【インタビュー】tofubeats『NOBODY』|AI・民主化・J-CLUB

2024年4月26日に発表されたtofubeatsによる最新作『NOBODY』。本人の歌唱はもちろん、ゲストボーカルによる客演もゼロ、そのかわりに全編でDreamtonics社の歌声合成ソフトウェアSynthesizer Vを使用したという本作は、このように書いてみると字面上、アノマリーな作品という印象を受けるものの、作品を聴けばtofubeats流のストロングスタイルなハウス作品であるということがわかるはずだ。リリースから3ヶ月ほど経ったいま、本作にまつわるあれこれ……Synthesizer V導入に至った経緯、いまダンスミュージックに向き合う理由、歌詞への眼差し、今回の取材稼働で何度も語られる「J-CLUB」というワードなどなど……をtofubeats本人の口からつまびらかにしてもらおうと思う。

取材・文 : 高橋圭太

撮影 : 寺沢美遊

- 『POP YOURS』、『森、道、市場』、『KOBE MELLOW CRUISE』とここ1ヶ月は大型フェスへの出演が目立ちましたが、まずはそれらのライブでの所感を訊こうかなと思ってます。いかがでしたか?

tofubeats - 自分のライブに関してはどの出演も企画モノ度数が高かったんですよね。『森、道、市場』、『KOBE MELLOW CRUISE』は藤井隆さんといっしょでしたし、『POP YOURS』もゲストにたくさん出てもらったりという感じだったので。個人的にはヒップホップの曲をメインに扱うライブセットはこのあたりでひと段落させようかなっていう気持ちなので、節目としての稼働でもあったんですよね。今後はダンスミュージックに寄せたライブセットに戻していくというグランドデザインがあるので、そういう意味でもここでやり切っとこうかなと。なので今年はもっと『NOBODY』の延長線上でクラブツアー的なことをやっていくっていう予定でいます。

- 先日、恵比寿ガーデンホールで開催されたdodoさん、VaVaさんとのスリーマン公演でのライブはその片鱗が窺えたという感触があります。

tofubeats - そうですね。オファー受けるときから「ダンスミュージック寄りなセットになりますけど大丈夫ですか?」って確認をしていて、それでもOKとのことだったんで好きにやらせてもらいました。現状、ヒップホップをメインに聴いてるひとたちがダンスミュージック的なものに触れる機会って少ない気がしてて。もちろんダンスミュージック的なサウンドのラップ曲に親しみはあるだろうけど、歌わないライブみたいなことに慣れてないんじゃないかと。だから意識的にダンスミュージックへのゲートウェイになるようなライブにしました。その日、DJで出演してたokadadaさんにも終演後に「今日は“水星”で手振らんかったね」って言われたんですけど、そのあたりも意図的にそうしようと思ってたんですよね。お客さんを誘導しすぎないことでなにが生まれるかという実験、というか。いまの時代、ライブに対して安心感を求められる局面が多すぎると思うんすよ。それはそれでいいんだけど、自分自身はだんだん楽しくなくなってくる。どうなるかわからなくなる確率を増やしたいんだよなぁ。そういう意味でもあのスリーマンの日は新しい試みとして……自分のいまやってるライブセットは去年の年末にAbletonの企画で詳細に解説して、手の内を全部バラしちゃってるんですよ。プリセットも配って、誰でもライブセットが再現できるようにしていて。だからセットを一新しようって気持ちでElectronのOctatrackって機材を使う予定やったんすよ。Octatrackはライブをやりながらリアルタイムで録音できたりするんで、時間軸をいったりきたり、突然前にやってた曲に戻ったりできるし、歌ってる声だけキャプチャーできたりもするから、その場で自分が思いついたことをフレキシブルにできる。ただ、直前にデータの読み出しに失敗して実現はできなかったんですけどね。でもこれからはそういう有機的なライブにできる試みをいろいろしてみようと思ってます。

- さて本題に入りましょう。『NOBODY』、とても興味深く聴かせていただきました。なんとも不思議な触感の作品となりましたね。本作に触れる前に、ここに至るまでの流れとして2022年リリースの『REFLECTION』があったわけですが、その成果と反省から伺おうかなと。

tofubeats - 今回の作品は『REFLECTION』から続いてるっていうよりは、2020年にリリースした『TBEP』からの流れがあって。『TBEP』を作ってる当時は「これからバンバンDJやって、DJ上手くなりたい」ってマインドだった。だったんですけど、結局コロナ禍になったから、逆にそれを転じていこうっていうので『REFLECTION』ができていって。自分の意識としては『REFLECTION』でやってたようなことは、ああいう時期だからこそできたものであって、自分の本流ではないっていうか……本流ではあるんだけど、時節の流れというのが強く出たと思っていて。そこからまたイベントに出るようになって気分が戻ってくると、『TBEP』で進んだ転遷の先に戻っていきたいな、という気持ちがあって、個人的には『TBEP』の続編みたいなイメージで本作の制作をスタートしたんです。『REFLECTION』はひとつの作品としてよくできてるという気持ちはありますが、アルバム1枚のなかで完結しているというか。だから、その流れっていうよりかは、気分的には『TBEP』のネクストステップという意識で作った感じがありますね。

