【パーティーレポート】新曲も多数披露されたDaichi Yamamoto x JJJ x STUTS 3マン | アフターパーティにはOMSB&VaVa……意外なあの人の飛び入りも
東京・Spotify O-EASTが主催したスリーマンライブ『Daichi Yamamoto x JJJ x STUTS』が9/9に開催された。本公演はまず最初に出演者&会場を伏せた状態でチケットを限定販売した。それに一部の人が「なんかよくわからないけど面白そう」と反応して即完売。そして公演内容を情報解禁すると「みんなが今観たい3組」ゆえに一般販売も即完。さらに出演者とタイムテーブルはシークレット、写真撮影NG、SNS禁止のアフターパーティの開催も決まり、発売後すぐに上限枚数に達してしまった。
取材・文 : 宮崎 敬太
撮影 : 廣田 達也
オープニングアクトのLe Makeupは17時半ごろに登場。すでに3階まで超満員だった。彼の出演はチケット完売後に発表された。ヒップホップ、アンビエント、R&B、インディロックなど様々なサウンドに影響を受けた2020年代のオルタナティブなシンガーソングライター/プロデューサーだ。アルバム『Odorata』収録の"Dress"、"あの話の続き"など5曲を歌唱した。
スリーマンのトップバッターはDaichi Yamamoto。バックDJにPhennel Koliander、トークボックスにKzyboostという3人編成。リリックの温度感がたまらない"Simple"からスタートして、2曲目は新曲。緊張で歌詞を飛ばしてしまうも、このビートがJJJプロデュースだとフリースタイルで明かし、Kzyboostの即興でコーラスが乗せると場内の雰囲気が一気に良くなった。KMプロデュースの"Testin"と"MYPPL"でギアを上げたところで、STUTSがゲストで登場して"Cage Birds"をプレイ。STUTSがマイクを握ってラップするシーンで観客は大いに沸いた。
Yo-seaの"nana"、Kzyboost"Zero"、ライブ定番曲"Wanna Ride"を経て、"Ego"へ。イントロから歓声が上がり、Daichiが「We’re Going?」とコールすると、観客が「Down!」とレスポンスする。いいエネルギーでDaichiのヴァースを終えると、待ってましたとばかりにJJJが登場して切れ味抜群のラップを聞かせた。"F1 feat. CFN MALIK"、代表曲"Let it Be"をガツンと聞かせてラストは名曲"everyday people"でステージを終えた。
2番手のJJJはFla$hBackSの"Sour Picture"からライブをスタート。バックDJはAru-2。気づけばこの曲を収録したアルバム『FL$8KS』のリリースから10年が経った。この日は若い観客が多いように感じたが、Febbのシャウトでは大きな喝采が沸き上がっていた。"July"、"loops"とアンニュイなグルーヴを経て"Cyberpunk"へ。BenjazzyのパートもJJJがラップすると、会場が沸騰していく。続く"Friendskill"ではCampanellaが登場。タイトル通りとてつもないラップスキルの応酬で観客の興奮も収まらない。
"Taxi"のイントロとともにJJJが「いつもありがとう」とDaichi Yamamotoを呼び込む。2ステップのビートで楽しそうにラップする二人が印象的で、ワンマンともフェスとも違う和やかなムードがステージから感じられた。"STRAND"、"Maktub"、"Beautiful Mind"はJJJのリリックがしっかり聞き込めるパート。一緒に口ずさんだり、グルーヴを捕まえて揺れたり、各々が音楽を楽しんでいた。
そんな空気の中、JJJが目の覚めるようなアカペラのラップをかました後、"Eye Splice"のイントロが流れ、「歌えるやつは一緒に歌ってください」とJJJが言うと大合唱が巻き起こった。ものすごい勢いのまま曲を歌い終え、上気した会場で「次は友達が来るんで」と話すと、STUTSが小走りでステージに入ってAru-2の隣に立った。その姿に観客から「かわいい」と声がかかる。そして"心"。フックにはスペシャルゲストのOMSBも駆けつけた。2023年を代表するであろう1曲を、会場も含めてみんなで歌った。JJJは「普段仕事とか、学校とかダルいでしょ? だけど今日は踊って帰ってください」と再びCampanellaを呼んで"Filter"を披露。もはや圧巻と言えるコンビネーションで強烈なライブを終えた。
STUTSは小さな基地のようなブースに入った。今回はバンドではなく、完全なソロセット。STUTSのグルーヴを生み出すMPCに加え、各種サウンドを司るAbleton Liveとコントローラー、キーボードというシンプルな構成。
