【インタビュー】hyunis1000『NERD SPACE PROGRAM』|“ナード”な俺たちの時代が来る

hyunis1000という類まれな才能を紹介したい。そして、いろんな人にはやく知ってほしい。このインタヴューの主題と目的は明確である。hyunis1000は神戸を拠点に活動する2000年生まれのラッパー/ビートメイカー。先日、『NERD SPACE PROGRAM』というファースト・ソロ・アルバムをフィジカル(CD)先行で発表した。

たしかに本作には、電子音楽、ヒップホップ、オルタナティヴ・ロック、ダンス・ミュージックがあり、それらは、インターネットのみならず、実際の彼と仲間たちの街での遊びや経験と不可分に結びついている。そのことがこのインタヴューを通してよく理解できた。また、ユニークかつ意味深なアルバム・タイトルは、彼が所属するコレクティヴの名前でもある。

16歳のころからラップをはじめたhyunis1000は、今回のアルバムの発表に至るまでに、インターネット上(YouTubeやSoundCloud)に数多くのラップ・ミュージックや映像を残している。すでに削除されてしまっているものもあるそうだが、それらは、“日記”がそのまま音楽となったゆえの説得力と瑞々しさ、切実さがある。

hyunis1000とは何者なのだろうか?彼はratiff(ラッパー/ビートメイカー)という相方とNeibissというラップ・デュオを組み、すでに2枚のアルバムを発表している。彼らが恵比寿のリキッドルームで開催されたどんぐりず主催のイベントに出演した翌日に話をきいた。

取材・文:二木信

撮影:笹木晃

- まず、昨夜のNeibissのライヴはどうでしたか?

hyunis1000 - これまででいちばんのビッグ・ステージやったんでめちゃくちゃ手ごたえがありました。

ratiff - 幸せな時間でしたね。

- 今日はratiffさんにも同席してもらって、「hyunis1000は何者なのか?」という彼に迫るインタヴューができればと思います。これまでYouTubeやSoundCloudに数多くの曲をアップしてきていますよね。「hyunis1000 Neibiss」名義のYouTubeアカウントの最も古い曲は、2018年3月21日にアップされているNeibiss名義の“quasimoto tribute song 20180307”ですね。

ratiff - ただ、あれ以前にもhyun(ひょん)はめっちゃ動画や曲をアップしていたんですよ。

hyunis1000 - 遊んでいるときに撮ったインスタのストーリーをYouTubeやサンクラにアップしまくっていたんです。

ratiff - でも、いざミュージック・ヴィデオをアップしていくときに、そういう動画が多すぎたから「厳選してみたら」ってアドバイスしたんです。

- それでも、家の布団に寝っ転がってラップしているような映像も残っていますよね。

hyunis1000 -“遊泳中(prod.kaisei) 20180913”や。

- 自分が最初にhyunis1000を認識したのは、RCSLUM RECORDINGS(『NERD SPACE PROGRAM』をリリースする名古屋のレーベル)とCLUTCH TIMES(京都で開催されてきたヒップホップのパーティ)が制作したコンピレーション『Sooner or Later』(2020年)の“Purple Night”という曲でした。あの曲を聴いてすごく興味がわいて、YouTubeやサンクラでいろいろ観たり聴いたりしているうちに、hyunis1000ワールドにハマっていきました。

hyunis1000 - RCSLUMとはホンマご縁があったなと思います。きっかけは、Nerd Space Program (以下、NSP)のseep minutesなんです。彼は今回、CDを開いた左側のNSPってロゴを描いてくれています。彼の音楽がめちゃカッコよくてサンクラで一方的に聴いていると、2018年の夏ぐらいに向こうから連絡をくれたんです。「(ラップの)ヴァースはいくらですか?」って。でも、僕は彼のファンだったから「いや、いらないっすよ。曲を作りましょう」と返した。そしたら、彼が大阪から神戸のNeibissのライヴに来てくれて。

