【インタビュー】Leon Fanourakis 『SHISHIMAI』 | 完璧に向上していく音楽

多くの次世代アーティストを生み出している神奈川のシーンの中でも、抜群のスキルを持つラッパーといえば誰もがLeon Fanourakisの名前を思い浮かべるのは違いない。スキルと最新のトレンドを昇華したフロウを活かして『ラップスタア 誕生! シーズン2』でも優勝を果たした彼は、その後2019年に1stアルバム『CHIMAIRA』、昨年はThe UnderachieversのAKTHESAVIORとのコラボEP『FLATB$H ¥EN』を立て続けに発表。

そしてファストなフロウは、そのままに表現の幅を広げた2ndアルバム『SHISHIMAI』を今年1月にリリース。ヒップホップ的な向上の美学を背景に、着々と成長を続けるLeon Fanourakisに話を訊いた。

取材・構成:和田哲郎

 - まずはアルバム『SHISHIMAI』完成おめでとうございます。いつ頃作っていたものになるんですか?

Leon Fanourakis - 『CHIMAIRA』が出てから少しずつ進めていたので、結構古い曲もあれば、最近の曲もある感じですね。

 - なるほど。一番古く出来た曲はどれですか?

Leon Fanourakis - あの中だと“KAGE”が一番古いですね。2019年の夏頃に作った曲です。

 - アルバムはゆっくり作って行こうという形だったんですか?

Leon Fanourakis - 『CHIMAIRA』が出てからツアーとかをやっていて、アルバムをまた出そうと思ってたんですけど、そこからAKTHESAVIORとの『FLATBU$H ¥EN』を出して、「どうする?」みたいになって。そこからコロナ期間になったので、ゆっくり制作が出来るようになって、もうちょっと詰めてみようと思って。それで、その期間を使って作り上げた感じですね。元々早く出そうとしてたんですけど、「もうちょっと凝りたい」ってなって。

 - 去年はなかなか想定外な一年になったと思いますが、そんな中でも楽曲制作の方にフォーカスしていたと。

Leon Fanourakis - そうですね。結構スタジオに籠もってて。

 - これまでと違う状況に戸惑う人も多かったと思うんですけど、Leonさんはいかがでしたか?

Leon Fanourakis - そんな時期もあったんですけど、曲でそういう感情を解消しましたね。

 - 今作を改めて聴いて、Leonさんはめちゃくちゃストイックだし、結構完璧主義者的なところもあるのかなと思って。

Leon Fanourakis - そうですね(笑)。歌詞の中にも出てるかもしれないですが。

 - そういう完璧主義的な部分は、いつ頃からあったものですか?

Leon Fanourakis - 『CHIMAIRA』の時代から、自分の作品は2週間ぐらいずっと書いてる時もあるし。自分が納得出来るまでやりたいっていう気持ちでいた方が、出来た時にやっぱり気持ちいいし納得できますね。前はノリで作ってた曲も多かったんですけど、2ndからもうちょっと凝って色々考えて作ってみようっていうマインドに変わって。

 - 『CHIMAIRA』を出してから状況が凄く変わりましたよね。今作でも“Better Now”と言っていますが、作品に対してポジティブに、どんどん「俺はいいものを作れる」という自信を得たのは、やっぱり前作からという感じですか?

Leon Fanourakis - 自信というか、AKと一緒に曲を作ってて、いい感じに自分のバイブスを持って行けたんで、色々学んだこともあって。そこを活かしたいなと。自信っていうか、「やるべきこと」みたいな。

 - これは偏見かもですが、22ぐらいの時ってもっとおちゃらけてるというか、そういうことでも良いのかなと思うんですけど、もっとどっしり構えているというか。

Leon Fanourakis - 周りもすげーから俺も頑張らなきゃなっていつも思うし。周りの中だと俺が一番ふざけてるかもしれないです(笑)。

 - 今作に参加してるアーティストからはどういう刺激を受けることが多いですか?