- では『REFLECTION』での技術的な反省点、“まだこういうことができたな”というようなポイントは?

tofubeats - それも『REFLECTION』より『TBEP』での反省が反映されてるかもしれません。もうちょっとクラブミュージックとポップスのバランスをいい感じでできたんじゃないかとか。どっちかというと『REFLECTION』での反省点というより、成果の部分……たとえば“I CAN FEEL IT”は『REFLECTION』制作時のデモのうちのひとつだったりもしたんで、あの作品で得たいい感じのバイブスを『TBEP』のときにできなかったことに当てはめていく、みたいなものが全体的な考え方です。

- 『TBEP 2』的なものとして制作をスタートしたときの青写真はどんなものでしたか。

tofubeats - AIボーカルを使うというのも制作中盤から入ってきたコンセプトで、最初はハウスミュージックが基調ということ、BPMをもっと固定する……BPM120から130の曲でまとめたいっていうことからスタートしたと思います。あと、『REFLECTION』は「自分はどういう人間か」みたいな部分にフォーカスした作品やったと思うんですけど、そことはコントラストをつけたくて、えっと……なんて言ったらいいんですかね。「自分のことばっかり考えてるのをやめよう」って感じですかね。ハハハハ。そこは『REFLECTION』と逆方向から考えたいなっていうのがあって。今回『NOBODY』制作中のキーワードとして、貨幣の成り立ちだったり、贈与について……所有論みたいなことが頭にあって、「自分にものが属してる/属していない」みたいな話、あとは民主主義について書いてある本とかを読んでて、それがアイデア的にはひとつの取っ掛かりだったかなと。それこそAIに関しても、音楽を作るということが民主化されるということと関係してると思ってて。でも、そうやって興される民主化ってはたして民主化なんだろうか、みたいなことを考えてた気がしますね。

- そうなんですね。本作に影響を与えた書籍などあればいくつか具体的に紹介してもらいたいなと思っていて。

tofubeats - えっとですね、まず『所有とは何か ヒト・社会・資本主義の根源』(岸政彦/梶谷懐著 2023年刊行)。それに『アディクションと金融資本主義の精神』(鈴木直著 2023年刊行)。あといちばんおもしろかったのは『経済の起源』(大澤真幸著 2022年刊行)。この3冊がいちばん影響を受けたかもしれない。「選ぶ」ことってすごく深淵なことだと思ってたんですよ。DJも曲を選ぶ作業なわけで、自分もそれをずっとやってきたんですけど、その選ぶっていう行為自体に最近は懐疑が生まれてきたっていうか。音楽自体も最近は先鋭化した結果、選ぶことに特化した行為になってきてると思うんです。DJもそうだし、DTMもそうですよね。あらゆるひとにその権利が与えられたときに、プロの仕事って解体されていくと思うんですけど、その民主主義ってすごくややこしいものになってきてるなと。それがいいことがどうなのかってことを考えるときに、いま挙げた3冊はすごくガイドになりましたね。

- いまおっしゃっている音楽の民主化って、同時に加速も生み出したと思っていて。トレンドのスピードも上がるわけだし、良し悪しあるんじゃないかなと。そういう懸念について、tofuさんはどう考えているんでしょう。

tofubeats - DJっていうのはどっちなんやろうって話になりますよね。そういった加速主義の徒花としての尖兵なのか、かたや無時間、タイムレスなものに接近する行為でもある。DJやってても思うし、音楽を作ってても思うんですけど、自分がやってることって過去の音楽と現在の音楽をミックスすることである種の時間軸から離れようとすることでもあるし、おなじ部分をループさせることによって物理的な時間感覚を歪ませるって効果もある。そもそも音楽って、目に見えない時間だったり空間を知覚する役割ってすごくあると思うんです。自分、DJするときってめちゃくちゃ時計を見るんですけど、それは自分の体感としての時間感覚を都度チェックするために見てて。でも、そういうDJの時間感覚とかもコロナ禍のブランクによって全然わからなくなっちゃって。「DJってなにをやる仕事やったっけ?」みたいな。そういう意味でもその問い直しとしてさっき挙げたような本を読んだって側面もありました。