- 話がはやい。

hyunis1000 - そのときに僕が大好きなモトコー(元町高架通商店街)っていろんなお店が入っている場所にseep minutesを連れて遊びに行ったんです。そしたら「BEST BALANCE DRINK」っていうお店の前で、seep minutesが「んんん~!?」とか言い出して。そこは、グラフィティ関係のお店で、彼はグラフィティも大好きだから反応したんですね。そのお店のオーナーのFisHがCDの裏面のトラックリストを描いてくれていて、CDを取り出すと見える写真にうつっている場所が「BEST BALANCE DRINK」の店先です。

- CDのアートワークとデザインにもいろんな人たちが関わっているんですね。

hyunis1000 - はい。で、そのseep minutesがCLUTCH TIMESのNGRくんとめちゃ仲良くて、NGRくんはRCSLUMのATOSONEさんと仲が良かった。それで、コンピに参加することになったわけです。さらにその流れで、ATOSONEさんの「STRANGE MOTEL SOCIAL CLUB」に連れて行ってもらって、ソロ・アルバムのリリースにもつながっていく。さらに、ジャケを描いてくれているのは、ATOSONEさんやCampanellaくんのタトゥーの彫師のameという方です。そして、CDの盤面は、feel the rainっていうブランドのデザインをやっているRennyが描いてくれた。彼もNSPですね。

- そもそも、Neibissも所属するNSPはどういう集団なんですか?

hyunis1000 - 僕とratiff、NeibissのバックDJのnerdgod、nessという4人で神戸の三宮でよく遊んでいたんですけど、そのころRAS G AND THE AFRIKAN SPACE PROGRAMをよく聴いていたんです。その名前がカッコいいなって。

ratiff - だいぶ取ってるよな(笑)。

hyunis1000 - 同時に“NERD”っていうワードにハマっていたから、そのふたつを組み合わせたら面白いんじゃないかと。クルーっぽくしたら遊べるんじゃないかなという動機もありましたね。

- 名前を付けると遊べるな、と。

hyunis1000 - そうですね。三宮に「studio Bapple」っていうリハーサル・スタジオがあって、そこの太一さんという方が「月一でパーティをしないか?」と誘ってくれたときにパーティ名をNSPにしました。だから、そこに集まるヤツらがNSPの始まりです。seep minutes、RENNY、Dodge Celeronっていうユニットもそうですね。

ratiff - いろんなヤツをゲストで呼んだりしてたよね。

hyunis1000 - そうそう。だから、NSPは一見ネットっぽいですけど、めちゃめちゃ現場つながり。僕とratiffがつながったのもクラブやし、nessともそう。16歳ぐらいのときからひとりでクラブに遊びに行っていたんですけど、「同い年ぐらいのヤツがいねえなあ」ってずっと思ってて。そんなときにTwitterでnessを見つけたんですよ。それで「いっしょに遊ぼうよ!」ってDMを飛ばした。そしたら、nessが西元町駅の構内にあるクラブに連れて行ってくれた。駅のなかの横町みたいな飲み屋街にレゲエの人たちが作った音が流せるお店があったんです。そこでnessが誰でもライヴできるパーティを毎週開催していて、ratiffともそこで出会ってNeibissを結成することになる。界隈は違いましたけど、week dudusやMerry Deloも遊びに来ていましたね。自分らは自分らで気が合ったヤツらと遊んでいくうちに、NSPになったんです。

- たしかに街でのつながりですね。

hyunis1000 - そう。でも、「ヒップホップのクルーなんかな~?」という疑問はありますね。最初はただ一緒に遊びたかっただけなんで。だから、LINEグループができて人が増えて、そこから抜ける、抜けないみたいな話にもなったりしたんですけど、「そういうちゃんねんけどなあ」って。

ratiff - そういうことじゃないよね。

hyunis1000 - それで、自分の作品のタイトルにして概念っぽくして、のちのちワードが残ればいいなって思ったんです。

- そういう経緯だったんですね。今回のアルバムでratiffさんと同じく最も多い、3曲のビートを作っているcarolineはどういうつながりで、どんなビートメイカーですか?

