【レポート & インタビュー】Yaona Sui & 4ngelkidz 『NTS × DIESEL TRACKS』
ロンドンを拠点に世界中のアーティストやDJのプレイを楽しめるプラットフォームNTS Radioと各国のクラブシーンと密接な関わりを築いてきたファッションブランドDIESELによるプログラム『NTS × DIESEL TRACKS』の第2回目が渋谷 ENTERを舞台に12月に開催された。
現在のクラブミュージックシーンの熱気を伝えるこのプログラムだけに、今回もChanaz、4ngelkidz、MoEPiKA、ryota、Mars89、FELINE、Carpainterと多様なDJが出揃った。オープンからそれぞれのDJのキャラクターを表現したプレイで、フロアには早い時間帯から熱気が渦巻いていった。ここからは、パーティーを映像で彩ってきたYaona Suiと、tamanaramenの2人によるDJユニット4ngelkidzのメールインタビューをお届けする。
取材・構成 : 和田哲郎
撮影 : 盛島晃紀
Yaona Sui
- Diesel × NTSのパーティーは初回に続き撮影で入っていましたが、今回のパーティーの盛り上がりはどのように感じていましたか?
Yaona Sui - 前回に引き続き、カメラ片手にこのパーティーに潜入しました。途中、MoEPiKAのDJタイムでは、カメラを持ったままフロア内を移動するのも困難なほど熱狂的な盛り上がりを見せてました。
- 初回の映像も拝見しましたが、引きでパーティー全体を撮るというよりも、様々な瞬間を切り取っていく編集が印象的でした。パーティーやライブを記録する際にSuiさんが最も大事にしているものはなんでしょうか?
Yaona Sui - カメラを自分の体の一部のように使い、自分でしか入り込めない距離感を大事にしています。
- 記録者としてフラットな視線を持たなければいけない部分とパーティーに参加しながら撮影する熱量は両立するのが難しいのではと思いますが、その点はどのように自身をコントロールしているのでしょうか?
Yaona Sui - そこに関しては、あまり難しさは感じていなくて、あくまで自分も楽しみながら映像の中にその空気感を丁寧にユーモアを持たせて閉じ込めていきます。「ここで何かが起きそうだ」みたいなことに気づく瞬発力みたいなものは長けていて、だからすぐに撮れるような機材が好きだし、パーティーの中ではそのようなことを自分自身ゲームのように楽しんでいます。ガンガン踊りながらだって撮れるし、自分の撮影のスタイルを見たことがある人ならわかってくれるはず!
- 映像のスタイルに影響を受けた作品や映像作家はいますか?影響を受けた部分も一緒に教えてください。
Yaona Sui - ないかもしれない。。好きな映像作家は、Pipilotti Rist です。
- これまで遊びに行った中で最高のパーティーと、その中で最も印象に残っている瞬間を教えてください。
Yaona Sui - これは即答でBaticaで2019年にあった『ICEY TITS 090』ですね、いままでたくさんのパーティーに参加してきましたが最も印象に残っているのはこのパーティーです。印象に残っている瞬間は、着ていたファーを脱ぎ捨て、ライブしているアーティストを掻き分けてスピーカーにぶら下がったときですかね、あれは最高にエクスタシーでした。たぶん全然伝わってないですよね(笑) YouTubeに今でもその様子はアーカイブされています。
とにかく会場にいる人たちの感度と純度がすごく高くて一体感が半端じゃなかった。venueがどんな大きさになっても大事にしたいことのひとつですよね。
- Suiさんが撮影してみたいと思うアーティストはどのようなアーティストでしょうか?
Yaona Sui - 2024年には、もっと身近なアーティストとも一緒に制作したいと思っていて、AjahやNtskiともなにかできたらと話しているのでそれはすごく楽しみです。
- お気に入りのDJミックスと、その理由を教えてください。
Yaona Sui - ペルーにルーツを持つ地元のお兄ちゃん的な存在の人が8年前にくれた海賊版のHIPHOP MEGA MIX DVDを今でも車で擦り切れるほど聞いています。ディスクの表面は白で、黒いペンで「ペルー兄」とだけ記されています(笑)。昨年は、その人の娘さんのタミちゃんにも協力してもらい、Mall Boyzの"Do u remember me"のMVに出演してもらいました!
