【鼎談】冨田ラボ&WONK・江﨑文武と解き明かす新世代シンガーNazの魅力

19歳のシンガー・NazがEP『JUQCY』でデビューした。彼女がシーンに登場したのは2018年。冨田ラボのアルバム『M-P-C "Mentality, Physicality, Computer”』で“OCEAN”のシンガーとしてフックアップされた。冨田は「声を聴いてすぐに一緒に曲を作りたいと思った」と言う。FNMNLでは、Nazと、『JUQCY』をプロデュースした冨田恵一(冨田ラボ)、江﨑文武(WONK)の三人による座談会を実施した。プロデューサー二人の視点から見るNazの魅力、デビューEPの制作秘話、現在の音楽シーンを取り巻く状況など、自由に話してもらった。

取材・構成 : 宮崎敬太
写真 : 西村満

声を聴いてすぐに一緒に曲を作りたいと思った(冨田)

- 冨田さんと江﨑さんNazさんとはどんなふうに出会ったんですか?

冨田恵一 - スタッフにオーディション(X factor 沖縄)の映像を見せてもらったんです。僕はいつも新しいシンガーを探してるから。声を聴いてすぐに一緒に曲を作りたいと思いましたね。それで連絡をしたら「レ コーディングは土日しかできない」って言われて。確か当時17歳だったんですよ。それで「ああ、高校生だから平日はダメだよな」って思ったのが個人的には新鮮だった(笑)。

Naz - 最初お会いしたのは確か冬だったと思います。会うまでは怖い人だと思ってました…でも意識しすぎると歌が変になっちゃうから、なるべく平常心になれるように頑張ってましたね。

冨田 - 全然緊張してるようには見えなかったよ。僕は新人やデビュー前のシンガーと仕事することも多いんですが、やっぱり表現を目指している方は、それぞれ繊細な感性を持ってる。だからレコーディングの時に平常心でいられないのも当然ですよね。それがいい方向に出る方もいれば、逆に全然実力が出せない方もいる。さらに緊張しすぎて攻撃的になっちゃったり(笑)。だから僕がレコーディングする時はいつも、まず平常心というか、普段の状態に近づけるような環境を作って、それから、歌ってもらうことにしているんです。そういう意味ではNazさんは、緊張していたとしてもそれが歌に良い影響を与えていて、、心強いと感じました。

Naz - 前日の夜に歌う曲が送られてきたんです。

冨田 - 通常は 1週間~数日前くらいまでにはデモを送って、メロディを覚えておいてもらうんだけど、なかなかまとまらなくて。彼女の声を最大限に引き出す曲にしたかったんです。そしたら「もっと良い曲が書けるんじゃないか?」みたいなモードに入っちゃって(笑)。それが結果的に去年(2018年)発表した“OCEAN feat. Naz”に繋がっていきます。江崎さんがNazさんを知ったのは「OCEAN」を作っていた頃ですか?

江﨑文武 - はい。僕はNazさんのお名前だけ知ってて、Googleで検索して、YouTubeでNazさんが13歳の時に出た『X Factor』というオーディションの動画を見たんですよ。あまりに歌が上手くてびっくりしました。実際に会ったのは、今回のEP制作に関わることが決まってから。一緒にプリプロを作ったんですよ。その時は、期待と不安が入り混じってるな、というのは感じましたね。

冨田 - Nazさんはメンタルコントロールがうまい方だと思うけど、最初から素の状態なんて人はいないもんね。全然キャリアの違う人といきなり仕事するわけだし。

Nazさんの緊張をほぐすためにWONKのメンバーを踊らせた(江﨑)

- Nazさんをプロデュースする上でどんなことを意識しましたか?

江﨑 - 僕は最初に彼女の歌を聴いた時、まず最初に思い出したのがAmy Winehouseでした。Adeleに影響を受けた、みたいな話も事前に聞いてたから、僕はJorja Smithみたいな、UKのモダンなソウルシンガーをイメージして彼女の曲をプロデュースしてみようと思ってたんです。でも実際会って話してみると、実はロックも好きと言ってて。

Naz - 「最近何聴いてるの?」みたいな話になってので、twenty one pilotsが好きです、みたいな話をしましたよね。その時、Jorja Smithも教えてもらったんだけど、全然聴いたことなかった。

