【インタビュー】Kelsey Lu |フロウする音楽

チェロをはじめとしたマルチ・インストゥルメンタリストとボーカリストの顔を持つLAを拠点とするアーティストKelsey Luが、先月末に現代美術作家の杉本博司が手がける小田原文化財団/江之浦測候所と、東京・渋谷WWW Xで来日公演をおこなった。

フィールドレコーディングまで取り入れた予測不可能で甘美なサウンドを操るKelsey Luは、これまでにSolangeやBlood Orange、OPNのライブプロジェクトM.Y.R.I.A.D.などの作品やライヴに参加している。自身の作品では独自の流れがある世界をみせてくれるLuに、これまでのキャリアや自身の独自のスタイルをどのように築き上げてきたのかを訊いた。

質問・構成 : 和田哲郎

写真 : Yuichiro Noda

- 準備はいいでしょうか?今日はFNMNLの編集の方より質問を預かってきています。まず最初に昨日のパフォーマンス(@小田原文化財団 江之浦測候所)はいかがでしたか?

Kelsey Lu - Phenomenalだった!いまだに夢見心地って感じ。一生忘れられない思い出になったよ。とてもパワフルな経験をさせてもらった。私は昨日のような環境の中でパフォーマンスをするのはやっぱり大好きなの。自由にパフォーマンス出来る環境といえばいいかな。アートの中にいるだけで強いインスピレーションを感じるし、そんなインスピレーションを感じることが出来る時間と空間に存在して、周りのもの全てや自然を感じ取って、それを(自分のアートに)チャネリングしてセットに反映させることは私にとっては重要なことなの。その全てを表現することが私には大切というべきかな。

- とても有名な方が手がけられた場所とはいえ、測候所でパフォーマンスというのはとても珍しいわけですよね。あなたは江之浦測候所でパフォーマンスをした初のアーティストでもあるわけですが。

Kelsey Lu - そうなの!とても光栄に思ってる。正直まだ(はぁ...と空中を見つめながら夢うつつな感じで大きなため息をつきながら)言葉に出来ないくらい感動してる。

- わかる気がします。あなたが自分で作られているSpotifyのプレイリストについてうかがいます。本当に長いプレイリストであるのもそうですが、とにかくジャンルだけでなく国も隔たりなく幅広い内容になってますよね。日本人のアーティストの楽曲もけっこう入ってました。これらのアーティストや楽曲はどんな風に見つけたんですか?

Kelsey Lu - そうだね、ほとんどが偶然見つけたものばかり。Discovery Weeklyっていうプレイリストがすごく好きなの。自分が聴いている楽曲の履歴からアルゴリズムでおススメの曲がリストされているのがあるじゃない?そこで新しくて気に入ったアーティストを見つけたら、そのアーティストのページに行って、そこからはワームホールのようにどんどんまた違うところへ導かれる。一番よく使っているのはYouTube。たくさんの人達が自分だけのミックスをよく使ったりしてるじゃない?自分が聴いているアーティストの傾向に近い楽曲やアーティストに導いてくれるし、YouTubeのほうが世にあまり知られていないアーティストを発掘出来る確率が高い気がする。私は昔の曲を聴くのも好きだし、私のインスピレーションの源は、メインストリームよりも世間にあまり知られていない音楽のような気がするの。私たちにはまだまだ学ぶべき未知の音楽がたくさんこの世に存在していると思う。だから私が音楽を作るとき、アルバムを制作するときにはたくさんの異なる音を使っているし、そもそもただ与えられた音楽だけを聴くだけじゃなく、自分で常に発掘しながら新しい音楽を聴いていくことって大事なことだと思う。だから私のプレイリストはそういうプラットフォームだと思うの。たくさんの人達がそれまで聴いたことのないような音楽やアーティストを紹介できるプラットフォーム。

- あなたが牽引者のように新しい音楽の旅へみんなを導くような気持ちということですね?