- 本以外で影響を与えたものってほかにありましたか。

tofubeats - ちょっと待ってくださいね。制作のときに書いてたメモを振り返ってみます……あ、いちばん上に「自発的行動の有無が依存を呼ぶ」って書いてありますね。これって、ある実験があって。ボタンを押すとコカインが少し出てくるっていう装置があって、そこにラットを入れると。それとは別に食料に少量のコカインを入れて定期的に摂取させられるラットがいるんですけど、コカインの血中濃度はいっしょなのに、前者の自発的にボタンを押して摂取するラットのほうが依存しやすいっていう結果が出てて。

- へぇ! おもしろい実験結果です。

tofubeats - これって選択することに対して中毒になってるってことですよね。さっきの「選ぶ」って話につなげると、選択への中毒性って怖い話やなって。選ぶことが民主主義的にえらいということになってるけど、それこそ自家中毒になってしまうという。

- 選択すること自体が目的化してしまう。

tofubeats - 選ぶことが近代化のために必要だっただけって話で。ミュージシャンが自分で書いた曲が他者に評価されることって、依存の類型のひとつとしてすごいベターなことだったりするわけですよね。DJ論に引き戻すと、我々は選択した気でいるけど、はたしていいDJとは選択するってことなんだろうかってことで。そういったことを考えてるうちに、その延長線上で「AIに選択権を委ねる」みたいな想像力につながっていって『NOBODY』のコンセプトに至ったというのがありますね。

- 話がずれるかもしれませんが、いま聞いていて、自分は田中フミヤさんが自身のDJをリアルタイムで解説するって試みをしている映像作品『via』を思い出しました。『via』でも「次にかけるレコードが選ばれる」っていうような話をしていて。

tofubeats - たしかに。『via』、自分も一昨年くらいにDVDを買い直して観たんですよ。でも田中さんのブログ、すごいおもしろいんですけど、それを読むと、レコードバッグに入れるレコードを選ぶ時点からコンセントレーションがはじまってるっていうか。さらに言ったら、主体的に選ぶというより、フロアに与するっていう精神的態度として「選ばれる」って表現をしてると思ってて。その境地までいってみたいもんですよねぇ。そういう意味では「選ぶ/選ばない」って話をしてる段階ではまだ二流なのかもしれないっすね。たとえば企業の社長とかは決めるってことが仕事だから、決めることに疲れてるっていう。そこからさらに上にいくと決めるってことをしないっていうね。

- おお、だんだん「発注向上委員会」の記事に隣接してくる話になってきますね。

tofubeats - そうですね。だから発注はおもしろいんですよ。

- 話を戻しましょう。本作を聴いてみて、自分は全体を通して属人性の薄さみたいなことを感じたんですね。先ほどおっしゃっていた「自分のことばっかり考えてるのをやめよう」という意識からも受ける印象なのですが。

tofubeats - 個人的には、音楽の触り心地としてザラッとさせたい気持ちをグッと押さえてツルツルにしたところがあって。自分自身が影響を受けてるものはどっちかっていうとザラッとしたものだと思うんですよ。でも時代の流れとして、もうすこし滑らかなもののほうが求められてるんじゃないかなと思ってるんですよ。そういう意味でも『REFLECTION』とはちょっと違うっていうか、個性みたいなことから離れたものをやりたいなとは思ってて。音楽をパーソナリティから離すというか、テイストとしてツルッとした感じっていうんですかね。これ、言葉で説明するのが難しいんですけど、クラブミュージック全体でもそういう傾向を感じてて。そこに合わせて、というのはだいぶ意識しました。具体的に言うと、BPMが速めだったり、ちょっとだけトランシーだったりとか、クローズのハットが多用されてたりだとか。

- そういう意味ではtofuさん自身にもともとあったチャンネルではなかった。

tofubeats - ああ、そうですね。無理してというわけじゃないですけど、できる範囲でそういうテイストに挑戦してみようと。これは自分の勉強も含めてですけど。

- そこからSynthesizer Vを導入するに至った経緯は?

tofubeats - "I CAN FEEL IT"が『REFLECTION』のときに作ったデモとしてあって、でもまだ全然完成してなかったんです。最初は男性向けのキーだったんだけど、かといって自分が歌う感じでもないし。「これ、だれもハマらへんなぁ」みたいなときにSynthesizer Vが出て、仮歌入れてみたらいいかもとなって。そこからもう1曲このソフトを使って"EVERYONE CAN BE A DJ"ができたところで、これはコンセプトを固めたほうがキレイかなと思って進めていったという感じです。

- もともとAIによる合成音声には興味はあったんでしょうか?

