【インタビュー】Elle Teresa|等身大の自分がクラシック
Elle Teresaの存在を知ったのは4年ほど前。「Elle Teresaってラッパーがいるんだけど超いいよ。SAI好きだと思う。」と教えてもらい、Youtubeで「ニートTOKYO」を見てみると、フリースタイルについて独自の持論を語る彼女がいた。いまだにマッチョな男社会でもあるヒップホップの世界で作り上げられた流儀について「興味ない」と一蹴する彼女に一瞬でハマってしまった。以後、自分のライブ前に彼女の曲を1人で聴いたり、たまに頼まれるDJで彼女の曲を流したりしたのを覚えている。
そんな彼女が、avexからメジャーデビューすることとなった。7月7日の七夕にデビューシングル“Bby girlll”をリリースしたことを告知するポストで「みんなありがとう?ながかった✨今スタート時点にたったよ✨みんな待たせたね✨」と綴っていた通り、彼女にとって現在地はゴールではなくスタート地点なのだろう。 “Fuji”がある静岡県沼津市で生まれ育ち、ラップと出会い高校を中退し「本当に音楽で成功するしかないんですよ。」と語っていた彼女が歩んで得た成功は多くのキッズの希望にもなったと感じた。何より筆者自身が彼女の強い言葉に何度も鼓舞された。彼女の歯に衣着せぬパワフルな言葉や今後の展望などに注目しながら、普段よりゆっくりとスクロールして読んでみてほしい。
取材・文:SAI
撮影:Cho Ongo
- まずはメジャーデビューおめでとうございます。
Elle Teresa - ありがとうございます。
- 実はずっとElleさんのファンで。嬉しすぎてドキドキが止まらなかったです。今日までずっと緊張しっぱなしで。今もですが。
Elle Teresa - えー!嬉しい!
- Elleさんの「あたしならなれるわスーパースター」というリリックが印象的だったので、avexからメジャーデビューするニュースをきいたときにファンの 1 人として嬉しかったです。
Elle Teresa - 嬉しい!そんなふうに言ってくれて。ありがとうございます。
- とんでもないです!さて、以前別のインタビューで「メジャーはあまり興味ない」とおっしゃっているのを拝読したのですが、この一年半でどのような心境の変化があったのか気になります。
Elle Teresa - えー!そんなん言ってたっけ(笑)。やっば、クソ生意気......(笑)。なんでだろう、なんでその答えになったのか分かんないけど。でも、あんまりこだわりとかは無くて。ストリートだからとかメジャーだからとか、そういうのは考えたことは無いつもりだったんだけど。
- メジャーデビューが決まったのって大体いつ頃だったんですか?
Elle Teresa - 一年前くらいです。だからElleはもう、ずっと契約してたみたいな感じ。みんなとずっと喋ってるし。だから、みんなからの反応で初めて実感した。
- 契約に至ってから、リリースに至るまでの作業や制作の過程で今までと変わったところはありましたか?
Elle Teresa - メディアとかのプッシュしてくれる数が違って結構びっくりだなって思う。そこでもやっぱり「あ、メジャー行くんだ」って思った。
- この環境になったことで、ご自身のやりたいことがより実現しやすくなりましたよね。
Elle Teresa - 本当そう思う!めっちゃビュンって広がったから。その中でどこまで行けるかって話じゃないですか。同じアーティストで、めっちゃ結果出す人と出さない人がいると思うんですよ。作品の内容として。そこを考えなきゃなって毎回思ってる。
- 最近リリースされた“Fuji”という曲で「みんなだめって言ってたけど今は手届かないところまでいくから急いで」という歌詞がありますが、この部分もavexからのデビューと関係があったのでしょうか?
