【ライブレポート】tofubeats Live at Zepp Haneda 2025

昨年10月の大阪公演を皮切りに札幌、東京、沖縄、名古屋と開催された5年ぶりとなる全国ツアー『tofubeats JAPAN TOUR 2024』を大成功に収め、2024年を見事に走り切った音楽プロデューサー/DJのtofubeats。2025年の幕開けはZepp Hanedaでのワンマンライブとなった。自身最大規模での単独公演となる本ライブは2階立ち見席まで含めソールドアウト。ライブ当日の1/31(金)、開場前から最寄り駅の天空橋および会場付近には多くの観客が詰めかけている。




オールスタンディングの1階フロア、2階席と後方スタンディングエリアが人で埋め尽くされ、会場内の期待感と幾分かの緊張感がピークに達した頃合い、ほぼ定刻通り、19時にステージの緞帳が開きtofubeatsが登場する。この日のDJブースには最近導入したというAlphaTheta社のDJミキサー、DJM-V10をハブにCDJ-3000やElektron社のSyntakt、Octatrack、Novation社のLaunchpad Xなどの機材が並ぶ。ライブは2020年に発表された『TBEP』収録、そして先日発表されたリミックス集『TB DJ REMIXES』にも改作が収められている“陰謀論”よりスタートし、そのままなだれ込むようにタイトル通りのピークタイムチューン“PEAK TIME”へ。乱反射するレーザーとDEVICEGIRLSによるVJの映像演出がよりライブの興奮を加速させ、その興奮は“RUN”のイントロが挿入され大きな歓声へと変わる。tofubeatsによる1stヴァースに続き、本公演最初のゲスト、VaVaがステージに現れステージ上を縦横無尽に走り回り、続いてKREVAが登場。堂々たる存在感で観客を圧倒した。客演ふたりによる堂々のパフォーマンスでライブ序盤ながら会場の熱はこれ以上なく高まっている様子だ。KREVAが残ったステージでさらに披露されるのは“Too Many Girls (TB Club Mix)”。KREVAを交えてのライブとしては初お目見えとなる、ダンスホール・ヴァイブスを加味したリミックス・バージョンだ。tofubeatsによる“このフィルターが開いたらみなさんめちゃプチャヘンザしてください!”との煽りにオーディエンスも手を大きく掲げ応じる。


“RASEN”のスチャダラパーBOSEヴァースのリフレインに続いて登場したのはSTUTS。普段MPCを携えてのライブ客演が多い彼だが、“One”の客演に限ってはマイクのみでの登場。ラップ・アーティストさながらのパフォーマンスで観客の頭を振らせる。ふたたび登場のVaVaは“Virtual Luv”、そして令和ロマンの高比良くるまを迎え昨年リリースされた楽曲“交差点”を披露。高比良くるまのヴァースは観客とともに歌い上げて会場を盛り上げる。そして粋なナレーションと同時に登場したKotetsu Shoichiroとの“VIBRATION”。このライブの一週間前がちょうどECDの命日だったということもあり、曲中で引用されたECDの言葉の断片たちが胸に刺さる。

前半の豪華な客演陣とのパフォーマンスを一旦終え、ステージにはtofubeatsがひとり。BPMは110台前半だろうか、“WHAT YOU GOT”のイントロが鳴り響く。フロアの真上約10mの高さにあるミラーボールが輝き、ダンスの空気が会場を覆う。徐々にBPMを上げ、ミックスされる“EVERYONE CAN BE A DJ”。そこからクールな“CITY2CITY”、低域のグルーヴをそのままに高域に彩りを加えた“YOU-N-ME”、そしてアシッディーな“SOMEBODY TORE MY P”から“Remained Wall”の流れでボルテージを上げていく。ダンサブルな新曲を挟み、“I CAN FEEL IT”で中盤のピークを記録。気づけばすっかりフロアは大きなうねりを持って躍動している。



ここでさらなる盛り上がりを見せるべく、客演にNeibissのふたりが登場。彼らとの新曲“ON&ON”は「いつでも自由に ON&ON/適当にダンス ON&ON/恥ずかしがらずに ON&ON」のリリックがダンスを促す軽快な楽曲で、未発表曲ながらも自然発生的にコール&レスポンスが発生する。続く“No Sync”の未発表リミックスでも熱量を下げずにスピット、同郷・神戸の先輩からのフックアップを120%の力で打ち返した。Neibissのふたりがステージから去ると、前曲に印象的なイントロがミックスされる。オーディエンスがそれに気づくまでにコンマ1秒、すぐさま大歓声が上がった。tofubeats屈指のアンセム、“LONELY NIGHTS”である。優雅に現れたKEIJUはステージ上で悠々とパフォーム。貫禄を感じさせるステージングに会場全体が酔いしれた。