"Back & Forth"を演奏するとSTUTSは「本日はDaichiくんとJJJとの3マンで本当にすごく大切な友達しかいないので、めちゃくちゃ良い日だなって思っています。みなさんも楽しんでいただけてたら嬉しいです。よろしくお願いします」と挨拶した。次にプレイした"Pretenders feat. C.O.S.A.,Yo-Sea"は、今年の夏、いろんなクラブで何度も聴いたサマーチューン。ステージにいない客演陣のラインは観客がしっかりコールした。
ここからはDaichiとのセッションタイム。"Expressions"のヴァースをラップした後、Daichiオンリーの"Mirrors"へ。2曲が終わるとSTUTSは「Daichi Yamamotoくんです!本当は(『Expressions』で)Campanellaさんと“山本から山本”のラインをできれば良かったけど、(Campanellaが)別のライブに出るからもう(会場を)出ちゃったんです」と明かす。そう、実はJJJに客演したOMSBも同じく渋谷で開催中の別イベントに出演しており、みんなこのスリーマンのためにタイトなスケジュールの合間を縫って駆け付けていたのだ。STUTSはDaichi Yamamotoと"Presence"をプレイした。
続く"One"でSTUTSは自分のヴァースはもちろん、tofubeatsのフックもラップして聞かせた。その後、ギターフレーズのループから2ステップのビートが絡んで、フルートなどSTUTSっぽい音も入るUKのバイブスを感じるインストを演奏し、BIMが参加した"マジックアワー"、"ひとつのいのち"を聞かせた。さらに"Voyage"からはJJJがマイクを握り、BIMのラインは観客に歌わせた。JJJとSTUTSといえばこの曲"Changes"。もう何度聞いたかわからないけど、やっぱり最高に良い。スリーマン最後の曲は"夜を使いはたして"。この曲もいつ聴いても元気が出る。おそらくこういう曲たちをのことをクラシックと呼ぶのだろう。
STUTSは「(スリーマンを)企画してくださったダイキさんに改めてありがとうございます。1stアルバムを出したときくらいからご一緒させてもらってて、また『夜を使いはたして』で最後を締められて良かったです。今日は皆様楽しかったでしょうか? 僕も最高の日でした。またどこかでお会いしましょう。STUTSでした」とステージを後にした。
本来はアンコールなしで終演の予定だったが、手拍子が鳴り止まないのを見かねてSTUTSが舞台に戻ってくる。「なんかこんなにアンコールしてもらってるのに申し訳なくて……。急遽やらしてもらうことになりました。自分で良いのかな?」と話しつつ"Season Pass"を演奏して、最高のショウを優しく締めくくった。
アフターパーティは同日の24時からSpotify O-nestで開催された。出演者もタイムテーブルもすべてシークレット。実を言うとオフィシャルレポーターの筆者もほとんど概要を知らなかった。O-nestに到着するとまず目に入ったのは、MonyHorseプロデュースでお馴染みのMONICHIKI HOUSEの出張所。とりあえずどデカいバーガーでお腹いっぱいになって、フロアに降りるとステージにはO-EASTで撮影スポットになっていたDaichi Yamamoto、JJJ、STUTSの等身大パネルが展示されていた。
オープニングはKzyboostのDJ。めちゃくちゃ意外だが、KzyがDJするのは今回が初めて。あとあと聞いてみたところ、前日の朝4時までみっちり練習してきたと笑いながら話してくれた。最初こそ緊張しているように見えたが、すぐにフロアがパンパンになり、お客が身体を揺らし始めると、“Kzyらしい”R&Bがプレイが鳴りはじめる。ミッドテンポのグルーヴを中心に、ビートミュージックのバカでかい低音がO-nestの床を揺らした。
25時ごろになるとVaVaがDJで登場する。どんな曲をかけるのかなと楽しみにフロアに行くと、意外にもクラシックな四つ打ちのハウス/テクノが中心。バーでひと休みしてお酒を飲んでいた人や、喫煙所で一服してた人が再びフロアに戻ってきてnestはパンパン。この日のルールは写真撮影&SNS禁止。普通のパーティではおそらくみんなスマホを掲げていたはずだが、この日はみんな音楽とお酒と場の空気を楽しんでいたように思う。中盤からはオルタナティブなヒップホップにスイッチして、ものすごい湿度の中、VaVaの根源にあるサウンドをプレイしていった。
