【インタビュー】tofubeats『FANTASY CLUB』 | わからなさの明快

FEATURED  2017.05.25  FNMNL編集部

5/24にリリースされたtofubeatsのニューアルバム『FANTASY CLUB』は不思議な作品だ。tofubeats本人も言っている通り、制作中のtofubeatsの気分を支配していたのは「わからない」という思いだったという。そのパーソナルな気持ちを反映したものであるにも関わらず、聴き手をモヤモヤした不安に落とし込むわけではなく、『FANTASY CLUB』からは抜けのいい音が聴こえてくる。

自分や周囲に起こる様々な事象や概念に対する「わからなさ」と誠実に向き合い続けたことで、それがはっきりとした形でtofubeatsの音楽として、これまでにない明確な形を取っている。『FANTASY CLUB』はリスナーにtofubeatsの音楽は、これだということを分からせてくれる強度を持ったアルバムだ。FANTASYというもはや楽天的には捉えることのできない曖昧とした言葉の先にある、何かへの意志を感じさせてくれる、

ではtofubeatsは、このアルバムを制作中にどのようなものと向き合ってきたのか。話を聞いた。合わせて前回行ったアルバム収録曲"SHOPPINGMALL"インタビューも読んでもらえると幸いだ。

取材・構成 : 和田哲郎

写真 : 横山純

 

- 『FANTASY CLUB』を聴かせてもらって、この間のインタビューで色々聴かせてもらったからっていうのもあるかもしれないんですが、筋が通っててまとまっているなと思っていて、本人的にはどういうアルバムになったと思いますか?

tofubeats - ゲストとか大掛かりなことをしなくていいっていうのが前提であったんで、ちゃんと全体を見渡してアルバム全体が良くなるようにしようっていうのがあって。ゴールを定めてやるっていうのを結構意識してやって。全体を良くするために細部を触るみたいな、1曲がというよりは全体でどう作ろうっていうのをずっと考えてやっていましたね。

- 流れで聴いたときに、本当に気持ちいい感じになりますもんね。

tofubeats - そうですね、流れのために足した曲とかもあって。"WHAT YOU GOT"と神戸についての曲の"THIS CITY"の間に挟まってる、"WYG(REPRISE)"は聴いてて流れが悪いからわざわざ作った曲ですね。そういうことを今回は色々やった感じですね。

- "CHANT #1"でスクリューになったりする部分も。

tofubeats - あそこで"SHOPPINGMALL"にパスが出てるんですよ。

- 『FANTASY CLUB』というタイトルはDJのpeechboyさんとのTwitterのやり取りを見たら、シカゴハウスのDJ Pierreの別名義Pierre's Fantasy Clubからということだったんですが?

tofubeats - そうなんですよ。初回盤のブックレットにも封入されてる文章にも書いたんですけど、生まれて初めて聴いたシカゴハウスのコンピがあって。その中にPierre's Fantasy Clubの"Dream Girl"が入ってるんですよ。Pierre's Fantasy Clubってめちゃくちゃいいアーティストネームだなと思って、所々に使ってきたんですよ。POPEYEの連載とか、曲にも使ってきてて、今回ポスト-トゥルースみたいな言葉をいい感じに言い換える言葉はないかなと思って、探したときにFantasy Clubってやっぱいいなと思って、また引っ張り出してきた。"FANTASY CLUB"って曲もアルバムと関係なく作っていて、その曲は『POSITIVE』に入らなかった曲で、でもいい感じに出したいなと思っていて、タイトルにも出来るしいい感じにも出せるなと思って、それを軸にした感じですね。

- FANTASYって言葉自体を両義的に使っているなと思って。ポジティブにも捉えられるし、モヤっとしたものとしても捉えられるじゃないですか。

tofubeats - そうですね、どっちともつかずという言葉を選びたかったんで。でもトゥルースって強い言葉だからなあと思って。Clubもそうですけど趣味とか本気じゃない感じがいいなあと思って。

- "WHAT YOU GOT"とか"LONELY NIGHTS"とかもそうですけど、Fantasy的な瞬間として夜のすごいパーソナルな体験、パーティーとかの経験が反映されてるのかなと思ったんですがいかがでしょうか?

