【インタビュー】FNCY 『FNCY BY FNCY』| 今だからこそできたこと

 ZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSによるユニットFNCYの2ndアルバム『FNCY BY FNCY』。セルフタイトルの1stアルバムがユニットとしての自己紹介的な内容だとしたら、2ndアルバムはそれぞれが経てきたジャンルや、キャリアを積んできたからこそ歌えた楽曲なども収録された幅が広がりつつも、確かなコンビネーションを感じさせるアルバムになっている。

リリースを記念したインタビューではこれまでのFNCYのMVを多く手掛けてきたMr.麿もゲストに迎え、2ndアルバムの制作風景を中心に、MV、制作時のサウンドトラックなどのテーマについて語ってもらった。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : 横山純

コロナ禍でのアルバム制作

- 2ndアルバムって、最初からFNCYをやることになった時に考えていましたか?

ZEN-LA-ROCK - それは無いかな。1枚目の先にはひょっとしたら2枚目以降があるんじゃないかなという感じだった。

鎮座DOPENESS - とりあえず作ってたんだよね。

G.RINA - 『TOKYO LUV EP』を出して、あと数曲足したらアルバムになるよねっていう画が見えつつ、そこでライブが出来ていたらきっとライブに追われてたと思うんです。それが無かったので、またライブが出来るようになった時のためにアルバム作ろうかっていう感じになりました。

ZEN-LA-ROCK - EPは結構すんなり出来てた感じだったよね。

鎮座DOPENESS - コロナが始まる前の2月ぐらいに制作が始まって、本格的にイベントが出来なくなるっていうのが4月からで、その期間を利用して作ったのかな。スタジオで“New Days”とか録った時もマスクしてた。

ZEN-LA-ROCK - してたね。

G.RINA - してたか~。体調が悪くて、「コロナかもしれないから一応休み」ってこともあって。

- まさに狭間に作った感じなんですね。

鎮座DOPENESS - うん。EPをリリースした時に、YouTube配信番組の「FNCY HOME RADIO」をやって。それでゲストで、grooveman Spot先生が出演して。その流れで「このみんなで曲作りましょうか」って話をして作ったのが“みんなの夏”だったり。

- 収録曲のムードが、本当にコロナ以降って凄く分かるものと、どっちなんだろうっていうものもあって。制作時期と、そういう状況になった後で作るものや考え方に変化があったのかなと思っていたんですよね。

ZEN-LA-ROCK - コロナはやっぱデカかったっすよね。リリックの内容に関しても。

 - 特にFNCYはヒップホップのダンスミュージック的な側面にフォーカスしていると思うんですけど、その辺りがこういう状況になったことで変わらざるを得なかったのかなと。

ZEN-LA-ROCK - ダンスミュージックっぽいのは引き続き入っていつつ、昨日ちょうど他のインタビューだったんですけど、「意外と一枚目よりまとまってる」っていうのは昨日言われて。「うれぴー」みたいな。

- 前作『FNCY』はシングルぽい曲が多くて、なおかつサウンドのテイストに統一感があったと思うんです。でも今回は、それぞれのルーツにあるものをより幅広く出した感じがしました。例えば“THE NIGHT IS YOUNG”はレゲエっぽい感じだったり、“COSMO”はブーティベース的なものをFNCYなりに解釈していたりして。これは自然に作っている中で、コミュニケーションが深まった結果こうなったのでしょうか?

鎮座DOPENESS - 動機としては、1stアルバムの時に出来なかったことをやってみたって感じですね。

G.RINA - “TOKYO LUV”とか“FU-TSU-U (NEW NORMAL)”が凄くしっとりしているのもあって、そこで一つ世界観があると思っていて。私がビートを作る時は、1stアルバムではシングルになるようなトラックを意識して作ったけど、今回はもっとバリエーションをつけたいなって。

 - 2ndアルバムの制作において変化などはありましたか?

ZEN-LA-ROCK - 俺はあんまり変わらないような。

G.RINA - 会うことはやっぱり大事でしたね。やっぱり、歌うことについて「何をテーマにする?」ってことを事前に話して、お互いの考えを提示して伝え合うことが、会えてない時は止まっちゃうので。

ZEN-LA-ROCK - 明確な締め切りみたいなものは無かったからね。「これぐらいに出せたらいいね」みたいなのはあったんですけど。いまだいつがベストかわからない。もうそれはどうにもならないところなんだけど。

 - ゴールに向かって、というよりは、ちょっとずつ作って行ったっていう感じなんですね。リリックのテーマで言うと、“FOOD GUIDANCE”は前作には無かったようなテーマかなと。これはテイスト的には鎮さんが最初に持ってきたのかなって気もしたんですが。

鎮座DOPENESS

鎮座DOPENESS - はい、そうです(笑)。

ZEN-LA-ROCK - 食べ物、っていうね。

鎮座DOPENESS - ビート作る人によってのムードみたいなものが、まさに導いてくれて。それで作られたものも結構ありますね。「こういうムードで、こういうことを歌う歌」っていう。

 - 歌詞は、最初に「この曲にはこういうテーマ」みたいな形で誰かが言うのか、それとも3人で決めていくパターンなんでしょうか?

