中津川吾郎(MIN-NANO/TOXGO)インタビュー - ここにしかないお店が出来るまで - Pt.4
Pt.3から続く
- そういう海外のブランドってなかなかショップとかには並ばないですよね。
ゴロー - 想像以上にそれぞれのブランドの規模は小さいですよね。あと海外のブランドの子達が日本に対して幻想を抱いてるっていうのもあると思います、ステータスみたいな。僕が外国のブランドに結構言うことなんですけど、まず自分らの基盤もしっかりしてないのに日本で店を持ちたいとかディストリビューションしてくれとかはふざけんなと。まず自分たちが本国である程度の基盤を築けば、それは必然的に日本に流れてくるもんなんだから、日本だけでなんとかしようとするのはやめたほうがいいよって話はすごくします。The Good Companyの子たちはそこを話して、「そうだよね、お互い頑張ろう」って感じになったので今も続けられるって感じですね。今はTOXGOって原宿のお店もあるので、うまく分けてやるようにはしています。
- TOXGOを出店した経緯とMIN-NANOとの違いについても教えてもらっていいですか?
ゴロー - 2014年にThe Good Companyのポップアップショップを原宿でやりまして、僕もこういう池ノ上って場所でやっているので原宿に対しては結構アンチというか別に欲しきゃこっちに来いよってスタンスだったんですけど、いざ外国の子を呼ぶのにあたって池ノ上でやるっていうのも。まあ彼らは以前に1回来てましたけど、さすがにちょっとかわいそうだなというか、そこは入り口オープンにすべきと思ったんで原宿でやったんですよ。そしたら自分も原宿とかでそういうことをしたことがなかったので、やっぱ原宿でやる良さ、不特定多数の人を巻き込める感じっていうのはエリアのパワーが強いんだなってのに気づいてそこから自分の考え方が変わりました。
ゴロー - MIN-NANOを原宿に移すつもりは全くなかったんですがMIN-NANOも5年経ってちょっと落ち着いてきて、自分のなかでも新しい動きがほしいなってことで物件を探し始めて、そしたら縁があってTOXGOをオープンすることになったっていう。違いとしてはオーナーがもう1人いて、店を任せるスタッフもいる。それが1番の大きな違いですね。チームプレイって感じです。TOXGOのほうはいわゆる洋服屋さんなので、その意識でブランドをセレクトしていてます。ただ原宿エリアならではのパワーというか未知のエネルギーをすごく感じるのでThe Good Companyは敢えてTOXGOだけでやってます。よくお客さんが勘違いするんでこれは声を大にして言っておきたいんですけど、MIN-NANOに置いてないから僕がもうそのブランドを興味がないって思う人が多いんですよね。MIN-NANOに置いてあるものイコール僕のモードなんだってなって、例えば「ゴローさんはもうThe Good Comapany興味ないんですか?」って聞いてくる人いるんですけど、そうではないと。TOXGOの方は自分もメインでは店に立ってない分コントロールしきれない部分があるので、比較的にキャッチーなわかりやすいブランドを中心に置いてますけど、そばも好きならうどんも好きでしょって感じで、多様性ってことでどっちも好きですと。
- コラボ商品も多いですよね、しかもPorterやDIGAWELといった少し距離が遠いところとが多いですが、それはなぜですか?
