【インタビュー】Gaz & Tzusing | 熱を帯びる上海クラブミュージックシーンの現在
中国・上海のユース・サブカルチャーはいま、熱を帯びて揺れている。政府によるインターネットの閲覧制限をすり抜けて世界に触れる感動は、彼らのクリエイティビティーを喚起するのだ。そうしたローカルなユースにとっても、先鋭的な音楽シーン全体の中においても、昨今発熱点として求心力を増しているのが上海地区にあるオルタナティブなクラブ、ALLだろう。
GazことHowellとGary Wangがオーナーを務め、NYのレーベルL.I.E.S.からのリリースで注目を集めるTzusingがプロモーターとして前身であるThe Shelter時代から携わるこのクラブは、ブッキング・ラインナップを見るだけでもその先鋭さに驚かされる。
昨年6月のオープン以来、Arca以降のエレクトロニック・ミュージックを更新する新鋭のYves TumorやChino Amobi、Elysia Cramptonなどがプレイする一方で、先駆者のKode9やM.E.S.H.なども出演。世界的に見ても注目度の高いアクトが名を連ねる。またその前身The ShelterにもMoritz Von Ozwald、Mumdance、L.I.E.S.の系譜に連なるBeau Wanzerなどのアーティストが招聘されていた。ALLとはいかなる場所なのか?
今回はオーナーであるGaz (Howell) とプロモーターとしても携わってきたTzusingにメール・インタビューを実施。The Shelterから現在に至るまでの道のりをたどることで、上海におけるオルタナティブなクラブ・シーンの生成とユース・サブカルチャーの現在が見えてきた。
取材・構成:稲田真央子
写真:Tzusing / 海法進平
そもそも中国におけるクラブ・カルチャーはどのようなものなのか。インターネットの閲覧は政府に制限され、表現活動も内容によっては禁止されているなど、情報にアクセスすること・公に何かを表現することに関して以前よりは緩和されている部分があれども、現在も政府はとてもナイーブである。そんな中国でナイト・クラブといわれる場所が増え始めたのは1990年代。しかし、その大半はスノッブな客に向けたもので、カルチュラルな水脈の源泉となるような場所ではないという。
Gaz - 中国のいわゆる「クラブ」は本当にほとんどそうだね。ギラギラしてライトやミラー、スクリーンが大量にある。そういうシーンと僕が経営してるALLのような、オルタナティブなクラブ・シーンは完全に別物。というより何もかもが真逆と言っても過言じゃない。両者がクロスオーバーするようなことは全くないね。でも、今の上海にはいろんな種類のクラブがあるんだよ。VIP向けのスノッブなところや、荘厳な雰囲気のバーとかね。それはシーンとしてとても健全だと感じるよ。
2012年に公開されたResident Advisorのレポートには、中国におけるクラブ・カルチャーのローカル化における困難が克明に記されている。イギリスやアメリカにおけるような社会的な場所としてのクラブ・カルチャーの移植を目指すも、出資者・客のほとんどが海外からの一時的な渡航者であり、ローカルなクラウドは不在、またイベントのプロモーションもメーリング・リストに頼るしかなく、情報が行き渡らないという状況だったのである。
Gaz - 僕がこっちにきたばかりの頃の上海ではオルタナティブなクラブ・シーンは本当に小さかった。数人のプロモーターと音楽好きがいたけど、 それは“シーン”になるような規模のものじゃなかったね。僕は元々イギリスのリバプールに住んでいて、そこでもよくクラブに通っていたから、最初はその状態を見て大きな落差を感じたよ。
Tzusing - ALLの前身であるThe Shelterというクラブや、同じくオルタナティブな系譜のクラブとして有名なDadaが出来た10年ほど前は、両方とも海外から一次的に上海に来ているような人たちの遊び場として機能していたね。中国人で当時そういう場所に来ていたのはよっぽどの音楽好きかプロデューサーだったからいわゆるクラブ・キッズみたいな子たちは全くいなかった。
当時ローカルな人々がクラブに足を運んでいなかったのには、クラビングが中国人のライフスタイルとかけ離れていたからという理由があった。
Tzusing - これまでは中国人ユースのナイト・ライフといったら、カラオケに行くとか、バーやレストラン、友達の家でお酒を飲むっていうのがお決まりだったんだよ。クラビングと言われるような習慣(クラブに行ってチルしたり、友達と喋ったり踊ったり一晩中お酒を飲む)というのはライフ・スタイルとして随分新しい。中国にはそもそもそういう風にゆったりお酒を楽しむっていう習慣がなくてね、もっとあっけらかんとしてピッチが早い。
しかし、2018年現在ALLのフロアで踊る客の8割は中国人のクラブキッズである。また上記したようにブッキングのラインナップも先鋭的なアーティストが並ぶ。
中国国内にとどまらず国際的にもプレゼンスを高めているALLは、どのような経緯で今日のようなシーンを牽引する存在になったのか?
