【特集】FUTURA LABORATORIES × NIGOLD by CO:LABS Vol.4|Boseが語る2人の魅力

NYを拠点に70年代からグラフィティを描き続けているレジェンドFUTURA LABORATORIESと、90年代から日本のストリートファッションを牽引してきたレジェンドNIGOLDによるコラボプロジェクトがCO:LABSでスタートした。

FNMNLではこの企画に関連して、両者の作品に触れてきたアーティストやデザイナーなど世代を超えた5人へのインタビューを敢行。第四弾はデビュー30周年を迎え最新作『シン・スチャダラ大作戦』を4月にリリースするスチャダラパーのBose。90年代前半から親交があるBoseしか語れない両者のエピソードとは。

取材・構成 : 塩川優吾

撮影 : 横山純

 - NIGOさんとは付き合いが長いと思いますが、出会いはいつごろなんでしょうか?

Bose - 藤原ヒロシくんの家にみんな集まって、ゲームやって遊んでたころだから、90年ぐらいからなのかな。スーファミやってるところにNIGOもいる、みたいな感じで。「ニゴーっていうんだ、たしかに似てるね」みたいな。いまや意外と忘れがちなんだけど、ヒロシくんありきの「藤原ヒロシ2号」だから。もともとは。ヒロシくんが言い出したわけでもないし、本人が自称したわけでもないんだけど。(高木)完ちゃんとか大貫(憲章)さんとかのまわりの人が、似てるからってことで言い出したんじゃないかな。

 - まだNIGOさんがお店やブランドをはじめる前ですよね?

Bose - そう。その頃のNIGOは中山秀征さんなんかのスタイリストをやっていて。そこからJONIO(アンダーカバーデザイナー・高橋盾)との「LAST ORGY 2(宝島誌での連載)」だったり、原宿のノーウェア(NIGOとJONIOが93年にオープンしたショップ)だったりから、あっという間にみんなも知ってるNIGOになっていく感じなのかな。ノーウェアはできた瞬間も知ってるけど、最初は普通のカレッジトレーナーとか、海外で見つけてきた服なんかを売ってたんですよね。ニューヨークで買い付け中のNIGOとバッタリ会ったこともありました。死体袋みたいな大きいバッグを何個も持って「これからボストンとかいろいろまわるんです」みたいな。結構大変じゃないですか、ああいう買い付けって。好きじゃないと出来ない、すごいガッツだなぁと。

 - FUTURAのことはいつから認識していましたか?

Bose - いつ知ったかは覚えてないんですけど、印象に残ってるのは90年代初頭、やっぱりヒロシくんの家でよく遊んでた頃に、ヒロシくんが「FUTURAとか好きでしょ?」みたいな感じで、電車の形のノートパッドを出してきて。FUTURAが当時作ってた、グラフィティを描くためのノートなんだけど、それを「Bose、要る?」って。ヒロシくんはグラフィティをやらないし、要らなかったのかな(笑)? もらっちゃったけど、その頃FUTURAに対しては「知ってはいる」ぐらいだったから、正直「こんなのあるんだ」ぐらいの感じだった。FUTURAってグラフィティの人だけど、当時から作風はかなり変わってるじゃないですか。なんか、わかりにくかったですよ。「これ、いいのかな?」みたいな(笑)。その頃はそんなに良さがわかってなかったかな。でもその後、シンちゃん(SKATETHING)とかYOPPI(江川芳文)、NIGOなんかがFUTURAやSTASHとつながっていって。

 - BoseさんもFUTURAと会ったことはあるんですか?

Bose - 何度かありますよ。彼らのニューヨークのスタジオにも遊びにいったし。たしか99年のレコーディングのときかな。逆に向こうがよく日本に来ていた頃は、僕らのライブにも何かのついでに遊びに来てくれたり。FUTURAとSTASHが客としている、すごくヒップホップ度の高いライブ(笑)。一緒にラジオに出たこともあったなぁ。「今日FUTURAとSTASHが来てるよ」っていう、不条理な状態。こっちもまったくもって適当にやってるんで、よく覚えてはいないんだけど。

そういえばFUTURAも結構テレビゲームをやる人で、『スーパーマリオ64』が超好きだったんですよ。で、「お前スター120枚全部取ったのか」って聞かれたので、「取った」と答えたら「そうか、俺も取った」みたいな(笑)。そういう、しょうもないエピソードは結構あります。あとは、とても書けないようなこともいろいろ。でも、そういうのも重要なファクターだからね。想像にお任せします。

 - わはははは!

Bose - でもホントFUTURAは気さくな人で、冗談が好きだったり、自分らとも通じる斜め目線というか、あんまり正面からって感じじゃないところがかっこいいんですよね。みんながベーシックなグラフィティを描いてるときに、宇宙っぽい抽象画みたいな方に行ってたりとか、超早い。「逆に」みたいなことを、最初から言ってる感じ。いろんなアートに興味を持つようになって、ゲルハルト・リヒターなんかをいいなと思いはじめたころ、FUTURAのすごさがガツンとわかりました。

 - FUTURAがアートワークを手掛けたNIGOさんのアルバム『APE SOUNDS(99年)』では、Boseさんも“DREAM UNIT”という曲で参加されていますよね。

Bose - いくら仲良くなっても、自分たちの作品で「FUTURAにジャケをお願いしよう」なんてアイデア、恐れ多すぎて出ないよね(笑)。それをサラッとやれちゃうから、本当NIGOはすごいと思う。FUTURAにジャケを頼むのも、猿の惑星のフィギュアを揃えるのも同じというか。「好きなモノは全部集める」っていう姿勢、昔から本当に変わらないよね。

 - NIGOさんのクリエイティビティについてはどう感じていますか?

Bose - 結局ね、安心して任せておけば大丈夫、みたいな。間接的スタイリングだよね。NIGOが作っているものを着ていれば、自分にとっていつもちょうどいいっていう。NIGOとかヒロシくんとかみんなそうだけど、横で見てると、本当に自分でものすごく手を動かしてる。細かく色がこう、とか。NIGOが靴の配色を決めるところを見てたけど、こだわり方がもう意地というか、ちょっと異常だなっていうレベルで。Tシャツもシーズン毎に丈を2mmいじる、みたいな。今もNIGOのブランドの展示会に行くと「これ、なかなか加工がうまくいかなくて2年経っちゃった」みたいなことを言ってたりするからね。「え、まだ言ってる!」っていう(笑)。そういうところ、NIGOの服をずっと好きな人にはなんとなく伝わってると思うんだけど、本人は自分であんまりそういうこと言わないし、うまいこと解説できてる人ってあんまりいないんじゃないかな。「ネタがこれで」みたいな大きな話じゃなくて、細かいことを異様なまでのこだわりを持ってやってて、それが今も続いてるっていうのは、やっぱすごいなって思いますね。

Info

インタビューにも登場しているFUTURA LABORATORIES × NIGOLDのMA-1などをはじめ、CO:LABS限定のスペシャルコラボアイテムを抽選でプレゼント。詳細は下記から。

https://colabs.jp/Articles/Design/futura-nigold-conversion

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