ゴロー - 自分の中ではサプライズというか、そのレンジ感とかギャップっていうのをすごく大事にしています。想像がつくようなコラボってあんまり面白くないと思うんです。たまたま僕はラッキーなんですけど、いろんなブランドから声をかけていただいて、みなさんと仕事させてもらっています。本当に昔憧れていたような凄いところと一緒に仕事させてもらってるので、逆に自分が勉強させてもらってるって感じもあります。あとはやっぱり自分が思うそのジャンルのトップの方々とコラボレーションをやっているつもりなので、池ノ上でよくわかんない店ですけど、レンジ的にはそのくらいですってアピールしてるつもりでもあります。カバンはPorterのクオリティーで他はよくわからないものを売ってますよっていう、お店の位置付けって言ったらあれですけど、他のお店へのアピールでもありますし。
自分としては趣味でやってるよくわからないお店ではなく、その分野のトップの人たち一緒に物を作ることができるお店だって、プライドでやってるので。活字にするとすげー偉そうなことを言ってるような気もしますが(笑)
でもみなさんほんとにお店に来て頂いた方達だったんです。実際に来ていただいて面白そうだからってコラボレーションの話を頂けるってことなんで、そんな光栄なことはないですよね。自分としてはそういう方たちが来て面白いと思ってもらえるお店であるべきだと思ってるので、特にMIN-NANOはそういう核となる感じでやってかないといけないんだなって思いますね。そして自分が常に店に立っていなければいけないって思ってます。
- 今注目しているブランドはどこになりますか?
ゴロー - そうですね結局着てるブランドばっかりになっちゃうんですけど、よく着ているブランドだったら今ならUNUSEDとかも好きですし、Supremeは自分の中のベーシックで、海外のブランドだと個人的にはSuper Radicalっていうところがちょっと気になってますね。取り扱いたいって言ったんですけど、シカトされました(笑)あとNobodiesっていうLAのブランドも気になってますね、お店でやるかはわからないですけど海外の新しいブランドも気になるやつはチェックしたり、プライベートで買ったりしてます。書いたらどっかの店がやるかもしれないですね、ははは(笑)。よっしゃ、ネタ頂きみたいな(笑)。まあ先に言っておけばね、お前パクりじゃねえかって。ここは高度な情報戦で、ワザとダサめなブランドを言っておくとかね、今なら◯◯◯ですかねえとか(笑)
ゴロー - でもこの2つのブランドは中々できないと思います。Super RadicalはA$AP YamsのアシスタントをしていたっていうTyler Grossoって男の子がいるんですよ。A$AP Mobって本人は言ってますけど白人のイケメンなOdd FutureのLucasみたいな男の子で、その子がやってるブランドですね。HYPEBEASTに1回インタビューが載ったくらいで、Gucci ManeとかのネタのTシャツを出してるんですけど僕はすごい好きで。NobodiesはSadeのブートのTシャツを昔作っててA$AP Rockyがライブで着てたりしてて、今もN.E.R.Dの最初のロゴとかのパロディーのTシャツとか作ってて結構ネタが新しいんですけど、逆にスピード感的に今面白いなと思ってて。そのブランドとはいま話はしてますね。
- ラップスターの影響力っていうのはやっぱりすごいですよね。
ゴロー - でかいと思います、やっぱり。でも日本も一緒ですよね、EXILEの方が着ればやっぱりすごいじゃないですか。向こうだったらそれがJustin Bieberだったり、Kanyeさんだったりとかするでしょうけど。日本でそういうラップの影響力ある人は誰なのかはよくわかんないですけど。しかしアメリカはラップミュージックがどれだけ一般層に浸透してるんだっていうね。みんなDipset好きですしね、日本人でいうDipsetって誰なんでしょうね?
- コブクロじゃないですか?
ゴロー - 背が高いですもんね(笑)
- もしこういうお店を若い子に持ちたいって相談されたら何て言いますか?