tofubeats - Synthesizer Vが出る前にVOICEPEAKっていうおなじ研究者のフア・カンルというひとが作った音声読み上げソフトがあって。それは自分の動画シリーズでも使ってるんですけど。VOICEPEAKでいいなと思ったのが、「男性」や「女性」みたいな表現の仕方なんですよ。初音ミクみたいな、いわゆるIP(※知的財産、この場合はキャラクターやコンテンツを活用して収益を得るビジネスモデル)がそこまでない。自分がここ数年すごく考えてることとして、大衆に売れるものって結局はIP化していく……わかりやすいキャラクターだったり、たとえば矢沢永吉にとっての「YAZAWA」人格みたいな、そういう別の同一性のあるキャラみたいなものがないと売り出す側としては難しいわけです。そこが個人的にあんま乗れへんところで。初音ミクも結局はソフトに歌わせてるというより、初音ミクというキャラに歌わせるという感覚ですよね。それって自分にとってはゲストボーカルに頼んでるのといっしょなんだよなっていう。一応、Synthesizer Vにもキャラ名みたいなのがあるんですけど、それをまだみんなが受容してない状態というのが本当によくて。

- まだタグが付いてないというか。

tofubeats - そうなんですよね。聴くひとに先入観を持たせないという感じがすごくいい。これが今後受容されて初音ミクみたいなものになったら、たぶん自分の作品では使わなくなると思うんです。あと、"I CAN FEEL IT"を提供できなかった理由として、歌詞がちょっと暑苦しいという感じがあったっていうのもありますね。そういうのもSynthesizer Vを使うことによってちょうどいいバランスでできたのかなと。

- ちなみにこれまで初音ミクなどのボーカロイドを使ったことはあるんですか?

tofubeats - あります、あります。それこそtomad(※DJ/Maltine Records主宰)が唯一やってたCDRレーベルから1曲出したりもしたし、デモの仮歌で初音ミクを使ったりっていうのは全然あって。ただ作品で使おうと思ったことはないですかね。

- 具体的に初音ミクを扱うこととSynthesizer Vを扱うことの大きな違いはどんな部分でしょう。

tofubeats - これは気分の話ではあるけど、さっき言ったみたいに、前者は初音ミクに対して曲を作ってるって感じがする。初音ミクのファンダムみたいなものがあって、そこに入る/入らない、それに対して乗るか逸るかみたいなスタンスが発生しちゃうというか。あと、個人的には「調教」って言葉とかがしっくりきてないというのもあったり。でも、そういう物言いによって成功している面があるのもめっちゃわかる、みたいな。Synthesizer Vはそういう気分から距離があるっていうのがいいですね。それにめっちゃ簡単なんですよ。ディープラーニングを使うことのすごさとして、1〜100までの「怒り」みたいな抽象的なスライダーが5本くらいあって、それをいじるだけで歌ってるテイストがめちゃくちゃ変わるんです。細かくやろうと思えばどこまでもできるんだけど、適当に打ち込んで簡単なスライダーをいじるだけでこのぐらいのクオリティのまま出力されるという。自分も事後的にフォルマント(※発声における複数の周波数のピーク)を変えたり、いわゆるオーディオ的な処理はしてるんですけど、ボーカル自体はほぼベタ打ちなんですよ。凝った打ち込みとかまったくしてなくて、ただ音符をベタに打ち込むだけでこのぐらい歌ってくれるっていう。

- とはいえ、歌わせるうえでtofubeatsとしてのタグみたいなものはどこかにつけなきゃいけない。

tofubeats - ああ、ないっすね。マジで誰が打ち込んでもこうなるぐらいのレベルでしか打ち込んでない。特殊な技術とか一切なくて、本当に細かいことしてないんですよ。基本的には花隈千冬っていうボイスの名前があって、それをメインで使ってるんですけど、いる/いらないっていうドライな判断でいろんなボイスを使ってみて、その基準も単に好きか嫌いかっていうだけで選んでいて、思い入れとかはマジでゼロです。"I CAN FEEL IT"の解説動画を見てもらえればわかると思うんですが、声の処理以外は誰でもできる。その敷居の低さってすごくDJっぽくもありますよね。誰でもできるからこそ、歌詞の内容だったり気分の部分が逆にデカく感じられるみたいなのもおもしろかったですね。で、声の処理に関しては、合成音声なんだけど人間の声っぽく処理するっていうのが肝で。普通は合成音声にアウトボード(※外付けのハードウェア機材全般)を通したりはしないと思うんですけど、今回はいつも誰かに歌ってもらうときのルーティンとおなじようなプロセスを踏んでます。ミックスのリファレンスは特になかったと思うんですけど、制作時にRosaliaとかのエンジニアをやってるJaycen Joshuaのレクチャー動画をよく見てましたね。あそこまで世界的なエンジニアでも、どこまでいってもエッセンシャルさが基本というか、飛び道具を使わず、セオリーに従ってやってる。

- では声質の好き/嫌いの判断は具体的にどんな基準で?