- 今年一番聴いた曲はなんだったでしょうか?理由と一緒に教えてください
Yaona Sui - Bladee x Yung Lean - "Bullets"。BladeeとYung Leanが来日した際にビデオを作る機会をもらって自分にとって思い出深い曲になりました。
- 今後新たに挑戦してみたいことはありますか?
Yaona Sui - 挑戦してみたいことは愛車の全塗装です!パープルのメタリックとかグリーンのメタリックとかに塗りたい。
- 2024年はどんな一年にしたいでしょうか?
Yaona Sui - 自分のエステティックをより太く、より固いものにしていきたい!
4ngelkidz
- 先日のパーティーでは、テクノやベースミュージックなどを軸に選曲していたかと思いますが、2人でDJをする際はどのようにイメージを固めていくのでしょうか?
4ngelkidz - ジャンルで縛ることはあまりしたくなくて、抽象的なイメージの単語(なんとなく形容詞の時が多い気がする…)をプレイ前に打ち合わせしています。今回だったらDieselのイメージから「赤い」というのをキーワードにしていました。
- ライブパフォーマンスとDJプレイはオーディエンスに対して全く違う体験だとは思いますが、お二人にとってDJプレイでの理想的な状況はどういったものでしょうか?
4ngelkidz - フロアに遊びに来てくれたお客さんがみんなそれぞれ自由になれる、みたいな瞬間があったら素敵だなと思っています。
- そもそもDJユニットとしての活動をスタートしたきっかけはなんだったのでしょうか?
4ngelkidz - 代々木のギャラリースペース TOHで、京都の古着屋oasis2と音楽家・美術家のKazumichi Komatsuが『faded yah man』というイベントをやっていて、そこにDJとして誘ってもらったのがきっかけでした。
- 4ngelkidzでの活動がtamanaramenでの制作などに影響を与えている部分はありますか?あるとしたらどのような部分でしょうか?
4ngelkidz - DJをすることで、ダンスミュージックへの理解が深まった気がしています。身体性を意識するというか。
- 普段はどのような方法で楽曲をディグしていますか?
4ngelkidz - 好きなレーベルから辿ったり、サブスクから見たり、YouTubeも好きなのでそこからも探したりします。あとは、お店で流れてる曲とか、日常的にShazamしてます。
- お気に入りのDJミックスと、その理由を教えてください。
4ngelkidz - 『waiting4spring by 4ngelkidz』。自分たちのミックスですが、聞くたびに毎回ワクワクするし、新鮮な気持ちになります。春を一緒に待つ感じ!
- 影響を受けたDJや、特にリスペクトしているDJは誰ですか?
Pikam - Four Tet, DJ Babatr
Hana - COMPUMA, Yousuke Yukimatsu
- これまで遊びに行った中で最高のパーティーと、その中で最も印象に残っている瞬間を教えてください。
4ngelkidz - これはtamanaramenとして出演したイベントでもあるのですが、Meltingbot氏とDaigo Sakuragiの共催で笹塚ボウルでやっていた『BOWLER ROOM』というパーティが印象に残っています。ステージ真ん中ではライブやDJが見れて、ステージを挟んだサイドのレーンではボウリングで遊べるというのが新鮮でした。照明もステージ後ろからの演出で、後光がさす感じで、空間と音が相まって、ずっと夢みたいな時間だった。
- 4ngelkidzとして、今後新たに挑戦してみたいことはありますか?
4ngelkidz - Pikamがロンドンに移住することもあり、海外で主催パーティの『imo』をやりたいです。
- 2024年はどんな一年にしたいでしょうか?
4ngelkidz - 国内だけではなく、海外でのプレイを増やしたいです。
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