【日本と韓国 : 隣国で暮らしてみて Vol.1 】| NOA
2000年代後半からのK-Popブームや韓国映画などをきっかけに、文化的な距離は大きく縮まった日本と韓国。K-Popも、もはやブームではなく1つのカルチャーとして完全に根付き、若年層は国内よりも気軽に韓国を旅行することも多くなり、それはまた逆もしかりで、コロナショックの前までは両国の文化的な交流は、とても盛んだった。
そしてそれはアーティストにとっても同じくで、メジャー・インディー問わずまたDJなどでも両国のアーティストがパフォーマンスをするのは、ごく自然な光景になった。FNMNLでは、さらに一歩進んで、日本から韓国に渡りキャリアを積んだアーティストや、逆に日本で生活を営んでいる韓国のアーティストに話を訊くインタビューシリーズをスタート。それぞれが隣国での生活を選んだ理由を訊いた。
取材・構成 : Erinam
撮影 : 寺沢美遊
- NOAさんは今年の1月に『LIGHTS UP』で正式デビューされましたが、デビューから1ヶ月経った今の心境はいかがですか?
NOA - 少し前に、初めてファンの方とお会いできるリリースイベントをさせていただいて。もちろんデビューした際に「この世に自分の曲が発信されたんだな」っていう嬉しさはあったんですが、ファンの方と実際に会ってこれからもっと楽しみになりましたし、実際に曲を聴いてこんな風に頑張ってます、というメッセージが伝わっているのを感じると、今後も色々な形でメッセージをもっと伝えていきたいという気持ちになりましたし、とにかく今後が楽しみで仕方がないですね。
- 韓国の大手事務所で練習生だった事からデビュー前から応援していたファンの方も多いようですが、韓国で練習生を始めたきっかけはどのようなものだったんですか?
NOA - 最初の頃は僕自身K-POPにすごく興味があって、その中でもBIGBANGさんは憧れで、日本人として韓国でK-POPの中で入っていきたいとBIGBANGを見て思ったのがきっかけです。
- 現地でスカウトを受けたと伺ったのですが、その時はもうK-POPに興味があって、向こうで活動して行こうという気持ちがありましたか?
NOA - そうですね、ありました。
- 最近は韓国に音楽やダンスを学びに行く人が多いですが、NOAさんが行ってた7年前や8年前はまだそんなに多くなかったですよね。NOAさん自身もまだ10代だったと思うんですが、若い年齢で韓国で生活することに不安などはありませんでしたか?
NOA - 最初はまだ韓国語がわからない時に行ったので、会話はもちろん、タクシーに乗っただけでも「自分が伝えたいことを伝え切れてなかったらどうしよう」みたいな不安は日常の中でありましたね。
- 日本の方にとっては練習生という言葉も聞き馴染みがない方も多いと思うのですが、向こうでの練習内容や生活は具体的にどのようなものでしたか?
NOA - 初期の頃と後半で結構違ってくるんですが、後半は朝の11時ぐらいに出勤をして、夜の12時くらいまで練習してました。本当は10時に帰ってもいいですが、10時以降に一人で自主練をしていて、よく終電に乗って帰ってましたね。
- そうなんですね。ダンスや歌の他に言語の授業などもありましたか?
NOA - はい、もちろんです。
- それで、自分で練習したい人は残って練習する感じなんですね。音楽を作り始めたのもその頃からですか?
NOA - 音楽を作るのは、実は結構幼い頃からやっていて。でも本格的に始めたのは事務所に入ってからの周りの影響だったり、教えてくれる方がいたりしたのでどんどん勉強しましたね。英語は小さい頃からずっとやっていて。事務所の方でもやらせていただきました。
- 学ぶことが多くて凄いですね。向こうの生活で思い出深かったエピソードなどはありますか?
NOA - そうですね、その当時は朝から夜までっていう生活が時々しんどくなることもあったんですが、今となっては凄く楽しかったなと思えます。色々な思い出だったり、共有出来る仲間が周りにいっぱいいたのが楽しかったですね。
- 同世代で歌手や音楽を目指している仲間は結構多国籍でしたか?
NOA - 外国人は僕だけでした。最初の頃はGoogleの翻訳機でしか会話が出来なくて。でもある意味12歳の頃に行けてよかったのかな、とは思いますね。その時だからこそ習得出来る物もあると思うので。
- 食べ物や生活面での苦労はありましたか?
NOA - 僕自身辛いものは好きなんですが、得意か苦手かと言われれば苦手な方で。あと凄く汗かきなので、出来るだけ辛い物は避けたいんです(笑)みんなでご飯に行くときにメニューを見て、「辛くなさそうなのはどれなんだろう」と思って選んだときにたまたまオムライスがあって。「あ、これは辛くないだろう」と思って頼んだんですけど、オムライスも辛くて(笑)その時に「ああ、何を食べればいいんだろう...」ってなってたことはあります。でも今となっては辛いものが凄く恋しくなることはありますね。韓国は食べ物が凄く美味しいので、生活面でも食べ物は慣れていましたね。
- 韓国での生活で最も印象的だったことはなんですか?