tofubeats - いわゆるディーヴァっぽくなくて、ストンって歌ってくれるという感じ。これ、普段のボーカルを探すときもいつも思うことなんですけど、プレーンに歌うのっていちばん難しいんです。あとは歌詞が全体的に熱血な感じになってるんで、プレーンに歌って平熱感が感じられるものがよかったというのはあったかもしれません。

- ナタリーのインタビューで触れられていたフア・カンル氏のインタビューを読んだんですが、「Synthesizer Vがリアルなのは、人間の声のランダムな変化を、どこまでモデリングできるかという研究の結果」という発言が印象的で。実際に使ってみてtofuさんはどんな部分にそういった感触を感じられましたか?

tofubeats - たとえば、ドとレに音階が変わるときと、レとミに音階が変わるとき、音の変位の量はいっしょなんだけど、人間の声帯的には微妙な違いが出ますよね。カラオケとかでキーを変えるってことがあると思うんですけど、キーが変わることで、メロディーの推移はいっしょなんだけど声のテクスチャー自体が変わってしまう、みたいなことで。たぶんこれまでの合成音声ソフトだとただその音階の推移が変わるだけで声の変化というのはないんだけど、Synthesizer Vはそういった変位のテクスチャーが色彩豊かな感じがするんですよね。そもそも音のつながりがすごくキレイな感じもするし。おもしろい話ですけどね、人間の声のランダム性を再現することで数字としてはいびつになるんだけど、聴感上はキレイに聴こえるっていうのって。

- "I CAN FEEL IT"以外の曲の歌詞はSynthesizer Vを使うと決めてから書いたんでしょうか。

tofubeats - "EVERYONE CAN BE A DJ"以降の曲はもうSynthesizer Vありきで書いてます。

- なるほど。自分は"I CAN FEEL IT"で〈魂燃やして燃え尽きるまで〉って歌詞を生成AIに歌わせることがおもしろいなと思ってたんですが、そこに関しては歌詞は先だったと。

tofubeats - そうなんですよ。でも、AIに歌わせることによって意味が浮かび上がってきたというのがすごく自分としてもおもしろくて、そこから逆算的に『NOBODY』のコンセプトが固まっていったっていう。あと、興味深いのは音楽を作ってると自分の潜在意識がどこかで合致するっていうおもしろさがあって、"I CAN FEEL IT"とかはマジでそれやなって思った。

- 自分としてもボーカロイドによる歌にはもう免疫ができてるつもりだったんですけど、いざ『NOBODY』を聴いてみると、その虚無感というか、ある種のディストピア感を感じるなと思って。その意味で坂本慎太郎さんが書くような歌詞世界とも共通する部分を感じました。

tofubeats - 坂本さんも自分にとっては作詞のゴールの作家のひとりですからね、やっぱり。歌詞に関してはめっちゃくどい感じにしてるので、より不在の部分が際立つというか。そこはすごく意識しました。それでタイトルが『NOBODY』というのはちょっと直球すぎる感じもあったんですけどね。ハハハハ。

- Synthesizer Vありきで作った歌詞に関して、イメージとして、たとえば風景でも人間でも情景でも何でもいいんですけど、EPに通底してるイメージってイメージありますか?

tofubeats - これはいろんなところで話してる話なんですけど、自分が生成AIっていうものや技術に対して思ってる感情の源泉みたいなものがあって。Smith N Hack(※ErrorsmithとSoundstreamのふたりからなるベルリンのユニット)とか、Jessy Lanza(※カナダ出身のエレクトロニックアーティスト)の『DJ Kicks』を聴いてた流れで、サジェストで流れてきて「めっちゃええやん!」ってなった曲があったんですけど、でもよくよく調べたらAIだったって話があって。cosmic violenceの"jupiter is dead"って曲なんですけど。それってマジで示唆に富んだ事件で。まず曲がAIによるものだってことに気づけなかった自分にもショックですし、AIだってわかったときにショックを感じた自分に対してもショックだったわけですよ。テクノロジーが進歩してることに興奮してなくて、「これって人間じゃないんか」みたいな……結局、自分っていうのはコンテクストみたいなのが好きなだけであって、音楽自体をそこまで好きじゃないのでは、って思うわけですよ。これって全部の生成AIがその問題を孕んでいると思ってて。たとえばコールセンターでしゃべってるひとが人間じゃなかった、みたいな話って、なんともいえない、これまでになかったジャンルの感情なんですよね。なので、そういうものを全体のテーマに据えようと思ったんですけど。

