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Audiの自動運転車の新CMがとてもユニーク。主役は現代に生きるティラノサウルス。
自動運転車に取り組んでいるAudiが、ちょっとキュートでどこか哀愁あるティラノサウルス(T-Rex)が登場するユニークなコマーシャルを公開した。
まずは、その動画をご覧いただきたい。
現代に生きるティラノサウルスは、その小さすぎる手のせいで社会で何をやるにも上手くいかないと嘆いている。自分は笑い者だし、家で引きこもっているのが一番だと。そんなとき、彼はAudiの自動運転車に偶然出会う。手が短くハンドルを握ることができないティラノサウルスでも運転することのできるこの車を「まるで魔法だ」と彼が嬉しそうに語る姿はとても微笑ましい。
しかしながら、ここで登場するティラノサウルスはどこか不自然だというツッコミも上がっている。
それは、「このティラノサウルスは本物に比べて小さすぎる」ということだ。
まず、大人のティラノサウルスは全長が6~12mほどで、CMのティラノサウルスよりずっと大きい。モンタナ大学古生物学センターのGeorge D. Stanley教授によると、子供のティラノサウルスの頭部は体に比べてずっと大きく、このCMに登場するT-Rexのプロポーションは大人のそれであるというのだ。つまり、この哀愁漂うティラノサウルスは大人T-Rexのミニチュア版のようなもので、生物学的に不自然であるのだそう。
しかしStanley教授は同時にこのようなことも話している。
「このコマーシャルのT-Rexの描写で、一番良かったのはこの哀愁漂う恐竜の歩く速さだね。ティラノサウルスは実際はそんなに早く動けなかったんだ。このコマーシャルはこの点ですごく良いね。映画『ジュラシックパーク』でT-Rexがジープを追いかけるシーンがあるけど、あれは間違いだよ。彼がこのAudiの車にすごく嬉しそう乗ってるのは、普段あんなに早く動けないからっていうのもあると思うね。あと、このコマーシャルにはもう一個重大な間違いがあるよ。実はT-Rexはたとえあのミニチュアサイズだったとしても多分2トンはあるんだ。だから車はペチャンコだろうね…。」
うーん、なるほど納得(?)というところだろうか。
しかしこれらを置いておいても、この哀愁漂うティラノサウルスに魅せられた人は多いはずである。海外のCMらしいユニークな映像である。
(辻本秀太郎)