【ライブレポート】Kvi Baba 2nd One Man Live Tour 2025 | 内面の葛藤を芸術に昇華、満を持して武道館へ

Kvi Babaが1月29日に「Kvi Baba 2nd One Man Live Tour 2025 『Friends, Family, Fans & God』」の東京公演をZepp Diver Cityで開催した。

ギター、キーボード、ドラムというバックバンドの3人がステージインすると場内が暗転。背景ビジョンにKvi Babaが映し出され、ツアータイトルを読み上げた後に「今日は楽しんで」と語る。照明がパッと明るくなり、バンドが演奏を開始。繊細さの中に熱量を湛えた“Bye Bye (0331)”のイントロとともにKvi Babaが登場した。重さとグルーヴのある生演奏がKvi Babaの表現力をさらに増幅させる。2曲目の“Fuck U & Love U”は歌い出しのフックから大合唱となる。歌詞やアートワーク、MVのキービジュアルを使った映像演出も相まって、早くも場内はKvi Babaと一体となった。

Kvi Babaは「今日はよろしくお願いします! みんな楽しめますか? すごい夜になるよ。」と挨拶がてらに期待を煽って“Fight Song”につなげる。この曲には最初のゲスト・VIGORMANが参加。ハスキーでパワフルな歌声でエネルギーを注入する。ブルーの照明に彩られた“No Clouds”、観客のスマホライトが灯った“Too Bad Day But…”と続き、Kvi Babaは「今日のライブのテーマは最初の映像にあったと思いますけど、Friends=友達、 Family=家族、Fans=みんな、あと神様。僕にとって何一つ欠けたらやっていけないんで、みんないてくれてありがとう」と観客に感謝を伝え、「全員で歌えますか?」の掛け声で大合唱となった“Ms. U”にはidomとSALUが登場した。

「生きることに疲れ果てでもまた/その先に待つ喜びがあるから」という強いフックの“Tired But Fine”、失恋をテーマにした“Baby Come Back”、家族との葛藤を綴った“Planted in Problem”、ステージの縁に座って歌った“二つ目の家族”は、ストーリー性を感じさせる楽曲群だった。このパートはレーザーやライティングの演出も加わり、一歩深い感情の機微が表現された。“ヴァンパイアみたいな気分”、“Tear Wave”、“TOMBI”では、内面の葛藤をダイナミックなバンド演奏とともに歌うことで、芸術に昇華させていることを感じさせた。

「こうやってみんなと一緒に歌って過ごしていくうちに、同じ部屋にいる家族みたいになってきて。僕、人生で決めてることがあって。家族には愛してるの一言をちゃんと伝えるようにしてます。辛い日も難しい日もどうしようもない日も。伝えないと始まらないから」と話してから「みんな僕のこと好き? それとも愛してる?」と問いかけ、スケール感はそのままに“愛槌”に突入する。背景には大きな十字架が映し出され、歌い出しのフックは合唱となる。まさにこのワンマンライブのテーマが体現されたような瞬間だった。Kvi Babaが「誰かに愛を伝えたら、次は“Luv Myself”。Let's Go」と話すと大きな歓声が上がる。シンガロングの声量はどんどんと高まる。まずはAKLOが参加し、2500人が全ラインを大合唱。一体感が高まったところでKEIJUもやってくると観客は絶叫した。

次の曲は、KEIJUがKvi Babaを客演に迎えた楽曲“backseat”。ライブにクールなダンディズムを添え、一気にクライマックスへと向かっていく。Kvi Babaは先立って行われた大阪公演の話題に触れ、KEIJUに「時間経つといい思い出ばっかでしょ? 間違えた時、ミスした時、こんなこと僕が言ってたなって思い出してね。ふっとね」とリリックを引用して“Friends, Family, Fans & God”へ。観客はみんなスマホを掲げる。もちろん2番にはG-kidが登場。ラストヴァースはKEIJUが締め括った。

「最後にみんなに伝えなきゃいけないことがあって。昨日、僕のインスタ観た人いる? 今日はアンコールはありません。“次”があるから。いつも応援してくれる人たち、本当にありがとうございます。キャリアは今年で7年目になって、いろんな人といろんなことがあって、みんなとの時間が増えてきて。次、おっきな挑戦したいな、と。でもラッパーなんで曲の中で言います」とラストソング“City Love City Love City Love”を歌い始める。曲中の「2番出⼝を出た所で逢おう、駅は九段下で」のラインを「2番出⼝を出た所で逢おう、武道館やっからよ!」と変える粋なやり方でキャリア初となる日本武道館公演の開催を発表した。

この日のワンマンライブではKvi Babaの安定したラップのクオリティはもちろん、繊細な表現力や観客を魅了するスケール感を堪能することができた。また緻密な演出も際立っていた。熱量あるファンたちとの関係性も特筆すべきだろう。Kvi Babaは武道館という特別な舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。今から楽しみになるような充実した内容だった。

Kvi Babaの武道館公演『Shout Out to Jesus』は8月28日に開催される。チケットの最速予約抽選受付は2月9日まで。(取材・文 : 宮崎敬太 撮影 : Genki Mizoguchi)

Info

Kvi Baba / 日本武道館公演
『Shout Out to Jesus』
公演日時:2025年8月28日(木)
OPEN:18:00 / START:19:00
会場:東京・日本武道館
席種:全席指定 料金:9,000円
年齢制限:※未就学児入場不可
枚数制限:4枚

チケット最速先行受付
※2/9(日)23:59まで
https://t.co/TSeI3RaS1w

■セットリスト
Kvi Baba「Friends, Family, Fans & God」
2025年1月29日 Zepp DiverCity(TOKYO)

  1. Bye Bye (0331)
  2. Fuck U & Love U
  3. Fight Song(feat. VIGORMAN)- Remix
  4. No Clouds
  5. Too Bad Day But…
  6. Ms. U(feat. idom & SALU)
  7. Tired But Fine
  8. Baby Come Back
  9. Planted Iin Problem
  10. 二つ目の家族
  11. ヴァンパイアみたいな気分
  12. Tear Wave
  13. TOMBI
  14. 愛槌
  15. Luv Myself(feat. AKLO & KEIJU)
  16. backseat(feat. Kvi Baba)/ KEIJU
  17. Friends, Family & God feat. G-k.i.d & KEIJU
  18. City Love City Love City Love

▶︎PlayList Link
https://lnk.to/fmag_setlist

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