Gaz - 知ってくれている人も多いけど、ALLの前身はThe Shelterというクラブだった。そして、The ShelterはBlue Iceというクラブを母体にして作られたんだよ。2005年、僕がまだ上海で学生だった頃、Blue Iceでいくつかイベントをやったんだけど、それがすごく好評だったんだよね。ライブ・ペインティングやワークショップを組み合わせた今でいう単発のミニ・フェスのようなものだった。そのあと1年間大学を卒業するためにイギリスに帰ったんだけど、卒業後にまた上海に戻って来たらBlue Iceの経営は随分傾いてた。オーナーは僕ともう1人のプロモーターであるGary Wangのことを覚えていて、僕らにBlue Iceを引き継いで経営してくれないかっていう話をくれたんだ。
こうして経営を任されることになったGazとGary Wangは、かねてから感じていたオルタナティブな音楽シーンの必要性を重視し、経営路線を一変させる。
Gaz - Blue Iceの経営者は音楽に関する知識をそんなに持っていない人たちだったんだけど、何かこれまでと違うことをやってみたい、でもどうすればいいかわからないという状況に陥っていた。最終的には外国人の学生がたむろする安いクラブ・バーのような感じになっていたね。引き継いだ当時、僕らは上海の街にオルタナティブな音楽のための場が本当に必要だって痛感してた。それまで僕らが得たクラブ・エクスペリエンスをよりミックスしたような場所にしたくて、本当に一つだけコンセプトを掲げたよ。それは、ただ音楽を楽しむための箱であるということ。華美な雰囲気は一切ない、ただ音楽と良いサウンドシステムとアルコールがある。思い描いたのはそういう箱だった。
そうして2007年GazとGary Wangが引き継いだBlue Ice改め、The Shelterはオープン。地元のマスメディアをはじめとしたローカルな人々のサポートによって、彼らが目指すオルタナティブの路線を維持しながらの経営が徐々に可能になっていったという。そして、このThe Shelterで1番最初にレジデンシーDJになったのが、NYのL.I.E.S.をはじめとしたレーベルから作品をリリースし、今や世界的に活躍する中国人DJ/プロデューサーであるTzusingだった。
Tzusing - 僕が上海で1番最初にやったイベントはDadaというクラブで、ストックホルム・シンドロームと題したものだった。2011年の末かな。その翌年にThe Shelterで1番最初のレジデンシーDJになったんだ。以前RAのインタビューでも答えたけど、The Shelterで初めてプレイした時、政治的な内容のラップをしたらフロアから客がいなくなってしまってね(笑)。でもそれを見て評価してくれたのがGazだった。それをきっかけにThe Shelterでの1番最初のプロモーターっていう、当時の僕にとっては本当に大きな仕事を任せてくれて、それは今でもとても誇らしいことだと思ってるよ。
東洋的なエキゾチシズムが漂う端正な音楽作品でプロデューサーとしてよく知られ、世界各国でDJとして活躍するTzusingだが、彼はプロモーターという観点からもクラウドとどういうフロアを築くかについて長年真剣に思いを巡らせてきた。
Tzusing - 僕のイベントに来る人たちには、ただテクノとハウスのスムースなセットを楽しむんじゃなく、音楽的な衝撃を受けてほしいと思ってた。だから幅広い音楽をプレイするようなDJたちをブッキングするよう心がけたし、差別化のためにレコードを使ってほしいと頼んだりもした。The Shelterでイベントを任せてもらえるようになってからは、以前一緒に来日もしたBeau Wanzerや、コンピレーションを一緒に出したSamo DJ、僕をL.I.E.S.の主宰Ron Morrelliに紹介してくれたAn-iなんかを招いたよ。Subcultureというイベントタイトルだった。日本のプロモーターであるVetaと組んでPowellともコラボレートしたよ。
志を同じくしたオーナー、ブッキングスタッフともに試行錯誤を重ねていく中で、2015〜2016年頃からThe Shelterにはローカルなクラブキッズが増え始める。2016年末に営業許可が更新できなかったという理由でThe Shelterは閉店し、2017年の6月からALLとして新たなクラブをオープンさせたが、2018年現在、DJやパトロン、プロモーターといった経営に関わるスタッフのほとんどは中国人である。
この2年間で状況は劇的に変化し、確実にひとつのシーンが形作られつつあることは明らかだろう。ローカルな人々がクラブで遊ぶようになった要因として大きいのが、やはりインターネットの普及だという。
Gaz - インターネットの浸透で、特に若い世代のライフ・スタイルは確実に変わったよ。これはThe Shelter時代に客層が変化した大きな要因だと思う。YouTubeやSoundcloudといった世界的な音楽プラットフォームを活用することが可能になったよね。それだけに限らずうちのクラブに来る子たちは情報量が多くてアクセス制限されていないロシアのSNSを使って音楽を探したりもしてる。ここ数年で手を伸ばしさえすれば、誰でも新しいカルチャーに出会えるという環境が当たり前になってきたんだよ。こういうカルチャーへの関心の高まりが、人々のライフ・スタイルそのものを変えていったんじゃないかな。