NOA - 情が深い国民性だからかな、人との距離感が近いって感じます。お兄さんやお姉さんの事をヒョン、ヌナ、オッパと呼ぶような言葉も多くて、友達や先生、事務所のマネージャーさんなどをヒョン、ヌナと呼んでいましたね。今改めて思うと凄く親近感があったと思うしそういう文化が好きですね。
- 今回の“LIGHTS UP”という曲はご友人でもあるMILLENNIUMさんと共同作業で作詞・作曲したことですが、練習生の頃から一緒に楽曲を作ったり作業することはありましたか?
NOA - ありましたね。周りの友達と結構頻繁に作っていました。自分がある程度一人で作った物を友達に聴かせて、「俺ちょっとこう思うんだけどこうしてみな」とか言って、「あ、じゃあ一緒に歌ってよ」っていう感じでよく作ってましたね。
- そういうのは事務所から課題が与えられて、というよりは自主的に?
NOA - そうですね、自分たちで。楽しすぎて週末は練習室に行かなくていいのに練習室に出て、曲だけ作って帰ることもよくしていました。
- 出来る方も沢山いますからね。今回MILLENNIUMさんと一緒に制作した際の制作秘話などはありますか?
NOA - 彼が日本に来たときに一週間ほど時間があったんですけど、その時に1日オフを取らせていただいて。夏だったのもあって、彼をちょっと案内したいなと思って(笑)そのときお台場でたまたま夏のイベントをやっていて、お台場に行ってめざましライブさんのライブを見たりして、夕方からはディズニーに行ってめちゃくちゃ遊んで。彼も凄く楽しかったと言ってくれましたし、自分もすごく楽しかったですね。
- NOAさんのインスタライブのファンの方からの質問を見ていて気になったのが、凄くディズニーに関する質問が多いですよね(笑)NOAさんがディズニーをお好きなんですか?
NOA - そうですね、小さい頃からディズニーやスポンジボブのキャラクターが凄く好きで。その中でもディズニーは、ディズニーランドというものが日本に存在することも大きくて、小さい頃からよく行ってましたし。今となっては自分で時間を作って行ける場所になったので、逆にもっとハマりましたね。本当に一つのエンターテイメントとして素晴らしいなと思っています。ディズニーの世界観が凄く好きなので、いつも見て刺激を受けています。
- お気に入りのキャラクターはいますか?
NOA - 僕はやっぱりミッキーが一番好きですね。スーパースターって感じです。
- 今回の楽曲は作詞も一緒に作業されていますが、「全てが始まるよ」という歌詞が特に印象的です。この楽曲にはどんな思いを込めましたか?
NOA - 僕のデビュー曲ということもあって、もちろんファンの皆さんや聴いてくださるみなさんにメッセージを伝えたい、ということもあるんですが、僕が10年後にデビュー曲を聴いてもその時の自分が思ってることがまた響くような内容にしたい、ということを思いながら書きました。10年後にまたこの曲を聴いても、この時のワクワク感や今後に対する気持ちを忘れられないように書いた曲ですね。
- 最初にこの楽曲が発表されたときに新鮮だな、と思った点が韓国語のバージョンがあることで。韓国のアーティストが日本語版を出すことは定着しつつありますが、逆に日本のアーティストが韓国語版を出すことはそんなに多くないですよね。韓国語版を制作した理由はどんなものですか?
NOA - 僕は日本語と韓国語と英語が出来るんですが、オリジナルバージョンには日本語と英語のどちらも入っていて、やっぱり韓国語も出来るってことをどうやってお見せ出来るか考えた時に、“LIGHTS UP”の韓国語バージョンを歌詞もオリジナルと変えて出すことで、別の形で自分が言語が出来るってことをお見せ出来ればと思って書きました。
- やっぱり韓国でも活動していて、韓国のファンの方も多いですよね。韓国語版を出した時にリアクションはありましたか?
NOA - 僕の中で結構びっくりしたのが、外国のファンの方でも日本のファンの方でも「韓国語バージョンの方が好き」と言って下さる方がいて。もちろん僕は内容が違うのでどちらも凄く好きなんですが、「そういう風に聴いてくださる方もいるんだな」と思って嬉しかったです。
- 純粋に音の違いとしても新鮮ですよね。今回はMILLENNIUMさんと一緒に作業していましたが、今後コラボしてみたいアーティストはいますか?