鎮座DOPENESS - 3人で喋ってる時に「こんな感じじゃないですかね」っていう風にいつもやってる気がする。取り敢えず後で書き直すかもしれないけど「こういう感じでここに嵌めるのどうですか」っていうのを決めて、客観視して聴いてみたら「うーん」っていう(笑)。grooveman Spot先生の“him I gotta love”って曲は、先生の話聞いてて「あー、こういうことっすかね」って感じでサビの叩き台がその場で出来た感じです。

ZEN-LA-ROCK - Based on a true storyですよ(笑)。具体的なことは書けないけど。でも、みんなで一本映画を観て、その映画の感想を思い出すような感じですね。 “TOKYO LUV”も、みんなが共有してる出来事について歌っています。

鎮座DOPENESS - 一言のイメージで、“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”なら「ニューノーマル」で。“THE NIGHT IS YOUNG”とかは「コミュニティ」っていうテーマを出して、「コミュニティ」について歌ったのをみんなに聴いてもらった。

ZEN-LA-ROCK - “THE NIGHT IS YOUNG”とかは、俺は結構書き直してる。“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”は、韻シストさんの配信に呼ばれた時に「ニューノーマル」っていうお題が出てて、それで「良いんじゃない?」みたいな。

鎮座DOPENESS - それでZENさんが書いてきて。

ZEN-LA-ROCK - “FU-TSU-U(NEW NORMAL)”は凄く前から制作していた曲だったんだけど、RINAさんはMIXの2、3日前ぐらいに歌詞を練り直していて。

G.RINA - テンションが変わっちゃってて。2、3曲は、2、3日前に歌詞を改めて書いたりしてました。

ZEN-LA-ROCK - 全部ではないけど。すげーな!みたいな(笑)

- “FU-TSU-U(NEW NORMAL)”以外も書き直したんですか?

ZEN-LA-ROCK - 本当に、昨日か一昨日ぐらいに。

鎮座DOPENESS - 俺はもう、一気に(笑)。

ZEN-LA-ROCK - 書き直したくても録れないしね。で、RINAさんは家で録れる人だから。そう思うと、“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”は、“TOKYO LUV”以降に結構形になってたんだけど、ここ一ヶ月ぐらいでもう一回変わったね。

鎮座DOPENESS - “COSMO”とか、全くビート違ったもんね。俺はRINAさんが最初に作ったビートが好きで、それをDaichi(Yamamoto)くんとFNCYのツーマンでDaichiくんとコラボするということがあったから、“COSMO”にDaichiくんフィーチャリングお願いしたいなと思ってたんだけど、タイミング的にダメで。ビートも全く変わったし。

G.RINA

G.RINA - 最初はマイアミベースみたいな感じで作ってた気がする。

鎮座DOPENESS - エレクトロヒップホップとマイアミベースがくっついたような。

G.RINA - Daichiくんをもしお招きするなら、ちょっとUKの感じを入れてみようかなと思って。

ZEN-LA-ROCK - 途中UKガラージっていう話だったんですよ。一瞬そっち行ったんですよね。

鎮座DOPENESS - RINAさんはそれで、全く手をつけてなくて。出来ることも出来ない、みたいな。

ZEN-LA-ROCK - 特典でつけたいですよね、「“COSMO”の歴史」みたいな(笑)。

鎮座DOPENESS - 「あの曲全然進まねーな」みたいになってたけど、でもああいう風に落とし込まれた時、改まって「すげえな」と。「こっちの感じなんだ」って思って、凄く上がった。

 - でも、その感じが喋らずとも伝わるんですね。

鎮座DOPENESS - 書き直すとか、トピックが煮詰まってるってことになっても、出来るものは出来ていくっていう。

G.RINA - 同時に何曲も進行してるから、これやってる間に「あ、あったな」とか(笑)。

鎮座DOPENESS - 「まだ大丈夫だな」って感じね。

ZEN-LA-ROCK - それで「そろそろお時間ですよ~」みたいに仕上げていく(笑)。

鎮座DOPENESS - で、RINAさんのアルバムもあったし。

G.RINA - だから、ビートも含めるとやっと昨日出来上がりました。

- 1stの時も思いましたけど、より大人な作り方になっていったんですね。

ZEN-LA-ROCK - そうなっちゃったんですよね。

G.RINA - まだやり残したことはあるんですけどね。絶対にこのアルバムでやりたかったことがあったんですけど、それは間に合わなかった。それが一番カロリーが高そうなので。

ZEN-LA-ROCK - デラックスバージョンでやりたいな。

 - “THE NIGHT IS YOUNG”は明確にレゲエっぽいテイストですよね。それをFNCYでやろうと思ったのは?

ZEN-LA-ROCK - 最初はレゲトンって話だったんです。

G.RINA - で、やっぱり結局Diwaliが好きだってなって、2000年代っぽいダンスホールもアリだなと。

ZEN-LA-ROCK - これを作ったのは最後の方ですね。

G.RINA - それもやっぱり、もう“TOKYO LUV"とかがあるから出来たっていう感じですね。

 - なるほど。そういう意味だと、”TOKYO LUV”などを作ったプロデューサーのJengiとかの存在が大きかった?

ZEN-LA-ROCK - Jengiは“TOKYO LUV”と“New Days”と”FU-TSU-U”作ってるんだよね。3曲、4曲ぐらい貰ったデモの中に“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”があって、それは“TOKYO LUV”の後にキープはしてて。

G.RINA - “TOKYO LUV”が出た時の反応として「この世界観は一つテーマとして力強いものになるな」と思ったので、私は凄く安心したんですよね。

ZEN-LA-ROCK - バランスとして。それで、Mr.麿監督には“FU-TSU-U(NEW NORMAL)"のビデオを撮ってもらおうと思って。2枚目のアルバムのリード曲になるとしたらJengiだ、と。「ありがとう~」って(笑)。

 - Jengiはどうやって繋がったんですか?

