Illicit Tsuboi × カレー屋まーくん対談 | "お嫁においで 2015"と"君といつまでも(together forever mix)"ができるまで

FEATURED  2017.03.15  FNMNL編集部

加山雄三の楽曲をECDやスチャダラパー、RHYMESTERなどのラッパーやDorianや川辺ヒロシ、ALTZなどのトラックメーカーも参加し、新しく解釈しなおしたアルバム『加山雄三の新世界』が3/8にリリースされた。

このアルバムのきっかけとなった楽曲がアルバムにも収録されている、"お嫁においで 2015 feat. PUNPEE"だ。ミュージックビデオの再生回数は200万回を超えている、この楽曲の企画とディレクションを行ったのがDJとしても活動するカレー屋まーくんだ。まーくんはアルバムにも企画として参加し、先日ミュージックビデオが公開されたECD×DJ Mitsu The Beatsによる"君といつまでも(together forever mix)"の企画も行っている。

FNMNLでは2曲のミックスも行ったIllicit Tsuboiとカレー屋まーくんに、主にこの2曲ができるまでの裏話を聞いた。

取材・構成 : 和田哲郎

Tsuboi - 今回の対談はなんで、このメンツなの?

- 僕とまーくんで話して、Tsuboiさんに聞くのが面白いんじゃないかなって話になったんですよね。

Tsuboi - 裏メニュー的な。裏メニューすぎて記事になるのかなって。そもそも今回のコンピレーションのパブリックイメージってどうなんだろうね?俺の中ではわからない。例えば参加メンバーにしてもちょっと不思議なんですよ。購買層が見えないというか。参加アーティストが好きで聴いてる場合は、もちろんあるけど、加山さんが好きな人が聴いてる場合もあるし。そもそもまーくんが加山さんの曲をあんまり知らないんでしょ。

まーくん - 実はそうなんですよね。参加しているアーティストはみんな本人や親が大ファンだったり愛着あるんですけど、うちは家族揃って全然興味ない。

Tsuboi - 世代的にそうなんですよね。PUNPEEくんの親とか今50代の人は、もう少しあとの世代でちょっとズレるのかなって思いますけどね。何を隠そうウチの親父もグループサウンズのバンドマンなので、ドンピシャで聴いてたんですけど。

- そうですよね。そこらへんもあってTsuboiさんに聞きたいなと思ったんですが。

Tsuboi - なるほど、ところがあんまないんですよ、ハハハハハッ(笑)親は好きだ好きだって言ってましたけど、そんなに加山さんのレコード持ってるわけじゃないんですよ。あるのかなと思ったら途中から寺内タケシになっていって、どんどんシフトしてもうちょっとサグな方向にいってる。その取っ掛かりが加山さんだったって感じですよね。ずっと加山さんを聴いてるというよりは、自然な流れでベンチャーズ、シャドウズ、加山雄三って最初に聴くものとしてある。エレキを弾く和物のかっこいいやつってイメージで買ってたぽいですね。親父は演奏する側なので、ビジュアルというよりはサウンドに惹かれる人だから。加山さんって加山雄三とランチャーズってバンドをやってて。ランチャーズってバンドが結構やばいって、うちの親父が言ってるのは知ってて、実際ランチャーズのアルバムもあって、そっちを追ってるんだって感じでしたね。

まーくん - その会話って何歳のときにしてたんですか?

Tsuboi - おれがDJを始めたときくらいだね。「これいいんだよ」って親父が持ってきた中にランチャーズがあって。他のは全然良くなかったりしたけど(笑)ランチャーズは面白いのがあったね。音がすっげーいいんですよ。喜多嶋舞の親の喜多嶋修さんもメンバーで。そのランチャーズのアルバムの音を聴いて、はっぴいえんどの人たちが、吉野金次さんってランチャーズをやってすごい有名なエンジニアさんに頼んだって聞いて、おれ意外に、間違ってなかったって思ったね(笑)加山さんとはそういう接点がありますね。あとおれは山岳部だったんですけど、加山さんスキー場作ったでしょ?でもそのスキー場は1レーンしかないんですよ。1レーンのスキー場を経営してる感じがハンパないなって思ってましたね。

- やっぱり加山さんはハンパない人ってイメージはありますよね。

Tsuboi - ハンパないですよ。行動力がすごいというか。うちの親から聞いたのかな、事業とかもやっては失敗し、やっては失敗しでしょ?