tofubeats - パーティーっていうのはなくて、単純に家でずっとコツコツやってて、ああなっていったって感じですかね。そこまでパーティーとかは意識はしてないですね。逆になんか本当かどうかわからないみたいな感じというか、だから難しいんですよ。なんて言ったらいいか、わからないなということを言おうとしてる。言いたいことが何にもないなっていうのを、どうにかしていかなきゃいけないっていうときに、それとどう向き合うのが誠実かっていう。それもわからへんって言うのがいいのかなって、今回はなったって感じですね。前回はそれがポジティブに振舞おうってことだったんですけど。

-  "SHOPPINGMALL"は孤独な感じとかはしつつ、"LONELY NIGHTS"は孤独さもありつつ、人は周りにいるんだけど孤独って曲じゃないですか?1人なんだけど近くには誰かいるぞっていう環境で、それってパーソナルなアーティスト性に閉じこもってないでコミュニケーションを志向してるのかなと思ったんですが?

tofubeats - なるほど。他人って一緒にはいるけど、別じゃないですか。他のアーティストと一緒に曲をやることもあるけど、ずっと一緒ではないし、すごくアンビバレンスな感じというか、そういうのを込めたいなっていうのが今回はあって。一緒に高めていくぞじゃなくて、別のものをどう使うかっていうのは今回意識したかもしれないですね。

- "WHAT YOU GOT"で歌われている「SHOW ME WHAT YOU GOT」というのは、誰かいるけどコミュニケーションはしてない状態ですよね。tofuさんは人とのコミュニケーションにおいて、誰かが何かをやっているのを見てたいというのがあるんですか?

tofubeats

tofubeats - そうなんですよね、またややこしい話になっちゃいますけど、僕って人から見られるのが苦手なんですよ。自分が見てるものを大事にしてる。人から見られてたら、僕は天然なんで面白いところもあるかもしれないですけど、僕は自分の見てるものが大事なんですね。だから今回はそれを全力でやってみよう、自分が見てるものとか、自分が思ってることを入れようって。『POSITIVE』はそこに他人の視点が入ってきたりすると面白いってモードだったんですけど、今回は自分が思ったこと、自分が見たものを克明に残しておこうって。それが結構全体のテーマで、歌詞を書くときもどうしようって迷ったときに、前作は人に聴かせるっていう風に振ってたんですけど、今回は自分が思ってることをちゃんと煮詰めて書いていこうみたいなのが、めちゃめちゃあって。だから断言もあまりしてないし、そういう理由があるのかなとは思いますね。

- なるほど、今回はすごくパーソナルなものということだと思うんですが、歌詞も平易な言葉になっていますよね。歌詞を書くのに時間がかかったりしましたか?

tofubeats - これは中田ヤスタカさんに言われたことなんですけど、歌詞を書くのに時間がかかるって話になって、「めっちゃ時間かかりますね」って言ったら、「それは自分で歌うからだよ」って言わたんですよ。あ、確かになって思って、他人が歌う曲って、その人が何を考えてるかは最終的にはわからないのでパッと書けるんですけど、自分が歌うものであんまり嘘をつくのが嫌だなって。今回は特に"SHOPPINGMALL"が最初に出ちゃってるんで、これに付随させていくってなると相当ちゃんと書かなきゃなってのがあったので、本当に時間がかかりましたね。苦労したなっていうのはないですけど、ちょっとずつ直していきました。Sugar Meさんが参加した"YUUKI"とかはめっちゃ時間かかりましたし、最後の"CHANT #2"もめちゃめちゃ。結局最初とあまり変えなかったんですけど、これでいいのかなっていう時間は長かったですね。一番悩んだのは人に委ねる割合とか言い切る割合をどうするかとかですね。それは全体的な難しさがありましたね。