Leon Fanourakis - 今回フィーチャリングを頼んだ人は、自分が昔からやってた人とか、自分がすげーリスペクトしてる人しか選んでないです。SANTAWORLDVIEW とはずっと一緒にやってて、スタジオにも毎週入ったりしてて。その中で、SANTAWORLDVIEW も凄く作るバイブスがあるし、LEXも天才。LEXと作った2曲はLEXの家で作ったんですよ。結構バイブスだけで録って(笑)。でもLEXは「ここはこういう風にしよう」みたいな提案もするし。JP THE WAVYさんと作った曲は凄くスムーズな流れで出来たっすね。JIGGさんのスタジオで最初は作ったんですけど。前々からビートを決めて、フックをちょっと書いて、ヴァースをちょっと書いたぐらいでセッションして。「じゃあこういう風に混ぜてみよう」とか、JIGGさんも凄くアドバイスしてくれたり。フィーチャリングは、そのアーティストと一緒にセッションで作った感じの曲が多いですね。タカくん(WILYWNKA)も、僕が1ヴァース書いて、1%のスタジオに来て貰って、一緒にリリック書いて。そんな感じでしたね。

 - なるほど。じゃあそのセッションのバイブスが良い形で影響して曲になってるということですね。

Leon Fanourakis - はい。それを落とし込めてますね。

 - Leonさんは自分の中では凄くハードにラップ出来るラッパーっていう印象だったんですけど、今回はその部分もありつつ、より色々な感情が出ているような感じがしていて。

Leon Fanourakis - 今回はハードなだけじゃなくて、自分の内面的なものだったり、ちょっとメロディも入るような感じのやつも作りたくて。“NANIMONO”とか“Better Now”は自分の内面を語ってて、“FALL”とかはあんまりやったこと無いような感じで作ってみて。「これもアリだな」って。

 - そういう新しい部分を出せるようになったのは、どういう変化があったからだと思いますか?

Leon fanourakis - 前から内面的なことを書いてはいたんですけど、多分一年半ぐらい前に『CHIMAIRA』を出した頃は「俺は今のスタイルが一番ハマってるだろう」と思ってたところがあって。だからこのスタイルを主流でやろうと思っていたんですけど、そればっかりじゃアルバムとして面白くないかなと考え出したんですよね。オートチューンとかはちょっと練習してやってみたり曲を作ってみたりしたんですけど、結構作り上げていって、その中でも良い物を選ぶような感じで作って。2ndアルバムだし、ちょっと違った自分を見せられたら良いなって感じです。後は結構年月も経ったから、そうやって自分の感情とか考え方が変わったかもしれないですね。

 - そういう内面的なことだったり、歌を歌うことって、どこかちょっと恥ずかしいというようなことにもなるのかなと思ったんですけど、そこは自然に出来た感じですか?

Leon Fanourakis - 最初はちょっと苦戦したりしたんですけど、段々掴んできて。

 - シングルになってる“ZEKKOCHO”でもフックは歌っていますよね。“FALL”はずっと歌っていう感じですけど、“ZEKKOCHO”は、ヴァースはめちゃくちゃハードにラップして、フックは歌っていう感じになっていて。

Leon Fanourakis - U-LEEさんのビートが元々雰囲気が途中で変わるものだったんですよね。ビート聴いた瞬間に「これフックは歌で行きたいんだよね」って言ってて、「じゃあやりましょう」ってなって、やったらイカれたShitが出来た(笑)。最初はローなキーで歌ってたんですけど、「高くしよう」みたいな。「ちょっと出来るかな?」って感じでやったんですけど、「出来るじゃん!」って(笑)。新たな発見でしたね。結局思ったのは、メロディも言ってみればフロウじゃないですか。そういう風に捉えられるなと思って、変わったところはありました。声の出し方とかも全部考えて、それ一式でフロウなんだなって思えてきたところがあります。

 - 今のLeonさんの色んな形のフロウを楽しめるのが今作だということですね。

Leon Fanourakis - ファストなラップもあるけどそれだけじゃなくて、色んなフロウを楽しんで欲しいです。

 - 色んなパターンの曲が入ってるものが良いアルバムだっていう風に思ったからこそ今作のような形になってると思うんですが、そういう考え方に影響を与えた作品などはありますか?