江﨑 - そうそう。『JUQCY』はデビューEPだからNazさんらしさが出る作品にしたいと思っていたんですよ。僕はいわゆる資料的なものから得た知識で、勝手にAmyをイメージしたんだけど、よくよく話してみると「どうやらそんな単純なことではなさそうだな」と(笑)。それで結構どうしたらいいかわかんなくなっちゃってました。

冨田 - うん、確かにNaz さんは新しいタイプのシンガーだもんね。まず彼女はJ-POPから音楽に興味を持って、その後洋楽を聴くようになったタイプじゃない。さらに言うと、日本のR&Bシーンで英語の歌詞を歌うパワフルな女性ヴォーカリストともスタイルが違う。その二つがポイントですよね。それは彼女の声や唱法、さらに今までの人生で培われてきたもの。僕が初めてNazさんと一緒に作った“OCEAN”ではそこを活かしたかった。J-POPであるとか、R&Bであるとか、既存のジャンルにあてはめるのでなく、彼女の声や唱法を一番よく聴かせるための曲。そこにうまく着地させるのに試行錯誤しましたね。。だからレコーディングの前日まで時間がかかっちゃったのかな(笑)。

Naz - 最初に“OCEAN”をレコーディングした時は、歌詞がまだ決まってなくて「ラララ」で歌ったんですよね。

冨田 - そうだね。仮歌はいつもスキャットだけど、この曲の場合は歌詞を日本語にするか、英語にするかが悩みどころだった。新人をフィーチャーした曲をメジャーレーベルからリリースする場合、普通に考えると日本語詞なんですよ。インディペンデントで出すなら話は別だけど。Nazさんは小さい頃から英語の曲に慣れ親しんでて、僕が会った段階ですでに英語で歌唱するスタイルが完成されてると思った。やっぱりその印象は大事にした方がいいと思ったんですよ。だから“OCEAN”は英詞にしました。

江﨑 - 僕はわかんなくなっちゃった後、自分の中にあった先入観をすべて捨てて、彼女の声と歌唱のみに集中することにしたんです。『X Factor』の動画を何回も観たし、冨田さんの“OCEAN”の存在は大きかった。こで音域や歌唱スタイルを把握した上で、彼女のルーツになったUKロックを勉強して、制作に臨んだんです。

Naz - 冨田さんも江﨑さんが用意してくれた曲はすごく歌いやすかったのは、いろいろ考えてくださってたからなんですね。でも私の声だと曲作りしにくいんですかね?

冨田 - いやいや、全然そういうことではない。制作はいつもこんな感じなんだよね。「もっと良くなりそう」って考える感じ。で、落とし所が見つかったらさらにブラッシュアップする。そういう作り方なの。ちなみに今回の『JUQCY』では、前回“OCEAN”でバラードというかスローを歌ってもらったから、もう少しアッパーでNazさんに合う感じと考えて“Clear Skies”を作ったんです。

江﨑 - そういう意味だと、僕は特定のアーティストをゼロからプロデュースするのが初めてだったんですよ。だからプロデューサーとしてはペーペー中のペーペー(笑)。これまで僕は部室で一緒に遊んでるような感覚で仲間たちと音楽を作ってたんです。だからキャラもわかるし、音楽的なニュアンスもイメージできた。冨田さんのように「この感じを試したから、次はこういう感じ」というより、一個一個の作業に必死でしたね。だから“White Lie”ではWONKのメンバーにものすごく手伝ってもらったけど、一方で『JUQCY』はNazさんのソロデビュー作でもあるので、WONKっぽくなりすぎないようにしようというのはものすごく意識してました。だから出音は僕がこれまで関わってきたアーティストの音に近いと思うけど、内容は全然違う作品にできたと思います。

Naz - 裏ではそんな葛藤があったんですね!私、レコーディングが本当に苦手だったけど、お二人とのレコーディングは本当に楽しかったです。冨田さんは「いいね〜。ホントに最高」と褒めてくれるし、江﨑さんとのレコーディングも…。

江﨑 - Nazさんの緊張をほぐすために、レコーディングブースにWONKのメンバーも入ってもらって、踊らせたりしましたね(笑)。

- 『JUQCY』はジャンルレスで、モダンなソウルミュージックという印象を持ちました。本作はどのように制作されたのでしょうか?

