EminemをフリースタイルなどでディスするムーブメントがTikTokで流行|Lil Nas Xが苦言を呈する
セレブたちの問題行動や問題発言を取り上げ、その人物をボイコットする「キャンセルカルチャー」は、力を持つセレブや企業に対する抑止力として働くと同時に、小さな事柄がその人物の進退にまで影響を与えること、そして本質的かつ効果的でない方向に過激化していることが問題視されている。今回、Eminemが若いネットユーザーからキャンセルの標的とされていることが大きな話題を呼んでいる。
Complexによると、Eminemの過激なリリックや、曲中で新世代のラッパーに対するディスを行なっている点に反感を持ったZ世代のTikTokユーザーが彼に対するディスをTikTokにアップする「Cancel Eminem」なるムーブメントが今年に入り活発化を見せている。中には、フリースタイルラップでEminemをディスする動画を投稿するユーザーも存在している。
一方でEminemを擁護する旨のフリースタイルを投稿するユーザーも現れ、混沌とした様相を呈している。
@mike_dinatale #canceleminem2021 @eminemtoktik
♬ original sound - Mike DiNatale
@laurenoakley88 Dear Gen Z.. #WeStan #eminem #lifestyle #millennial #genz #rap
♬ original sound - Clodagh Gilsenan
Eminemへの批判はTikTokでトレンドとなる以前より続いており、昨年リリースされた彼の最新作『Music To Be Murderd By』に収録された楽曲“Tone Deaf”では彼に対する批判へのアンサーが行われているほか、先日同曲のリリックビデオが公開されていることからも、彼自身のこれらのムーブメントに対する心境が窺える。
このムーブメントに対するラップファンのリアクションは否定的なもので占められており、昨日はLil Nas Xが自身のTikTokアカウントにてEminemに対する批判のトレンドを踏まえた動画を投稿した。
@lilnasx ♬ CALL ME BY YOUR NAME BY LIL NAS X - not lil nas x
こちらの動画で彼は「Generation Z wants to cancel Eminem? / Generation Z wants to cancel Eminem? / Yeah, listen up, Generation / Z, you’re a generation of Z / Z, generation of Z」とラップしており、その真意は不明だが、TikTokユーザーのフリースタイルのスキルの低さや、意見の底の浅さを揶揄しているようにも見える。
もちろんEminemのリリックが批判の対象となるのはここ数年に始まったことではなく、そのデビュー当時より彼の楽曲は主に保守的な層によって嫌悪の対象となってきた。しかしZ世代によるEminemのキャンセルは比較的リベラルな価値観から来ているものである点が興味深いが、そのキャリアを通して批判を受け止めながらもスタンスを曲げることなく活動してきたEminemにとって、今回のムーブメントが耳を傾けるに値するものなのかどうかは分からない。
いずれにせよ、Eminemへの批判が今後どのように展開してゆくか、またそれに対し彼がどのような動きを見せるのか注目すべきだろう。