hyunis1000 - 僕らと同い年で加古川のビートメイカー、dhrmaくんの後輩ですね。それこそ「studio Bapple」でやっていたNeibissのライヴにずっと遊びに来てくれていて、気づいたらDJを始めて、サンクラにビートも上げていたんです。それがめちゃカッコよくて。いまいっしょに神戸港で船の仕事をしているんですけど、自然と一緒に作りましたね。

- そうやって、いろんなセンスの人たちが吸い寄せられるように集まってきたのだと思いますけど、何かしらの共通項はあるんですか?

hyunis1000 - 俺とcarolineとratiffの親がみんなビートルズが好き、というのはありますね。それもあって、直感的に音楽の捉え方がいっしょなんかなって感じるときはあります。自分はそんなにビートルズに詳しくないけど、carolineはもうずっと小さいころから聴いていますし、“2020薔薇”の元ネタが、あるビートルズの曲です。もちろん、ヒップホップやPHONK(フォンク)の話もするし、音楽の話が普通に合うんです。

- Neibissのどの曲かでratiffさんのリリックに「ストロベリーフィールズ」って出てきますよね。

ratiff - “Sample Preface”(『Sample Preface』収録)っていうセカンドのいちばん最後の曲ですね。Neibissで最初に作ったのが“ストロベリーフィールズ”っていうタイトルの曲なんですよ。

hyunis1000 - そうや!!

ratiff - ビートルズの“ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”が大好きで聴きまくっている時期があって、ある曲の一部をワンループさせて作りました。

hyunis1000 - で、俺が“ストロベリー・フィールズ・フォーエバー”のサビの「Let me take you down, 'cause I'm going to Strawberry Fields」のラインをそのまま歌ったらハマったんだった。

- ビートルズのどのアルバムが好きですか? 僕は『リボルバー』がいちばん好きです。

ratiff - 僕も『リボルバー』と『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が好きですね。

hyunis1000 - 僕は『マジカル・ミステリー・ツアー』ですかね。

ratiff - hyunのアルバムのジャケは『マジカル・ミステリー・ツアー』からの影響もあるでしょう。

hyunis1000 - そう、ジャケを描いてくれたameさんにも「ビートルズっぽい感じがいいんでしょ?」って言われて、「そうそうそう!」って答えた。例えば、The Blue Heartsから受け取ったものをヒップホップとして表現する人もいるじゃないですか。僕はビートルズをヒップホップにできたらいいなって思っていますね。

- 自分たちがヒップホップをやっているという意識は持っている?

hyunis1000 - それはありますね。俺らがやっているのはヒップホップですし、ヒップホップ以上にショックを受けた音楽はないですね。

ratiff - 僕は半々の気持ちです。PSGは大好きでしたけど、ヒップホップを聴き始めた時期は日本語ラップが苦手だったんです。なんであんな攻撃的で悪ぶっているんだろうって。だから、ヒップホップ=ワルと言われたら、俺らはそういうヒップホップじゃないと言いますけど、それでもヒップホップをやっているつもりはあります。

hyunis1000 - だからナードなヒップホップ好きが周りに集まったんかなって思いますね。nerdgodはアニメとか音楽をいろいろ教えてくれるし、やっぱりオタクやナードは大事やなって思いますね。僕がナードかはわからないけど、まわりにナードな人たちが集まってきたんです。

- ところで、先ほどPHONKの話が出ましたけど、hyunis1000さんは、大阪のビートメイカー、FULLMATICのアルバム『L.O.G (1991 TAPE)』(2020年)にラップで参加していますよね。FULLMATICはあるMVで路上レイヴをしている映像を使っていましたね。

hyunis1000 - 難波でやったやつですね。僕、あれに手伝いで行ったんですよ。それでつながってアルバムにも参加することになりました。大阪のDJ PANASONICさんには“khao nashi”という曲をプロデュースしてもらって、それをratiffがリミックスしたヴァージョンが今回のアルバムには入っています。