ライブも1時間20分を超え、ライブ終盤の空気を感じさせる会場。鳴らされるセンチメンタルなループとともに登場したのはdodoだ。2021年に共同でリリースした、別れをテーマにした楽曲“NIRVANA”でオーディエンスの心を震わせる。すでにライブではおなじみのtofubeatsヴァースでのビート改変の隠し味も効いている。続いてスクリューされたフックを合図に登場したのは稀代の歌姫、中村佳穂。彼女が参加した“REFRECTION”では、ドラムンベースを基調とした本日最高値となるBPMの上、伸びやかでエネルギッシュな歌力で会場の空気を完全に制圧していた。


ここで約95分ノンストップで進められたライブではじめてのMCタイム。もはや恒例となった“笛タイム”の準備のために設けられた時間である。衣装を変えて、“笛”ことRolandの電子サックスAE-20を首から下げ、イントロの旋律を熱っぽく吹き上げる。本公演のラストを飾る“水星”のあのイントロだ。“水星”ではこの日いちばんの一体感でオーディエンスのシンガロングが響く。絵に書いたような大団円。約1時間40分のほぼ小休止なしのステージ、矢継ぎ早に登場する8組の豪華客演アーティストという充実のワンマンライブを終えたtofubeatsに、終演後の楽屋ですこしだけ話を訊く機会を得たので、本公演のライブレポートは本人による談話で締めたいと思う。
- まずライブを終えてみての率直な感想をお訊かせてください。
tofubeats - 今日は客演も多かったので単純に楽しいなぁって気持ちが強かったですね。ありがたかったです。今回は全体の音作りをシャープで抜けのいい感じで目指してたんですけど、その感じも自分としては新鮮だったしブースでも集中してやれたかなと思います。あとは、これまでもやってきてはいたんですが、ノンストップでサラッとやるっていうのは今回やりたかった形だったので、振り返ってみてもタイトでいい感じやったなぁという印象っすね。機材もキーボードとか使ってないぶん、前回よりもシンプルなセットではあって。
- 今日のZepp Haneda公演を完遂して、今後ライブでやってみたいことなどはありますか?
tofubeats - ゲストを呼んでやるライブ……自分はボーナスタイムってよく言うんですけど、そういうのは前回のガーデンホールと今回でけっこうやったので、自分ひとりで完結するライブでどれだけできるかっていうのを試してみたいですね。その訓練を今後はしなくちゃいけないってのは最近よく考えてます。
- では最後に今日のライブ、ご自身で採点するなら何点をつけましょう?
tofubeats - むずかしいなぁ……。あえて点数をつけるなら50000点ですかね。ハハハハ! まぁ、でもこういうのはお客さんがつけるものなんでね。だからいろんなひとのレビューをお待ちしてます。読みたい。“今日のtofubeatsはよくなかった! 0点!”みたいなひともいると思うんですよ。ぜひ書いてもらいたいですね。……それにしても今日の笛はこころもとない感じやったなぁ(※この日、笛の演奏の自己評価は60点とライブ本編で語っていた)。まだね、笛の基本的なフォームもできてないと思うんすよ、自分は。このくだり、10年くらいやってますけど、いまだに正解がわからないままずっとやってるんで。ただ、緊張と緩和っていうか……客演のカッコいいアーティストさんたちがたくさん出演して、“カッコよかったなぁ!”って100でありがたがられるのもねぇ。笛くらい吹いて下げとかないと。まぁ今後のライブ、笛で100点叩き出せるようにがんばろうと思います。(取材・執筆 : 高橋圭太 撮影 : 横山純)

Info
tofubeats Live at Zepp Haneda 2025
Set List
陰謀論
PEAK TIME
RUN REMIX feat. VaVa & KREVA
too many girls feat. KREVA
RASEN
STUTS - One feat. tofubeats
VaVa - Virtual Luv feat.tofubeats
交差点 feat. VaVa
VIBRATION feat. Kotetsu Shoichiro
WHAT YOU GOT
EVERYONE CAN BE A DJ
CITY2CITY
YOU-N-ME
SOMEBODY TORE MY P
Remained Wall
letmetellu
I CAN FEEL IT
ON&ON feat. Neibiss
Neibiss - No Sync tofubeats remix
LONELY NIGHTS feat. KEIJU
KEIJU - backseat (outro)
NIRVANA feat. dodo
REFLECTION feat. 中村佳穂
水星
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