- 意外と自分にも人間特有のものに対しての執着があったという気づきが。

tofubeats - そうなんですよ。でも、LOVOT(※GROOVE X社による家庭用ロボット)とか飼ったら可愛いって思う、みたいなおもしろさも感じてて。だから『NOBODY』を聴いて異常に落ち着くひととかもいるはずなんじゃないかな。自分でも"I CAN FEEL IT"いい曲やなって思うし、これを人間が歌ってるかそうじゃないかっていうことがどんだけ大事なんだ、みたいな話ですよね。これ、初音ミクみたいな記名性があるソフトが歌ってたら生まれなかったと思うんですよ。でもそういう記名性がない状態でどう聴かれるかっていうこと自体が基本的なテーマのひとつでもあって。

- 今回の音声は女性の声がメインですが、男性の声を使わなかったのにはなにか理由がありますか?

tofubeats - これも作ってて思ってたんですよね。これに関しては趣味としか言いようがないです。あとは自分の声があるからというのもあるんですよね。ボーカリストにお願いするってなったときって、基本的に「自分ではできないから頼む」っていうのもあるわけじゃないですか。そうなると、どうしても客演は女性ボーカルになりがちで。その意味では今回はボーカルに関してもSynthesizer Vでまかなうという形だったので、リアルな話、原盤制作費はストリングス以外、ゼロ円。自分のなかで過去いちばん予算が少ない作品になっててちょっとショックでしたね。

- ハハハ。これまでなにをしてきたんだっていう。

tofubeats - そうそうそう。でも、Synthesizer Vを使ってみて、ここまで人間の声で歌わせられるっていうことの危険性も感じましたね。ちょっと前にあったじゃないですか、おなじSynthesizer Vで花譜ってVTuberがボイスバンク(※特定のキャラクターによる歌声ライブラリ)を出すって話だったのが、あまりにも本人に歌ってるようになってしまうために発売を差し止めたって話。それで作られた曲を聴いて、ボイスバンクをリリースした側が「こんなこと歌わせてほしくなかった」って思ってる可能性があるわけですよね。それはもちろんしかたないっちゃしかたないけど、予感として、タガが外れていく感じは自分で作っててありましたね。

- もしかしたら今後大きなAI論争が起きたときにその特異点が『NOBODY』だったということもあるかも。

tofubeats - そういう気分は記録しておこうみたいな感じは全体的にありましたね。将来ね、自分がAIになり変わったときのために。

- ハハハハハ! とはいえ、なくはない未来だから怖いですよ。ちなみに本作でボイスサンプルとして使用している声素材は合成音声ですか?

tofubeats - ブレイクビーツに入ってる「ウッ!」とか「ハッ!」みたいな声とかだけは自分の声を使ってます。今回はコントラストとしてバックグラウンドのプロダクションはアナログ作業が多くて、Synthesizer Vのボーカルをわざわざ真空管のアンプに通したり、DENGEROUS MUSICのサミングアンプ……これ、大変素晴らしいんですけど、端的に言うと音楽スタジオの大きいコンソールってあるじゃないですか。そのアンプの部分だけ抜き出して小さくした機材で。みなさんがCDとかで聴くような音って安心感がありますよね。そのスタジオのコンソールを通して生まれる安心感をサミングアンプによって出せるっていう。すごく音が馴染むんですよね。そういう地味な遊びはやってますね。ストリングスもはじめて入れてもらってますし。すごくインザボックスな作業だったというのもあって、“NOBODY”の最後は生ストリングスで終わらせたいって決めてはいたんです。ベタっちゃあベタですけど、それがすごくキレイな締め方かなと思って。

tofubeats - “NOBODY (Slow Mix)”は原曲ができて、再生速度遅くして聴いてみたらめっちゃいい感じやなと思って。でもそれをPC上でやってしまうとコンセプトがブレてしまうなとなったので、わざわざ埼玉の狭山のハードオフまで行ってオープンリールを買って。それを通してスクリューにしました。

- tofuさんの作品にはスクリューの楽曲が頻発されてますよね。

tofubeats - そうなんですよ。自分自身がスクリュー好きっていうのもあるけど……これはDJスクリュー(※ヒューストン出身で、レコードの回転数を極端に落とすスクリューの手法を発明したDJ)も言ってるけど、遅くすると歌詞がよく聴こえますよね。

- たしかに。"NOBODY (Slow Mix)"も、遅くすることで合成音声の発音の甘さに気づけるんですけど、自分はその部分にこそある種の人間味を感じてしまいましたね。さて、作詞の話題に戻ると、『NOBODY』はtofuさんの作品のなかでもかなり語数が少なくなってると思うんですよ。

tofubeats - そうですね。語数でいったらめちゃくちゃ少ない。おなじフレーズの繰り返しも多いですし。

- さっきおっしゃっていた、時流に合わせたツルッとしたテイストという部分以外にも、ご自身の短くないキャリアのなかで言葉自体がブラッシュアップされてきたのかなという印象も持ちました。

tofubeats - それはめっちゃあると思いますね。自分としてはクラブミュージックとJポップの中間みたいなバランス感を目指していて。改めて最近、2015年に出した"STAKEHOLDER"ってマジでいいバランスの曲やなって思ってて。言いたいことさえちゃんとまとまってれば語数は少なくていいっていうのと、一般的なフルコーラスの分量で書くことで情景が限定されすぎるなという意識があって。最近よく思うんは、ラップとかってスペースを埋めるために言わんでいいことまで言ってるんじゃないかなってことで。そういうのを自分の場合は極力やらないようにしようというのは考えてましたね。