ZEN-LA-ROCK - JengiはMidas Hutchの友達です。RINAさんは元々「Jengiいいよね」って言ってて。

G.RINA - 前に出してたEPが好きで聴いてて。FNCYにも合うんじゃないかなっていう話をしてたら、Midas Hutchとも繋がって。すぐに話がつきました。

ZEN-LA-ROCK - 一枚目のアルバムの時にMidas Hutchが日本に来てて会ったんだけど、その時にRINAさんが「Jengiとか知ってる?」って言ったら「知ってるよ、なんで?」って言ってて。「ビートもらえるかな?」って言ったらその場でLINE繋いでくれた。去年の2月くらいに俺は東京で会いました。最近も新譜出したし、Jengiとパーティとかやりたいけどね。

G.RINA - KIRINくんとかもそうだけど、ちょっと昔のものが好きで今にアップデートしてる人という共通点があるんですよね。

ZEN-LA-ROCK - 多分年齢は23、4ぐらいなんですよね。アウトプットの仕方がちょっと変わってるというか。

G.RINA - 写真も、もう少年ですよ。でも、趣味が面白い。

ZEN-LA-ROCK – 作っているマッシュアップとかもDJで凄く使いやすいし。ネタは「こことここくっつけんの?」みたいな感じだけど、出音は完全に今だし。変わった人ですね。最初に貰った何曲かのデモの中でも、“TOKYO LUV”は、ほぼあのまんまのトラックでしたね。“New Days”もそんな感じ。1ループとかじゃなくて、展開もついてて。

G.RINA - 歌もの用に作ってるんじゃないかな。でも、それにFNCY側で音を乗せると「じゃあ自分も良くするよ」みたいに変えてくれるんだけど、「元の方が良かった」みたいになって。

ZEN-LA-ROCK - “New Days”をすげえ変えてくるんだけど、「戻して戻して」って。

G.RINA - 本人なりに自分が今しっくり来ることをやろうとして変えるんだけど、「元の方がいい……戻らない、もう」みたいなこともあって。それはビートメイカーとしてはすごくわかることなんだけど。

鎮座DOPENESS - 進化しすぎるんだよね。

ZEN-LA-ROCK - 「変えなくていいから!最初のあのデータだけくれ」みたいな。そういう時はRINAさんに通訳で入ってもらったりして。

ZEN-LA-ROCK

 - “CONTACT”はR&Bぽさを感じるというか。“Between The Sheets”かなと思ったんですけど。

G.RINA - 「FNCYで“Between The Sheets”をでやりたい」っていう、王道なことをあえて自分たちなりにやると・・・っていうのはいつも考えてて。

ZEN-LA-ROCK - こういうのをやろうと思ったのは二枚目っていうのもあるのかもね。

 - じゃあ、苦労した部分はあんまり無かったですか?

鎮座DOPENESS - 苦労したのはRINAさんですね(笑)。

G.RINA - リリックは凄く悩みましたね。今歌いたいけどトゥーマッチじゃないメッセージを。リアルなことを歌いたいなと。

ZEN-LA-ROCK - FNCYなりのね。

 - ”CONTACT”もそういうものですよね。ちゃんとユーモアもありつつ状況について歌ってる。

ZEN-LA-ROCK - 昨日RINAさんも言ってたけど、「コロナじゃなくても寂しさや孤独を感じる…そういう人はいるからね」っていう。

鎮座DOPENESS - 「寂しい」ってテーマですよね。特にコロナウイルスで接触が絶たれてるノリが“CONTACT”にはあります。それでなくても触れ合いは緊張感があって難しいのに。

G.RINA - コロナが無くても、「今って触れ合いが足りてないんじゃないか」みたいな話を元々してたから。

ZEN-LA-ROCK - 鎮さんは常にそれ言ってるよね。「出会い」とか。

G.RINA - コミュニケーションに深入りしないことを。

鎮座DOPENESS - SNSはある種のコミュニケーションなんだけど、肉体的なものってなんなんだろうって。でも確かに接触しない人、辛いよな。接触するのも辛いし、接触しないのも辛いっていう状態って一体なんなんだろう、っていう。だから、コロナウイルスでセックスのことをすげえ考えた(笑)。「接触したくない」ってことが起きてるから、多分今思うのは「接触したくない」っていう精神状態も加味されてるからコロナウイルスってあるんじゃないかな、っていう風に今妄想的に思っちゃってて。人との触れ合いが無いと、俺たちって生まれないから。でも、それが普通に良しとされてる状態って、コミュニケーションのパーテーションが元々あったんだなって視覚化されたというか。

"あなたになりたい"は今だからこそ歌えた

 - 歌詞のバランス感で、それぞれ一番「ここ頑張ったな」っていう曲ってありますか?

鎮座DOPENESS - ......それなりに全部頑張ったかな。

一同 - (笑)。

 - それはそうですよね(笑)。

G.RINA - “あなたになりたい”が難しかったです。

 - “あなたになりたい”は、初めて聴いた時にめっちゃグッと来たんですよね。凄くピュアな曲じゃないですか。

G.RINA - ピュアすぎる(笑)。

 - そのピュアな感じがこの三人から出てくるのがめっちゃ良いなと。

ZEN-LA-ROCK - 大人なのにね。

G.RINA - 若い時の方が、そういうこと言えないじゃないですか。

鎮座DOPENESS - あの調子で言えないですよね。

ZEN-LA-ROCK - あと、説得力無いかもしれない(笑)。

鎮座DOPENESS - でも、言ったら焦るようになって。でも言ってる人もいるんじゃないかな。

G.RINA - それが若い時から出来る人と出来ない人がいて。私たちはその当時にはピュアなものに凄く反発して、紆余曲折を経て。やっと今言えるようになった感じ(笑)。

 - この曲も話し合いながら?