Leon Fanourakis - Denzel Curryのアルバムを一個通して聴いてみると、色んな曲がありますよね。プロのアーティストになると、結構みんなそういうことしてるなって思って。やっぱりそういうことにも挑戦しよう、と。

 - Denzelはラップのスキルがめちゃめちゃ高いというのもありつつ、色んな声の使い方もするし、バンドともやるし。

Leon Fanourakis - Denzel Curryは俺の中で一番リスペクトしてるから、そういうことを思ったり。音楽って感情じゃないですか。ハードな気持ちのこともあるけどそうじゃない時もあるから、その色々な感情をみんなに聴かせたい気持ちが強まってる理由なのかなって思います。

 - “Tryna Be The G.O.A.T.”という曲もあるし、よりプロフェッショナルになっていきたいという上昇志向が常にありますね。

Leon Fanourakis - そうですね。今回のアルバムはポジティブというか、「上がってこうぜ」っていうメッセージが土台にあります。

 - そういう気持ちをメッセージとしてしっかり出せるのは、どういう部分から来ていると思いますか?

Leon Fanourakis - 前のアルバムは名刺代わりに自分のスキルを見せつけたくて。だから「俺は凄えんだぜ」ってラップをしてたと思うんですけど、他の人の作品を聴いた時に、そればっかりだと疲れちゃうって気づいて。だから「自分凄いんだぜ」みたいなのは、「あーもう、分かったよ」みたいな(笑)。やっぱり音楽だから、人の気持ちを変えるための音楽が良いなと思って。だからそういうポジティブなメッセージを入れて、もっとみんなの気持ちが変化すれば嬉しいなって考えました。

 - もちろんリスナーもそうだし、ラッパーとかに対しても言ってるところがあるんですかね。

Leon Fanourakis - そうですね。だから、今回のアルバムはあまりdisったりはしていないです。誇張表現とかを、取り敢えずなしにしてみて。そういうことを言わないで良い作品を作りたかったですね。

 - ただのセルフボーストにはもう飽きたっていうところがあるんですか?

Leon Fanourakis - そうですね。

 - 例えばネットの批判に対して「そんなの下らないよ」とも言っていますよね。

Leon Fanourakis - “NANIMONOはBlackLivesMatterのムーブメントが昨年日本でも盛り上がった時に影響を受けて作って。俺は差別とかをされてこなかったんですけど、そういうことを俺の視点から歌えたらいいなって。「あいつは何者」とか「あいつは悪者」って言うけど、結局「自分が何者かわかる」っていうのが一番大事だってことを伝えたかった。そういう曲ですね。

- 先ほども話に出ましたが“FALL”も新境地の曲だと思うんで、この曲がどうやって出来たかも教えて欲しいです。

Leon Fanourakis - 「ラブソング書きたい」って思ったんですよね。ラブな感情があったので、これを曲に落とし込もうと思って作ったんです(笑)。ラブソングなのかな?そうなのかどうかは分からないけど(笑)。あの曲で自分の感情を落とし込みたかったっす。

- すんなり出来たんですか?

Leon Fanourakis - 最初はスタジオで作って、「いや、やっぱり変だな。俺のスタイルじゃないな」みたいになって。結構そのまま流してたんですけど、ある日デモで聴いてみたら「これはちょっと変えれば良い感じになるんじゃないか」って思って呼び戻した曲なんですけど。

 - じゃあ、一回ボツになりかけたんですね。

Leon Fanourakis - はい、一回ボツになってる。でも「こういうのもアリだな」って思って、周りに聴かせたら「Leonこういうのもアリじゃん」って。周りからも凄く評判良いし、入れようかなって感じです。