冨田 - 僕に関しては、やっぱり本人の声や唱法を最大限に活かせて、かつ新鮮に聞こえるアプローチを探す感じかな。僕は新譜、旧譜含めて音楽をたくさん聴くから、その蓄積とNazさんのスタイルが合致するところを探っていった感じですね。気に入った作品や気になるものをじっくり聴く以外に、ニューリリースの日の午前中はSpotifyでR&B、ポップ、ヒップホップ、ジャズのニューリリースを、触りだけですけど全部聴くんですよ。で、1秒でも良いと思ったら、自分用の新譜プレイリストに追加する。でもこのやり方だとプレイリストの曲数が多すぎちゃうから、ある程度まとまったら、さらに精査したプレイリストを作るんですね。そういうリストが月ごとにあるんですよ。僕が最近制作する際は、そういった自分のフィルターを通して選曲したもの、自分が良いと思ったものだけが入ったプレイリストをなんとなく聴きながら、アイデアを見つけていくことが多いかな。だからNazさんのプロデュースも、具体的な何かを参考にした、というより、彼女の良さを引き出せるものを、音楽の大きな潮流の中にあるさまざまなパーツから見つけて自分なりにアレンジしている感じだと思うな。

Naz - すごい聴き方ですね。でも面白いかも。普通の冨田さんのプレイリスト聴いてみたい。

冨田 - 普通に音楽を楽しむ人にとっては、この聴き方が良いかどうはわからないけど、制作もする音楽ファンとしては良い聴き方だと思うよ。今はとにかく情報が多すぎるからさ、自分で整理しないとわけわかんなくなっちゃうし、忘れちゃう(笑)。

江﨑 - 実は僕も同じようなことめちゃやってます(笑)。Spotifyでいろんな曲をお気に入りにしまくってたら、「これ以上保存できません」みたいな表示が出ちゃいました。確か上限が10万曲だったと思う。Apple Musicはその上限がもっと多いので、最近は並行して使ってますね。ただ曲のディグりに関してはSpotifyのほうがやりやすい。

冨田 - そうそう。僕は最初Apple Musicだけ使ってたけど、リッピングしたファイルが多すぎてクラウドを使っていないので、プレイリスト作りはSpotifyを使う。

江﨑 - 僕はSpotifyの「Discover Weekly」という機能がすごく好きです。自分が聴いた曲や、お気に入りにした曲、フォローしてるアーティストなどのデータから、AIがニューリリースの中から自分用のおすすめプレイリストを作ってくれるんですよ。おそらく聴いてる曲の波形データとか、似たような曲を聴いてる人とか、そういうデータから機械的に選曲してるんだろうけど、自分が本当にまったく知らない音楽が入ってたりする。この前は全然フォロワーがいないイスラエルのアーティストが入っててびっくりした。しかもそれがカッコいいという(笑)。

Naz - みなさん、すごいですね…私、音楽はYouTubeで聴くことが多いかも。

冨田 - そういう聴き方する若い方は多いみたいですね。リスニング方法として最先端なのかも。ところでNazさんはインディロックも好きなんだよね。

Naz - そうですね。全然詳しくはないですけど。さっき言ったtwenty one pilotsもYouTubeのおすすめで出てきて知ったんです。

冨田 - 今回はストレートにロックっぽいと言える曲はないけど、Nazさんはそういうロックっぽい8ビートも個性的に歌えると思うんですよね。音響的なアプローチをすれば、今までのレパートリーとも離れすぎないし。というか、なんせまだ19歳だからね。これからいろんな音楽を知っていくと思うよ。

江﨑 - 「何にでもなれるよ」ってやつですね。実はこの前『JUQCY』が完成した打ち上げをみんなでやったんですよ。みんなが集まって話をする機会って意外とそれまでなくて。そこでNazさんが「これから大丈夫かな」みたいな話をしてたので、僕が「いやいや、19歳ならこれからの人生どういう方向でもいけるよ」みたいなことを言ったんです。そしたら冨田さんが…

冨田 - 56歳の僕からすれば、江﨑さんだってまだ26歳ですからね。だから、これから「何にでもなれるよ」って(笑)。でも本当にそう。とくにNazさんなんてまだ19歳だから。あと審美眼もしっかりしてるし。

江﨑 - それは僕も思いました。制作前に、お互いの音楽の個性も共有したかったから、二人でおすすめの曲を聴かせてあったりしたんですよ。その時もNazちゃんは結構インディロック系のアーティストを教えてくれて、それがどれもかなりカッコよかったんです。僕も自分用のプレイリストに普通に追加しましたからね。

Naz - 確かブルーハーツとか、DYGLとかが好きって言った記憶がある。

江﨑 - DYGLは俺らと同じ世代のバンドで、もともとYkiki Beatやってたやつの新バンドですね。今はロンドンを拠点に活動しているんですよ。結構WONKとは親交があって。僕自身もすごくカッコいいと思ってます。

冨田 - 僕、そのバンド知らないや。確か、前にNazさんが好きって言ってたのがそのバンド?