ZEN-LA-ROCK - いや、鎮さんですね。

鎮座DOPENESS - あれは俺がサビを入れた。俺自身で書こうと思ってたことを歌ったって感じですね。精算の意味も込めて(笑)。メモに単発の単語があって、「これだったらサビでハマるかも」って。要は「憧れでラブ」っていう、「憧れすぎてて頭がおかしくなっちゃったんですよ」っていうことですね。そういう憧れって隠せてると思ってるけど本当は隠しようが無いんですよね。俺自身を見つめてるとそういうところがあって、「憧れてます」って一発言った方が良いなって考えてたら出来た感じですね。全部真似したいって言ってるから、ヒップホップの「オリジナリティを持て」って言われる状態と、憧れてる状態の相反する部分を考えてました。でも、よくよく考えたらみんなミラーニューロン的に憧れまくってる可能性高いなっていうのが土台にあって。そうすると、人生経験の道順は違うけど、「憧れてます」っていう結果、「ヒップホップっていう概念がずっと好きで、憧れ続けてます」っていう。「トラップ、“罠”って名前になった状態でも好きです!」っていう(笑)。

 - ハハハ(笑)。

鎮座DOPENESS - 「ケツ跳ね」から「罠」になりましたが、結構ずっと追ってるし、何年も好きだし、みたいな。「俺なりにチャレンジし続けてるよな」って。

 - それがこのタイミングだったら言えると。それが出てきて、二人もそのテーマで。

ZEN-LA-ROCK - 「是非是非」って(笑)。

鎮座DOPENESS - 「じゃあやってみる~?」みたいな。

ZEN-LA-ROCK - 全曲そんな感じってわけじゃないかもしれないけど、“あなたになりたい”とか“TOKYO LUV”とかはそういう感じだったんじゃないかな。

鎮座DOPENESS - あとスクラッチいれたいっていうのが凄くあって。歌入れ終わった後に「これじゃない?」ってなって。

G.RINA - ビートの時点でチュクチュクとか入れてたんですけど、これは本当のDJ演奏に差し替えてもらった方がいいってなって。そしたらちゃんとネタも吟味して、然るべきDJの方に入れてもらいたいから、KEN-BOさんに。ところがそのスクラッチ音さえ権利が難しいってことが分かり、AFRAさんにKEN-BOさんが選んでくれたネタと擦り方をビートボックスで再現してもらったんです。

ZEN-LA-ROCK - 結構大変な過程を(笑)。

G.RINA - でも、ビートボックスもヒップホップの要素だし、スクラッチも要素だし、そういうものが集まってその時しか出来ない、90年代だったらそのままだし、今ならこういうふうになるっていう。

 - 90年代だったら、3人はそういうど真ん中みたいなことは「ちょっと......」っていう感じだと思うんですけど、2020年になって、それをやるっていうのは良いストーリーですね。

G.RINA - 時間かかったな......。

ZEN-LA-ROCK - 四半世紀ぐらい(笑)。

G.RINA - 世代は実はまあまあ近いんですよ。そういう時に日本語ラップを盛り上げてた人とか。でもね、私たちはようやく今……笑って頂けるといいかなって。

ZEN-LA-ROCK - KEN-BOさんとも何年か前に、stillichimiyaのパーティのアフターで鎮さんとかとカラオケですげえ飲んだ日があって。「何かあった時にFNCYで頼むのはDJ KEN-BOさんにしよう」って。このDJも、「誰に頼む?」っていうのは結構難しい。誰でもいいわけじゃ全然ないし、「ヒー」とかなって。もうダメ元になれば無限にいるけど......って。そしたら「決まってた大先輩いたわ!」って。

鎮座DOPENESS - スクラッチバージョン入った瞬間に、「職人っぷりが......」ってなった。ちゃんとアカペラじゃなくてビート入りっていう。

G.RINA - 青春が注入された(笑)。

ZEN-LA-ROCK - 選んできてくれたネタも90sのど定番。分かる人にとっては大ネタで。「先輩さすがです!」って。

Mr. 麿とのMV制作の思い出

 - 超良い話でした。今日はFNCYのMVといえばということでMr.麿さんにも来て頂いていて......。

Mr.麿 – 押忍!!

