My Classics Vol.2 | Mars89

新企画『My Classics』。この企画ではアーティストやデザイナーなどのお気に入りの一品と、これから欲しいアイテムや気になっているものを紹介していく。普通のインタビューでは中々見ることのできないアーティストの嗜好や素顔などが垣間見えるものに。

第二回目は、パーティ『南蛮渡来』を主催しLouis VuittonやUNDERCOVERへの楽曲提供も話題を呼んだ、東京を拠点に活動するプロデューサー/DJのMars89をフィーチャー。

取材・構成:島田 舞
写真:Cho Ongo

Mars89のMy Classics フード編 : SPICE POSTのカレー

- このお店を知ったきっかけはなんでしょうか。

Mars89前を歩いてて匂いにつられて入った気がします。たぶん2年ぐらい前かな。それから週1、2回くらいで通ってます。元々カレーが好物で、他にも好きなお店は色々あるんですけど、この辺りだとここが一番好きですね。遅い時間に来るとポークカレーが売り切れちゃってるから、大体いつもチキンかキーマだけど、今日はちょっと贅沢にポークとキーマのあいがけにしてみました

- 夏になるとカレー食べたくなりますよね。カレーは自分でも作るんですか?

Mars89 - いや、一年中食べたいでしょ。夏だからとかじゃないです(笑) 市販のルウだと小麦粉が入ってて、どろっとしちゃうのが嫌なんで、パウダーのカレー粉とスパイスで作りますね。

- 結構本格的ですね。ネットとかで調べて作るんですか。

Mars89そうかな...結構適当ですよ。いや、初めて作る物以外は調べないでなんとなくで作ります。でも、いい感じの料理のベーシックルールってあるじゃないですか。例えば、唐辛子とニンニクを最初に油で低温で炒めるとか、ローズマリーで香りをつけたりとか、色々試してます。多分、たくさんスパイス入れるとおいしいですよ(笑)  スパイスはあんまり変なものは持ってないけど、気になる物があれば買います。料理自体は好きだから、時間に余裕があればしてます。

 

Mars89のMy Classics アイテム編:大友克洋 - 『童夢』・伊藤計劃 『虐殺器官』

- 今日は好きな小説を持ってきていただいてます。

Mars89 - うん、1つに絞りきれなくて...2つ持ってきました。SFの名作です。『童夢』は団地が舞台で、超能力がテーマの話。すごく有名なシーンがあって、コンクリートの壁にヒビがバシッて入るっていうシーン。ほんとね、重力が歪む感じとか空気の粘度の表現とか凄くて、あと団地や集合住宅みたいなものが持ってるパワーや人間の狂気の描き方とか最高なんですよ(笑) 

- 個人的な印象なのですが、Marsさんは少しグロテスクというか、暗い表現が好きなんでしょうか。いつも黒い服を着てますし。

Mars89もしかしたらそうかもですね。血とか好きかもしれないです。生きてる感じがするから。 黒い服を着ているとなぜか落ち着くんですよね。髪も坊主が一番落ち着く...でも飽きますね(笑)

- 本を普段から結構読まれるんですね。今読んでいる本は?

Mars89はい。食事中とか、ちょっとした待ち時間とか。ケータイとか見てるより本読んでる方が楽しいというか精神衛生上も良い気がします。今読んでるのは中国のSF作家の劉慈欣の新作で『三体』っていう本。前から英語版では出てたんだけど最近ようやく和訳が出て、待ってましたって感じです。めちゃめちゃ面白いですよ。

- 好きな作家は?

Mars89 - 『虐殺器官』もそうですけど、伊藤計劃が大好きですね。この本が書かれたのは10年以上前ですが、現代社会が抱える問題や進んだ先にある未来みたいなものを的確に捉えて問題を投げかける感じが素晴らしいので、多くの人に読んでもらいたいですね。彼を知ったきっかけは、元々好きだったゲームの『メタルギア』シリーズを彼がノベライズしたことだった気がします。あとは、さっきも話した劉慈欣や、中国系のケン・リュウやテッド・チャン。それぞれのスタイルは似てるところもありつつ違うんですが、同じアジア人だからか不思議と自分の生活に馴染むんですよね。王道だとフィリップ・K・ディックが好きで、彼の作品のノワール感みたいなのがしっくりきます。寓話的な側面のあるSFが好きですね。

- ゲームも好きなんですね。他に好きなゲームはありますか。

Mars89メタルギアが一番好きで、プレステ2しか持ってないからそこまでなんですけど。『メタルギア』、『バイオハザード』、あと『グランド・セフト・オート』、この3つですかね。まぁ、一人で遊ぶゲームですよね。

 - これから欲しいものはありますか。

Mars89 - めちゃくちゃ考えたんだけど...大きな映画館が欲しいですね。自分専用の映画館が欲しいわけじゃなくて、普通に映画館として運営してるんだけど、夜に行って一人で観れるって権利が欲しいですね。映画館のにおいとか、座席が並んでる感じとかも好きです。人の痕跡みたいなものがある中で一人で観たいです。

 - 一人が好きなんですね。

Mars89 - まぁ、そうかもしれないです(笑)

Info

SPICE POST
東京都渋谷区富ヶ谷1-52-2
https://www.facebook.com/SPICE.POST.ft/

RELATED

My Classics Vol.15|サーヤ(ラランド)

連載『My Classics』。この企画ではアーティストやデザイナーなどのお気に入りの一品と、これから欲しいアイテムや気になっているものを紹介していく。普通のインタビューでは中々見ることのできないアーティストの嗜好や素顔などが垣間見えるものに。 第15回目には、お笑いコンビ・ラランドのサーヤ...

My Classics Vol.14|YamieZimmer

第14回目には、ビートメイカーのYamieZimmerが登場。彼の地元・根岸駅にある中華屋の三和で、最近の制作事情や先日リリースした2ndアルバム『TEMPLATE』に加え、地元について、周辺のラッパー達との繋がりについてなどを訊いた。

My Classics Vol.13|FACE

第13回目には、コミカルかつポップでながら、どこかシニカルな表情の顔が印象的な人物を描くイラストレーター / アーティストのFACEが登場。

MOST POPULAR

【Interview】UKの鬼才The Bugが「俺の感情のピース」と語る新プロジェクト「Sirens」とは

The Bugとして知られるイギリス人アーティストKevin Martinは、これまで主にGod, Techno Animal, The Bug, King Midas Soundとして活動し、変化しながらも、他の誰にも真似できない自らの音楽を貫いてきた、UK及びヨーロッパの音楽界の重要人物である。彼が今回新プロジェクトのSirensという名のショーケースをスタートさせた。彼が「感情のピース」と表現するSirensはどういった音楽なのか、ロンドンでのライブの前日に話を聞いてみた。

【コラム】Childish Gambino - "This Is America" | アメリカからは逃げられない

Childish Gambinoの新曲"This is America"が、大きな話題になっている。『Atlanta』やこれまでもChildish Gambinoのミュージックビデオを多く手がけてきたヒロ・ムライが制作した、同曲のミュージックビデオは公開から3日ですでに3000万回再生を突破している。

Floating Pointsが選ぶ日本産のベストレコードと日本のベストレコード・ショップ

Floating Pointsは昨年11月にリリースした待望のデビュー・アルバム『Elaenia』を引っ提げたワールドツアーを敢行中だ。日本でも10/7の渋谷WWW Xと翌日の朝霧JAMで、評判の高いバンドでのライブセットを披露した。