Elle Teresa - あ、あれはみんなが「Elleちゃんだめだよ」「全然いけないと思う」みたいな。そういう意味!みんな多分超驚いたと思う。Elleがここまで来るって、Elle自身も正直思ってなかったし。地元とかでも、親とかもそうだし、めっちゃ喜んでくれて嬉しかった。
- 今回avexからメジャーシングルをリリースするにあたり訊いてみたかったことがありまして。『PINK TRAP』に収録された“Bad Bitch 19 Blues”で、安室奈美恵さんをオマージュしていましたよね。同じレーベルとディールしたことへの感慨ってあったりしたのかなって。
Elle Teresa - 特にはなかったですかね。
Yuske Carter - 俺はあったよ。
一同 - (笑)。
Elle Teresa - でも大丈夫かな?みたいな感じだったよね。実際、自分が入ると思わなかった。ありがたい。
- 日本のそういうポップスにも好きなものってあったりしますか?
Elle Teresa - 結構歌謡曲とか、そういうのが好き。いつもカラオケで何歌うっけ?
Yuske Carter - 椎名林檎。
Ellle Teresa - そう、椎名林檎とか。プリプリとか。あと誰だろ、シャ乱Qとか。てかつんく♂さんってやっぱヤバくない?モー娘。のリリックとかマジで超ヤバい。AKB48も凄いけど、やっぱつんく♂さんの歌詞が凄い。
Yuske Carter - ってElleが言ってて、そのあとすき家行ってた時に流れてたもん。モーニング娘。ヤバいわって思った。
一同 - (笑)。
Elle Teresa - ヤバいよね!いや、マジでなんか凄いと思う。そういうのが日本の音楽だったわけじゃないですか。今そういうのが薄れてる気がする。そういう面白い人がいないから。やりたい放題みたいな。
- 今後はElleさんもそういった存在になりたいですか?
Elle Teresa - もちろん。
- メジャーデビューシングル“Bby girlll”のリリックで「ちょクソな大人」というワードがありますよね。 Elle さんのリリックではよく使われるキーワードだと思うのですが、Elle さんにとって信頼できる「大人」はいますか?
Elle Teresa - 親かなあ。親ですね。
- YuskeさんはElleさんが 16 歳くらいからお知り合いだったようですが、Yuskeさんは大人っていうよりは......。
Elle Teresa - 友達みたいな。
Yuske Carter - って言ってます。
Elle Teresa - え、でも分かんない!めっちゃ大人の人とかいなくない?みんな子供の心ちゃんと持ってるから。
Yuske Carter - ああ、そういうことね(笑)。
Elle Teresa - みんな友達みたいな。結構年上の人とかでも友達みたいな感じ。
- ビジネス的な感覚というよりは、もっとチームという感覚でやってるって感じですか?
Elle Teresa - ずっとそうやって思ってたんですけど、最近また変わって。週替わりで考えが変わるから。今は、仕事を仲間たちでやってるじゃないですか。それを維持するために頑張んなきゃいけないなって思って。ただ普通に楽しくやってたらいつかダメになるんですよ。それを維持するために頑張るって、多分みんなあんま考えてないと思ってて。「とりあえず上目指して頑張ろう」みたいな。Elleはそれより、 維持するために頑張ろうって今は思ってる。そうやって皆でずっと遊べるように。そこ結構大事かなって思う。
- 若いアーティストとかだと、活動をどう持続させるかってことを考えてる人って意外と少ないですよね。
Elle Teresa - うん。それができた上で、多分上に行けると思うから。あっけらかんに「めっちゃ有名になりたい」とか「めっちゃ稼ぎたい」とか、Elleもそう思うけど、 今を維持するのって意外と難しいというか。
- 今回の“Bby girlll”はいつごろ作った曲なんでしょうか。
Elle Teresa - “Bby girlll”は2年前に作った曲なんですよ。
- そうなんですね!最近出来た曲なのかと思っていました。