Mr.麿

 - これまでのFNCYのMVには名作が多いと思うんですけど、どうやって出来てるのかはあまり語られてないですよね。

Mr.麿 - 自分からは語らんですね。

ZEN-LA-ROCK - これを機に......。

Mr.麿 - いざ話そうと思うと、どう話して良いか全然わからないですね…。

- ちゃんとコンセプトが決まってるものが多いですよね。

ZEN-LA-ROCK - FNCY結成のきっかけになった“SEVENTH HEAVEN”も麿さんにやってもらいましたね。

鎮座DOPENESS - “今夜はmedicine”と“silky”と......。

Mr.麿 - “AOI夜”と“FNCY CLOTHES”もそうですね。きっかけは韓国に行った“SEVENTH HEAVEN”で。「この三人でグループ作りたいと思ってるんだよね」って撮った後にZENさんに言われて、「まじっすか」みたいな。「名前も決まってないんだけど」って。

ZEN-LA-ROCK - 名前どころか何も。

Mr.麿 - その時は、韓国にロケ行ってたけど予算とかスケジュール考えるとRINAさんを連れて行けないってことになり(笑)。「これは......」って。

鎮座DOPENESS - 男子校だもん。男子校すぎて。

Mr.麿 - 「じゃあ本当にユニットが結成したら、一発目は全員でロケしよう」と思って。それでFNCY一発目の“AOI夜”の時は、たまたま相棒のMMMが既に台湾に別の仕事で入ってて。「あ、じゃあ追っかけるから!」って。台湾で撮る事になりました。丁度その後僕はMMMと一緒に上海に行かなきゃいけなかったんですよ。だから「ちょうどいいじゃない!」つって台北でやりました。韓国の時は全然ロケハンしないで行ったから右往左往しちゃって、「大丈夫か?」みたいにお二人を不安がらせてしまったので。

鎮座DOPENESS - 俺的にはそんなことないよ。

Mr.麿 - なので次の“AOI夜”の時は何日か前に先に入って、「ここで撮ろう」って決めといて。

鎮座DOPENESS - スタッフが少ないと、凄く明確になるんですよね。韓国の時とかも、足りなかったりしたら持つとか、「照明当ててください!」って言われたら当てるとか。明確な感じが良いよね。

Mr.麿 -  俺が監督ではない“みんなの夏”とかはクレジットのスタッフの数とか見て「(多くて)すげーな」と思って。どうにもこうにも俺の撮影は超少人数でやるので。

ZEN-LA-ROCK - そんなにはいないよ!(笑)。

鎮座DOPENESS - “TOKYO LUV”も二人とか。

ZEN-LA-ROCK - 一番少ない時なんか俺と麿しかいないから。ゾロゾロいればいいって訳じゃないし

Mr.麿 - 少人数でやる感じが好きで。そんなに人いたら分かんなくなっちゃうから、「まあいいか、いきまーす!」みたいになっちゃうし(笑)。人数の多少に関わらずツーカーで分かってくれてる信用の置ける人とやりたいですね。

G.RINA - 私たちもそのノリが好きだから。

Mr.麿 - 「ZEN-LAさんちょっとレフ板持ってください!一緒にやりましょう」みたいな。

ZEN-LA-ROCK - “AOI夜”は最初からカラオケビデオにすることが決まってて、「それやばいね」みたいな。「それ台湾まで撮りに行くの?」って(笑)。でも一本目だったし、普通のビデオよりはこだわりたいっていうのがあって。

Mr.麿 - 曲名の字面がちょっとアジアっぽいなって。混ざっちゃってる感が良いなと思ったんです。

ZEN-LA-ROCK - 一番凄かったのは、“AOI夜”の時に三人で鎮さんの車で成田空港まで行ったんだけど、全然間に合わなくて。「ちょっと遅れそう」じゃなくて、もう全然間に合ってない(笑)。凄い早く出たのに、道間違えちゃって。

 - 乗り遅れたんですか?

ZEN-LA-ROCK - 奇跡的に乗れた。空港にスタッフが一人いたんだけど、「もうほんとに来るんで!」って飛行機止めてもらって。乗れた時全員で「うお~!」って(笑)。それは思い出深いですね。

Mr.麿 - 向こうからやってくる御三方が大変そうで(笑)。

ZEN-LA-ROCK - 撮った夜市も、すげえ治安の悪いところで。現地に住んでる友達にアテンドを頼んで。

Mr.麿 - 「こんなところで危ないよ、ギャングの人がいるから」みたいに言われた。

ZEN-LA-ROCK - ちょっと寂れた夜市かなって思ってたんだけど、言われてちょっと見たら確かに危なそうな感じもあって。

Mr.麿 - そうですね。俺個人のことですけど、映像は旅に誘ってくれるって思ってるので、FNCYの三人も、その旅の仲間として行ってくれると嬉しいなという思いがあります。次どこ行きますか?

G.RINA - 高いところはもう......(笑)。

Mr.麿 - やめときます(笑)。“TOKYO LUV”は大変だったっすね。

G.RINA - 恐すぎて......(笑)。しかも、柵が無いところだったんですよ。

ZEN-LA-ROCK - 俺と鎮さんとかは死んでもおかしくないところに(笑)。

Mr.麿 - 高いところが多かったので大変だったっす。命綱とか一応買ったんだけど、結局使わずに「やっちゃってください」って。

G.RINA - こっちから見てて、麿さんが恐いんですよ。「落ちないで~!」って。

鎮座DOPENESS - 「そこ引っかかりそう......」みたいな。最後に行ったビルも凄いですよね。

Mr.麿 - 代々木のビル。あんなに綺麗な東京の朝日見たの久しぶりですね。

鎮座DOPENESS - 俺は御苑と代々木公園の関係が見れて良かった。

Mr.麿 - あれは俺にとっては旅でした。

 - “今夜はmedicine”のMVでは演技もしてますよね。

Mr.麿 - あれはなんで『美味しんぼ』になったんだろう......(笑)。

ZEN-LA-ROCK - あれでしょ、薬は食べ物の......。

Mr.麿 - ああ、「医食同源」ってことで。食べるものについての仏教の映画とかを、前回のアルバムの時ぐらいに並行して撮ってて。その影響もありますね。その時その時の時世によって作る物って影響を受けるもので、コロナが何も無かったら、“TOKYO LUV”を先に撮るはずだったのが、緊急事態宣言になって「俺今ちょっと東京行きたくないっす」って話になって、それで“REP ME”のMVは出来たから、そういう意味では一個増えて良かったなって。あれ実は好きっすね。

鎮座DOPENESS - Michael Jacksonのゲームが、本当に一回ぐらいしかプレイしたことないんだけど、印象に残るゲームだったから、あれが自分になっていることが、「ゲームの中に入っちゃった」みたいな。繋がったと思いましたね。

ZEN-LA-ROCK - 今回のビデオもどうなることやら、みたいな。

 - まだ撮ってないんですか?