とはいえ、インターネット自体は中国でも1990年代から存在していた。浸透率が上がったのはインターネットそのものではなく、政府からの検閲をくぐり抜けるソフトであるVPNだという。VPNとはVirtual Private Networkの略称。ネット情報を暗号化するため、インターネットにアクセスしても政府の規制や検閲から逃れることができる。また、イベントのプロモーション方法にも変化が生じ、2012年当時のメーリング・リストに頼るしかなかったという状況も一変した。
Gaz - 今メインであり唯一と言えるプロモーション媒体はSNSだね。WechatとInstagram。Wechatが主流で、これは本当に多機能なんだよ。Whatsapp、Twitter、Facebook、Instagramを全部ミックスしたような仕様で、フリー・ダウンロード。クラブのエントランス・フィーとドリンク代もWechat経由で払うし、DJとスタッフへのギャラの支払いもWechat上で行える。
ライフ・スタイルそのものを変貌させるほどの衝撃度を持って情報は伝播し、またより新しい何かを追い求めようとする人々の感受性はかつてないほどみずみずしい。そうして世界各国のカルチャーに触れながら、いま中国人ユースたちは独自の文化実践への熱で揺れている。
Gaz - 特に若い世代の間では世界中のカルチャーを吸収したいという熱量が本当に高まってきてると感じるよ。一応中国の音楽シーンもポップとアンダーグラウンドは明確に分かれているけど、ともかくなんでも吸収したいという意欲が最優先されるから、リスナーが音楽に向かう姿勢は本当に柔軟だね。今彼らにとって最も重要なのは音楽のジャンルやコンテクストじゃない。本当に"バイブス"なんだよ。シンプルにその音楽、イベントが最高かどうか。だからALLでイベントをやるときも特定のジャンルにフォーカスしたりすることは少ないかな。そしてこうした新しいものを求める姿勢は、同時に自分たちのカルチャーを作りたいという創作欲のようなものの生成にも直結してるように僕は感じるね。これまでは気持ちがあっても、方法論がわからないという状況だった。でも今は違う。インターネットにアクセスして情報を手に入れられるし、人と出会うこともできる。実際何かを作り出したいと考える人のクリエイティビティーをサポートするための素地が出来上がったと思うよ。
あらゆるジャンルや時代、国が交錯するように鳴る音楽と、その瞬間に編まれていくスリリングさを共有するクラウドたち。まさに今のALLは当初GazとGary Wangが思い描いたたったひとつのコンセプトに沿った場所となっているのではないだろうか。インターネットが浸透して社会の諸側面に変化をもたらす時代の潮流の只中において、プロモーターやアーティストたちの理念と新世代が独自のカルチャーを希求する熱が呼応しあい、The Shelter〜ALLを起点とした先鋭的なアンダーグラウンド・ミュージックの上海シーンは立ち現れていったのである。そして、その最前線に立つGazやTzusingはこれまでの有力なメディアに導かれるような音楽聴取の方法に疑問符を投げかけ、独自のネットワークを形成する必要性を検討している。
Gaz - 僕はクラブを経営する傍らで、5年以上前にSVBKVLTというレーベルを始めたんだよ。中国やその周辺の国から面白いエレクトロミュージックをやってるプロデューサーをピックアップして、彼らの活動をサポートしたり、プッシュしたりしたいと思ってね。Prettybwoyという日本のアーティストの作品もリリースしているよ。
Tzusing - 僕はアジア人自身がもっとアジア圏のDJやプロデューサーを認知してもいいと考えてる。これまで僕らが新しい音楽に出会うのは西欧圏のメディアを介してだったから、必然的にそこで取り上げられるヨーロッパやアメリカの中のシーンしか知ることができなかったよね。今はもう少し分権化してるように感じるけどね。
Tzusingは、マレーシア生まれだが国籍的には中国人。その後シンガポールや台湾、中国、アメリカという様々な国で過ごし、そうした自身のバックグラウンドと向き合ううちに芽生えた気持ちがあるという。
Tzusing - グローバル化がもっと進めば国境・人種といった人間をカテゴライズするような括りは消えてなくなるかもしれない。でも、僕らはまだそういうポスト・レイシャルな世界には生きてないよね。だからこそ、アンダーグランドな音楽の世界においてアジアの存在感を示すのは極めて重要だと思うんだよ。アジア人が西欧圏のメディアに取り上げられている姿を見てきたことは僕にとって重要な意味を持ってる。Smashing PumpkinのJames IhaとかMC Jinとかね。エレクトロニック・ミュージックで言えば、日本も田中フミヤや石野卓球、Ken Ishiiとかすごくインパクトがある。インターネットがない時代にRichie HawtinはどうやってKen Ishiiを見つけたのか、未だにずっと不思議に思い続けているよ。おそらくだけど植民地化の影響で、アジアの人たちはずっと『クールでヒップなもの=西欧圏のもの』という考え方に囚われてきたんだと思う。もちろん何もかもを白黒はっきり分けられるわけじゃない。ただ、否定し難い文化的な支配がここ何十年かあったのは間違いないことだって僕は感じるし、そういう文化の中には、アジア人としての僕らの存在は織り込まれていないよね。こういうことを考えていて、僕はリプリゼンテイションが重要だと思い至った。そうすることで僕らは自分たちのエスニックなバックグラウンドを自分で認知することが可能になるし、そのアイデンティティを柱にしてサブカルチャーにも参加できるようになる。そう考えてるよ。
