Stones Taroが最近見つけた5曲 | あの人の「今」を聴く #4

カルチャーシーンを彩る様々なゲストを招き、最近の実生活の中で出会った音楽を訊いていく本企画。単に新しい音楽に触れるだけでなく、音楽というものを通して、新たな考えや、今に流れるシーンを幅広く捉えることができるはずだ。

前回のMayu Kitazawaに続き、今回はプロデューサー、DJとして活躍中で、アルバム『Dwellers Of The Seabed』をリリースしたばかりのStones Taroが最近見つけた5曲を紹介。

1. Pearson Sound - "Hornet"

今年の『RDC』(『Rainbow Disco Club』)でもHessle Audioの一員として来日したPearson Soundの新譜です。どの曲も涼しさを感じて気持ちいいです。メインパートがサブベースと乾いたスネアで構成されていて、実質自分の大好きな90s中期のジャングル。キックよりベースで踊らせる感覚は最近自分も大切にしているのでピンと来ました。ここ最近、別名義Ramadanmanも含め彼の旧譜を聞いてました。自分の作風に非常に影響を与えたアーティストの1人です。先日彼のラジオで私の新作がプレイされていて嬉しかったです。

2. Leod - "Untitled 06"

K-Lone(UKを拠点に活動するDJ/プロデューサー、日本国内でも人気が高い)の昨年末のEPにもエディットで参加していたUKのLeodリリース最新作。BandcampでBPM130後半の四つ打ちDJツールを自主リリースしています。ハウスっぽい音使いではありますがジャンルとしてはハードグルーヴとでも言うのでしょうか。近年世界各国フェス熱の煽りもあるのかBPM140ぐらいの音圧高めハードグルーヴのリリースが増えている中、Leodのリリースは柔らかく短いキックで全体的に音圧低めでスカッとしています。

3. Nathan Melja - "Welcome(feat. Patrick Holland)"

フランス、パリのNathan Meljaはディープハウス系プロデューサーですがグルーヴとメロディのバランス感覚が唯一無二で素晴らしいです。レーベルを一緒に運営しているLomaxから教えてもらいました。
彼の新作EPでPatrick Hollandと制作したこのWelcomeという曲のベースラインにビビッときてヘビーリピートしています。爽やかではあるのですが少ししっとりしたものを感じて今の季節にあうなーと思っています。

4. Sam Goku - "Temple Arp"

ベルリンのプロデューサーSam GokuのTemple Arpという新曲をとっても気に入っています。メインモチーフのシーケンスフレーズが優しくユーフォリックでとても気持ちいいです。いわゆるテクノだとは思うのですが4つ打ちのキックの主張が弱いところがポイントで、DJ中に他の曲とミックスすることで面白さが際立つ曲です。先日上海でプレイしてフロアがとても盛り上がったのが印象に残っています。

5. DJ Polo, Breaka, Swordman Kitala - "Dance Hall Again"

DJ Polo、Breaka、Swordman Kitalaと僕の大好きなUK Funky関連のプロデューサーたちがEPを出すということで、どんな曲になるんだろうと聞いてみたのですがDance HallのグルーヴにAmapianoがミックスされたフレッシュなビートで最高でした。元々Breakaのベースのフレーズ&音使いがセクシーで大好きなのですが、この曲でもガッツリBreaka節が生きていて嬉しくなりました。

過去回はこちら

Info

Stones Taro
京都在住のDJ/プロデューサー。90年代のハウス、UKガラージ、ジャングルにインスパイアされた楽曲を世界中のレーベルから多数リリース。Scuffed Recordings、Shall Not Fade、Hardline Soundsなど現行UKアンダーグラウンドシーンを担う主要レーベルから次々と12インチレコードを発表。日本在住ながら現行UKシーンの重要プロデューサーとして扱われる稀有な存在に。
またStar Festival、Rainbow Disco Club、そしてFuji Rock Fes.などの国内主要フェスへ出演、2023年には初のUKツアーを実現し、DJとしても高い評価を受けている。
2017年より、同じく京都在住のDJ/プロデューサーであるLomaxと共に、京都拠点のダンスミュージックレーベル「NC4K」の運営を開始。継続的なリリースとパーティ開催を重ね、国内外を繋ぐ重要レーベルとして注目を集める。
Ben UFO、Objekt、Nia Archives、Om Unit、Conducta、Breaka、Or:laなど、ダンスミュージック最前線のプロデューサーたちからサポートを受けている。


Stones Taro - 『Dwellers Of The Seabed

■Track List

  1. Stones Taro - Dwellers Of The Seabed
  2. Stones Taro - Whale Shade
  3. Stones Taro - Deepest Downtown
  4. Stones Taro - Sand Testing
  5. Stones Taro - Harvest
  6. Stones Taro - Leaf Raining
  7. Stones Taro - Prawn Burrow
  8. Stones Taro - Hunter Hides In Trench
  9. Stones Taro - Closing Shell

■Buy Link
https://ffm.to/nc4kal001


RELATED

ShioriyBradshawが最近見つけた5曲 | あの人の「今」を聴く #7

前回の荒田洸(WONK)に続き、今回はNYへの遠征や先日開催された『Ultra Japan』出演を経て、来週に自身の主催パーティー『Eustress』や、ラッパー・Tohji主催のパーティー『u-ha』への出演を控えたDJのShioriyBradshawが最近見つけた5曲を紹介。

荒田洸(WONK)が最近見つけた5曲 | あの人の「今」を聴く #6

カルチャーシーンを彩る様々なゲストを招き、最近の実生活の中で出会った音楽を訊いていく本企画。単に新しい音楽に触れるだけでなく、音楽というものを通して、新たな考えや、今に流れるシーンを幅広く捉えることができるはずだ。

SAMO(FULLHOUSE)が最近見つけた5曲 | あの人の「今」を聴く #5

カルチャーシーンを彩る様々なゲストを招き、最近の実生活の中で出会った音楽を訊いていく本企画。単に新しい音楽に触れるだけでなく、音楽というものを通して、新たな考えや、今に流れるシーンを幅広く捉えることができるはずだ。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。