Nine Inch NailsのTrent Reznorが自身の楽曲をサンプリングしたLil Nas Xの“Old Town Road”について語る
全米シングルチャート史上最も長期間1位を記録した楽曲として歴史に名を残すなど、今年を代表するヒット曲となったLil Nas Xの“Old Town Road”。バンジョーを用いたカントリーテイストのトラックが印象的な同曲だが、バンジョーのサンプルはカントリーではなくNine Inch Nailsの楽曲からサンプリングされたものである。そんな“Old Town Road”を、サンプリングされたNine Inch NailsのTrent Reznorが初めて聴いた際の感想を明かし話題となっている。
Complexによると、Trent ReznorはRolling Stoneの取材に対し「最初は、自分の曲が何か別のものに変わったのを聴くと気まずく感じるんだ。(原曲が)自分自身にとって親密なものだったから。最初は奇妙に感じたけど、それでも、彼は良い仕事をしたと思うよ」と、“Old Town Road”を聴いた当初は複雑な気持ちを抱いたものの、Lil Nas Xのアーティストとしての資質に賛辞を贈っている。
“Old Town Road”はNine Inch Nailsが2008年に発表したインスト曲“34 Ghosts IV”をサンプリングして制作された。
そのため同曲のクレジットにはNine Inch NailsのTrent ReznorとAtticus Rossの名前があり、後に同曲がCMA Awardsにノミネートされた際にはTrent Reznorが自身のInstagramに自身とRossの顔を往年のカントリーデュオBrooks & Dunnの画像に嵌め込んだジョーク画像を投稿している。
Trent Reznorが“Old Town Road”について明確に言及したのは今回のインタビューが初となるが、これまでコメントを避けてきた理由について彼は「俺がコメントや介入をしなかった理由は、俺があの曲に対して何らかの社会的批評をするべきじゃないと感じたからだ。俺の曲は大きな役割を果たした素材だけど、それは完全に別の曲に変わった。そこでスポットライトを浴びるべきなのは彼ら(Lil Nas Xたち)だ。彼らは俺にMVへのカメオ出演のオファーをくれたけど、それはお世辞のようなものだし、失礼なことはしたくなかった。俺が光を浴びるべきじゃないと、敬意を持って言ったよ」としており、大ヒットを果たした同曲に関して自身が注目を浴びることをLil Nas Xらのために回避していたことが分かる。
“Old Town Road”に Trent Reznorの楽曲が大きな役割を果たしていることはもちろんだが、それも原曲に別の角度から光を当てたトラックメイキングの手腕があってこそ。Trent Reznor自身もアーティストとしてそのことを良く理解しているからこそ、これまで言及を避けてきたのだろう。
Rolling StoneによるTrent Reznorインタビューの全編はこちらから読むことが出来る。