【インタビュー】Serpentwithfeet 『soil』 | クィアとは勇敢で大胆であること

今日、待望のデビューアルバム『soil』をリリースしたSerpentwithfeet(サーペントウィズフィート)。幼い頃から地元の聖歌隊に所属していた彼の音楽はクラシックやゴスペルの影響を強く受けており、荘厳でありながら哀愁漂う雰囲気を醸し出す。そんな彼はクィアアーティストとしても注目を浴びており、昨年のBjörkとのコラボも記憶に新しい。今回FNMNLでは、今年のフジロックへの出演も決まっている彼にインタビューを敢行し、自身の生い立ちや影響を受けたアーティスト、そして“クィア”であることについて語ってもらった。

質問・構成 : Hironori Hayasaka

- こんにちは。今日は宜しくお願いします。今いるのはニューヨークですか?

Serpentwithfeet - こちらこそ。そうだよ。今7:30pm。

- NYにはどれくらい住んでるんですか?

Serpentwithfeet - もう6年!実は、そろそろいいかな~と思ってるところでさ(笑)7月にLAに引っ越すんだ。6年は結構長いからね。ロサンゼルスに住む準備は万端。

- ではインタビューを始めさせて下さい。まずSerpentwithfeetというアーティスト名は『足のついたヘビ』という意味ですが、どういう意味がこめられていますか?

Serpentwithfeet - 僕はキングコブラが大、大、大好きで、素晴らしい動物だと思っているんだ。そして、キングコブラってすごくスウィートだと思うんだよね(笑)普通のでっかい蛇って、人間を食べようとしたり凶暴だったりするよね?でも、キングコブラは他の蛇を食べるんだ(笑)人間よりも蛇を食べたがる(笑)なんか、キングコブラの全てが魅力的に感じるんだよ。だから、自分のアーティスト名として使いたかったんだ。

serpentwithfeet_02 - Photo by Ash Kingston.jpg

- ”with feet”をつけた理由は?

Serpentwithfeet - 蛇のあの捉えにくい動きを考えていたんだ。さりげなくクネクネしているけど、地面とはくっついている。それを表現したくて。

- 幼い頃から聖歌隊に所属していたということなんですが、その頃から歌うのが好きだった?

Serpentwithfeet - 物心ついた時から歌っていたから、いつから歌い始めたかは覚えていないけど、歌うのは子供の頃からずっと好きだった。大好きだったね。

- シンガーになりたいと思い始めたのは?

Serpentwithfeet - 真剣に考え始めたのは、中学に入ってから。ボルチモアの中学で男子聖歌隊に入って、その聖歌隊には2年いた。で、高校に入ってからもっとしっかりと音楽を学ぶようになったんだ。15歳の時はクラシック音楽のプライベートレッスンを受けていたし、聖歌隊の大会にも出るようになった。週末はいつもリハーサルで忙しかったし、ショーもやっていたから、ツアーでも忙しかったんだ。だから、移動の車の中で過ごした時間も多かったね。で、大学ではそれがもっと本格的になった。大会の数も増えたし規模も大きくなって、活動が本格化していった。12歳~14歳くらいから歌に費やす時間が増えていくにつれ、シンガーになるという意識が高まっていったんだ。

- そして芸術大学に進学したそうですが、具体的にどのようなことを学んだか?

Serpentwithfeet - 芸術大学での専攻はヴォーカル・パフォーマンス。声の使い方。で、第二専攻では演劇を学んでいた。講師も素晴らしい先生たちばかりで、良き友達にも出会えたし、本当に良い経験だったね。

- あなたの楽曲の特徴としては、R&Bにクラシックやゴスペルの要素が入っていることがあげられますが、やはりキリスト教の影響が大きい?

Serpentwithfeet - 教会に通いながら育ったから、もちろん影響は大きいよ。 言葉で説明するのは難しいけど…教会は、いつも自分の人生について考えさせてくれる。そこからも影響を受けていると思うし、ゴスペル音楽が持つ引力にも影響されていると思うね。ゴスペル・ミュージックが持つ、激しさ、叙情主義、そして敬けんさもそう。儚さやオープンマインドもそうだし、たまに理解に苦しむ人と人の関係を自由にトークできる部分もそう。何かを愛するというのは、おそらく自分があまり理解していないことかもしれない。でも、多くのクリスチャン・ミュージックがそれをテーマにしているし、コンセプトとしてそれを自分でも探索していくのがすごくエキサイティングだと思うんだ。

serpentwithfeet_04 - Photo by Ash Kingston.jpg

- 楽曲制作において、影響を受けたアーティストは?

Serpentwithfeet - もちろん。Stevie Wonderは大好きだし、Frank OceanやSZAも好き。あと、Gwendolyn Brooksっていう素晴らしい詩人からも影響を受けているよ。もっと沢山いるけど、今思いつくのは彼ら。

- 彼らの魅力とは?どう影響されていると思いますか?

Serpentwithfeet - Stevieに関していえば、曲にすごく美しいイメージが備わっていると思う。彼の音楽からは、触知的なものを感じるんだ。あと彼は、愛、そして愛の欠如をはっきりと表現することができる。そこが素晴らしいと思うね。

- あなたはBjorkのリミックスに参加して話題になりましたが、どうやってこのコラボは実現したのですか?