Elle Teresa - めっちゃキャッチーで、超ど定番でシンプルじゃないですか。最近のUSとか見てても、コロナとかでギュってなって、結構みんなテクいこととか「難しいことやってるっしょ?」みたいなのを出してるけど。それでJustin Bieberのアルバム出たじゃないですか。Justin Bieberはずっと出してなかったのに超ど定番のポップスをバン!って出してて、「めっちゃ良いな」って思って。意外とみんなどんどんひねくれて、歳を重ねるごとに実力とかもついてきて、シンプルにめっちゃ良いやつってなかなかもう出せなくなってくるというか。
- そうですよね。
Elle Teresa - でも多分Elleだったらできるんですよ。めっちゃシンプルに。だから、そういう業界人の人とかラップ好きとか「韻が」っていう人は多分「いや、あんなん」って言って聴いてくれないかもしれないけど、幅は広げられたと思う。若い子でも聴けるし、歳を重ねた大人でも、たまにサッて聴いてくれたら嬉しい。
- 2018年のインタビューで「Elleがラップを始めた時は女の子っぽい日本人のラッパーの見本がなかったけど、そういうのがやりやすい環境とか作ってあげたいですね」とおっしゃっていましたが、そういった後輩の同性のサポートをすることに関してやりがいみたいなものは感じますか?結構前のインタビューですが。
Elle Teresa - それは今も思うかも。逆に今は女とか男とかあんま考えてなくて。やりたい人がちゃんと出来る環境を作れたらいいなって思う。めっちゃやりたい人がいるとするじゃないですか。で、音楽がただ好きみたいな人がいて。音楽がただ好きみたいな人のほうが、結果、良い環境にいたりするんですよ。やりたい人ほど、あんまり良い環境にいなくて。何からすれば良いか分かんない、みたいな。だから、道は結構あるかもしれないけど......多いに越したことないじゃないですか。結構、Elleも感じてきたことだけど、やっぱり新人とか若い子達とかが出てきた時って、みんな良いと思ってもあまり認めないというか。業界の人も認めようともしないし、スポット当たってる人だけに注目して。Elleもそれ凄い感じてきたし。5、6年たった今「あ、やっと分かってきたか。」って。それまで本当に「は?」みたいな感じだったし。だから、そういう子達がのびのびして、バーンっていける時に、みんなでバーンっていけるような環境は絶対皆目標にして、そこに向かってやんなきゃいけないと思う。
- なるほど。そうですよね。5、6年活動を続ける上で色々理不尽なことも経験してきたかと思います。
Elle Teresa - 傷つくもんね、出てきたばかりでそんなん言われたら。音楽やりたくて、気持ちあるのに「はいはい」みたいな。そういう場がやだ!めっちゃ。最初は皆できなくて当たり前なんだから。
- 言いたいことを言葉を濁さず言うElleさんの印象がそのままでなんだか嬉しいです。その時のインタビューで「やめたいときはやめるし、もしそうなったら女の子のプロデュースをやりたい」とおっしゃっていましたがそういう気持ちはありますか?メジャーデビューのインタビューなのにやめる話なんてしてしまって申し訳ないのですが。
Elle Teresa - (笑)。でも分かんない、急にやめるかも。
- そうなんですか(笑)。
Elle Teresa - Elle、中卒だし、ちゃんと最後までやったことがあんまなくて。ラップだけはずっと「楽しい!」みたいな。だけど、また他にやりたいことあったら、そっち行っちゃうかもしんないし。自分の人生が豊かになる方に進んでいきたい。それで嫌になったら、嫌になる前にやめる。
- ファッションアイコンとしても支持されていますし、ブランドとか立ち上げても人気が出そうですよね。Elle さんが販売していた T シャツも、たくさんの女性のファンが着ているなってインスタとか見ていて思っていました。
Elle Teresa - え~やりたい!トータル的に色々やりたい。
- 私、実はMs.Machineというバンドをやっているんですけれど。
Elle Teresa - そうなんですね!
