SoundCloudがファンのサポートが直接アーティストの収益に反映される「Fan-Powered Royalties」システムを導入
インデペンデントなアーティストにとっての大きな課題は、自身の音源からいかにして収益を得るかという点だろう。もちろん現在は様々なサービスにより以前と比べ音源の収益化は容易となっているが、依然としてアーティストに還元される金額の割合が少ないのもまた事実。そんな中、SoundCloudが新たな収益モデルを導入すると発表した。
FADERが報じるところによるとSoundCloudは今週水曜日、「Fan-Powered Royalties」と名付けられた新たなプランの導入を発表した。現在の多くのストリーミングサービスは、ユーザーが支払った金銭やサービスが得た広告収入は一旦プラットフォーム側にプールされ、分割された後に総合的な再生回数に応じてアーティストに分配されるのが一般的だ。しかし今回SoundCloudが導入しようとしているシステムは、ファンがそのアーティストの楽曲を実際に聴いた時間に基づいて収益が支払われるという仕組みとなっており、またbotや自動再生によって稼がれた再生回数は反映されない。さらにそのアーティストの楽曲を多く再生した固定のファンは、「ロイヤリティに貢献したファン」としてアーティスト側のアカウントに表示され、認知されることも可能になるという。いわばファンのサポートがそのまま収益として反映される仕組みとなっており、このシステムは音楽ストリーミングプラットフォーム史上初めてのものとなる。
SoundCloudのCEOであるMichael Weissman氏は、「業界の多くの人が、何年も前からこれを望んでいました。私たちはインデペンデントなアーティストをより良くサポートするため、このシステムを史上に導入することに興奮しています」「SoundCloudはアーティストとファンの間の強力な繋がりをプラットフォーム上で実現しているため、この革新的なモデルを導入出来るユニークな立場にあります」との声明を発表している。
規約によると、今回導入が発表されたサービスは「Pro」アカウントを介して自身の作品を収益化しているインデペンデントアーティストが利用することが可能になるとのこと。また支払いは2021年の5月から実施となる。
例えばBandcampが月に一度全ての収益を直接アーティストやレーベルに還元する「Bandcamp Friday」など、プラットフォーム側がアーティストをいかにサポートするかを模索する動きが見られるようになった昨今。そんな中新たなシステムの導入に踏み切ったSoundCloudの動きは、今後アーティスト、ひいてはシーンにどのような影響を与えるのだろうか。