Gaz - 当初は西欧圏の文化への憧れもあって、若者がいわゆる中国的なファンシーなクラブに惹かれていたという側面もあったと僕は思ってる。それにそういうものに興味がなくても、独自のカルチャーを作っていくための機会や場所というものを持ってる人は少なかった。
Tzusing - 露出度の問題だとも思う。莫大な広告費を投入して喧伝されるものは、全体を見渡した時にカルチャーの大部分を覆っているようにも見えるよね。強制力もある。でも、いつの時代だって、世界的なメディアに露出していなくても自分自身の表現を探求している人はいるよ。数十年前から日本にKen Ishiiや石野卓球なんかがいたようにね。この国の人々もこれまでだって新しいものに出会いたいという考えを抱いてきていたはずだよ。
こうした現状を認識し、アジアンサブカルチャーの新たな可能性と各国の躍動を交感しあう場として2018年4月から立ち上げられるのが上東(ジョウトウ)と題されたプログラムである。東京のクラブ・オルタナティブをテーマとする渋谷WWWβと上海ALLの2点をつないで立ち上げられたこのレジデントDJの交換プログラムの第1弾では、4/20(金)にTzusing、Howell (Gaz)がWWWβに来日し、5/5(土)には南蛮渡来のMars89、Booty TuneのD.J.FulltonoがALLへと訪中することが決定している。
Gaz - WWWβの海法さんと話していたら、音楽的な趣向やイベントを通して実現したいビジョンがすごく近しいと感じたんだよ。アプローチの方法もね。今回のプログラムは、そういう互いの気持ちを組み合わせて、上海と東京という2つの街・国の音楽シーン同士に、対話や気づきのきっかけを与えたいという目的で実現したもの。どちらの街にもまだお互いがまだ知らない良い音楽がたくさんあって、エネルギーに満ちてるからね。そうした交流を通じて、両国のアーティストやクラウド同士のネットワークが形作られて、互いを支え合えるような関係を築けたら良いよね。
Tzusing - この2年間でアジアはすごく変わった。SNSの普及率が上がったこともあって、アンダーグラウンドな音楽シーンも大いにね。僕たちは今小さなシーンで近しいことをしているアジア人を探し始めているよ。Gazは以前からアジア圏のアーティストとのネットワーク作りを意識してツアーを組んでいるし、意見を交換し合ってる。彼はこれまでもそういうことをやってきたけど、今まさに最適な時がきて、豊かな土壌が整ったと感じてる。この上東プログラムも、上海と東京、互いにそういうインパクトを与え合えるものにしたいね。
Gaz - 政府の決定で明日全てが覆ることもありうるこの国で未来を予想することは困難だよ。でも、今この時に限っていえば、上海におけるクラブ・シーンが成長するペースは素晴らしくて、それを担う人々の感性はこれまでのどの時期よりも研ぎ澄まされているよ。
新たなアジアン・サブカルチャーの交感はまさに今始まったばかりである。
Info
ALL Shanghai ⇄ WWWβ Tokyo
exchange program 上東 Vol.1
FRI 20 APR at WWWβ Tokyo
OPEN / START 24:00
ADV ¥1,500 @RA / DOOR ¥2,000 / U23 ¥1,000
Tzusing [L.I.E.S. | ALL Shanghai]
Howell [SVBKVLT | ALL Shanghai]
Yousuke Yukimatsu
脳BRAIN
Constellation Botsu
SAT 5 MAY at ALL Shanghai
OPEN / START 22:00
DOOR ¥80rmb
D.J.Fulltono [Booty Tune / WWWβ Tokyo]
Mars89 [南蛮渡来 / WWWβ Tokyo]
Howell
Kilo-Vee
ALL内の写真はインスタグラムにて。
https://www.instagram.com/explore/locations/123808884867467/club-all
ALL Shanghai
https://www.instagram.com/all_club_
https://www.facebook.com/pages/Club-ALL/123808884867467
WWWβ Tokyo
https://www.instagram.com/wwwb_shibuya
https://www.facebook.com/WWWBShibuya
Gaz & Tzusing Interview | The Current Rise of the Shanghai Club Music Scene