- 男性のファンの方が圧倒的に多いんですよ。Elle さんは同性のファンが多くて、それも含めてすごいなってずっと思ってます。
Elle Teresa - Elleもそう思う!めっちゃやりがい感じる。一昨日も熊本でライブ呼んでもらって、「びっしり女の子がいる!」みたいな。
- Elleさんのライブは最前列に女の子がいるイメージです。
Elle Teresa - みんなグッズ着てくれたり、BAPE着てくれたり。ツインテールで、Elleと同じタトゥー入れて。Elleの顔とか入れてくれてる子もいて。それ同性でやってくれるの嬉しいし。ネット上とかみて自分が「可愛いな」って思う子はいるじゃないですか。でも女の子って、それを口にだして言うのってプライドあるじゃないですか。それも飛び越えて見にきてくれてくれるっていうのも嬉しいし、そういう存在に自分がなれて嬉しい。それ最近思うなあ。
- そうですよね、周りのアーティストを見ていてもなかなかないことだと思います。リリックについてなのですが、書く時はご自身についてそのまま書いているのかそれとも「Elle Teresa」というキャラクターを作って書いているのか気になります。
Elle Teresa - どうだろう。リリックは......Elleっていうキャラクターとして言ってるわけじゃなくて。それはあんま考えたことないけど。全部普通に喋ってる感じかな。その状況に対してのトピックとかは結構決めるけど、そっからはもう喋ってる感じかな。
- なるほど。では等身大という感じなんですね。2019年にリリースされた“昔はひとり”という曲とか......。
Elle Teresa - あっ!懐かしい!
- あとは、“Future”という曲で感じたのですが、Elleさんのリリックは「自分は最高、一番良い」という強さもありつつ「一人でいた毎日」とか、そういう孤独とか弱さみたいなものもあって、そのギャップが私は凄く好きなんです。
Elle Teresa - え~嬉しい!
- 他にも「昔に戻りたくない」っていう歌詞もありますが、その「昔」っていうのは中高生時代のことだったりしますか?
Elle Teresa - 中高生時代もそうだし、Elle結構ずっと孤独っていうか。
- そうなんですね。
Elle Teresa - 結構ずっと一人だし。友達もほぼいないし、ここ一年くらいで親友みたいな子はできたけど、それまでずっと一人みたいな。で、この業界ってElleの周りとかもそうだけど、男の人多くて。女の子いないし。最初は結構「Elleちゃんどうなの?」みたいな。業界も周りの人もそうだし、ネットもそうだったから結構ずっと孤独っていうか。やっぱり、友達がいても孤独に感じる時もあるじゃないですか。だからずっとそういう気持ちはあったかもしれない。でも、Elle一人も好きなんですよ。一人で本も読んだりするし。だから、一人になりたくないけど、一人の時間好きみたいな。めんどくさいやつ(笑)。
- (笑)。私もそういう気持ちになることがあるので、すごいわかります。その友人関係の中でもNENEさんとはfeatしたりしていて盟友のような印象も受けます。NENEさんが年上だったからお姉さん的な存在で関係性が楽だったというのもあるんでしょうか?
Elle Teresa - う~ん、どうなんだろう。同じ「女性」で、同じようなことやってて、っていう友達がソヒソヒしかいなかったから。結構スッて仲良くなったかな。最近あんま会えてないけど。でももっと女の子のラッパーとは増えて欲しいなって思うし、おんなじような人に会いたい。アーティストとかじゃなくても。
- Elleさんを見て、ラップしたいって思った女の子は絶対いると思いますよ。
Elle Teresa - え~!してほしい。でもヤバい人いたよね。なんかElleのめっちゃファンみたいな子で。その子ヤバくて、15 歳とかなの!クラブとか来れないから、ライブするじゃないですか。TikTokとかにElleのライブ映像あがるんですよ。その子すぐ載せるの!「私Elleちゃんに憧れてラップやってみました」みたいな。サンクラにあげてて、聴いたらなんか「Elleに認められたい」みたいなリリック入ってて!「可愛い!」って思って。曲の感じもめっちゃElleだったよね。15歳であれ凄くない?