Kelsey Lu - まさにそう。みんなに探求してもらいたいから。

- あなたのプレイリストに入ってない楽曲でもいいのですが、最近聴いた音楽の中ではどんなものが印象的でしたか?気に入っているものでも構いません。

Kelsey Lu - (しばし考えてから)、あぁ、そう、あれ!もしかしたらもう私のプレイリストに載せたかな...Lafawndahの“Daddy”。彼女はいまお気に入りのアーティストの1人。

- アルバム『Blood』を聴くと、あなたの音楽には同時に様々なジャンルが入っていると同時に、それらが溶けていき、間違いなくあなたの音楽になっているのが興味深いです。リスナーとしてはどのような遍歴を経てきたのでしょうか?

Kelsey Lu - 子供の頃に両親が聴いていたものを聴くことから始まったんだよね。両親は海外の音楽がすごく好きで、その影響であらゆる国の音楽を聴いて育った。ラジオや身近なアウトレットからではなく、新しい音楽をたくさん聴く方法を知っていたり、たくさん他国の音楽を聴いてきたのはそのおかげであることは間違いない。それにNPR。私のラジオ視聴者としての経験はほとんどがこのNPRだった。たくさんの音楽を聴く素晴らしい情報源だった。

- 世界各国の音楽を吸収して育ってきたようですけど、あなたはプレイヤーとしてはチェリストから始まって、今作ではマルチ・インストルメンタルリストとしていくつも楽器を演奏されるようですが、ボーカリストとしてはNappy Rootsなどの作品に参加してキャリアがスタートしていますよね。

Kelsey Lu - そう。初めて雇われて歌ったのは...いえ、違う。その前に地元のラッパーのバックヴォーカリストとして歌ってた。それが実際にお金をもらって歌うようになった初めての仕事。

- インディのラッパーですか?

Kelsey Lu - アンダーグラウンドのラッパー。歌って初めてお金をもらえて、「お金もらっちゃった!」って嬉しかった。それがプロとしての初仕事。ツアーにも出たの。そのとき、「もしかしたら歌って稼いでいけるかも」って少しだけ実感するようになったの。明確に見えたわけでも目標にしたというわけでもないんだけど、なんとなく、これはいい経験だなって。

- 楽器奏者としてはまずチェロからですか?

Kelsey Lu - バイオリン。最初にバイオリン、それからピアノを習って、またバイオリンに戻ったの。理由はオーケストラに入りたかったから。オーケストラの一員としてたくさんの人達の前で演奏したいと思ってた。バイオリンの先生の家にチェロもあって、“弾いてみたい!”ってやらせてもらったらすごく気に入っちゃったの。

- 今話してくれた楽器以外には何を演奏します?

Kelsey Lu - ギター、ピアノ、それにハープも持ってるよ。フルサイズのハープじゃなくて、ハーフサイズのだけどね。それと、パーカッション。プロデュースもするから、シンセサイザーを前にしてプロデュースしたりする。特にどの楽器が得意とかはないの。正直誰もが楽器を弾けると思う。レベルはそれぞれ違うけれど、私たちは誰もが何かを演奏できる力を持ってるはずだと信じてる。

- あなたはフィールドレコーディングも取り入れていますよね。あなたの音楽を聴くと、パーソナルな場所があると共に、自身を取り巻く世界も絶えず感じられます。あなたは世界と自分自身の関係をどのように捉えていますか?

Kelsey Lu - 深く掘りさげていくべきもの、かな。自分を取り巻く世界というのは、インスピレーションを与えてくれるものもあるけど、そうでないもの、心をかき乱される要素もたくさん存在する。あるものより、別のものがより重要に感じられたり、あるものよりも、別のものが注目されたり、なぜあるものがそうであるのか、理由を探ってみたり、自分の内面以外の自分の周りの世界に関しては、より深く観察するという立場をとっているかな。

- これまで発表されているいくつかのインタビューを読むと、優しさ(honesty)や傷つけられやすいこと(vulnerability)などがキーワードとしてでてきますが、それはあなたが作り出す音楽やあなたの世界を表現したキーワードであって、あなたの内面そのものを表現した言葉でないかもしれませんが、その他にもあなた自身を表すキーワードはありますか?