China's Shanghai youth subculture is undergoing a transformation. The moving experiences the youth gain by slipping through the government's Great Firewall has been stimulating their creativity.
Whether it's for such local youth or for the forward-thinking music scene as a whole, Shanghai's alternative club ALL has recently continued its growth as an ignition point and driving force towards change.
Owned by Gaz (aka Howell) and Gary Wang and where Tzusing––whose L.I.E.S. release garnered attention––has worked as a promoter since The Shelter days, this club stands out in its cutting-edge booking line-up alone. Since its opening last June, artists embodying post-Arca electronic music such as Yves Tumor, Chino Amobi, or Elysia Crampton, as well as Kode9 and M.E.S.H. have performed there. Acts that are internationally in demand have continued to fill their bill. In its former iteration as The Shelter, the club invited renowned artists such as Moritz Von Ozwald, Mumdance, or Beau Wanzer, who continues the L.I.E.S. lineage.
What kind of space is ALL? For this occasion, we did an e-mail interview with owner Gaz and Tzusing who is also involved as a promoter. Reflecting on their trajectory from The Shelter to the present, we get a glimpse into the creation of an alternative club scene and the current state of youth subculture in Shanghai.
Interviewer / Report:Maoko Inada
Translation : Hibiki Mizuno
photo:Tzusing / Shimpei Kaiho
To begin with, what does Chinese club culture look like? Limiting internet access and prohibiting certain kinds of expression activities, the government still remains naive towards information access and public modes of communication. In that context, it was in the 1990s that places that were considered nightclubs started to appear. However it seems that the majority of these places are for snobby customers and not a source of cultural wealth.
Gaz - Yeah most of the ‘regular’ Chinese clubs are really flashy, lots of lights, mirrors, led screens, etc. It feels like this side of the nightlife scene is completely separate to the alternative scene, no cross over at all. Shanghai now has a wide variety of clubs, from table service VIP type clubs, to dingy dive bars, and everything in between. It’s a healthy scene.