- これから、そういうファンの方が絶対増えると思います。
Elle Teresa - 増えて欲しい!コミュニティとして。
- 今年5月にリリースされたgummyboyさんの新曲“WooWee (feat. Elle Teresa)”はどのような経緯で出来たのでしょう?gummyboyさんとの出会いなどを教えてください。
Elle Teresa - gummyとの出会い......(笑)。
Yuskey Carter - gummyとの出会いはあれだよね、“GOKU VIBES”で Tohjiと仲良くなって、その流れで。
Elle Teresa - でもその前に一回会ってるんですよ。一時期tokyovitamin のスタジオによく遊びに行ってたんですけど、Duke of Harajukuと電話したら「今日Tohjiとgummy来てるけどElleもくる?」みたいな誘いを受けて。「あ、ちょっと行こうかな」って思って行って、その時初めて会ったんですよ。Elleその時めっちゃすっぴんみたいな(笑)。でもその時あんま喋んなくて。で、“GOKU VIVES”で再会したんですよ。そこでTohjiと仲良くなってちょっと遊ぶようになって、gummyとも仲良くなって。で、スタジオにみんなで遊びに行った時に、「曲作ろうぜ」みたいな。TohjiはLoota君と最近出した『KUUGA』ってアルバムを横のスタジオで作ってて。うちらもなんかやろうよ、みたいな。それであの曲ができて。
- なるほど。ではみんなで遊んだ時の延長線上にできた曲だったんですね。
Elle Teresa - そう!gummyとは何曲か作ってて。でも遊びの延長線上だから、“GOKU VIBES”みたいに、「これやろう!はいやりました!ぽん!」みたいなのじゃなくて、「良い曲あったら出そう」みたいなノリ。だからあの曲は、Elleからしたらトラップミュージックの一番シンプルで......ちゃんとベースというか。そういうのが作れたから、嬉しかった。
- Elleさんのキャリアを追っていて一番感じるのが、どんどん歌心みたいなものが増してるというか。
Elle Teresa - えー!そうかなあ。
- 今回の“Bby girlll”もそうだし、“GOKU VIVES”のヴァースもそうなんですけど、ディーヴァ感みたいなものを感じるんです。
Elle Teresa - 嬉しい!それ。マジ!?Tohjiにも同じこと言われた!だから「ちっちゃディーヴァ」って呼ばれてるんですよ(笑)。ディーヴァじゃないけど、ちょっとディーヴァみたいな。
- そのスキルが向上したのは、具体的に歌の練習などをしたからなのでしょうか?
Elle Teresa - いや!でもね、やっぱ一番最初に録ってた曲とか聴くと、シンプルに歌も上手くないんですよ。ボイトレとか行ってなくて。やっぱね、自然と練習したら段々と成長するよね。でも練習すればある程度は上達するし、Elleは別に上手さを求めてるわけじゃなくて。上手い人なんていくらでもいるじゃないですか。そこじゃなくて「あんま歌うまくないけどめっちゃよくない?」みたいな。その枠って意外とないというか。なのにめっちゃ良いって、下手なの良いみたいな。
- それはありますよね。
Elle Teresa - そう!だから、それを狙っていきたい。あんま歌上手くなりたくないから、「ちっちゃディーヴァ」くらいでいい(笑)。
- 「上手くなりすぎても」みたいな意識って、キャリアの最初のほうからあったものですか?もしくは、やってくうちにそういう意識になっていったんでしょうか?
Elle Teresa - それは最近かも。だって、完璧とかつまんなくないですか?人間そういうところがあったほうが魅力的だなってElleは思うんですよ。綺麗な人とか、普通に綺麗だけど。Elleはそういう弱さというか、自分のコンプレックスがあったほうが、もっと魅力的に見えると思う。男も女もみんな。
- スキルの方向で、「こういう部分を向上させたい」って思っている部分は他にありますか?