Kelsey Lu - 私はやっぱりvulnerable(傷つきやすく、感受性が強い)な人間だと思う。あまり自分のことを隠したりしないし、確かに自分のことをありのままけっこう歌詞に込めるほうだ思うの。でも心の中をさらけ出すときにも、「抽象化された弱み(abstract vulnerability)」を表現しているというべきね。それと誠実さ(honesty)、純粋さ(purity)、そして、自然=natureが私全ての軸となってると言えるかな。自然は純粋で誠実な存在。心から信じることが出来る存在。私にはね。よく宗教のことを訊かれるんだけど、確かに子供の頃はある信仰の元に育ったのだけど、自分で離れたの。同意できないことがあって、宗教全般、宗教というもの自体に対して疑問を抱くようになった。その中でやっぱり私はいつも「自然」に帰っていった。地に足を着いて自分を取り戻すことが出来る、心から信じられるものは「自然」だった。だから私は、nature enthusiast(自然愛好家)、abstract vulnerability(抽象的な弱さを持つ者)かな。

- 弱さを出せたり正直になるということは、それだけ芯が強いという意味ですから、強い人であるということもありますね。

Kelsey Lu - そうね。

- コラボレーションについて少しうかがいます。SolangeやBlood Orangeなど多彩なコラボレーターたちとの仕事にも驚きますが、先週の金曜日にリミックスとして発表された一番新しいコラボレーションは、Skrillexですよね。彼とはどのように出会ったのでしょうか?

Kelsey Lu - Yeees!!(と叫びながら、その後ではにかむ)。実はサプライズで彼が(リミックスを)やってくれたの。というか、彼がリミックスしてくれたらいいなぁとは心の中では願ってたことなんだけどね(笑)ついこの間のFORMフェスティヴァルに出演したとき、彼も出演していて、そのとき渡されたの。実はもう何年も前に彼とは同じフェスティヴァルで会ってて、私は今年3回目だった。しかも、毎年私の誕生日に行われてるの。それで思い出に残るものが欲しいなぁと思って、前に、「リミックスでもしてくれたら、最高の誕生日プレゼントになるのにな」って冗談っぽく話してたの!まさか彼がそれを覚えててくれるとは思ってなかったし、実際にやってくれるなんて夢にも思ってなかったの。今年、彼のセットのときにソデで彼のプレイの間、「Yaaay!」なんて踊ってたのね。「さぁ、このままリミックス作りにいきましょ!」って密かに思いながら一人で盛り上がってた(笑)。そしたら私が踊ってるのを見つけた彼が、「Kelsey Luの誕生日を祝ってやって!」って叫んでから、リミックスをプレイしたのよ。願望ではあったけど、まさか本当にやってくれるとは思ってなかったからビックリした。そのときステージにも上って、盛り上がったの。彼はあのリミックスを会場に向かう車の中で作ったんだって。ちょうどフェスティヴァル当日に日本から到着して、空港から会場まで直行したらしいの。その車の中で作ったって!

 - その他でとても印象深かったコラボレーションなどはありますか?

