Migosの「Bad & Boujee」が異例の大ヒット中。「Black Beatles」に続くSNS時代のプロモーションの新しい形とは?

MUSIC  2017.01.05  FNMNL編集部

Migosが10月にリリースしたシングル"Bad & Boujee"が、新年最初のビルボードシングルチャートで、過去最高位の2位を記録した。これはMigosにとっても過去最高の順位となり、来週のチャートでは1位を伺う勢いだ。ではインディーレーベルからリリースされ、特に映画やCMなどでも使用されていない曲がどのようにチャートを昇っていったのだろうか。

"Bad & Boujee"の大ヒットの前には、Rae Sremmurdが"Black Beatles"でビルボードチャート1位を獲得している。この曲もこれまでのようなプロモーションではなく、マネキンチャレンジというSNSで流行っていたムーブメントのサウンドトラックに使用されることで、徐々に広まっていった。

"Black Beatles"がヒットした背景には、アパレルブランドPizzaslimeも協力し「ピンポイントにリスナーに届く、やり方がなにか」を模索したレーベルが、SNSと親和性が高いマネキンチャレンジに目をつけたことが挙げられる。

"Bad & Boujee"の場合はどうだろうか。レーベルはこれまで通りに、まずはラジオでプロモーションする方法をとったが、この作戦はうまくいかずラジオでの放送はそこまで伸びなかった。現在、"Bad & Boujee"はSpotifyやApple Musicなどのストリーミングで圧倒的に聴かれているのはなぜか?ではそのきっかけはどこにあったか?

 

それはTwitterでのMeme(ネタ)である。"Bad & Boujee"の大ヒットへのきっかけとなったのは、イラストレーターでコメディアンのZack Foxによる下記のツイートだ。

このツイートは上半身同士がつながった体の、双子ではない犬と猫のキャラクターCatDogの画像とともに、"Bad & Boujee"でMigosのOffsetによる最初のライン「You Know」を組み合わせたも。「クラブから帰ろうとしてるときも、Offsetが「You Know」というのが聞こえてくる」という意味だ。"Bad & Boujee"がどれほど強烈な曲かを指し示すネタだが、このツイートがされて以降、同じラインを使用したネタなどで、Twitterでの"Bad & Boujee"についての言及は、瞬く間に増加していった。なんと10月にリリースされてから、"Bad & Boujee"についてのTwitterの投稿の82%がFoxがツイートした12/8以降に行われているという。

FoxはFaderの取材に対し、「1人の人間のジョークというだけでなく、Meme(ネタ)になって旅に出るというのがわかったよ」と語っている。

さらにもう1つFoxが作ったネタが"Bad & Boujee"を後押しする。Offsetの「Raindrop, drop top」というラインに新しいラインを付け加えたネタもTwitterに投稿され続けた。

Foxは「アーティストとネタを作って、その曲をポピュラーにする人達には相互主義的な関係がある」と語り、さらに「この関係性はより価値が高くなっていくだろう。最初に誰がやったかは忘れられるけど」とも述べている。

このSNSを通じた新しいプロモーション戦略のおかげで"Black Beatles"や"Bad & Boujee"でビルボードチャートを駆け上がっていった。先週だけで、"Bad & Boujee"はストリーミングサイトで3200万回も再生された。

"Black Beatles"の場合はレーベル側が意図的にマネキンチャレンジに使い、それがSNSに広まったが、"Bad & Boujee"の場合はFoxがレーベルと組んでいない限り、ほぼ自然にそして勝手にプロモーションが始まり広まっていったという違いも付け加えておこう。

もちろんこれらの自発的なプロモーションはTwitterなどのSNSで国境関係なく広まっていく。アップされたのはMigosがアフリカのナイジェリアで行った"Bad & Boujee"のライブの模様だ。客もほぼ全てのリリックを歌っている、恐ろしい盛り上がりだ。

日本ではこのようなSNSを通じ、自然にそして勝手に曲が広まっていく事例は、まだ少なく、レーベル側が仕掛けたプロモーション次第ということでしか、その曲がヒットするかどうかが決まる状況が長く続いている。インターネット上で曲が広まるためには、フル音源の解禁や様々な状況の改善が必要になるが、今後必ずこうした形のプロモーションがメインストリームになっていくに違いない。その状況に対して日本のレーベル、アーティスト、メディアはどのように対応していくのだろうか?

MUSIC

FASHION

CULTURE