The 2012 Resident Advisor report details the struggles in localizing club culture in China. Although club owners aimed to transplant British or American club culture that emerged as social constructionist sites, the spaces ended up mostly serving and being funded by transitory foreign travelers without a local crowd; event promotion could only be done through mailing lists, resulting in information failing to reach people.
Gaz - When I first arrived the ‘alternative’ scene was very small, most of the clubs being very commercial, table service type places. There were a few promoters and small groups of people doing interesting things, and a couple of small venues allowing people to play different types of music than the mainstream clubs, but there wasn’t really any structure or organization to the scene. It felt like there was a big gap in the scene and a need and want for something new and interesting.
I lived in Liverpool for 4 years before I moved to Shanghai and DJ’d almost weekly.
Tzusing - When clubs like Shelter and Dada first came around 10 years ago it was mostly expat partygoers, DJs and promoters. The Chinese crowd that went to these places at the time were generally fans of the music and some producers, but they weren’t party/club kids.
At the time, local people were not going to clubs since the act of clubbing seemed worlds apart from the Chinese lifestyle.
Tzusing - Yes, it has changed a lot. In the past, nightlife for Chinese youth was mainly KTV (Karaoke) and heavy drinking was at bars, restaurants or maybe at a friend’s house. Clubbing - the act of going to a club to chill, chat with friends, dance, and drink all night long, is new. Chinese people generally don’t pace their drinking that way, it’s usually much more social and fast paced.
However, as of 2018, 80% of ALL's customers on the dance floor are Chinese club kids. As written above, the booking line-up is filled with bold artists.What led ALL––which is increasing its influence not only domestically but also worldwide––to become a leading presence?
Gaz - The Shelter used to be a club called Blue Ice. When I was a student in Shanghai (2005) I did some events there that were very successful. PAUSE was a mix of everything, Drum and Bass, Techno, Hip Hop, Reggae, etc, and also live painting, workshops, a small market. It was kind of like a mini one day festival I guess.
I returned to UK for one year to finish my university and when I returned the business of Blue Ice wasn’t very good. The owner remembered me and another promoter called Gary Wang and asked us to take over and make it work.
So Gaz and Gary Wang took over the business. They emphasized the long-felt necessity of an alternative music scene and drastically transformed the operational strategy.
Gaz - Blue Ice was ran by business people who didn’t really have a clue about music. It was trying to be something different but didn’t really know how. In the end it ended up being a super cheap bar/club that foreign students would go to and get wasted, it was really messy. When me and Gary took over there was a really need in the scene for a club like Shelter and so it never really felt like much of a struggle to get it going. I guess more a mix of the clubs I’ve enjoyed before. I guess the only concept was that it was just about the music. We didn’t want any fancy lighting or anything, just a room with a soundsystem and drunks.
And that was how Blue Ice, taken over by Gaz and Gary Wang in 2007, opened its doors as The Shelter. Through the support of local media and people, it gradually became possible to run a business while maintaining the alternative path that they envisioned. It was now internationally renowned Chinese DJ and producer Tzusing, who released his work from innovative labels such as L.I.E.S in New York, who took the post of The Shelter's first resident DJ.
Tzusing - I first started my night, Stockholm Syndrome, at the end of 2011 in Dada Shanghai. At the time, The Shelter didn’t open their dates to other promoters. I was very proud to become the first promoter to get a residency at The Shelter in 2012.
Although Tzusing is a producer known for his polished music with hints of Eastern exoticism and a world-touring DJ, he has also been working through the issue of how to build a connection between the crowd and the dance floor from a promoter's perspective.
Tzusing - I felt that a lot of the techno and house nights needed variety. I wanted people to play songs and other things that weren’t considered normal for a “techno/house” night. I started off by booking techno and house DJs that I knew had a wide range of musical interests. I wanted them to play the records that they didn’t dare to play for a normal night. My goal was for the crowd to feel shocked by the sounds instead of enjoying a nice smooth set. After getting the night at Shelter, I invited the likes of Beau Wanzer, Samo Dj, AN-I, Container, Joe Hart of World Unknown/Body Hammer, Josh Cheon, Sean Canty of Demdike Stare in collaboration with Subculture, as well as Powell in collaboration with Japanese promoters Veta.