 - 最初は自分らしくないと思ったのに、そうなったのは面白いですね。

Leon Fanourakis - 結構曲が出来たら周りに聴かせて、反応を見て左右したりもしますね。

 - なるほど。LEXくんが入ってる“MOON”も、これまでのLeonさんだとあまり選ばなさそうなビートだなと思ったんですが。

Leon Fanourakis - そうですね。最初「どうしようかな」って思ってたんですけど、ビート聴いた瞬間「ダークだな、結構良いな」って思ったんですよね。でもオートチューンで嵌めたいと思って、その中でも高いボイスじゃなくてローキーで、ずっしりしたオートチューンみたいな。日本の人でこういう感じのラップをする人はあまりいないから、そういうのも作ってみたくて。いきなりLEXがフック入れて、フック入れた状態で持ち帰ったんですよ。フックで言ってることが凄く面白かったから、そのまま意味を繋げて作った曲ですね。

 - LEXくんがいることで良い影響を受けたというか。

Leon Fanourakis - 伊藤さんのビートで初めて作ったので面白かったですね。今年はもうちょっとガンガン作品を出していきたいですね。

 - Leonさんの軸となってる、ハードにラップして自分の存在感をしっかり示すような部分って、いわゆるヒップホップの美学と繋がる部分だと思うんですよ。今は「ラッパー=ヒップホップ」ってだけじゃないし、色々なスタイルのラップがあると思いますが、Leonさんは凄く正統なヒップホップらしい価値観を持ってるのはどうしてだと思いますか?

Leon Fanourakis - 自分はやっぱりヒップホップのルールに沿って生きていきたいっていうのがあって。自分の中のヒップホップは、すごく明確なもんですよね。曲でも「これはヒップホップじゃねえ」っていうのもあるし。でも自分が作る曲は、やっぱりヒップホップのルールや哲学に沿っていきたいですね。それがやっぱりカッコいいと思うヒップホップだし。

 - Leonさんが思うヒップホップは、どういう要素が入ってるものですか?

Leon Fanourakis - ヒップホップは向上の音楽、自分を高める音楽だと思ってます。リリックの内容もそうだし、向こうの人はオートチューンかけてもちゃんと「ラップ」してるじゃないですか。そこの境目が大事かな。ちゃんと「ラップ」になってるものを作る。表面上の内容じゃなくて、自分の思ってることをちゃんと伝えて、リリックに入ってるのがヒップホップとして面白いと思うから、そこも大事にしてます。

 - そういう価値観は“KIMEROYO”などにも貫かれていると思いますね。

Leon Fanourakis - 「決断をする」って意味でもある(笑)。

 - リリックはどうやって書いていくパターンが多いですか?

Leon Fanourakis - 自分はiPhoneとかにテーマというかキーワードを一言書いていって、その中から選んでいきますね。一個お題が決まってたらいきやすい時もあるっていうか。お題を決めて「こういう曲作ろう」って、ビート聴いた瞬間に作ることが多いかもしれないですね。

 - じゃあ、例えば“YORI DEKAKU”だと「よりデカく」っていうワードが出てきて、そこからそのテーマで作るってことですかね。

Leon Fanourakis - そうですね。 ほぼそういう形かもしれないですね。

 - リリックを考えるのは速いですか?

Leon Fanourakis - 速い時もあって、1ヴァース一日で書き終わって「これでいいぞ」って時もありますけど、結構一曲完成するのに一週間ぐらいかかるかもしれないですね。色々詰めていって「ここ違う」みたいになるんで、結構書き直したりもします。

 - 今回の曲で書き直した曲というと何になりますか?

Leon Fanourakis - “Better Now”は結構時間かけて作りましたね。二週間ぐらい。でも、大体同じくらいです。フィーチャリングとか、LEXとか JP THE WAVYさんやSANTAWORLDVIEWのやつとかは結構すぐ書けたけど。ソロのやつは時間かけてるかもしれないです。五日から二週間までありますね。

 - 「良いリリック」というか、バチっと嵌ってるリリックはどういうものだと思いますか?