- なんで『千と千尋の神隠し』だったんですか?

hyunis1000 - 僕の苗字は千なんです。それで、あるとき映画を観ていて、カオナシにフィールして不思議なことがいっぱい起きた結果、あの曲ができました(笑)。狐が自分に憑依したみたいな気持ちになって、それでジャケットも顔が半分は狐になっているんです。

- 神戸、大阪、京都、名古屋といったつながりから作品が作られているなかで、“RUN”のビートを残虐バッファローが作っているじゃないですか。意外な組み合わせで驚きでした。どういうつながりでした?

hyunis1000 - 17歳のころに家出して東京の先輩の家に転がり込んでいた時期があったんです。そのときに感情がバーッと溢れ出してきて、誰に向けるでもなく「ビートをください」ってツイートして。そしたら、「音の殺し屋 Sac」というアカウントから「どうぞ使ってください」とDMでビートが送られて来たんです。それで、そのビートにラップを乗せて、「いい曲ができたな」と思ったからサンクラにアップしました。だから、若さゆえの知らない強さですよね(笑)。

- ビートメイカーのSACを知らなかった?

hyunis1000 - SACさんもSCARSも知らなかったんですよ。で、よくよく調べたら、SACさんは舐達麻ともいっしょに活動しているのもわかった。やり取りのなかで、SACさんから「いちどスタジオに来てくださいよ」と言われて、スタジオに着くと舐達麻のみなさんがいた、なんてこともありました。

- それは驚きますね。

hyunis1000 - そのスタジオで作ったのが、サンクラにアップしているいちばん古い曲の“HEISEI last summer”です。元々は日記みたいにラップして公開していた「今日のワンバース」の一環で作ったものでした。2018年ぐらいは、オルタナティヴ・ロックで、ビートから始まってメロディアスな歌が入る曲がたくさん出ていたと思うんです。そういう曲をサンプリングしてワンループを作ってラップしていた。それをちゃんとしたカタチにさせてもらったのがSACさんとの付き合いの始まりですね。その後、ビートが大量に送られてきて、そのなかにnabeproさんの作った“RUN”のビートがあったんです。

- 「今日のワンバース」というのが日記的にラップを書いてアップしていた曲ということですね。

hyunis1000 - そうですね。

- しかし、17歳のころに家出していたんですね。

hyunis1000 - ホンマに家が嫌いで、ずっと憂鬱で、現実逃避していましたね。居場所があったのは街だったからずっと街にいました。音が流れていてなおかつ遊べる場所に。

ratiff - hyunは元気なときはいいんですけど、元気がないときはちょっとしたことでガーンって落ち込む性格だと思いますね。すごく繊細なんです。このアルバムも制作期間が長かったから、なかなか完成しないストレスでナイーヴになっていましたね。

- ということは、今回のアルバムに収録されている12曲を作った期間はけっこう長い?

hyunis1000 - たぶん3年ぐらいですね。いちばん古いのは3年前ぐらいの“ドッペルゲンガー”です。この曲も元々は「今日のワンバース」の一環でビートジャックして作った曲でした。

- 「国家に騙されてるなんて説教したいけど、別の角度から見る方法を教えてあげるよ」という印象的なリリックがありますね。

hyunis1000 - あべともなりっていうラッパーがいるじゃないですか。

- おお、VLUTENT RECORDSの!

hyunis1000 - あの人の“ヨルナンデス”っていう曲の「バビロン東京家買って勝ちか/ザイオン東京1千万の価値観」という歌詞がスゴイしっくり来たんです。つまり、考え方次第でぜんぜん違う場所にいることができる、と。騙されていないと思って生きていたとしても騙されているかもしれないし、そういうことを言いたかったですね。僕は音楽や音でつながって、いい角度で世界を見るようになって救われたので。

ratiff - だから、このアルバムはそういうhyunのナイーヴさが音楽としてキャッチーに表現できているのがいいと思いますね。

hyunis1000 - 自分のシックでシリアスな部分を音楽では軽く言いたいし、キャッチーに表現したいというのは意識していますね。めっちゃ食らってるけど、そんなに食らってないように言いたい。“Sad rain”や“Angel”はそういうのを意識して作りましたね。