Naz - そうです!

曲はiPhoneのアプリで作ってます。歌はイヤホンのマイクで録って(Naz)

- 『JUQCY』の打ち上げはどんな雰囲気だったんですか?

Naz - めっちゃ楽しかったです!親戚の集まりみたいな感じでした(笑)。

江﨑 - 個室があるお好み焼き屋さんでやったんですよ。僕と冨田さんと、うちのKento NAGATSUKAと、ライヴでサポートをしてもらってる安藤康平 (MELRAW)くんも来てくれて。あとスタッフもいれて全部で九人くらいですかね。

冨田 - 掘りごたつみたいになったテーブルをみんなで囲んで(笑)。Kentoさんがプロ級の腕前でお好み焼きを焼いてくれるという。でもちょっと申し訳なかったな、と思ったのは、僕ら結構普通にお酒を飲んじゃって。Nazさんは未成年だから飲めないじゃない?

江﨑 - しかも結構身内や仲間とかの話もしちゃってたから居づらくなかったかな、というのは僕も思ってました…。

Naz - いやいや全然。むしろみなさんやお友達の話が聞けたのはすごく貴重でした。空間がすごく楽しかった。

冨田 - 今はまだNazさんにとっては東京にいる時間のほうが異質だもんね。

Naz - そうですね。沖縄にいる時は私にとって「お休み」って感じ(笑)。

冨田 - でも僕はプロデュースする上で沖縄出身ということを意識することはほとんどなかったな。というかむしろ、Nazさんは歌に個性があるから「沖縄出身」という情報が強調されると、彼女の個性が曲解される危険性があるとすら思った。

江﨑 - まったく同意見です。僕も福岡県出身なんですよ。九州人はお酒強いとか、そういうレッテルを貼られるのがあまり好きじゃなくて。でもヒップホップ的に自分の土地をレペゼンする感覚もすごくカッコいいと思うから、前に「Nazちゃん沖縄好き? 空も綺麗そうだしさ」って聞いたんですよ。そしたら「むっちゃ早くイギリス行きたい。ロンドンの曇り空に憧れてるんです」って言ってて(笑)。最初の方で、僕がプロデュースの方向性がわからなくなったという話をしましたよね?その時、自作曲があったら聴かせてほしいとお願いしたんですよ。それが“Rain Wash”だったんですね。ロンドンの曇り空に憧れてるという話を聞くと、この曲の印象が全然違うものになるんですよね。あと本当にびっくりしたのが、NazさんはiPhoneで曲を作ってるということ。

冨田 - そうそう。

江﨑 - “Rain Wash”、“Fare”のやりとりをしてる時、Nazさんに「パラデータを送ってほしい」と言ったら、かなりきょとんとされたんですよ。最近は高校生でも普通にMacを持ってたりするから、僕はてっきりGarage Bandとかで作ってるんだと思ってたんです。そしたら「アプリで作ってる」と言われて。でも、The InternetのSteve Lacyとかも全部iPhoneで曲作ってるらしいし、もう新世代が出てきてるんだなってものすごく思いましたね。

Naz - 私は「Auxy」というアプリで作ってます。歌はイヤホンについてるマイクで録りました。

江﨑 - 画面がグリッド状のマス目になってて、ステップシーケンサーみたいにビートが組めるようになってるんですよ。だからゲーム感覚で曲が作れちゃうという。聴いて思ったのは、Nazさんの作る曲はメロディが美しいんです。

冨田 - 僕も“Rain Wash”の時、Nazさんに「ヴォーカルデータだけちょうだい」って言ったら、よく理解してもらえなくて(笑)。結局録り直してくれたんだよね。

Naz - はい。

冨田 - 僕、最初に"Rain Wash"を聴いて「普通に洋楽だ」って思ったの。あの曲はAメロとBメロしかなくて、しかも短いセグメントのループが基本になってて。J-POPとかに慣れてる人だと、おそらくCメロまで入れてどんどん展開させたくなっちゃうはずなんだよ。僕が聴いた段階では、ギターとヴォーカルだけのシンプルな状態だったけど、その構成でもちゃんとストーリーがあった。さらに言うと、メロディの音形が英語マターだった。それが最初に作った曲だった、という事実はなかなかすごいなと思ったんだよね。だから僕はあえてリズムセクションを足すくらいのアレンジしかしなかったの。それでもちゃんと成立するから。

江﨑 - Nazさんはメロディを考える時って英語がベースなの?