With the owner and booking staff carrying the same vision and working through trial and error, more local club kids started to attend The Shelter by 2015-2016. It announced its closing at the end of 2016 due to licensing issues, and re-opened its doors as the new club ALL from June of 2017. And now in 2018, most of the operational staff including DJs, patrons, and promoters are Chinese. It’s clear that the situation dramatically changed over the past two years and created a definitive new scene. A large factor in local people starting to hang out at clubs can be attributed to the spread of the internet.
Gaz - This has definitely changed, the younger generation are definitely more into music and clubbing. I think the use of vpns is more wide spread with the younger generation of clubbers and so their access to information and music is a lot more than the older generation In the scene which I am involved in, I think most people have VPNs and access to all these music sources, but I’m not sure how far this spreads outside of the very small part of the population we take up. I know a some of the younger Chinese crowd that come to ALL also use VK, the Russian SNS, to search for music as it isn’t blocked and has a huge amount of information and music available.
Nonetheless, the internet existed in China from the 1990s. It is not the penetration rate of the internet itself, but the spread of VPN, or Virtual Private Network, a software that allows users to evade government censorship. Since the software encrypts network information, users can escape government restriction and censorship while going online. This also affected event promotion, allowing for more methods besides circa 2012 mailing lists.
Gaz - The main, and pretty much only SNS’ we use now are Wechat and Instagram, with Wechat definitely being the main one. There are a couple of websites, such as wooozy.cn, but really most of the media outlets now use wechat as their main platform. Wechat does everything, its like a mix of Whatsapp, Twitter, Facebook and Instagram. You can message, make groups and official accounts the send news letters, you can post photos and videos, etc, and also pay for almost anything as it connects to your bank account. Most customers pay the entrance to the club and drinks with Wechat, and we pay DJs and staff with Wechat.
Information circulates with a shocking degree that even transforms lifestyles; people's sensibility in pursuing the next new thing has never been so fresh. While being exposed to culture from all over the world, the Chinese youth is passionate as ever to create their own cultural practice.
Gaz - As the scene is relatively new, people are still discovering different genres of music and are open to hear something new. I think there is a definite difference between pop and underground music here, but the crowd is open to everything. Where in lots of scenes the crowd kind of sticks to one genre and tend to only go to events that play that genre, here people seem to care loess about genre and more about the vibe of the event.
It is very common for a night to have various different genres throughout, or even a DJ set spanning many genres.
The music blasts a blend of all kinds of genres, eras, and places while the crowd shares the thrilling momentum of being interwoven into that instant. Indeed, it seems like the current ALL has become a space aligned with the single concept that Gaz and Gary Wang envisioned back then. During a time in which the spread of the internet has brought about many societal changes, the emergence of the progressive underground music scene in Shanghai––originating in The Shelter and ALL––took place through artists, promoters, and the new generation sharing a mutual pursuit and drive for a distinct culture. Gaz and Tzusing, who stand at the forefront of this movement, question listening to music based on the opinions of existing influential media platforms, and are examining the necessity to create a unique network.
Gaz - I started the label, SVBKVLT just over 5 years ago to support and push interesting electronic music coming out of China and surrounding countries. It's released Japanese artists, Prettybwoy.
Tzusing - There is much more awareness amongst Asians of other Asian DJs/producers from Korea, Taiwan, Japan, China, Singapore, Thailand, Philippines and Malaysia. In the past we had to rely on western media to get wind of new music, so we only knew about the stuff they wrote about in their own scenes within Europe or America. Now that this system is a bit more decentralized, we started seeing other Asians in their small scenes doing similar things.
Tzusing was born in Malaysia but has Chinese citizenship. He has lived in various countries including Singapore, Taiwan, China, and the United States and discusses how he developed a certain feeling reflecting on his background.
Tzusing - I think ultimately this frame of categorizing humans will fade away as the world becomes more globalized. We don’t live in this globalized post-racial world yet, therefore having Asian representation in underground music is something important. I can’t deny that seeing an Asian face on western media was important to me back then; seeing the likes James Iha in the Smashing Pumpkins, MC Jin on Freestyle Friday, and others. Being into electronic music, it was inspiring to see that Japan had such an impact on underground techno, for example guys like Fumiya Tanaka, Takkyu Ishino, and Ken Ishii. I always thought about how Ken Ishii put out music on Plus 8 before the internet was invented. How did Richie Hawtin find him?