- そういう意味で言うと、僕は前作のEP『1001』に入っている“ダメ人間”っていう曲にもすごく説得力を感じたし、好きですね。

hyunis1000 - あの曲は反響がありましたね。まさに、めっちゃつらくても軽く言いたい、そういう曲ですね。言わないと消化できないからラップしちゃうし、オルタナティヴな雰囲気でやりたかった。「日本の現状がこういう若者生んでるぞっ!」って(笑)。ただ、「今日のワンバース」はサンプリングのワンループにラップを乗せているばっかりやったんです。だから、最初の『1001』ではハイハットをクラッシュさせたんです。

- 『1001』はハイハットの鳴りの印象が強烈ですよね。そこで音楽的なオリジナリティを出そうとした?

hyunis1000 - そうですね。壊す美しさですね。あと単純に音として気持ち良いし、GarageBand(音楽制作ソフト)でハイハットを打つのがめっちゃ得意やったんです。それで、ネタのループだけだった『1001』のすべての曲のハイハットとカウベルは1日で作って足しました。いまはLogic(音楽制作ソフト)を使っていますね。“曲がりくねった道(Winding Road)”はLogicで作りました。

- あの曲には驚きました。

hyunis1000 - あの曲の元ネタは最初に出会った音楽でもあったんです。音楽を聴きたいと思っていた小3の僕に、オカンが棒みたいなウォークマンを拾ってきてくれたんです。

- hyunis1000の音楽的ルーツということですね。

hyunis1000 - そうですね。(スマホを見ながら)SONY WALKMN USB型や。そこにあの曲の元ネタとキングギドラ(現・KGDR)の“未確認飛行物体接近中(急接近ミックス)”が入っていたんです。いろんな曲が入っているなかで、その2曲が好きになって。その後、iPod touchを買ってもらって、家にWi-Fiがなかったので、街中でWi-Fiを探してYouTubeのおすすめのヒップホップを聴いているなかで出会ったのがMF Doomです。Eminemの“RAP GOD”も衝撃だったし、Twitterで5lackも知る。そういう意味ではめちゃネットを活用してきました。

- いちばん最初に作った曲はおぼえていますか?

hyunis1000 - おぼえていますね。ラップをはじめたばかりのころは、XXXTentacionやSki Mask The Slump Godが好きで、彼らが作ったクルー、Members Onlyのラッパーは全員好きでした。SpaceGhostPurrpのRaider KlanやDenzel Curryも好きで、特に当時はRonny Jが808のベースをボーンって鳴らしているのがすごく新鮮でした。それで16歳のころに、Ski Maskのフロウを日本語にしたのが最初に作った曲です。

- それはどこかに発表しているんですか?

hyunis1000 - いや、発表していないですね。(スマホで曲をかけながら)これがいちばん最初に作った曲です。フロウもビートもSki Maskなんですけど、別々の曲なんです。

ratiff - 懐かしい! さっき話していた西元町駅のクラブのイベントでhyunがこの曲をライヴでやっているのをよくおぼえています。まだ仲良くなる前で衝撃的だった。「ホンマあいつは何者なの!?」っていうぐらいこのデカい体で飛び跳ねていましたね。僕はDJで、16歳ぐらいから90年代のヒップホップをレコードでかけていたんですよ。トラップはあまり聴いていなかったから、hyunたちのノリに混ざることができなくて、めちゃ悲しい気持ちになっていましたね(笑)。