Mr.麿 - これからなんですよね。前回が東京だったので、次は地方に行こうという腹づもりで動いてます。

ZEN-LA-ROCK - FNCYのビデオで考えると、国内ロケとしては初ですね。

Mr.麿 - 遠出するのはそうですね。“みんなの夏”は結構遠出だったんじゃないですか?

G.RINA - 茨城ですね。

ZEN-LA-ROCK - 一応関東だしね。あと日帰りだったしさ。

 - 麿さんから見て、FNCYはミュージックビデオを作りやすいアーティストですか?

Mr.麿 - そう、ですね......そうだと思います。

一同 - (笑)。

Mr.麿 - いや、そんなことないですね。毎回迷ってます。それはどんなアーティストに対してもそうですけど。30回ぐらい、少なくとも100回ぐらい聴いたらある程度は考えつきます。

ZEN-LA-ROCK - 今回は実は”あなたになりたい”を撮ってもらいたいと思ってオファーしてたんですけど。

Mr.麿 - 「これ、俺思いつかないっす、誰か別の人の方が良い」と思って。それで「他の曲もあるよ」って話を頂いて、「取り敢えず聴いてみよう」って思って聴いてたら“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”が内容的にもしっくり来た。

ZEN-LA-ROCK - 無理矢理にでも”あなたになりたい”を撮ってもらうのでも良かったけど、それだったら意味が無いなと思って。今までのビデオとビジュアルイメージはFNCYとMr.麿で作っていたし。“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”だったら凄い画がガンガン出てくるっていうので、じゃあ一本目に出すビデオ自体を“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”に変えようと。

Mr.麿 - なんとか“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”ならいけるかもしれないとなりました。でも、“あなたになりたい”と“COSMO”は僕個人でもMV観たいなと。どんなやつになるんだろう、「俺だと思いつかないんだが!」っていう。「学生か」みたいなノリでここ10年以上やってて申し訳ないですけど。いつまでも素人感が抜けないから。

ZEN-LA-ROCK - 乞うご期待ですよ。

Mr.麿による“FU-TSU-U(NEW NORMAL)”のミュージックビデオ

G.RINA - 全部を麿さんだけが頭の中で把握してるから、撮影の時は麿さんが一人で「うわ~!」ってなってるんですよ。私たちはそれを愛でるのが楽しみ(笑)。「良い感じでドライブかかってきた!」とか。

Mr.麿 - そうなっちゃうと、俺動きが速くなっちゃうんですよ。

ZEN-LA-ROCK - 隠し撮りしといてあげるよ、今度(笑)。凄いから。

Mr.麿 - スタッフの人に「撮影中と撮影じゃない時の人格違いますからね」と言われます。

鎮座DOPENESS - “SEVENTH HEAVEN”の時は戦争カメラマンみたいだった。

ZEN-LA-ROCK - あれね、現地の人も「何やってんだ」って(笑)。YOUさん(YOU THE ROCK★)とデコトラで撮ったやつ(“DOUBLE ROCK HEAVEN”)があって、その時もデコトラの社長が「あのカメラマンは只者じゃねえ」って。「色んな有名人が今まで来たけど、あいつは只者じゃねえな。色んな人が来てみんな凄かったけど、あれはトップクラスですよ」って言ってて、「そうなんです」みたいな(笑)。“SEVENTH HEAVEN”の時も、普通に韓国の街なんだけど、道で匍匐前進みたいになって(笑)。「ちょっとそこのお兄さん、道なんで」って。

Mr.麿 - 空族の映画やってると、そんな感じになっちゃうんですよ(笑)。

G.RINA - でも、私はビデオ撮る時は曲が出来た達成感があって。「ここまで来たら麿さんとの撮影を楽しめる段階だな」ってなるから。フィニッシュに向かってる手応えを毎回感じますね。

ZEN-LA-ROCK - それを見ないと終われないんですよ(笑)。

Mr.麿 - 年下の人が見たら「おい、頼むぜ先輩」って感じになっちゃうと思うんですけど、みんな先輩で大人だから、幸いなことに温かい目で見てくれててありがたいです。

ZEN-LA-ROCK - 結果素晴らしいものが毎回出来てるから。今回コンセプトはもう決まってて。

Mr.麿 - 「旅一座」ですね。キャンピングカーで、これからツアーの予定じゃないですか。それにかけて、「これから行きまっせ」ってところも含めて、車で移動してるようなイメージです。映像的なテーマで言うと、『カリオストロの城』の最初のシーンの辺り、車で旅してる辺りを、参考にライブからライブまでの旅の姿を描いてみようと考えてますね。そんな感じです。

