思っていて、今は芽を育てているところですね。

- Double Clapperzはアーティストだからレーベルの観点とはまた違うと思うけど、海外と日本のトレンドの差とか意識する?

Sinta - トレンドに関しては、やっぱりどうしても海外のトレンドが先に走ってて、それに対してどういう風に動くかってなっていますね。まだ、こっちから仕掛けるってとこまではいってない。

Seimei - 結局、みんな意識がフォロワーなんだと思う。Sintaくんが1年くらいヨーロッパ行って生活して、現地でDJを経験してみて変わったのは何?って前に聞いた時、「以前は海外のシーンの外側にいる意識だったけど、現地のアーティストたちと交流することによってシーンの一員っていう意識が芽生えた」って言ってたよね。僕もそうで、Giraffageとか完全に雲の上の人みたいな感じで見てたけど、今となっては飲み友達だし普通に僕らの曲をDJでかけてくれたりもして。だから僕もシーンの一員って普通に思うようになった。日本のローカルのDJとか特にプロデューサーとかって、言語の問題もあると思うけど、自分が世界の中の一員であるって自覚を多分しにくいと思う。でもそれってすごくもったいないから、「シーンの一員である自覚」っていう意識を日本のトラックメイカーがもっと持てれば、Seihoさんみたいに世界に羽ばたいていくアーティストがもっと増えると思うね。

Sinta - あと「あのジャンルが面白い」、「このジャンルがいい」、「最近廃れてて面白くない」とか、よくDJの人たちとかが音楽シーンを外側目線で批評したりするじゃないですか。最近、それにすごく違和感を感じるようなっていて。オーディエンスはそれでいいんですけど、シーンを作り上げていくプレイヤー当人たちが批評じゃなくて自分たちで面白くしようって意識をもっと持ったらいいのにって思います。これが海外との差だと感じるし、いつまでも海外がトレンドをリードしているのは、日本の自分たちがそのシーンの一員にすらなっていないからだと。

Seimei - うってかわってオーストラリアとかやばくない?UKやUSがずっとリードしてたものをさ、Future Classicっていうレーベルが出て、今や大人気のFlumeだったりWave Racerみたいなアーティストが出てきたりして。それはDJのNina Las Vegasっていうコミュニケーション能力最強!みたいな人が世界を回って、DiploやUKレーベルのLuckyMeと会って「私の国にはこんなアーティストがいるんですよ」って自国のアーティストたちを紹介して、実際Wave Racerやばいじゃんってなったりして。彼女がシーンの一員としてどんどん行動していった結果なんですよね。まあ、オーストラリアなので英語圏っていう強みが大きいとは思うんですけど。非英語圏だったら、僕はBuraka Som SistemaのBrankoっていうポルトガルのアーティストが大好きですね。SFで酔っ払ってる時に会って、「非英語圏で、英語圏主体のダンスミュージックシーンの中でやれるお前はまじクールだし、どんだけインスパイアされたかわかんねえよ!」って泣きながら握手したくらい。Brankoはポルトガル語圏の音楽や言語を英語圏のダンスミュージックシーンにうまくバランスを取って落とし込んでいて、ビジネスとしても成功してるから、絶対海外への影響をあたえてると思うんですよね。だから日本も可能性があるからもっとそう動いていったら面白いと思う。

- 日本が自分たちでトレンドを作るためにはどうしてったらいいと思う?

Seimei - 僕はコミュニケーションだと思うんですよね。今の主体になってるシーンとのコミュニケーションをもっと増やしていくみたいな。友達になることですね外タレと。外タレと共演とかする機会があったら、無理してでも飲み行ったりして、相手は実際話したらいいやつってことが多いし。やっぱり、ビッグアクトだとか外タレだとか、構えて見ちゃうとは思うんですけど、もっと「おい俺の曲聴いてよ!」みたいでいいと思うんですよ。だから、僕は僕の立場からそういう機会を増やしていきたいですね。

- 日本だと、アジア諸国は近隣なわけで、実際中国とかアンダーグラウンドで面白い人たちがいるのに、一番そこに意識が欠けちゃってるなと思います。近いとこでコミュニケーションしていけば、そこで大きい地域としてやってけるはずなのになあって。だから二人は今後アジア圏への働きかけとかってのは考えてるんですか?

Sinta - 7月はDouble Clapperzで韓国のCakeshopにプレイしに行きますね。 写真家の横山純さんからピックアップしてもらって7月初めにプレイしに行きます。(横山純による韓国シーンのレポはこちら

Seimei - TREKKIE的には、Conrankっていう上海拠点のイギリス人アーティストとか、韓国のプロデューサーとか数名リリースしてたり、今年の初めにはCarpainerと一緒に中国ツアーをしましたね。中国ツアーに至ったのは、Conrankみたいなアーティストをピックアップしたから現地のプロモーターがTREKKIEってなんだろうって調べた結果かな。TREKKIEってこういう評価されてるんだ、BBCやRinse FMでかかってるんだ、LuckyMeとコラボしたりしてるんだ、じゃあ呼んでみるかって。中国に呼んでくれたのは現地のラッパーなんだけど、逆にそれを知って次はTREKKIEで日本に呼んだりできないかなって考えたりもしてる。こういう交流をもっと増やすのが大事なのかもね。

Sinta - 個人の中にある思ってるストーリーとリンクしてないと、なかなかコミュニケーションって生まれないですよね。対面で会うことの価値が、これだけインターネットが発達した世の中あってもどんどん大きくなってると思います、対面で会ったことないアーティストとかリリースもあまりしないと思うし。

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Seimei - うん、結局人だと思うし、交流が少ないアーティストのリリースとかはあまりしないと思う。デモ音源もめっちゃくるけど断ってるもんな...

Sinta - 僕らもメッセージのひとつもしないで、「曲くれよ!」とか言ってくる人はどんなに有名でもあまり相手にしない、したくないなって思ってしまいますね。

Seimei - アメリカでもそうだし、その前の日本で活動してた時から僕は「人」だってずっと思ってる。まだTREKKIEが4曲くらいのほとんど何にもなかったとき、Kan TakahikoさんとかBroken Hazeさんとかが出ているネットラジオ、block.fmの番組収録現場に行って「聴いてください!」って作ったデモCDを直接渡して。そしたらありがたいことに「番組でない?」ってblock.fmの方から言ってもらえて、TREKKIEで最初に僕がblock.fmの番組でるようになって。その後Taku Takahashiさんに会ったりとかもして、そうしたことを経ての今があるので、それを踏まえた上でこれってアメリカで活動していても一緒だなって思ったんですよね。実際、向こうに行って、日本でのやり方と一緒なんだって。というか、アメリカの方がむしろ実力ないとダメですけど、人情味あるというかオープンだから普通に遊びに行ったらGiraffageがいて、声をかけたら「日本すごい好きなんだよ~、これからよろしくね」って感じで挨拶をきっかけにつるむようになったりして。そのうち「じゃあ今度、BBCでDiploの番組出ることになったから、曲かけるからくれよ」みたいな。有名とか関係なく全然そういうのがあるから、結局人なんだなってすごく思った

Sinta - 本当に人だよね

横山純 - インターネット世代が最後「人だよね」って最高に面白いな(笑)僕が行ってたロンドンの大都市もそうだったし、アーティストだって普通の人やから普通に笑かして仲良くなれる。結構マジ人?

Seimei - うん本当それが結論だと思います。

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