- それでも、仲良くなってグループを結成するわけですよね。

ratiff - 最初は一言もしゃべらないし、特に仲良くなかったんですけど、会っていくうちにじょじょに仲良くなった感じですね。

hyunis1000 - 僕らはだいたい三宮とか元町の間で遊ぶんですけど、どのジャンルの人も同じところで遊んでいるから、ある人は「神戸は村やろ」って言いますね。すべての距離が近いんです。大阪の人からするとゆっくりできるらしいですし、良くも悪くも人を選ばない。

- そうなると、顔を合わせる機会も増えるし、自然と仲良くなる可能性も高まりますよね。「INTERVIEW FILE」には神戸のラッパーの阿修羅MICがちらっと登場していましたし。

hyunis1000 - あの登場も偶然でしたね。あそこが三宮の「studio Bapple」なんですけど、いろんな人が集まるんです。それこそ、かっつん(小林勝行)も僕が10代のころから普通におって、「遊ぼうぜ!」って言われてホンマに遊ぶ(笑)。かっつんを間近で観て「ラッパーとしてのレベルが違うわあ」って実感していました。当時、僕はとにかくマイクを持ってラップしていましたね。誰かがDJしているときに「ラップさせてください!!」って入っていって。

ratiff - 一時期すごかったんですよ。どこでもマイクジャックしていた。

hyunis1000 - セッションを起こして、自分はどこかに行く。そういうのが好きやったんです。「nagomibar」っていうバーで毎週水曜日にある『スイスイ水曜日』っていうテクノのパーティでマイクを持ったり、持たされたり。

ratiff - お店の人に「落ち着けー!」って言われてたでしょ。こいつは生き急いでいるんじゃないかっていうぐらいホンマ心配なときはありました。

- じゃあ、いまはだいぶ落ち着いたんですか?

ratiff - 二十歳になって人が入れ替わったかのように大人になりましたね。

hyunis1000 - 良かったー! おかげさまです! 今回はいろんなカッコいい人に協力してもらって、自信も得て、巻き込んで巻き込まれて作品を完成させることができました。これからはもっと安定していきたいですね。

Info

hyunis1000 - NERD SPACE PROGRAM

https://lnk.to/hyunis1000_NSP

【LIVE情報】

■イベント名
CLUTCH TIMES
〈hyunis1000 1st Full Album ”NERD SPACE PROGRAM” Release Party〉

■日程
2022年2月26日(土)

■会場
club GOODWEATHER(愛知県名古屋市中区新栄1-14-24 第三和光ビル2F)

■時間
OPEN 22:00 / CLOSE 29:00

■料金
前売りチケット ¥2,500 / 当日入場 ¥3,000

■出演
〈Release Live〉hyunis1000 with friends

〈Guest Live〉YUKSTA-ILL, どんぐりず

〈Live〉YNG JOE$, NEI

〈Guest DJ〉ATOSONE&CE$(THEODORE LINUS)

〈DJ〉ratiff, E.O.U, caroline, Ryusei, taiseii

■注意事項
会場内では、店内の注意喚起とルールを厳守し、感染拡大予防対策へのご理解・ご協力
を重ねてお願いいたします。
会場の混雑状況に応じて、入場規制をかける場合がございます。
入場者数が定員に達した場合、前売りチケットをお持ちの方以外はご入場いただけませ
ん。

■イベント名
hyunis1000 "NERD SPACE PROGRAM" RELEASE PARTY
w/ UG NOODLE and his friends

"THEODORE SUNDAY LINUS"

■日程
2022年3月13日(日)

■会場
RINKAITEN(兵庫県神戸市下山手通2-12-6 Jタワー神戸 3F)

■時間
OPEN 17:00 CLOSE 21:00 

■料金
¥2,000 + 1d (TICKET)
¥2,500 + 1d (DOOR)

■出演

〈Release Live〉
hyunis1000

〈Live〉
UG NOODLE

〈DJ〉
THEODORE LINUS(ATOSONE&CE$)
Otha Fish(ratiff & nerd god)

〈BEAT LIVE〉
caroline

前売りチケット購入者には特典としてジャケット&フライヤーのステッカーをプレゼント!

flyer design by yokota hinata

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