【対談】dodo × Ryu Okubo|ラブに生きる
今年アルバム『importance』をリリースし、新曲”nothin”も話題となっているdodoと、国内外のアーティストのミュージックビデオやブランドなどのデザインを手がけるRyu OkuboのコラボレーションTシャツが本日からFNMNL STOREでの受注販売をスタート。
Ryu Okuboはdodoの活動初期からのファンであり、dodoのワンマンライヴ『ひんしの会』に来場していたことがきっかけでこのコラボが実現した。今回のTシャツは、dodoが再始動を果たすにあたり重要な楽曲となった”kill more it”をテーマに制作。dodoのリリックの中にも出てくるコアラは、Ryu Okuboらしいキュートの中にどこか毒のあるタッチで描いたインパクト大のイラストが印象的な1枚となっている。バックにはdodoとRyu Okubo両者のサインも。
今回は2人の対談が実現。両者のバックグラウンドやアイテムについてのエピソードをきくことが出来た。
取材・構成:島田 舞
写真:Cho Ongo
- Okuboさんが最初にdodoくんを知ったきっかけは何でしょうか。
Ryu Okubo - あれかな、高校生ラップ選手権。
dodo - そうですね、来ていらっしゃいましたね。
Ryu Okubo - あれって、テレビにも出てましたか?
dodo - テレビ出てますね。第3回の、リキッドルームでした。その後の第4回では、ライブで出ました。
Ryu Okubo - なんでだろう...リキッドルームの前から知ってた気がする。リキッドルームに行ったのも、たまたまじゃなくて、dodoくんが出るっていう情報を知って行ったから。
dodo - 多分、予選がテレビでやっていたからじゃないですか?
Ryu Okubo - あ~、俺多分予選を見て...その頃ってもう音源をあげてましたよね?高校戦ラップ選手権で食らったというより音源を聴いて行ったって感じですね。これは今聴いてもすごく好きです。
- やはり、テレビの影響力は大きかったですか。
dodo - そうですね、あれはやっぱり影響ありましたね。Okuboさんは、PSGのアニメーションを作ってましたが、昔からヘッズだったんですか?
Ryu Okubo - ヘッズでしたね(笑)僕は小学校くらいの時に、RIP SLYMEとかKICK THE CAN CREWが流行っていたから、ずっと聴いてましたけど、その後ちゃんと聴きだしたのはSEEDAとかが出てきてから。
dodo - そういう世代なんですね。SEEDAさんだとアルバムは?
Ryu Okubo - 『花と雨』と『街風』。高校生で17歳の時ですね。
dodo - 当時は鎌倉の高校に通われてたのですか?
Ryu Okubo - そうですね。鎌倉でSEEDAを聴いてました。
dodo - じゃあもう、本当に神奈川のヘッズなんですね。HIPHOP育ち。
Ryu Okubo - はい(笑)Lizardっていう横浜のクラブに行ってました。もう無くなっちゃったところ。知らないですよね。
dodo - そうですね、世代がちょっと違いますかね。インターネット世代の走りみたいなのが僕らへんだと思うので。YouTubeが流行る前というか。
Ryu Okubo - そうなんですね。SEEDAとかSCARSとか聴いてなかったですか?
dodo - MVを見るくらいでしたね。
Ryu Okubo - やっぱ、川崎はA-THUGの影響力がすごくて。A-THUGの言っている事が川崎のイメージ。
dodo - A-THUGさんが、ソロでアルバム出されたじゃないですか。その辺りで知ったので、SCARSとかJAPANESE HIPHOP情報が一切無い状態でした。
- そういえば、dodoくんは海外のギャングスタラップが元々好きと言ってましたね。
dodo - 洋楽のチャートにランクインするHIPHOPを聴いていたので、洋楽が始まりっていう感じですね。
- Okuboさんが、PSGのMVを手がけた経緯はどのようなものでしたか?
Ryu Okubo - 僕、美大に行っていたんですけど、当時ああいうテンションのアニメーションを作っていて。10年くらい前ですね。一枚一枚パラパラ漫画みたいな感じで描いてスキャンして作った30秒くらいの動画を、YouTubeにアップしてました。その時、ハッシュタグに好きなラッパーを入れて、鎮座DOPENESS、PUNPEE、PSGみたいな。何も考えずにつけてましたね。大学生だし、何の繋がりもないし、まさかハッシュタグでフックアップされるとは思ってなかったですね。YouTube自体、今より盛り上がってなかったですし。それもあって本人達に見つけてもらったんだと思うんですけど。その後に、「YouTube見ました。一曲PVを作りたい曲があるんです。」ていう内容のメールがPUNPEEくんから本名で来ました。
dodo - あのPVは確かにすごく印象的ですよね。“かみさま”も有名ですけど、いわゆる「カルチャー感」というか、アーティストのイメージを確立した作品ですよね。
Ryu Okubo - 確かにあの作品は、皆すごく褒めてくれて、あの作品のおかげで今に繋がっていると思います。
dodo - 在学中は、他にもHIPHOP関連のお仕事はされてんですか?
Ryu Okubo - いや、学生の時はライブを観に行くくらいでしたね。それが仕事になるとも思っていなかったので、普通のデザイナーとして働こうと思っていました。実際に3ヶ月だけ働きました。3ヶ月で辞めました(笑)
dodo - 何で辞めちゃったんですか?
Ryu Okubo - 働き出した途端、PVを見た人達から色んな仕事の依頼がきて。それで、何か、「辞めてみよう!」見たいな(笑)
- PVの影響は大きかったんですね。それ以来ずっとフリーで活動されているんですか?
Ryu Okubo - そう、今に至る。でも、最初の頃はお金無かったですけどね。江古田に一軒家を借りて、大学の友達と4人で住んでました。
dodo - 今のOkuboさんの作風は、初期の頃から変わっていますか?