- 言い切らないことって本当はモヤっとすることじゃないですか、でも聴いてもモヤモヤするわけじゃないのが面白いなと思って。それってSolangeの話をしたときに、何かを言い切ることって1つの見方を押し付けることにもなるじゃないですか、それをパーソナルにわからないと言うことが、抜けの良さに繋がってるのかなって。

tofubeats - そうですね、わからないってことに関しては一貫してるんで(笑)僕はもう何もわからないっていうのはあるんで。あと『POSITIVE』を出して、次は何を出すっていうのがすごいあって、能天気なものを作り続けるのも違うし、わからなさとちゃんと向き合ってみようって。ヒップスターみたいなのにはなれねえしなって。

- そうですよね、例えば今作でも高揚感がある曲もありますよね。でもその高揚感って一瞬で良いってなってるなって思ったんですよね。

tofubeats - 高揚感っぽいもので、高揚感を出すのは簡単だと思っていて、そうじゃないので良いって思わせたい。シカゴ・ハウスが僕はまさにそうだと思っていて。それこそPierre's Fantasy Clubの曲は派手じゃないけど、めっちゃ派手に聴こえてくる。そういうのがかっこいいなって。あとそもそも、音楽で陽動して一体感を出すっていうのを、昔からほんまに信用してなくて。自分がライブとかほとんど行かないし、あんま好きじゃないっていうのもあるんで。でもミュージシャンとしてやってる以上は、それをしていかなきゃいけない。でもそれを今回はしなくてもいいって流れがあったんで、一回それをやってみようって。僕はクラブでブブゼラ吹くみたいなのは求めてなくて、家でしみじみ聴いてもらって、コンビニ行くか位の高揚感だと思うんで、それを味わってもらえたらいいなっていうのはありますね。

tofubeats

- ハウスの捉え方とかも面白いなと思って、ハウスって元々はセクシャル・マイノリティーがクラブで一体感を求めるための音楽だったわけじゃないですか。それはハウスとの音楽の出会い方が違うものになれば、捉え方も変わるしってことですよね。

tofubeats - そうですね、僕は「アシッド・ハウスって聴いたことある?」って人から教えてもらったんですよ。Traxのコンピを頂いて、そこに入ってたんですよ。まだクラブ行ける歳じゃなかったんで、クラブで与えられて聴いたんじゃなくて、自分でそれを聴いて、どう処理するかっていうのがあるじゃないですか。いきなりこれを聴いてどうしようって考えるのが、僕にとって音楽を聴いてて、いい瞬間というか。それも高揚感だと思うんですよね。良いとか悪いとかじゃなくて、この曲を聴いておれはどうしようってなる。それが家で聴いてて面白いことだなって。ライブって「すごかったなあ」じゃないですか。音楽聴いて面白いのはすごかったなあとかじゃなくて、曲を聴いて何かを思うみたいなのが、僕は好きなんで。それを他人にも思ってもらいたいなっていうのを言ってもよくなってきたなって。インディーの時は5曲で1曲みたいなEPをBandcampで出してて、そういうのをずっともう一回やりたいなって思ってたんですけど。それをメジャーでやってもいいのかなって。"BABY"とかキャッチーな先行の曲も出来たので、全体の方向としてはそっちでやってみようって。

- "WHAT YOU GOT"から"THIS CITY"、"YUUKI"くらいまでは一体になってるなと思って。"BABY"で展開が変わる。曲順はどうやって?

tofubeats - "BABY"とTHIS CITY"と"WHAT YOU GOT"があって、その3曲を決めてあとは埋めていくって感じですね。大体こうなるだろうって感じで他の要素を前後に足していって全体になるって感じですね。制作の順番は"BABY"が『POSITIVE』のあとにあって、"FANTASY CLUB"と"OPEN YOUR HEART"はタタキが『POSITIVE』の前にあったんですよ。その3曲を軸に増やしていった感じですかね。

- ゲスト勢は?

tofubeats - YOUNG JUJUに関してはKANDYTOWNがワーナーから出していたりして、ラッパー呼びたいんだよねってなった時に勧めてもらって。ぶっちゃけKANDYTOWNは最初はあまりピンと来てなかったんですけど、1曲YOUNG JUJUのいいバースがあって、でもKANDYTOWNのアルバムではオートチューンとかやっていなかったので、それをもっとやったほうがいいのになと思ったんで、提案の意味を込めてオートチューンかかってるの作って欲しいなと思って、オケもそれありきで作ったんですよね。