- もちろんラップは余剰に無駄に入れ込む言葉におもしろみがあったりするパターンはあるけれど。

tofubeats - たしかにそういうことは全然あるんだけど、自分のやる音楽に関してはそういうサービスみたいなものは極力廃していきたいという気持ちをここ何年かは思ってて。言葉はかっちり置いていきたいし、投げやりな語尾にもしたくない。それさえ注力してれば無理して2ヴァース目を書く必要はないんじゃないかなって思います。"NOBODY"なんて3回おなじこと歌ってるだけやし。

- "YOU-N-ME"も怖いくらいシンプルですもんね。語数が少ない作詞、という部分で影響を受けたものってありますか。

tofubeats - これはずっと言ってるんですけど、ECDさんと小西康陽さん。このふたりで自分の作詞道みたいなものは完結してる。ふたりとも無駄なことは言わないし、無駄なことを言うぐらいだったらおなじことを2回繰り返すっていう。あと、長くやればやるほど適当に言った言葉が自分に返ってくるって実感があって。たとえば"Too Many Girls"をいまライブで歌うときとか。もう結婚もしてるし、非モテみたいな自意識もゼロなわけですよ。他人を見ててもべつにひがんだりもせんし。

- 当時はリアルな感情だったとしても。

tofubeats - だとしても、いまの自分に返ってくるっていうのは……ライブとかでずっと歌い続けることで痛感しますね。あと、作ってるときは何回も聴くもんなんで、ダラッとさせないようにというのは本当に意識してる。

- 今回の作詞において、ほかに影響を与えた出来事ってありますか? 文献とかではなく、個人の体験として。

tofubeats - どうだろう……でも、今回そういう意味での思い出みたいなのが正直あんまりないのもおもろくって。

- ただ、ダンスフロアを想起させる歌詞は多くありますね。"NOBODY"や"EVERYONE CAN BE A DJ"、"Why Don't You Come With Me?”あたりは顕著です。

tofubeats - 完全にそういう感じですね。シンプルなハウスミュージックみたいなものってオーバーグラウンドなフィールドではあんまり最近ないジャンルではあるんで、それをやりたいなとはずっと思っていて。

- コロナ禍が明けて、ライブやDJがだんだん再開できるようになったという反動もあるのかもしれません。

tofubeats - それはもちろん。あと、最近は自分が歌ってばっかりやなって思うんですよ。もちろんライブでは歌うんですけど、歌わない時間みたいなものも大事にしたいっていうか。こういう感じで作品にしてアウトプットしないとお客さんが受け止められないっていうところもあると思うんです。いろんなアーティストが出るようなイベントでこういうジャンルの音楽をやるのって最近は特に難易度が高い。『NOBODY』リリース前に一切歌わないセットも何回かやってるんですけど、いい感じになる現場もありますし、もちろんめっちゃスベる現場もある。でも段階としていまは自分が歌わなくても成立するライブをちゃんとやりたいなみたいな気持ちがすごくありますね。

- そして今回いろんな媒体でのインタビューで頻出している「J-CLUB」というジャンルの話も伺いたいと思ってて。

tofubeats - めっちゃ大事な話ですよ。去年ぐらいから弊社内および、ミッツィー申し訳さん(※有限会社J-CLUB代表取締役。DJやイベント主宰など幅広く活動)としゃべってて「tofubeatsは最後のJ-CLUBアーティストなんじゃないか」っていう。

- TSUTAYAとかGEOでの棚分けでよく見たジャンルですよね。

tofubeats - 大まかにいうと、メジャー流通でクラブミュージック的なことをやっているアーティストっていうか。で、自分自身もJ-CLUBの申し子なわけですよ。J-CLUBの棚を片っ端からレンタルすることで自分のクラブミュージック観を形成していった男なので。加えて、『TBEP』の反省点として乙女ハウスを作りきれなかったというのがあって。乙女ハウスって言葉はちょっと語弊ありますけど、思ってたボーカルハウスにできてないなってのがあって。それをやり遂げるために"I CAN FEEL IT"ができたっていう。