Elle Teresa - それこそ毎日そう思ってる。色々チャレンジしていて。色んな音楽が好きなんですよ。レゲトンとかダンスホールも好きだし。メキシコっぽいのも好きだし。ちょっと電子音っぽいハイパーポップとかも好きだし。色々好きだから色々試して、どれが一番合ってるのかっていうのは常に探してます。
- ハイパーポップっぽい感じのビートも合いそうだなと凄く感じました。そのような楽曲をやりたいというビジョンもありますか?
Elle Teresa - そういう曲いっぱいありますよ!でもその中で、今までは良い曲が出来たらポーンってリリースしてたんですよ。だけど、これからはその中でちゃんと厳選して本当に良いものだけ出したいから。今色々試してるって感じ。
- 最近聴いて、これやってみたいなって思ったジャンルだったりアーティストだったりっていたりしますか?
Elle Teresa - 一緒にコラボしたいとか?
- そうですね。それでもいいですし、例えばUSの楽曲などでこれ面白いな、自分でもやってみたいなって思ったものなどはあるのでしょうか。
Elle Teresa - やっぱりJustin Bieberめっちゃよかったから「ポップいいなあ」って思って。これ言ったら偏見になっちゃうかもしれないけど、ヒップホップって流行りのスピードが早くて、先週良いって言ってたやつが、もう新しい波になって。コロナ前はもっと活発だったけど......。結局ハイパーポップとか、ゴリゴリのトラップでもポッと出のやつっているじゃないですか。でもクラシックとされるトラップミュージックとかポップミュージックもあるじゃないですか。Elleはそれをつくりたい。それの日本版だから。アトランタの音楽はそういうトラップライフを送ってるから、そういうものが生まれるわけで。Justin Bieberもそういうライフを送ってるから、そういう音楽が生まれる。で、Elleはアトランタも好きだし、それの真似をしてずっと作ってきたけど、「じゃあ今等身大の自分の生活でどんな音楽がうまれるのかな」っていうところからクラシックをつくりたい。例えばロンドンってロンドンのサウンドがあるじゃないですか。独特の、レイヴみたいな。それが日本はまだないんですよね。アトランタはトラップミュージックとか、シカゴだったらもっと違う感じとか。そういうのも新しくどんどん来る時代になっていかないと、どんどん遅れとっちゃうし。それを今探してる。なんだろうと思って。
- なおかつ、そうしたクラシックになり得る独自のものは、絶対に生活や自身のバックグラウンドから出てくるものだと。
Elle Teresa - そうそう。めっちゃそれ感じる。だから、急にパーンって売れていなくなるっていう話さっきしてたじゃないですか。Elle、パーンっていったタイミングないけど。ずっとジャブを打ってきて、重ねてきたから分かる部分もあったし。パーンって売れたかったけど、そうやってやってきてよかったなって思う。それで分かったから。
- 今後真っ先にやってみたいことというか、今までやったことないけどこれからチャレンジしたいことで思い浮かぶものってありますか?
Elle Teresa - 映像はやりたいですね。今までディレクターの人に委ねていたんですけど、それだけだとどんどん満足できなくなって。
- ご自身でも結構ディレクションするようになった。
Elle Teresa - そう。だから人にお願いしても満足できないっていうことがあって。やっぱり自分がそこに一緒に加わって話してないのもあるし、イメージがあってその曲作ってるのに、その人と話さないと自分のイメージとは違ってくるじゃないですか。私は曲を作る時、先に映像が思い浮かぶんですよ。そうなったら、自分である程度骨組みして形作ってもらった方が良い。そういうことが最近ちょっとずつ出来るようになって。最近でいったらKOWICHIとだした“Rich”なんかは、最初の段階から全部「こうしたい」って話しして。小道具とかも全部「これがいい」って言って、楽しかった。そこに熱をかければかけるほど満足いく作品になるというか。“Fuji”も自分で編集しました。映像は結構興味ありますね。
- ご自身の作品の音楽以外の映像も深くディレクションするのって、例えばTravis Scottとかもやってることだから、「その規模になっていくんだなあ」と感じます。
Elle Teresa - DaBabyとかもそうですよね。やっぱそっちの方が色濃く出るんですよね。DaBabyとかTravis観ると映像見た時に「これTravisっぽい」みたいな。DaBabyもDaBabyって感じじゃないですか。他だったら、Lylical LemonadeとかCole Bennettも「あれCole Bennettだよね」って分かるじゃないですか。それが出来るのはElleしかいないと思う。
- なるほど。
Elle Teresa - Tohjiとか結構それ強いかも。ずっと一緒に遊んでるけど、一個のビデオに対して相当な時間をつぎ込むし。全部自分でやってるから。それでElleも映像やりたいって思ったかも。
- Tohjiさんたちとの関わりの中で刺激を得て制作にフィードバックされた部分もたくさんありましたか?