- 僕がラップ好きだからかもですけど、"LONELY NIGHTS"はすごい良いなと思って。無駄な音がないし、ああいうメロディーだったらもっとアメリカだとドラムも808っぽくなると思うんですけど違うじゃないですか。

tofubeats - ありがとうございます。トレンドは目配せはするけど絶対そのものにはしないっていうのはめっちゃ意識したんで、今回。最後の"CHNAT #2"も全部アナログのドラムマシンとかで、ちょっとずつずらして同じシークエンスを組む。Sugar Meさんに関してはファーストからすごい好きで、タイミングあれば呼びたいなと思ってたんですよね。ただ日本語の曲をこれまで出してなかったんですけど、去年の夏に初めて日本語の歌を自分の名義でリリースしていて、日本語詞の曲をお願いできるかもと思ったので。これはラッキーでしたね。KASHIFさんは前作にも参加してもらっていて、本当は今回は僕が自分でギター弾くのもいいのかなって思ったんですが、やっぱり下手すぎて。聴くに耐えないからって、KASHIFさんにお願いしたんですよね。

- なるほど、さっきトレンドの話になりましたけど、今はBruno Marsとかがいわゆるブギー/ディスコみたいなアプローチをしていて、また全盛期になってますよね。tofuさんもディスコはもちろん大好きだと思うんですけど、今回はディスコアプローチじゃなくてハウスじゃないですか。それってすごい大きいのかなと。

tofubeats - "WHAT YOU GOT"ってすごい出来上がりが変な曲で、1080p(カナダ・バンクーバーを拠点にするレーベル。オルタナティブなハウスなど独自のリリースで注目されている)とかに匿名でデモとか送ってやろうと思って、作ったドラムのシーケンスなんですよね。ドラムいいの出来たなと思ったら、ポップな歌詞が乗っちゃって、出来ちゃって(笑)まあこれは出来ちゃったからtofubeatsでちゃんと出そうと思って、ちょっとずつ仕上げたんですよね。それでコーラスに中村佳穂さんとKASHIFさんにギター入ってもらって派手に仕上がったんです。1年前くらいに、形は出来上がってましたね。元は今流行っているようなシンプルなハウスを作ろうと思って、作った曲なんですよ。

- それは面白いですね。『Lost Decade』勢もそれぞれ理由は違うと思うんですがハウスにシフトしていると思うんですが。

tofubeats - そうですね、僕はDJがって感じですね、普段聴くのはもっとゆっくりしたやつを聴くんで。僕はDJの最初の入りがハウスなんで、ヒップホップ好きだったんですけど、DJ始めたのはハウスで、昔好きだった曲とかを今またかけてて、ちょうど1周したって感じなんですよね。(tomad)社長とかはブレイクコアから始まってるんで違うんでしょうけど。でも今回の『Lost Decade』でハウスはひと段落らしいですよ。また今のヒップホップとか130BPMの曲とかをかけてもいいパーティーになっていくのかもしれない。

tofubeats

- 1080pとかの面白さって?

tofubeats - Vaporwaveと一緒じゃないですけど、CD-Rとかでリリースされているようなやつが好きなんだなって。Jet Setとかで昔買ってたようなやつが今でも好きで、そういう手触りにどうしても反応してしまうというか。あと時代に即してきたみたいなのもあると思うんですよね。SNSとかもここまであると、自分より大きくなるのムズいみたいな。自分のサイズでやらないとっていうのはあると思っていて、そこに匿名性も入ってて面白いなって。

- 少し前に三浦大知さんに話を聞いたときに、印象に残ったのが「自分は流行りたくない」という言葉で、それってすごい強い言葉じゃないですか。絶対続けられるっていう自信があるというか。三浦さんは謙遜されそうですが。

tofubeats - あれはすげえなと思いましたよ。高みにいるなあって感じがしましたけど。だから若手とかを呼べるんでしょうね。根本的に筋が見えてるからできるんでしょうね。

tofubeats

- そことはちょっと違うって感じですかね?