Serpentwithfeet - 彼女とは2015年くらいに会って話し始めてからずっと友人なんだけど、『Bllising Me』がリリースされる前に聴かせてもらって、それを僕がすごく気に入ったんだ。そしたら、彼女の方からリミックスをやってみないかと言ってきてくれて。本当に嬉しくて、もちろんすぐにオーケーしたよ。チャレンジングでもあったけど、すごく楽しかったんだ。自分に挑戦したかったし、彼女も僕に楽しんで欲しかったから、それが実現できて本当によかった。

- リミックスに限らず、これからコラボしたいアーティストはいますか?

Serpentwithfeet - 沢山いるよ。SZA、No Name、Tiffany Goucheなんかとコラボできたら嬉しいな。

- 最近、ShamirやLe1fなど非白人のクィアミュージシャンの活躍が目立ちますが、あなたにとって“クィア”という言葉はどういう意味を持つ?このシーンの盛り上がりについてはどう思う?

Serpentwithfeet - 自分にとっては、高価、新たな認識、現在と未来、限界を超えること、そして勇敢で大胆であるという意味。自分の人生の中心に立って、大胆に、ラウドに生きることだね。盛り上がりに関しては、クィア・ミュージシャンは、今に限らず常にいると思うんだ。彼らは常に自信を持っていて、オープンだと思う。クィアというのは、ゲイということではないんだよ。Princeだってクィアだったし、Michael Jacksonだってクィアだった(笑)David Bowieもね。彼らのセクシュアリティがどうだったかは知らないけど、それは関係ない。彼らはビッグだったし、僕自身が好きだったアーティストは、彼らの衣装も含め皆がクィアだったし、それが人々を驚かせ、魅了してきた。だから、僕にとっては今盛り上がっているという感覚はあまりないかな。

serpentwithfeet_03 - Photo by Ash Kingston.jpg

- 今ニューヨークを拠点として活動しているわけですが、ニューヨークという都市はLGBTQと切っても切り離せない場所で、毎年パレードが行われている。このような街の風潮についてはどう思う?

Serpentwithfeet - 良いことだと思うよ。強いコミュニティがあるし、サポートもある。僕にとってはすごく良い環境だね。

- これから引っ越すLAはどうなのでしょうか?

Serpentwithfeet - あまり知らないけど、LAにクィア・アーティストが沢山いることは知っているよ。あと、大きなブラック・クィア・コミュニティがあるもの知ってる。

- あなたのファッションはとてもゴージャスでフェミニンですが、あなたにとってファッションとは?好きなブランドはありますか?

Serpentwithfeet - ファッションは、自分の延長線。あと、前はきっちりした服を着たりしていたけど、僕は自由に動きたいから、最近はその動きを邪魔しない服を着てる(笑)脱ぎ着が大変な服も好きじゃないし、ファッションに関して一番意識しているのは、自分を自由にさせてくれるかだね。好きなブランドは、ナイジェリアのオレンジ・カルチャーっていうブランド。あのブランドの服は大好き。オンラインで見つけたんだ。

- そして、あなたはぬいぐるみが大好きだそうですが、何体くらいもっているんですか?

Serpentwithfeet - そう。大好きすぎるんだよ(笑)なんか好き(笑)でも、今はあまり持ってない。いくつか人にあげたんだ。今はまた新しいぬいぐるみを迎え入れようとしているところ。変化は必要だからね(笑)

- フジロックで初来日だと思うが、日本でしたいことはありますか?

Serpentwithfeet - 初めて行くから、アメリカで食べる日本食とは違う本格的な日本料理が食べたい。あとは、新しい場所に行くときはいつもそうなんだけど、歩き回りたい。何も決めずに、ただ歩き回って色々発見するのが好きなんだ。日本に行くのが本当に楽しみ!またね。

Info

a3702743229_10

 

soil
by Serpentwithfeet
サーペントウィズフィート「ソイル」
レーベル:Tri Angle Records / Secretly Canadian / Hostess
国内盤発売日:2018年6月8日(金)

<トラックリスト>
01. whisper
02. messy
03. wrong tree
04. fragrant
05. mourning song
06. cherubim
07. seedless
08. invoice
09. waft
10. slow syrup
11. bless ur heart

http://hostess.co.jp/releases/2018/06/HSE-6794.html

RELATED

【メールインタビュー】CYK | 若きハウス・コレクティヴが作り出す新しいグルーヴ

活動から2年弱、今旬なアーティストを招聘し続けているハウス・コレクティブ CYK。若手ながらもruralやソウルのローカルラジオ Seoul Community Radioに出演したりと精力的に活動し、常に成長し続ける彼らのパーティーは、世代関係なく東京の新しいダンスミュージックコミュニティーを作り上げている。そして次に彼らがしかけるパーティーは、Baba Stiltz、C'est Quiを迎えた、東京・大阪・韓国のアジアツアーである。

【特集 Red Bull Music Festival Tokyo】ShintaroとMarzyが共謀するオンラインパーティ『PLUG (24 HOURS)』

世界的ターンテーブリストのDJ Shintaro、そしてストリートを賑わせるDJのMarzyは、実はプライベート含めて親密な仲。意外な組み合わせの彼らが中心となった、24時間ブッ続けのパーティが10/6(土)昼12時からRed Bull Music Studios Tokyoで配信されることになった。

【インタビュー】Cornelius 『Ripple Waves』 | 自分の中で常に新しいものを

Corneliusが9月19日にニューアルバム『Ripple Waves』をリリースする。この作品は前作『Mellow Waves』からカットされた7インチシングルのB面曲をはじめ、さまざまな再生媒体で発表された楽曲たちをコンパイルしたもの。今回はこの作品の話題を中心に、彼が現在の音楽シーンをどのように捉えているのか質問してみた。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。