アメリカ議会図書館がビートメイク用のパブリックドメインのサンプリングツール『Citizen DJ』を公開

ヒップホップのビートメイクといえばサンプリング。しかし、現在はクリアランス等の問題でサンプリングで作ったビートをメジャーな場で用いることに膨大な費用がかかることも事実だ。そんな中、アメリカ議会図書館がなんとパブリックドメインのサンプリングツール『Citizen DJ』をローンチすると発表した。

Geniusによると、『Citizen DJ』はエンジニアのBrian Foo氏が開発したもの。無数のサンプルや映像にアクセスし、そのサンプルを元にビートを制作するまでの工程を『Citizen DJ』のみで行うことが出来る。またこれらのオーディオクリップや素材はサンプルパックとしてダウンロードすることが可能で、DAWでの音楽製作にも使用することが出来る。

『Citizen DJ』で配布されるサンプルにはいずれも制作した者や元ネタについての詳細な情報が記載されている。Foo氏は『Citizen DJ』をスタートするにあたって「今日、黄金時代のコラージュベースのヒップホップは殆どが失われてしまった(法外に高価な)アートフォームになってしまいました。もしパブリックドメインのオーディオやビデオ素材を発見し、アクセスし、音楽制作に利用する簡単な方法があれば、新世代のヒップホップアーティストやプロデューサーがクリエイティビティを最大限に発揮し、新しいサウンドを作り、リスナーにカルチャーや音の歴史を伝えることが出来ると信じています」と語っている。

これまでサンプリング用のプラットフォームといえばサブスクリプション制のサービス「Splice」が音楽制作においてはメジャーだったが、今回の『Citizen DJ』は無料であること、サイト内に散りばめられた無数のサンプルを探す独特なインターフェースを持つこと、またサイト内でビートメイクをすることが可能である点が特殊だと言える。

現在はテスト段階にあり、こちらで試用することが可能な『Citizen DJ』。既に楽曲制作を行っている方もこれから始めてみたいという方も、是非一度試してみてはいかがだろうか。

RELATED

AppleがLogic Pro Xの90日間無料トライアルを提供

新型コロナウイルスの感染拡大防止に伴う自宅待機を余儀なくされている人々のため、Appleが音楽製作ソフトLogic Pro Xの90日間限定無料トライアルを提供することを発表した。

FL Studioがヒップホップに与えた影響を紹介する動画がGeniusから公開

現在メインストリームとなっているヒップホップのトラックを作るプロデューサーの多くが使用しているDAW、FL Studioの功績を紹介する動画がGeniusから公開された。

台湾のメーカーMiDiPLUSが女性のためにデザインされたオーディオインターフェースを開発

台湾のDTM機器メーカーMiDiPLUSが、今回「女性のためにデザインされた」オーディオインターフェースを発表した。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。