tofubeats - いやいや売れるんだったらありがとうございますって感じですね。自分の一番の目標はどういう形であっても続けることで、死ぬまで音楽を愛好できるのがゴールで、愛好することの1つが作ることなんで、売れなかったら寂しいけど、自分がやりたいことがまじで売れないことだったら仕方がない。今は時代とも合っていてラッキーというか。ちょっと消極的な感じですかね。ただこういう立場にいる人間はそこまで多くないから、頑張らなきゃいけないなとは思いますね。僕にとって音楽は日記に近いんですよ、このときこう思ってたなあみたいな、って自分が思うのが嬉しいんで。だから内容がまとまってた方が10年後聴いたときに嬉しいと思うんですよね。振り返れて。

- なるほど。あと今回インスト曲とボーカル曲のバランスもいいなと思ったんですが、作りながら声を入れると決めていくんですか?もしくは最初から決めてる?

tofubeats - ありがとうございます。作りつつ決めてますね。"OPEN YOUR HEART"は、声をもっと入れたかったんですけど、ハマりが悪かったんで全部消したりとか。あんまりボーカル曲とインストの差をつけてないですかね。"CALLIN"とかもインストといえばインストだし。ボーカルのことを曲と別と思ってないんですよね。曲のいっぱいある要素のうちの1つみたいな。パソコンで出せないから録るのめんどくさいくらいなもんで。

メジャーに入ってからボーカルの音を大きく処理するようになりましたけど、自分の作品では特になんですけどライブで歌えないとダメみたいなのは、あんまり思わないでやってることが多いかもしれないですね。だから"BABY"とか際立ってる気もしますし、1曲だけすごい声がちゃんと出てるから。でも普通のJ-Popほどは無理してない。あんまり関係ないじゃないですけど、ボーカルが入ってないから聴かないっていうのがよくわからないんで、そういう感じですかね、一要素って言ったらクラブミュージックの人みたいで嫌ですけど。歌も大事なんですけど、歌が乗るとものすごく雰囲気が限定されちゃうから。自分の声色もそんな変えられないし。

tofubeats

- クラブミュージックの人って発言が出ましたけど、tofuさんはJ-Pop的な場所とクラブミュージック的な場所の中間にもいますよね。その立ち位置も両義的というか。

tofubeats - そうですね、どっちにいるかもわからないし、どっちにも行こうと思ってないみたいな(笑)やっぱりわからないんですよね。でもわからないっていうことは自分の場所にいるわけじゃないですか。だからそれをちゃんと記録しておいたほうが後々面白いって思ったのが、今回の目標みたいな。自分の今の居場所をわかってもらおうっていう。

- 自分の位置を曲にできるようになったっていうのは変化って感じですよね?

tofubeats - あとメジャーでものすごい色んなことを勉強させてもらって、今作は自分でいうのも手前味噌なんですけど、そこまで押し付けがましくなってないと思うんですよね。"SHOPPINGMALL"とかも「攻撃的ですね」って言われたりするんですけど、人に何かを強制してないから。それはメジャーにいって勉強したことが活きたなって思いました。色んな人に曲を書いたりとか、協業してフィードバックがめちゃくちゃ帰ってきたりした結果で。そういう意味ではむちゃくちゃメジャーっぽいなって思ったんですよね。メジャーを経ないと絶対出ない。

『POSITIVE』とかがないと絶対出ないし、これが出たら次『POSITIVE』みたいなのが出たときにヤバくなるぞっていうのは思うんで。メジャーで得た技術を持って『Lost Decade』の頃の気持ちを出すっていうのは、今回出来たかなと思っていて。曲を作ってる時も、これはまとまりそうだっていうのはすごいありましたね。でもこれが評判になるかはわかんないなって。みんながこれを聴いてどう思うのかはめっちゃ知りたいんで、こういう風にしたっていうのはありますね。Dreamのamiさんと"POSITIVE"を作ったら気に入ってくれる人がある程度はいるのかな、というのはわかるような気がします。そうじゃなくてこういうのを作ったときの反応が知りたいですね。