Naz - そうですね。私は洋楽好きの両親から影響を受けているので、そもそも邦楽をそんなに知らないんです。音楽というと洋楽。そういう感じだから、メロディを考える時は自然と英語になっちゃいます。

江﨑 - しかもデモを作るんだったらiPhoneだけで完結できちゃう時代なんですよ。やっぱりものづくりの基本って守破離だと思う。だから簡単に作り始めることができる今の環境は素晴らしいと思います。

Naz - 韓国のMISOというビートメイカーがすごく好きで。その子も最初はアプリで曲を作ってたみたいなんです。何かの記事で彼女が自分が使ってるアプリを紹介していたので、私も最初はそれを使ってみたんだけど、iPhone版はあまり使い心地が良くなくて。それでいろいろ探したら「Auxy」にたどり着きました。

冨田 - 僕は90年くらいにフロッピーと12メガのHDDでMacintosh Plusだったからね(笑)。それだけで100万くらいかかった記憶があるよ。今自分が大学生だったら、永遠にYouTube観てると思う。今は結構レアな映像とかも普通に観られるじゃない? でも90年代だと西新宿に行ってブート屋さんで高いVHS を買わないと観られなかったんだよ。しかもダビングのダビングみたいな粗い画質でさ。

江﨑 - 僕、中学生の頃、エレクトリック期のMiles Davisのセッション動画をひたすらYouTubeで観てました(笑)。

冨田 - 今は本当に情報過多だから、情報の選び方がその人のキャラクターにつながっていくんだよ。さっきのSpotifyのプレイリストの話にもつながるんだけど、最初のフィルターで何を落として、次のフィルターで何を落とすかっていう。今は「何を聴かないか」が個性になってるんだと思うな。

江﨑 - なるほどな。僕はいつも「自分がなぜこれを好きなのか」を説明できるようにしたいんです。冨田さんがおっしゃるように、本当に今の時代は情報過多だし、メディアから与えられるものも多い。それをただ鵜呑みにするんじゃなくて、自分の審美眼で選び取っていきたい。音楽に限らず、生活におけるすべてにおいてそれを意識してますね。

Naz - 私はもっと適当だけど、母の教えもあって、周りに合わせるために何かを無理に好きになったりはしないです。YouTubeで好きなものをいろいろ探していって、気になったものはジャンルも関係なく好きになって。そこに本来なんのつながりもないはずなのに、たまに好きな映画監督さんが自分の好きな曲を何曲か映画で使ってたりするんですよ。そういう時は嬉しいですね(笑)。

Info

Artist:Naz ※読み:ナヅ
Title:JUQCY ※読み:ジュクシ Release:2019/07/24(水)
Track:5 songs
Price:¥1,800(税抜) Number:NCS-10232 POS:4988002788279
Label:SENT
Distributor:SPACE SHOWER MUSIC

01 White Lie
Music:Ayatake Ezaki(WONK) Words:Kento Nagatsuka(WONK) Produce & Arrange:Ayatake Ezaki(WONK)
Arrange:Kan Inoue(WONK)

02 Clear Skies
Music:Keiichi Tomita(TOMITA LAB) Words:Lori Fine Produce & Arrange:Keiichi Tomita(TOMITA LAB)

03 Rain Wash
Music:Naz Words:Naz Produce & Arrange:Keiichi Tomita(TOMITA LAB)

04 Fare
Music:Naz Words:Naz
Produce & Arrange:Ayatake Ezaki(WONK) Chorus:Kento Nagatsuka(WONK) Arrange:Kan Inoue(WONK)

05 These Boots Are Made for Walkin'(Nancy Sinatra Cover)
Music:Lee Hazlewood Words:Lee Hazlewood Sound Produce & Arrange:Ayatake Ezaki(WONK)

配信リンク https://lnk.to/JUQCY

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