Elle Teresa - それもあるし、もちろんwest carterもそうだし。だから、Elleは本当に環境がよかった。周りにいる人がみんな良い人だったし、そういう人たちに恵まれたから。だからそういう人になりたいなって思う。
- 海外を目指してるっていうのは今もありますか?
Elle Teresa - もちろん......。でも別にElleは日本だからとか、海外に対して売り出してるとか、海外だからとか意識してなくて。「海外に行って海外で活動したい」とかも今は無くて。逆に日本に来てって感じ(笑)。日本人で、向こうにちょっと行って、みたいな人もいるかもしれない。Elleもそうやって向こう行って制作とかしたいけど、別に日本ベースだし。日本にいるからこそのElleの良さってあるんですよ。海外に行って活動するんじゃ、Elle でいる意味が無いみたいな。Elle英語喋れないから。最初は頑張って勉強しようかなって思ったけど、「喋りたいなら日本語で喋ってきて」って感じだし。そこ日本人魂みせて良いと思う。海外目指すっていうよりかは、ここも海外みたいな。向こうからしたら外人なんで、うちら。そういう感覚かな。
- 世界中の誰ともコラボできるってなったら、誰としてみたいですか?
Elle Teresa - え~!むっず!誰だろう......Young Thug?Young Thugじゃない?
Yuske Carter - 「じゃない?」って知らないよ(笑)。
Elle Teresa - Drakeとかもまた違うじゃん。すごいけど。Lil Uzi Vertとかもちょっと違うし。すごい有名とかじゃないけど、カルチャー作ってる人だなって思うからやりたい。
- Gunnaとかも含め、Young Stoner Lifeの面々は今のラップスタイルの走りみたいなのはありますよね。それは聴いてみたいです。最後に、今回のメジャーデビューを経てご自身がロールモデルというか、お手本みたいなものを見せていきたいっていう意識はありますか?
Elle Teresa - それはあんまなくて。Elleめっちゃ自己中だし、結構周りに迷惑かけちゃうこともあるし。自分がやりたいと思ったら、止められないんですよ。それを我慢してる子とかも多いと思うし。Elleは環境に恵まれたから、こうやって好きなようにできるけど。本当に好きなことを。前まではみんな敵みたいな。認められてなかったというか。だから、そういうのがあっても負けないでほしい。Elle負けなかったんで。余裕で。でも若かったらそういうのに押しつぶされちゃう子とかいると思うんですよ。そういうことがあったら諦めないで欲しい。
- グッときすぎて泣きそうになりました......。活動当初から現在に至るまでマインドの部分で変化していった部分もある?
Elle Teresa - 基本的には変わらない!基本的には最初っから「Elleが一番いいっしょ!」みたいな。根拠のない自信が。その中で色々あったから変わって行った部分はあったけど、基本的には変わらないですね。これからも変わらない。なんか時代作る人になりたいんです、Elleは。NIGO®さんとかそうじゃないですか。だから、ラッパーとしてもこれからしばらくやるけど、その先は映像とかクリエイターとか、そういうカルチャーを作る人になりたい。
- すぐになれそうな気がします。楽しみです!
Elle Teresa - Elleもなれると思う!
Info
最新シングル「Bby girlll」