- すでに色んな感想が届いてるとか。

tofubeats - そうなんですよ、全然違う感想が来ていて。でもそれはめっちゃよかったなと思って。これまでは良かったよとか、頑張ったねっていう感じでしたけど、今回は製品というよりかは作品寄りなんで、そういう意味でも面白いなって。いつもこういうこと言うのも僭越ですけど、こういうアルバムって最近出てないじゃないですか。だからそういうのは頑張って作らないとなっていうのは思いますね。

- アルバム単位で聴かれるものって難しくなってるじゃないですか。

tofubeats - ベストアルバム的なもの以外のアルバムって出てないですよね。アルバム出すためのアルバムが増えてる気がして。自分が良いと思うアルバムが増えたらいいなって。これを出すことで、こういうのも出せるんだって錯覚して、他のアーティストもこういうアルバム出しておれが楽しいってなってほしい。

- パーソナルな範囲の中での責任感はあるってことですよね。

tofubeats - それはありますね、今は頭数が少ないんで、クラブミュージックのアーティストで、ホームランを打たなきゃいけないのじゃなくて、こういうのを出せる立場にある人が本当にいないんで。チャンスがあるならやったほうがいいのかなって思いますね。

- 少し戻りますけど、色んな感想が届くっていうのも、わからないって言ってるからこそですよね。

tofubeats - そうですね、その人が思ったように寄ってくから。

- 解釈に差が出てくるのはわかるんですけど、そういう隙間があるものを作ることって怖くないですか?

tofubeats -ここまでちゃんと向き合いすぎるとヤバいよみたいなことは言われましたね。でもこうなっちゃったものは、しゃあないなって。この1年自分がこういう気分だったんだなっていう。

- 個人的にはそんなにヤバいって意識はなかったですか?

tofubeats - まあ真面目なことを言ってるんで、しんどいはしんどかったですね。元気になりましょうって歌ではないんで。でもあんまり深くは考えなかったですね。今回は制作にかけられる時間が長かったので。今回は作ってそばに置いたりができたんですよ。だから1番ストレスなくできたアルバム。しっかり追い込めたし、ディテールに関しても、これまでに比べればいいところまで詰められたとは思うんで。

tofubeats

- アルバムで自分で聴いて飛ばす曲とかあるんですか?

tofubeats - 聴くのが"CHANT #1"と"YUUKI"と、"CHANT #2"ですね。

杉生(tofubeatsマネージャー) - おれは始めの4曲くらい。"BABY"はMVをよく観るから飛ばしがちかも。

tofubeats - 僕も"BABY"は聴かないですね。"BABY"が先にできて、今回のアルバムが作れてるんで、"BABY"はアルバム全体とは関係ない位置にあるんですね。"YUUKI"で終わって"CHANT #2"にいっても綺麗ですもん。でもここに"BABY"が入ってるのがメジャーっぽいっていうか。それが技術面の進歩だったりするんですよね。ある程度レンジを確保しようとする気はあるっていうか。"WHAT YOU GOT"とかもそうですけど。

杉生 - そんな振り切った内容でやったつもりは本人はないと思います。わからないって言ってる通り、わからないけど、スキルとかセンスとかは進化してる、でもそこに何かが追いついてないものもありそう、みたいな。

tofubeats - わからないってことを皆なんとなく、でやってると思うんですよ。でもわからないことに対しても向き合ってなくて、なんとなく生きてる。なんとなく自撮りを撮って、10年経った時には若い時の自分しか残ってない。それはそれでディストピアっぽくて面白いんですけど、でも自分が音楽でやってるのはそういうことじゃないから。音楽って5分あるから音楽じゃないですか。自撮りと違って、音楽はどう頑張っても16小節くらい作らないと曲になってかないわけじゃないですか、僕らが普段聴くものは。てなったときに音楽を作るために、無意味なことを言うのはむちゃダサいと思うんで、無意味なことっていうか、ほんまの無意味、何にも反応が起きないもの、無意味であることにも意味がないのは、本当に良くないと思うので、ちゃんとした言葉を乗せないとなっていうのはありましたね。