鎮座DOPENESS - 『カリオストロの城』のシーンはパッと出てきたの?軸になる世界観っていうか。

Mr.麿 - そうすね。聴いてて、「普通~普通~」ってところが「ここは絶対並走だ!」って思って。車で並走で旅してて、そこで俺が一番好きなものってなんだろうって思ったら「あ、『カリ城』だ」ってなって。それで「これだ!」って。

ZEN-LA-ROCK - 天才です(笑)。

Mr.麿 - でも、映画とかアニメにしても「そうしよう」と思っても、いろいろあって必然的に全然違うものになっちゃうから、それが楽しくてやってますし。そのノリをもう一度御三方でフィルター通してやることで、また良い日常風景が描けるんじゃないかなって思ってます。頑張ります。「火越しのRINAさん」って書いてありますね(笑)。(FNCY三人に)取り敢えずそんな感じで撮っていきます。すみません、取材中に(笑)。

鎮座DOPENESS - いつの間にか打ち合わせになってる(笑)。

アルバム制作時のサウンドトラック

- 色々訊いてきましたが、最後にアルバムを作っていた時に聴いていた曲を教えていただきたくて。

ZEN-LA-ROCK -制作時は聴いてなかったんだけど、AJ Tracey & Mabelの“West Ten”。UKガラージっぽくてカッコいい曲だなって思って。作ってる時に「聴いていたかった」曲ですね。最近リミックスも出ててめちゃくちゃカッコいい。最初”COSMO”のところで言ってたのは、この世界観かな。AJ Traceyはちゃんと聴いてなかったんだけど「この人ってこういうUKのラッパーなんだな」って。カッコよかったです。

G.RINA - 私はSHAKKAZOMBIEのトリビュートEPを凄く聴いてました。90年代の曲を思い出したかったのもあるし、そういうものを今新しくとらえ直す時、「どうやって作ったのかな」って。

ZEN-LA-ROCK - オオスミさんがお亡くなりになったから、「共に行こう」とかはリリックに入れさせていただきました。

G.RINA - スチャダラパーのアルバムとかも聴いてました。やっぱ、先人の取り組んできたことを改めて聴き直したいなって。今聴くとまた違う味わいがあるな、とか。

ZEN-LA-ROCK - 一小節交代の曲を作ろうって話も途中あって、それで俺も『WILD FANCY ALLIANCE』の“後者”を聴いたりしました。

鎮座DOPENESS - あれはもうフェイバリットですね。この間、あのアルバムのピクチャー盤のレコードがあって、それを思い出して新宿のドゥースラーの女将さんが持ってるって言ってて、「やっぱあるよね」って。記憶違いじゃなかったからヤフオクでゲットしようとしたんだけど、1万円でした。

ZEN-LA-ROCK - 結構高いね(笑)。

鎮座DOPENESS - 結構高くて。でも2万とかでもあったから。今年の頭にやっていたスチャダラパーのLIQUIDROOMでのベスト10(『スチャダラパーのココロのベスト10 2020』)。あの番組凄く良かった。緩く見れた正月番組として、なんか懐かしい気持ちもあったし。

G.RINA - 去年出たスチャダラ先輩のアルバムも凄く好きでした、それも聴いてたし、さらに昔のものも聴き直して。FNCYをやってる今、改めて聴くと、ってことが沢山あって。

 - 鎮さんは聴いてた曲はありますか?

鎮座DOPENESS - パッと出たのが、“COSMO”とか作る時にベースとオールドスクールって感じで、“Planet Rock”のインストを聴いて「やっぱこの音楽相当尖ってるぞ」みたいになって。ちょうど808のドキュメンタリーがApple Musicにあって、808ってすげー魔法の機材みたいだなと思って。しかも日本人の方が作ってて。だから808系の音楽は聴いてたしなおかつ集めてた。バックトゥザヒップホップだし、現行でもヒップホップの肝となってるから。と同時に、レゲエものも作る機会があったから、Shabba Ranksの“Ting-A-Ling”聴いてたら、「未だにかっけえ」って。その二曲は結構、FNCYとしては大きいですね。

ZEN-LA-ROCK - それこそ当然RINAさんのアルバム聴いたりとか。

 - 作ってる時に共通で話題に上ったアーティストはいましたか?

鎮座DOPENESS - 絶対あったっすよ。

ZEN-LA-ROCK - スチャダラ繋がりとか。

G.RINA - 「最近これ聴いてるんだけど」とかは、常に共有する感じですね。

ZEN-LA-ROCKちょっと前だと、みんなで言ってたのはTy Dolla $ignの“Ego Death”とか。

鎮座DOPENESS - 俺はErykah Baduのライブとか。「あれこうやってエディットしてやっちゃうんだ、カッコいい」みたいな。最近のメジャー級の人だとTy Dolla $ignは超好きなんだよな。最近だとTyler, The Creatorのアルバムは再生しちゃう。不思議すぎて。

ZEN-LA-ROCK - あれはなんなんだろう。

 - ミックステープカルチャーに対して憧れがあったらしいですね。

鎮座DOPENESS - FNMNLで記事になってるっすよね。あれ超ありがたかったっす。ミックステープカルチャーがあって。

G.RINA - 小林さんの記事。

ZEN-LA-ROCK - 3年後とかに日本人の若い子が「すみません、TY-KOHさん......超好きなんすよ」みたいなことですよね。「リッスゥゥゥン!」って(笑)。あれは凄かったですね。確かにそういうことだ。Dramaとかも、10年前ぐらいですもんね。前のKendrick LamarのアルバムにもKid Capriのチャプターがあって、DJが凄くリスペクトされてるよね。