Ryu Okubo - あまり変わってないって言われますね。PSGの作品の時から。
dodo - そうなんですか。その時より何というか洗練されてきてるっていうか。唯一無二感があります。
Ryu Okubo - まじすか(笑)確かにそうかもですね。
- 今回、FNMNLの為に作って頂いた作品もすごくかわいいです。デザインが来た時は興奮しました。
Ryu Okubo - これでいいのかって感じですけどね(照)。
dodo - コアラをピックアップして頂いて。
- dodoくんのリリックの中にコアラが出てきますよね。何故コアラなんですか?
dodo - ちゃんとチェックして頂いてありがとうございます(笑)僕、ご存知の通りキモいっていうか。この間あげた動画も、コメント欄をよく見ていくと、「友達に動画を見せたらキモいって言われた」とか。そういうコメント見ていて、僕はやっぱりかわいいキャラで行きたいっていう気持ちが強いので、比喩でコアラ、っていう表現を使ってます。
- かわいいの象徴としてコアラを使っているんですね(笑)
dodo - そう、オーストラリアに行った時にいっぱいコアラがいて。イキイキしてたんですよね、笑顔だったんですよ。それから「コアラすごいぞ」ってなったんです。
dodo - 話が変わるのですが、Okuboさんはアーティストとして活躍される時に、HIPHOPの影響は受けているのですか?
Ryu Okubo - ほんとにまじそうっすね、ラップに救われてますね。今もそうですね。こうやってdodoくんにも会えたし。
dodo - 昔から音楽とアートは密接な繋がりはありますが、Okuboさんもまさにそうなんですね。
- 今回のTシャツもテーマにもなっているdodoくんの曲“kill more it”の中で印象的なのが「俺 キモい」ていう連呼しているバースなのですが、思いついたきっかけは何でしょうか?
dodo - ビーフの時のコメントですね。人生を変えられましたね。
Ryu Okubo - あのビーフに関しては今どういうテンションなんですか?
dodo - 僕の今の出汁っていうか、ネタなんで。人生の中で一番成長させて貰った出来事ですね。
Ryu Okubo - 傷を残したまま?(笑)
dodo - デジタルタトゥー入っちゃってる感じですね(笑)Okuboさんもエゴサーチはされますか?
Ryu Okubo - 全然しますね、あんまり叩かれないですが。叩かれた方がいいのかなとも思いますけどね。まぁでも、叩かれないで上がっていく人もいるから。ミッフィーとか(笑)
dodo - キャラクターって愛されるからいいですよね。HIPHOPは特にアンチが出てくるジャンルだから。戦いの音楽だと思う。でもそこがちょっと寂しいから、Okuboさんみたいなラブなアーティストになりたいですね。
Ryu Okubo - やっぱラブな方がいいですよ。反骨精神を内に秘めて、ラブを!(笑)
- Okuboさんは反骨精神があるタイプですか?
Ryu Okubo - 僕はやっぱそうですね。だからHIPHOPが好きっていう。
dodo - HIPHOPが好きな人だったらそうですよね。和田さん(FNMNL編集長)もそうですね(笑)
Ryu Okubo - 和田さんすごい尖ってるよね(笑)
dodo - 僕はどっちかっていうとそこを抜けたいですね。ファンキーモンキーベイビーズみたいな。
Ryu Okubo - (笑)絶対そっちの方がいいですよ。
dodo - 僕は結構ものを作り出すことが好きで、命を頂いて生きているんで、少しでもプラスになるものを作れたらいいなって思います。
- 以前までの曲は、ダウナーというか、リリックもエッジーな内容のものが結構ありましたが、この間ドロップされた新曲の“nothin”は打って変わってポジティブな印象でした。何か最近心境の変化などがあったのでしょうか?
dodo - そうですそうです、アルバムを出して、『ひんしの会』にもOkuboさんとかも来て頂いて。人の為になれるんだなって、考えが変わりました。今までは人に対して曲を出しているというより、空間に対して出しているという感じだったんです。最近は人に向けて出したいと思いますね。
- じゃあ、どんどんハッピーな方向に進んでいるんですね。
dodo - そうですね(笑 )Okuboさんの作品もそうですけど、その作品を見て影響を受けるじゃないですか。プラスの方向に動ける様な何かの方が喜ばれるかなって。
Ryu Okubo - 救いがありますよね。
dodo - Okuboさんも仕事に対しての気遣いとかってありますか?
Ryu Okubo - 気遣い、そうですね。頼まれた仕事は全力でやって、喜んで貰いたいですね。お金というより、自分の好きな事をやってます。
- 今回の企画も引き受けて頂きありがとうございました!このTシャツをデザインするにあたって、こだわりポイントはありますか?
Ryu Okubo - やっぱコアラの尻尾っすね。これ、デビルの尻尾になってるんですよ。
dodo - まさに僕を表している様な(笑)
Ryu Okubo - そう(笑)目もちょっとイっちゃってるし。「かわいいけど...」みたいな。
dodo - この木は何の木ですか?
Ryu Okubo - これはユーカリの木じゃないですか?(笑)
dodo - (笑)この色の配色とかはどうやって決めたんですか?
Ryu Okubo - バランスかな。白黒でもいいかと思ったけど。色々他にもアイディアがあって、また機会があれば(笑)「天使のdodoちゃん」とか。天使が飛び交ってるみたいな。
dodo - 是非お願いします!稼いで、Okuboさんに依頼できる様に頑張ります。
INFO
FNMNL STORE
store@fnmnl.tv
dodo
youtube
https://www.youtube.com/channel/UC-vhmOBhiAljrracYmt6YAQ