まーくん - 物事をざっくりとしか考えてないんですよ。細かいディテールに注意しない!モーゼが海分けるみたいな感じでビートルズのことも後輩だと思ってるし。

一同 - ははははは(笑)

まーくん - ビートルズと会って、話して「お前らもプレスリーとか好きなのか?オレの後輩だな」って言ったらしいですよ。

Tsuboi - まあ、年齢的には後輩っちゃ後輩ですよね。

まーくん - 今年80歳のメモリアルイヤーの企画の一環で同じ時期に僕らより少し上の世代が参加しているトリビュートーアルバムもこれから出るんですよ。加山さんは全世代お見通しだというモーゼ感を出すらしくて(笑)加山さんは元々新しいもの好きで、いま新しい音楽の流れにすごい興味がでてる。加山さんの船にいったら爆音でLady GagaとBaby Metalがかかってました。

Tsuboi - ほんとに好きなのかなと思うよね(笑)

まーくん - おれは加山さんの船に乗った唯一の一般人なのね。

Tsuboi - あんま乗れないの?

まーくん - 地球上で一番乗るのが難しい乗り物ですよ。

Tsuboi - ははははは(笑)

- すごい。。でもそういう人じゃないと、こういうコンピにはならないですよね。

まーくん - 頭硬かったら無理だよね。

- 今回どうやってこの話が生まれたのかを聞きたいのですが?

まーくん - 元々俺が加山さんのマネージャーと知り合いでよく加山さんの曲を興味ないのに聞かされてたんだよ。だけど"Black Sand Beach"って曲が凄く良くて、「これRub N Tugにリミックスさせたら面白いんじゃない?、ちょうど今ユカちゃん(VOLKUTA)が、日本の曲の再発掘レーベル始めたからそこから出したらいいし」って適当に言ったら、そいつも乗ってきて。「やるか!」ってなって。

 

まーくん - だけどRub N Tugは今動いてないし、ユカちゃんのレーベルもスムーズにカタログが増えてなくて、だったら俺たちでやろうってすぐになった。NEW JAPAN RECORDSはその為に無理矢理作ったペーパーレーベル。俺らみたいのが大御所の曲を触るなんてありえねえな、NEW JAPANだーガハハって感じで。ちなみに俺はNEW JAPANのメンバーじゃなくて、あくまで仕事を振られたっていうことにしてる。まあ制作に関しては俺の頭の中と人脈がないとどうにもならないんだけど。実は最初に話を振ったのは鎮くんだった。鎮座と加山さんって並び,飛び道具っぽくて面白いなと思って。その時はまだやる曲も決まってないし、鎮くんの方も全然話が進まなくて、じゃあ一番加山さんとやったらみんなぶったまげるのは誰だ?ってなったら「SICK TEAMだ~一番対極!!!」って思ってジャジスポに話しに行った。その時は別にクラシック作るぞなんて考えてもなかったね。でもSICK TEAMは三人だし中々難しいかなってなって。そしたらあっPUNPEEだと思って。それと同時にPUNPEEに"お嫁においで"をRIP SLYMEの"光る音"みたいな構成の曲にしてもらったら、凄い曲できるってイメージが降りてきてすぐ連絡した。

 

- でもPUNPEE君とまーくんは仲良くなかったんですよね?