NOA - 凄くいっぱいいますね。僕自身アメリカのプロデューサーさんだったりをいつも調べたりしているので。プロデューサーさんやアーティストさんで言うと、アメリカにPRETTYMUCHという5人組のグループがいて。曲や世界観が凄く好きでいつも聴いているんですが、いつかコラボしたいなという気持ちが強くあります。
- Instagramでtofubeatsさんをフォローしてい
NOA - 韓国にいた頃からtofubeatsさんの音楽は大好きで聞いていたので、韓国の友達にもシェアをしていました。日本に戻り、いつか絶対お会いしたいなと思って1度DMを送らせて頂きました。ある日信号待ちのとき偶然隣に並んでいて自ら声をおかけしました。それがきっかけで今では本当に仲良くして頂いて毎回お話しをする度に色々な刺激を頂いています!実は今でも少し不思議な気持ちでお会いさせて頂いてます(笑)! 尊敬するアーティストさんです!
- 語学が達者ということもあって、国内外のアーティストとどんどんコラボして行けるというのが素晴らしいですよね。
NOA - そうですね、どんどんコラボしていきたいです。
- リリースパーティもあったと思うんですが、ファンの皆さんの前でパフォーマンスした感想はいかがですか?
NOA - 最初曲が始まるときに後ろを振り向いた状態から始まるんですが、実際に曲が流れてファンの皆さんが声を出してくれることが初めてだったので、その時自分も自然と笑みが出たというか。凄く嬉しかったです。でもパフォーマンスの面では自分の中で反省点が凄くいっぱいあるので、もっと成長した姿を早くお見せ出来ればいいなと思っています。
- 韓国時代も含めると長い練習期間を経てのデビューとなりましたが、楽曲を発表してから皆さんに直接披露するまでの間に気持ちの変化はありましたか?
NOA - デビュー前からメッセージなどを皆さんが送ってくれて励ましていただいていたんですが、デビューしてからそれをもっと肌で感じるというか。後やっぱり、今回僕が曲に込めた思いがファンの皆さんにダイレクトに届いているようなメッセージをいただくことがあって、それは凄く嬉しいですし、もっと色々な方に会えて行けたらいいなと思います。
- 今後は国外のファンの方に会いに行く予定もありますか?
NOA - そうですね、今後も機会を頂ければ凄く会いにいきたいです。
- “LIGHTS UP”のクリエイティブ面も凄く気になっていて。MVがiPhoneの規格に合ったものだったり、Instagramにアップされたメッセージのようなティザーも凄くおしゃれで素晴らしいなと思ったんですが、そういったクリエイティブ面でのこだわりがあれば教えてください。
NOA - 最近スマホでYouTubeを見る方が凄く多いですよね。横動画もいいですが、縦画面にした方が立体的というか、目の前にいるような感覚になる部分があるので、その部分で楽しんでいただけたらいいなという気持ちで縦画面にしました。Instagramにアップしたティザーは僕が思いついて作りました。
- そうなんですね。MVもそうですが、あのティザーも本当にやりとりをしているようなリアルな感じが面白かったです。
NOA - そうですね。一応ファンの方と僕が会話をしている、という設定で。ちょっとずつ匂わせを出来たらいいな、という感じで少しずつ会話内容も変えていって。一個ずつ上げていくうちに、僕が求めているようなリアクションをしてくれて。最初は「これ何なの?」みたいな反応だったのが、ちょっとずつ「デビューするのかな?」という風に思っていただいたので、僕自身作りながら楽しかったです。
- 見せ方が素晴らしいですよね。最近聴いている音楽や、日本のリスナーに紹介したい海外のアーティストなどはいますか?
NOA - 結構幅広く聴いてます。J-POPだと僕は山下達郎さんが昔から大好きで、海外のファンの方には山下達郎さんを是非聴いてみてほしいですね。
- 特に好きな曲はなんですか?
NOA - やっぱり気分を上げたいときや1日をスタートするときは“RIDE ON TIME”を聴いてガッと始めて。あと、『グランメゾン東京』ってドラマの主題歌の“RECIPE (レシピ)”っていう曲も、僕は山下達郎さんの曲を夏によく聴いているんですけど、冬は暖かくしてくれるようなバイブスが曲の中にあったので、やっぱり凄い方だなと改めて思いました。
- 逆に日本の方に韓国や海外のアーティストを紹介するとしたらどんな方ですか?
NOA - 韓国だったら僕はCrushさんとJay Parkさんですね。Jay ParkのレーベルH1GHR MUSIC RECORDSに所属しているアーティストはみんな大好きです。後はDPR Liveさんも凄く好きで聴いています。
- 山下達郎からJay Parkは確かに幅広いですね。最後になりますが、ファンのみなさんにメッセージはありますか?
NOA - 今回曲を出させていただいて、改めて自分自身が今まで色々なアーティストさんの曲を聴いて「頑張ろう」とか、カッコいいコートを着るように自分をカッコよく見せてくれる曲とか、色々なアーティストにメッセージを貰っていたので、今度は自分が色んな形でメッセージを伝えていきたいなと思っています。
- ありがとうございました。
Info
NOA 「LIGHTS UP」
2020 年 1 月 10 日(金) DIGITAL RELEASE
1. LIGHTS UP
2. LIGHTS UP (Korean ver.)
<各種配信サイト> https://lnk.to/LIGHTSUP20200110