Leon Fanourakis - フロウに韻が気持ちよく嵌ってて、意味が通ってる。どれだけ軽快に韻を踏んでいるかが自分のキーになるってところはありますね。やっぱり韻を踏んでいることの説得力というか、「おぉ......」ってなるものが良いリリックかなって。軽快なリリックっすね。

 - しかもちゃんと意味が通っていて、発音もしっかりしているものが多いですよね。そこまで崩しきらないというか。

Leon Fanourakis - そうですね。俺のラップは聴き取りづらいって言われてるなと思ったから、英語を少なくしました。

 - そうですよね、日本語がかなり多くなっていて。

Leon Fanourakis - やっぱり日本人だし、英語をちゃんと喋れる訳でもないんで、変な英語を使って、変な伝わり方をして「これ違くね?」みたいになるより、ちゃんと伝わった方がいいから。そこは気にしたところですね。

 - そこがノリ重視的なところから変わった部分ということでもあるんですね。

Leon Fanourakis - 変わりましたね。適当な英文でパッとつけちゃったりとか、前までは結構してたんですけど。文法の違いも無視してやってて。でもそこが伝わらないのは悔しいから、ちゃんと表現しようと思いました。

 - AKとの共作がそういう影響を与えたってこともありましたか?

Leon Fanourakis - AKとの共作でも、英語にしたいところとか、隣に英語喋れる友達がずっといたから「このライン入れなよ」「こうやって入れるんだよ」ってちゃんと教えてくれて。それ以外だと、自分が言い慣れてない、普段言わないような英語の言葉はあんまり入れないようにしようと思って。結局言い慣れない英語より自分が普段言ってる言葉の方がリズムを付けやすいというか、デタラメじゃないというか。そこは凄く感じて、そういうスタイルにしました。

 - 他に自分の中で、このアルバムを制作している中で変化した部分はありましたか?

Leon Fanourakis - 変化はしましたけど、去年の後半ぐらいは「早くアルバム出してえ、ライブしてえ」って感じでしたね。だから出せて嬉しいです。変化したところは、ありすぎて分からないですね(笑)。まあ一年も経ってるから、前よりは考えが大人になったのかな。どうなのか分からないですけど(笑)。

 - LeonさんにFNMNLで初めて取材したのは2018年でしたその時から日本のラップのシーンは、Leonさんの年下の世代も出てきてるし、シーンの中での自分のポジションも変わったと思うんですけど、今のラップのシーンについてはどういう風に見ていますか?

Leon Fanourakis - YamieZimmerのEPの時っすよね。横浜は横浜のシーンで形づいてきたというか。若い子を見てると、ちゃんとラップしてるし、俺が19とか20の時に思い描いていた横浜の若いヒップホップのシーンが段々形になってきてるような気がしています。ralphとかも出てきて、それこそLEXは俺らが小さい箱とかでライブしてる頃に遊びに来てた訳じゃないですか。そこで受け継がれてるものがあるというか、横浜、神奈川のスタイルが定まってきたなっていう気持ちがあります。それが、俺が元になってれば嬉しいなとは思うんですけど、やっぱりラッパーごとに違うと思いますね。

 - 確かに今の神奈川のシーンの成長具合というか、色んなラッパーが出てきてるのはめちゃくちゃ感じるんですが、こういう良い流れが出来てることにはどういう理由があると思いますか?

Leon Fanourakis - やっぱり自分の中では、俺らが横浜でやってきたイベントが意味があったかなと思いますね。そこで流れていたりサウンドだったり、俺らが初めてEPを出した頃は中学生とか高校生も遊びに来てたから、その世代が段々大人になってきているし、彼らは最初からフロリダとかも知ってる奴が多いから。そういうのがやっぱり元になってるのかなって思いますね。

 - やっぱり一番面白いというか、新しい音をしっかりパーティで掛けてて、LeonさんとかYamieZimmerくんとかがそれを自分たちの曲としても表現したからこそ、というところですかね。

Leon Fanourakis - まあ、そうなってたら嬉しい(笑)。みんなが個々で違ったりすると思いますけど、俺はそうなってる気がして。

 - 他に今注目しているラッパーはいますか?