- それこそ先日Apple Musicで発表されたミックス『VISION: tofubeats (DJ Mix)』からもJ-CLUB的なバイブスを感じました。1曲目の小泉今日子さん"Fade Out"からしてJ-CLUBの源流という感じがしますね。

tofubeats - もともと好きではあったんですが、ここ最近で自分のなかでの近田春夫さんブームが来ていて。きっかけは『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』(近田春夫/下井草秀著 2021年刊行)を読んで、ほんとにいい本やなと思って。そこから近田さんワークスを改めて聴いたりして、その流れで。3曲目に入ってる桐島かれんさん"GYPSY WOMAN"も近田さんのプロデュース楽曲なんですけど、原曲は信じられないくらいブーミーなバランスなんですよ。めちゃくちゃ低音を出してる。だからミックスに入れるにあたってめちゃくちゃEQをいじってはいるんですが。近田さんは何回かお会いしたことあるんですが、天然な部分と計算な部分、あとヤンキー性が相まってすごく魅力的なかたでしたね。

- tofuさんが思うJ-CLUB、たとえば具体的にどんな作品やアーティストが浮かびますか?

tofubeats - 元気ロケッツやDJ KAWASAKIさんのいわゆる乙女ハウスな系譜もそうですし、MONDO GROSSOさん、リア・ディゾンさん、中田ヤスタカさん、DE DE MOUSEさん、Fantastic Plastic Machineさんあたりが思い浮かぶ感じですかね。でも、ああいう雰囲気の音楽ってどこにいってしまったんやって気持ちがずっとあって。自分としても、すこし前はMaltine Recordsがあって、その周辺アーティストとしていろんなイベントに出て、それがちょっとずつヒップホップのイベントに呼ばれる機会が増えていって……そのなかでこういうJ-CLUB的なものを提案するチャンスに恵まれてないなってのは、正直ここ数年すごく思ってて。たとえば自分のライブで“LONELY NIGHTS”をハウスにしたりっていう駆け引きはずっとしてたけど、ちゃんとその方向性もがんばりたいなと。J-CLUBみたいなオーバーグラウンドでできる提案の仕方というか。あと、この言葉ってありがたみがないのもいいなと思ってて。だからこれは自分らだけが言ってればいいことだなって。とはいえ、乙女ハウスとかもクラブミュージックの入り口として機能してたと思うし、それがいまだったらアマピアノとかだったりするだけなんやろうなとは思うんですよ。そういった入り口であることに加えて、自分自身のノスタルジーももちろんあると思いますね。自分を形成したものの一部として確実にあるもんなので。

- 自身のルーツでもあると。乙女ハウスってジャンルに関しても、もちろん過剰に流行してしまったことに批判はあるにせよ、決してバッドテイストというわけではなかったですもんね。ニューヨークハウスをどう日本人向けに味付けするかという点でかなり最適解に近かったと思いますし。

tofubeats - マジでそうなんですよね。ああいうちょっとウェルメイドなJポップというか、クラブミュージックっぽいもののエッセンスが入ったポップスとして、日本独自の進化をしたものだと思うんで。恥ずかしがらずにそういうのをやっていこう、という気持ちはありますね。そういうとこから影響を受けて自分もいまだにハウス好きですし、自分のことをハウスDJやと思ってるんで。

- ありがとうございます。『NOBODY』についてはいろいろお話伺えたんじゃないかなと思っているんですが、次作の展望や今後の動きについても訊かせてもらおうかなと思っていて。

tofubeats - これから『NOBODY』のアナログ盤が7月17日に出る予定で。アナログ盤では“NOBODY (Slow Mix)”を外して、収録分数を減らすことによってギリ1枚に収めて。ワーナーのカッティングで、自分も現場に立ち会ったんですが、いい感じになってると思いますね。で、今後……いやぁ、作品を作ると毎度のごとくなんですが、いまはまったくゼロの状態で。ここまでいったら次どうすんねんみたいな感じがマジでありつつ、逆にもうなんでもいいんじゃないかなという気持ちもあります。自分が歌おうが、ほかの誰かが歌おうが、AIが歌おうが、インストだろうが。そういう自由な土壌を作っていきたいなっていうのはありますね。

Info

EP「NOBODY」

・アナログ盤 7月17日発売

WPJL-10214 税込¥4,180

ご予約受付中:https://tofubeats.lnk.to/NOBODY_Vinyl

■収録内容

1.I CAN FEEL IT (Single Mix)

2.EVERYONE CAN BE A DJ

3.Why Don’t You Come With Me? 

4.YOU-N-ME

5.Remained Wall

6.I CAN FEEL IT

7.NOBODY

WARNER MUSIC STORE限定トートバック付きセット

価格:税込¥6,680

https://store.wmg.jp/collections/tofubeats/products/3724

・デジタル配信中

https://tofubeats.lnk.to/NOBODY

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