杉生 - 僕の友人のラッパーやDJ達から反応が良かったりするのは、そこだと思いますね。言葉に重きを置いてる人たちからの反応がすごく良かった。メロディーとかトラック云々じゃなくて、何かを言おうとしてるってところで。

tofubeats - 素晴らしい説明でしたね、僕は言ってる通りいまいちよくわかっていないので。だから早く世に出てわかりたいですよ、レビューとかみんなの反応を読んで。読んだら僕がわかるんで。セラピーなんで。

- 今ってインスタントに分かろうとするじゃないですか。わからないものが怖いというか。

tofubeats - 和田さんのディスが(笑)前回も若手アーティストに対してそうでしたけど。分かろうとするっていうか分かってるんですよね。分かっちゃってるんですよね。

杉生 - でもそれは実体験じゃないやん。

tofubeats

tofubeats - そうなんですよ、でも分かってるのかもしれないから、僕はわからないんですよ。あと分かってるというのが、それくらいで分かってるになっちゃう時代というか。場合によっては最後まで騙し切れるし。でも僕は怒ってはないんですよ。

- 僕もtofuさんが怒ってるとは思わないですよ。

tofubeats - 全然怒ってないですよ。僕は普段がこれなんですよ、やっと普段が出てきたんです。神戸にいてノンビリしてるときは大体怒ってるような雰囲気なんですよ。

杉生 - これまでコラボした方からも、なんか変わったねって良い意味で言ってもらえたんですけど、僕の立場から見ると、そこまで変化はなくて。本当のtofuはこういう人なんです。

tofubeats - Bandcampとかでリリースしてたものを、今やったらオシャレになるんじゃないかってことで、TAMIOさんとか山根さんとかに「今回はオシャレがテーマです」って実際口にだして言って。実際オシャレにしようと思って、ファッションブランドのDMみたいにしてくださいってお願いしたんですよ。これによって前回は『POSITIVE』なんですけど、今回はオシャレってなんやろって考えるわけですよ。

杉生 - 絶対トーフはワザと野暮ったい恰好をしてる奴らを見て違和感を感じているはずなんですよ(笑)。お金が無い訳でも無いのに、何か狙った恰好をしてるのを見て。

tofubeats - 男前のバンドには責任があるんですよ。恰好いいねんから、恰好つけてくれって。恰好いいやつがオタクの振りするのは1番の罪ですからね。そういうこというからあれなんですけど、普段はそういう暮らしなんですよ、僕は。減点法なんで。でもそれを良くしたいっていう思いもあるんですよ。

- FANTASYって言葉はそういういいものを願うって思いがあるのかなって。ここですごいリアリティーある言葉を付けたらそれは違うなって。

tofubeats -「怒ってるんですか?」って聞かれたときに、「これは神戸に住んでるからです」って。起伏のない暮らしをしてるのが普通なわけじゃないですか、そういう人がどうしたらいいかってときに、これまでは『POSITIVE』が答えだったんですけど、今はもうちょっと違って、このくらいの感じの方が救いがありそうって。内容としては進んでて、『POSITIVE』のときは気分的には半笑いだったんですよ。言葉のチョイスもそうですけど「明るくやってみよう」みたいな。今回は風通しはいいと思う。作ってるときすごい楽しくて。1日ずつちょっずつ進められるっていうのもそうだし、これまでの学びも活きたし。

tofubeats

リリースインフォ

tofubeats

tofubeats 『FANTASY CLUB』

1. CHANT #1
2. SHOPPINGMALL (FOR FANTASY CLUB)
3. LONELY NIGHTS
4. CALLIN
5. OPEN YOUR HEART
6. FANTASY CLUB
7. STOP
8. WHAT YOU GOT
9. WYG(REPRISE)
10. THIS CITY
11. YUUKI
12. BABY
13. CHANT #2 (FOR FANTASY CLUB)

ワーナーミュージック・ジャパンより5/24にリリース。

MUSIC

FASHION

CULTURE