Leon Fanourakis - 去年ニューヨーク行ってた時にも会ってたんですけど、Kazuoも横浜なんですよ。戻ってきたばかりなので、また横浜で活動するのかなって感じですね。

 - なるほど。めちゃめちゃラップ上手いですよね。

Leon Fanourakis - この前スタジオに入ったりして。ralph、Kazuo......横浜とかだったらそんな感じかな。

 - サウンドとしては、2、3年前とかだったらフロリダとかが中心だったと思うんですけど、今は結構トレンドの中心が見えづらい時代ですよね。そういう点で、Leonさんは今何を聴いていますか?

Leon Fanourakis - 結構色々聴いちゃってますね。今聴いてるのはTame Impalaとか。最近面白いなと思ってるのは、グライムとレゲエのミックスですね。Vybz Kartelがやってたり、Junior Reidがドリルでレゲエみたいな曲をやってたり。後はRico Nastyとか聴いたり。あんまり偏りなく、色んなヒップホップを聴いてるっすね。

 - 確かに、横浜はレゲエの文化もめちゃくちゃあるし、そういうミックスされたものもLeonさんだったら合いそうですよね。

Leon Fanourakis - そういうのがあっても面白いですよね。考えてます。

- 今年このアルバムを出して、その次の動きというか、今新しくやってみたいことや今後の展望などはありますか?

Leon Fanourakis - 今年の目標は、まずソロの作品をいっぱい出したいなっていうのがありますね。後は何より、今年はどうなるか分からないけど、ガンガンライブしていきたいなっていう気持ちがあります。

 - これは個人的な興味なんですけど、今回はYamieZimmerさんがプロデューサーで入ってないですよね。これは何か理由があるんですか?

Leon Fanourakis - そうなんですよ(笑)。別に理由は無くて、一曲入れようと思ったんですよ。でもYamieZimmerが「ちょっと納得いかない」って(笑)。

 - なるほど(笑)。彼もやっぱり完璧主義というか。

Leon Fanourakis - そうっすね。YamieZimmerも今年は出すって宣言してて、俺も何曲か入ってるんですけど、YamieZimmerも今年は楽しみにしててください。

 - じゃあ、またそれはYamieZimmerくんの作品の方でコンビネーションを聴けるってことですね。

Leon Fanourakis - そうですね。

 - ありがとうございました。

Info

配信日:1月22日(金)

Artist::Leon Fanourakis

Title::SHISHIMAI

レーベル:1%

各配信サイト:https://linkco.re/U83tUVXz

トラックリスト:

01. ZEKKOCHO (Prod. U-LEE) 

02. What did you say!? (Prod. JIGG)

03. Tryna Be The G.O.A.T. feat. SANTAWORLDVIEW (Prod. Yung Xansei & thats not it)

04. CHAMPION feat. LEX (Prod. Oakerdidit)

05. HOT SAUCE (Prod. BULLSET & TIGAONE)

06. KIMEROYO (Prod. Yung Xansei & Bl$$d)

07. BEAST MODE feat. JP THE WAVY (Prod. JIGG) 

08. YORI DEKAKU (Prod. Yung Xansei & Clint Ford)

09. TOBASE! (Prod. Yung Xansei) 

10. NO LIGHTS (Prod. rocktee) 

11. MOON feat. LEX (Prod. MurderFaktry)

12. KAGE (Prod. GHXST)

13. NANIMONO (Prod. AKI)

14. Better Now feat. WILYWNKA (Prod. KrissiO)

15. FALL (Prod. NOCONOCO)

Leon Fanourakis "SHISHIMAI" TOUR

Leon Fanourakis "SHISHIMAI" TOUR

(調整中) CHAMBERS 京都

2/13(土) SQUALL 仙台 *DAY

2/20(土) GOLD 土浦

2/22(月 祝前) BRIDGE 横浜

2/26(金)  L2 広島

2/27(土) BRIDGE 神戸

3/5(金) UTAGE 札幌

3/13(土) SEVEN 新潟

3/20(土) MAIRO 富山

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