Maybe because of the influence of colonization we have this notion that what is cool and what is hip is western, and us as Asians have no place in it. Of course everything isn’t so black and white and simple, but there is an undeniable cultural domination from the west within the past few decades; understandably it has affected the psyche of all of us.Considering all of this, I find that representation is important. Representation lets other people from your ethnic background know that they can also participate in this subculture.
Gaz - I think maybe there were a lot of young people who weren’t into high end brands and fancy clubs but didn’t have a space or opportunity to create their own thing. There is a definite switch now where the local crowd and more interested and supportive of Chinese and Asian artists than before, and a definite want to create something which is their own and not replicating western/foreign trends and culture.
Tzusing - I think it’s about exposure. People were attracted to high end brands because it was the only thing that got exposed first; high end and mainstream culture has a lot of corporate money for PR and advertisement. It’s just the culture that gets the most exposure, which doesn’t necessarily mean people are looking for it. You don’t even have to look. It’s forced on you. I think people want to be moved and feel inspired. There are always people that have their own taste and can feel or enjoy something, even if it isn’t hyped nor does it come with an advertisement. The search was always there, the exposure might not have been.
From April 2018 the Jyoto (上東) program launches as a space to recognize this current situation and intermix with each country's dynamism and the new possibilities of Asian subcultures. In this resident DJ exchange program connecting Tokyo's alternative club WWWβ in Shibuya and Shanghai's ALL, Tzusing and Howell play the former on April 20th, and Mars89 (南蛮渡来) and DJ Fulltono the latter on May 5th.
Gaz - I feel myself and Kaiho, promoter from WWWβ have a similar taste and passion for music, and the clubs we run have a similar approach and aims. I think the Jyoto (上東) program is aiming to combine our energy and to create more of a dialogue and awareness of the music scenes in our respective cities/countries. There is a lot of great music and energy coming out of each city, I hope the Jyoto (上東) project can connect the two and create more links between artists and the crowds. It would be great to see artists from each city collaborating more, and build up awareness and support between the two cities.
Tzusing - I think Asia has changed a lot in the last 2 years because of Soundcloud and Instagram, as well as the shift in underground music. There is much more awareness amongst Asians of other Asian DJs/producers from Korea, Taiwan, Japan, China, Singapore, Thailand, Philippines and Malaysia. In the past we had to rely on western media to get wind of new music, so we only knew about the stuff they wrote about in their own scenes within Europe or America. Now that this system is a bit more decentralized, we started seeing other Asians in their small scenes doing similar things. For as long as I have known Gaz, he has always tried for a network of Asian artists that would tour each other’s countries and exchange ideas. He did a lot of parties, but I feel the climate was maybe still a bit early then. I think now, with the change of social media and Soundcloud, it feels like the right time and it can really have the impact we were hoping for.
The intermixture between the two countries will certainly provide an opportunity to understand our identities in the way that Tzusing explores above. This interview sheds light on the ever-changing raw cultural scene that continues to be created this very moment. Needless to say, this degree of freedom is not permitted throughout China. Often young people who come to Shanghai experience a kind of culture shock since some other cities are subjected to more rigorous government control.
Gaz - Its always very hard to predict the future in China as it really depends on the governments attitudes and how they change. At the moment it is growing at a good pace but this could all change if they decide that it is getting too big or not suitable for their aims. You always have to wait and hope for the best in China haaha.
The intermixture of new Asian subcultures has just begun its course.
Info
ALL Shanghai ⇄ WWWβ Tokyo
exchange program 上東 Vol.1
FRI 20 APR at WWWβ Tokyo
OPEN / START 24:00
ADV ¥1,500 @RA / DOOR ¥2,000 / U23 ¥1,000
Tzusing [L.I.E.S. | ALL Shanghai]
Howell [SVBKVLT | ALL Shanghai]
Yousuke Yukimatsu
脳BRAIN
Constellation Botsu
SAT 5 MAY at ALL Shanghai
OPEN / START 22:00
DOOR ¥80rmb
D.J.Fulltono [Booty Tune / WWWβ Tokyo]
Mars89 [南蛮渡来 / WWWβ Tokyo]
Howell
Kilo-Vee
ALL内の写真はインスタグラムにて。
https://www.instagram.com/explore/locations/123808884867467/club-all
ALL Shanghai
https://www.instagram.com/all_club_
https://www.facebook.com/pages/Club-ALL/123808884867467
WWWβ Tokyo
https://www.instagram.com/wwwb_shibuya
https://www.facebook.com/WWWBShibuya