ゴロー - 絶対やった方がいいと思います。やりたいと思った時にやるのが1番だし、いつ何が起こるかわかんないじゃないですか。僕もやっぱりお店を始めてこの年でやってよかったなって部分もありますけどでもやっぱり若いうちにやるにこしたことはないと思うから、明日にでもやってみたらって言いますね。ただウチの商品構成はパクんないで欲しいですが(笑)
だからそういう風に言ってくれる子たちは、僕の考え方とかを好きで言ってくれてるなら嬉しいですけどね。それがなんか同じような商品を置きたいだけとか、ウチもあのブランド扱いたいとか。知るかって感じですけど。
ゴロー - 実際そういう地方のお店や大手のお店の方多いんです。「めっちゃ影響受けてます」って来て何かと思ったら置いている商品なんですよね。それはそれでありがたいのですが全然伝わってないですよね。何か売れてそうだから自分の所でもやりたいみたいな。アティテュードが一緒で逆に日本のブランドだけでそういうコンセプトでやるとか、お互い別々の手法でやるからいいことであって。実際地方の友達のお店でそういうやり方でやってるところもありますけど、ほんと数えるくらいしかないですね。でもそういう考えでやるなら、どんどん増えた方がいいと思うし、いろんなお店を周る楽しさも絶対あるから。やっぱりこういう場所でやるイコール家賃が安いからできるっていうのもあるんですよね。だから若い子がお店をやってみようってなったときに1000万用意するんじゃなくて、6~70万とかバイトで頑張ってスタートできたら夢があるというか、だからどんどんやった方がいいと思います。
- ゴローさんの中でいいスタンスでやっているお店といえばどこですか?
ゴロー - 福岡のApple Butter Storeってお店は仲良くしてますけど、大手でやってるブランドは基本的にやらないってスタンスで独自にNYやLAから集めてきてって感じで、あと沖縄のChocolate Jesusとか、そうしたお店はすごくシンパシーを感じますね。逆にいえば何も言わずにパクってる店もあるんで、もちろん東京で流行ってるカルチャーを地元の人に伝えたいっていう気持ちはすごくわかりますけどそれって長続きしないですし。独自にセレクトした商品が良ければ東京からガンガン通販くるでいいじゃないですか。僕も東京ですけどいわば外れなんで気持ちは地方のつもりでやってるというか場所は関係ないと思ってるんで。単純にそういうお店が増えた方が楽しいと思うんですけどね。例えば地方から遊びに来て、have a good time行った流れでSUNDAYS BEST行ってとか全然原宿じゃないところを回ってる人もいるんですよね、Backdoor行って最後トラスムンド行こうみたいな。なんかそういうのってすごくいいなあって。もちろんめっちゃ不便ですけど目的があって行って「本当にあった」とか「ずっと来たかったんです、この店」って言ってもらえると、すごい嬉しいですもんねやっぱり。
- 多様性があったほうがいいですもんね。
ゴロー - ここで原宿と同じことをやってても何の意味もないというか、売り切れるのが遅いとかそれくらいですよね、このTシャツまだあったんだとか(笑)そういうのよりはやっぱり、ここにしかないものってスタンスでやってますね。
(お客さんが来店しDIGAWELとのコラボシャツを2枚購入していく)
ゴロー - やっぱりお客さんに支えられているので、商品でお返しをしたいと思っています。売れるからといってあからさまにぼったくった値段とかは絶対設定しないし。結構Porterのバッグとかも値段は戦っていて、Porterの方からはもうちょっと値段高くしないと後々きつくなるよとか言われるんですけど、でも自分がバッグとして払える金額はここだから、別に損してなきゃいいんじゃないかっていう考えですね。甘いっちゃ甘いんですけど、卸しはしないし利幅500円でも楽しければいいじゃんみたいな。そこは1人でやってるからできることですよね。他の人がいたら「ダメダメ、そんなの」とかなって、「そっかー」って自分もテンション上がんないし。洋服屋さんで働いてなかったので、洋服屋さんのルールの原価何割とか、そういうのは一切無視してやってるんで逆に固定観念がない分よかったなと思ってます。
- 今後どういう感じで続けていきたいですか?
ゴロー - もう1つお店を持てたっていうのが自分にとってはすごく大きいです。それまではMIN-NANOをどんどんでかくしなきゃいけないかなってそんな変な使命感もあったんですけど、ここはもうずっとここで今のような感じでニッチで僕が好きなものしか置いてないお店としてずっとコアな感じで続けていきたいなって思ってますね。個人的には江東区あたりに美術館や倉庫みたいなすごい広いところでお店をやってみたいっていう夢がありますけどね、それはいつかできたらいいなと思ってます。できる限りの知識を結集したスカしたお店をやりたいのでスポンサーを募集してます。
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