まーくん -  うん、全然。おれは面白ければ、仲良いとか関係なく誘っちゃうんだよね。それどころかちょっと前にりんご音楽祭で始めて会って初対面なのにすげーディスるっていう、まあ俺の中ではあれはディスじゃなかったんだけど、あとで考えたらハンパ無いディス。「お前ほんとはスゲー頑張ってるだろ!なのに適当にやってるみたいなこと言うな!馬鹿が適当にやっても何とかなるとか勘違いするだろ。センスあるやつなんて馬鹿ばっかなんだからみんな潰れちゃうだろ」って。お前何様だよって話だよね。でも、俺は降りて来たタイミングで動くタイプだから自分の印象なんてまったく気にしなくてすぐにPUNPEEにメールしてた。そしたらすぐ返信来て、その1週間後うちの店で6時間くらいミーティング、って言っても曲の話は15分で、あとはひたすら俺の今気に入ってるテクノを何十曲も聞かせまくるっていうなんだかよくわからないミーティングだったけど。それが最初。

Tsuboi - まず信用させるっていう(笑)

まーくん - そうそう(笑)こういうの知らねえだろ、これ面白いでしょ?みたいな。

Tsuboi - P君には絶対そういう作業が必要ですよね。おれもPくんの間に入って欲しいって言われることあるんですけど、中々難しいというか基本はまず無理ですからね。PUNPEEくんは相当変わってますよ。

- "お嫁においで"があそこまで受けると思ってましたか?

Tsuboi - どうなんだろうね、でもあの曲も完成まで1年半くらいかかってるからね。

まーくん - めちゃめちゃ時間はかかったけど、かなりおれの中にイメージがあったのをやらせたから、ここまでじゃないにせよ、クラシックにするっていう決意でやった。

Tsuboi - それはPUNPEEくんも言ってた。「クラシックにならないと使わなかった手法、ビートであえてやったんでよろしくお願いします」って言われて無茶ぶりすぎるって思って(笑)とりあえず全部テープ通してやるかってやったら、すごい満足してて。

- テープを通すってアイディアはどうやって?

Tsuboi - クラシックなビートをそのまま使うっていうのはあれだったから「テープ通す?90年代のヒップホップとかはテープ通してたんだよ。」って言ったら「それはいいですね」って言われて、やったら、「これはヤバイですね」ってなった。ボーカルだけ通すとかはあるんですけど、全部通したのは久しぶりかもしれない。Mitsuくんの方も全部通してる。作業は大変。昔の人はそれしかなかったけど、いちいち今やるのは中々。あんまり要望はないね。あとマスタリングが大切だから。この作業がどういう意味があって、どうやるっていうのをジャッジする作業だから。この2曲に関してはマスタリングもうまくいってよかった。

まーくん - この2曲のマスタリングは、モノクロ感とハイファイ感を融合させるイメージを持ってた。曲作りに関して俺は完全に素人だからマスタリングに立ち会うの初めてで、エンジニアの人にマスタリングってこういうものですよねって確認で聞いたら、だいたい合ってた。名前を付けるとしたらニューモノクロハイファイ。細かいこと俺は言っちゃうから時間はかかったけど。

Tsuboi - マスタリングってみんな、ちゃちゃっとやっちゃいますけど、ちゃんと世界観を作るべきなんですよね。今回は一貫して最低限のところを抑えてるってこと。ないがしろにしてない。まーくんはうまく間に入ってこういうのを作って、さらにそれを許すっていうのは加山さんはやっぱり力があるよね。それも含めてあんまりいないタイプのアーティスト。本人もいたってノリノリだし。

まーくん - ほんとに若くて。LINEもやっててスタンプめっちゃ使うみたいなんですよね。この企画もおかげさまで成功したから実は次の話もすでに来てて。結構ディレクターって大変だけど今回は信頼してもらってたからやりやすかった。

- 凄い並びの面子ですよね。アルバムの人選はまーくんがやったのですか?

まーくん - いや最初は1曲ディレクションしてくれっていう話がきて、後からAltzくんとRITTOもやってくれってなった。アルバム打ち合わせの中で他の面子の候補を聞いてそれに対して意見は結構言ったり、曲のラフが上がって来たら意見言ったりしたくらいで全部が全部やったわけじゃないね。マスタリングに立ち会ったり要所要所で入ってるけど、自分の担当の曲を仕上げるだけで一年近くかかった。

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