鎮座DOPENESS - 自分たちの曲のヒットに直接繋がるから、カルチャーがあるってことですよね。

ZEN-LA-ROCK - ミックステープは無くなっちゃったもんね。

鎮座DOPENESS - 売るっていうことが難しくなっちゃってる部分があるよね。だから最近はプレイリストみたいな感覚で流行ってる。でも、繋がれてるってことで......。

ZEN-LA-ROCK - より良くなるしね。

鎮座DOPENESS - パーティと繋がってるってことですよね、ミックステープって。プレイリストともちょっと違うし。DJカルチャーは今後来るんじゃないですかね。

ZEN-LA-ROCK - 今はDJの価値観っていうのが思いっきりイージーだもんね。DJでFAMOUSな人って、新しい人だけどCHARI君じゃないけど、ああいう感じだもんね。

鎮座DOPENESS - プロデューサーってことだよね。

 - DJ Khaledみたいな感じですよね。

鎮座DOPENESS - そういえばKANJIの”Smash!!!”凄く良かった。A$APみたいな808の使い方に似てるなって。HIDEYOSHIくんもY’Sくんもみんな良かった。サラッと聴けて、何回も聴きたくなっちゃう。

 - 3人入って2分って、めっちゃ短いですよね。

鎮座DOPENESS - めっちゃ短い。だって16小節とブリッジの繰り返しだから。

ZEN-LA-ROCK - サビが無いからね。

G.RINA - Kanye Westの『Sunday Service』とかも聴いてましたね。90年代っぽいものの挟み込み方が良かったです。雑な感じっていうか(笑)。ああいうのは凄く好きです。

鎮座DOPENESS - 確かに、808入ってるのは段々昔のハウスとかアシッドとかあって、俺なりにプレイリストとか作って。ヒップハウスとか、こういうのもあるよねって。そういうのも好きでしたね。

ZEN-LA-ROCK - とか言ってる間に新しいアルバム出ちゃうからね。

 - そうですよね(笑)。この先のFNCYとしての活動や制作はいかがですか?

鎮座DOPENESS - やり残したことを(笑)。

Mr.麿 - やり残したことあるなんて最高ですね。未来があるから。

一同 - (笑)。

ZEN-LA-ROCK - そうだね。

G.RINA - タイトルも、もう決まってるんですよ。

ZEN-LA-ROCK - 一曲作ると、また「こういうのも」っていうのがありますよね。普通にライブとかツアー出来たら本当に良いなって思うけど、なかなかね。

鎮座DOPENESS - この世界は気になってますね。

ZEN-LA-ROCK - 戻りはしないだろうけど、新しい何かになりますよね。

鎮座DOPENESS - ここからもう、普通の世界線は凄い状態になりそうだから結構気になる。地方行った時も思うし。ここにもコロナの影響が多岐に渡ってあるし。だから東京で何千人って言ってる中で、九州に行ったりすると「すげえな」みたいな。東京がどうなるのか、ですね。自分たちが住んでるところだから。その常識がみんなの常識なんだろうし。東京は狂っちゃって、どうやって減衰していくのかって。

ZEN-LA-ROCK - アルバム出る頃にはまた全然違う感じというか、ムードが変わってそうだよね。ポジティブに届くと本当に良いなと思います。

鎮座DOPENESS - アルバムを聴いてもらって、どう感じられるのかってところですよね。

Info

FNCY 2ndアルバム『FNCY BY FNCY』

■発売中

■購入URL: https://fncy.lnk.to/2nd

■各種音楽配信サービスURL: https://fncy.lnk.to/BYFNCY

■収録内容:

M1:FU-TSU-U(NEW NORMAL)

M2:TOKYO LUV

M3:COSMO

M4:みんなの夏

M5:THE NIGHT IS YOUNG

M6:CONTACT

M7:cider skit

M8:him I gotta love

M9:FOOD GUIDANCE

M10:REP ME

M11:あなたになりたい

M12:New Days

■店舗別購入特典

タワーレコード:ラバーキーホルダー

Amazon.co.jpレコード風紙コースター

メーカー特典:INSTRUMENTAL CD-R 

 (「FU-TSU-U(NEW NORMAL)」「TOKYO LUV」「あなたになりたい」インスト音源収録)

※メーカー特典配布店舗一覧はコチラ:

https://evilamag.com//uploads/2021/08/0901FNCYtokuten.pdf

■法人別特典付き商品(法人別バンドル盤商品)

【楽天ブックス限定】「サコッシュ」付き      

価格:¥4,400(税抜価格¥4,000)

https://books.rakuten.co.jp/rb/16832914/

【ディスクユニオン限定】「缶クージー」付き  

価格:¥3,300(税抜価格¥3,000)

https://diskunion.net/black/ct/detail/1008348406

【ELR Store限定】「バジル栽培キット」付き    

価格:¥3,740(税抜価格¥3,400)

https://kingeshop.jp/shop/g/gECB-1394/?elr=45643

さらに、メーカー特典の実施も決定!対象店舗で2nd アルバム『FNCY BY FNCY』をご購入頂くと、「FU-TSU-U(NEW NORMAL)」「TOKYO LUV」「あなたになりたい」のインスト音源を収録した限定CD-Rが付与される。この機会でしか手に入らない音源となるので是非チェック。

対象店舗一覧はコチラ:https://evilamag.com//uploads/2021/08/0901FNCYtokuten.pdf

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