次のDJはSTUTSだ。彼もライブのイメージが強い。良い感じにお酒が入ってるようで楽しそうにDJしていた。アフロビートなR&Bやハウス、未発表リミックスなどなどをプレイ。この日はSTUTSがお酒を持ってフラフラしてたし、VaVaも喫煙所にいたし、バーカウンターの近くにいたKzyとPhennel KolianderはYo-Seaがかかったタイミングでみんなにテキーラを奢って乾杯していた。誘われたお客さんは「え、私も飲んで良いんですか?」と驚いていたが、本当はこのノリがパーティなんだと思う。
きっと写真撮影&SNS禁止のルールがなかったら、アーティストもこんなフランクになれなかったんじゃないかな。一般人である我々にとってアーティストを間近で目撃できることは嬉しいし、普通に写真撮りたいし、SNSに上げたい。だけどアーティストの立場からするとーーちょっと強い言葉になるけどーーいつも監視されているのと変わらない。話しかけられたくないタイミングもあるだろうし。それじゃリラックスできないよな、と客観的に思った。
スリーマンのステージ上から感じたリラックスした良い雰囲気がそのままアフターパーティの会場全体にあった。そこに登場したのがOMSB。しかもライブ。nestは本当にパンパンで、入り口から先に進めなくてほとんど見えなかったけど、OMSBのラップを聞いたらなんだか自然と涙が止まらなくなってしまった。すごいバイブスだった。セットリストは以下の通り。
・祈り / Welcome Back
・黒帯
・Ride or Die
・Memento Mori
・Clown
・大衆
・新曲
・LASTBBOYOMSB
・Childish Wu
新曲は10月にリリース予定のミニアルバム『喜哀』からナンバー。これはとにかくヤバかったとして言いようがない。多分現場にいた人がほぼ全員そう言ってたから間違いない。OMSBはスリーマンのパフォーマンスに匹敵する内容だった。
すごいライブの後はPhennel KolianderのDJ。OMSBの流れを受けてストレートなヒップホップを巧みにミックスしていった。個人的に大好きなNAS「Nas is done」がかかったのが嬉しかった。さらに「スリーマンのメンバーの中に今月誕生日のやつがいるんですよ。STUTS?……じゃない。JJJ?……でもない。そう、うちのチーム。Daichiでもない……。Kzyboostです! 今喫煙所にいるんで、誰か呼んできてください」とコールすると、おそらくお客さんの誰かが呼びに行って、Kzyがステージに。シャンパンを開けて、その場のみんなで乾杯した。深い時間にプレイしたAru-2はDaichi Yamamotoの新曲をご褒美のように聴かせてくれたほか、エレクトロなサウンドを中心にさまざまなジャンルのプレイして、疲れた身体に心地良いダンスミュージックを届けてくれた。
ラストはshakke-n-wardaa。スリーマンから参加してた人はさすがに疲れが見えてきた頃。始発も動き出して帰路につく人も。そんな中、遊びに来ていたSkaaiが飛び入りライブ。パーティではたまにこういうことが起きたりする。さらに一緒に来ていたyonawoの斉藤雄哉もステージにあがり"tokyo"をプレイした。気づいたら観客はもうほとんどいなかった。そしてこの日大人気だった"Pretenders"でスリーマンの幕を閉じた。外に出るとクッソ暑い朝日が輝いていた。
Info
<公演詳細>
Spotify O-EAST presents
Daichi Yamamoto x JJJ x STUTS
9/9(SAT) at Spotify O-EAST
OPEN : 17:00
Opening Act START : 17:30
LINE UP
Daichi Yamamoto
JJJ
STUTS
Le Makeup(Opening Act)
design : north NADO
photo : Tatsuya Hirota
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Daichi Yamamoto x JJJ x STUTS
AFTER PARTY
9/9(SAT) at Spotify O-nest
OPEN/START 23:59
LIVE:
OMSB & Hi'Spec
DJ:
Aru-2
Phennel Koliander
Kzyboost
shakke-n-wardaa
STUTS
VaVa
FOOD:
MONICHIKI HOUSE
Special Thanks to
Daichi Yamamoto
JJJ
MonyHorse
Skaai
Yuya Saito (yonawo)
Nozlegraphics
& YOU