Kelsey Lu - 実は最近、映像監督のアンドリュー・トーマス・ヒュエンとコラボレートしたの。彼がオーストラリア政府から依頼されて、シドニー・オペラハウスにプロジェクションマッピングをしたのね。そのプロジェクトのスコアをやったの。毎年Lighting of the Sailsというイベントの一環なんだけど、期間中400万人が見学に来るそうなの。それで彼から連絡があってスコアを依頼されたんだけど、テーマがオーストラリアの国花なんだけど、13分~15分ぐらいのスコアを書いたの。まず、「植物」そして「花」をテーマにスコアを書くことが出来たことも嬉しいし、アンドリューの作品は長年好きだったし、いつか、どんな形かもわからないけど、彼とは一緒に仕事がしたいと思ってた。そう願い始めて数年後に彼とLAで実際に会うことが出来た。何時間も話し込んじゃった。それからしばらく経って、彼からこういうプロジェクトがあるんだけど、コラボレート出来ないか?って話が来たの。とても不思議だった。だってその時すでに、ちょうどそのプロジェクトが公開される時期にシドニーのオペラハウスで開催されるフェスティヴァルに出演が決まってたの。実は日本でのショーが終わったら、それでオーストラリアに行くの。

 - 実際に見るのが楽しみですね。

Kelsey Lu - 本当に楽しみ。プロジェクトのオープニングには駆けつけることは出来なかったけど、実際に見ることが出来るのがとても嬉しい。

- それはオーストラリアに行かないと私たちは観れないんでしょうか?

Kelsey Lu - いえ、YouTubeでも観られる。主催者側できちんとした形でリリースもするようだから、フルのものも観れるようになるはず。

- 前回の来日はJil Sanderのイベントでしたね。そして今回は先ほど話していた昨日の測候所でのパフォーマンスだけでなく、WWW Xでのショーもあるわけですが、どんなパフォーマンスをみせてもらえるのでしょう?

Kelsey Lu - ネタバレはしたくない(笑)でも、感動はしてもらえると思う。「もっと感じよう」というインスピレーションを感じてくれたら嬉しい。

- 様々な場所にいくと老人の姿を観察するのが好きだと聞いているのですが、その理由は?またどのように老いていきたいと思いますか?

Kelsey Lu - そうね、老人の人達は私より長い間この地球上に存在してるわけだよね?それだけで感動を覚える。老人の方々の発するエネルギーというか、振る舞いって特別なものがあって、「私は長い人生を歩んできて、あなたたちよりたくさんのことを目にして経験してきた。たいしたことじゃ驚かない」って感じ?そういう老人の人たちを見てると「私、けっこういい人生送ってきたじゃない。カッコよく生きてきた。なに?私に憧れちゃう?それも無理ない。私にもあなたの特別さが見えてるし、感心してるの」って言われてるみたいな気になるの。彼らが長年生きてきたことへの尊敬もあるし、ご老人のスタイルは最高だと思う。

- 最近、音楽の世界では、Billie Eilishなど最近のアーティストはZ世代と呼ばれています。彼らの特長はジャンルなどをフラットに捉えていることかと思いますが、あなた自身もそうした世代と近いと考えていますか?

Kelsey Lu - ジャンルレスなところは同じでも、彼らと自分は違うと思ってる。Billie Eilishとは違うと思うし、他のZ世代のアーティストとも、同じだとは思ってない。彼らの音楽は私からするとみんな同じに聴こえる。みんなお互いにソックリの音だと思うの。もちろん、それは悪いことじゃないと思う。でも、私はそうじゃないと思ってる。私の音楽は「フロウする音楽」だと思う。同じ音がずっと続くことはない。常に変化して流れていくし、サウンドもいつも異なっていく。だからさっき印象的だったコラボレーションでアンドリューとのコラボレーションを重要だと挙げたのは、彼とのプロジェクトで書き上げた音楽(スコア)は、例えば、”Blood”とは全く異ってると思う。もちろん、私がこれまでにプロデュースしてきたインストのトラックと繋がる要素は根底ではあるかもしれないけれど、同じインスト曲でも、違う経験が出来る曲になってるはず。私にとって重要なのは、レコード1枚の中でも様々な経験をしてもらうこと。ただの歌ではなく、異なるフィーリングを感じてもらえる。私が作曲する楽曲や創作する音楽は、今たくさんの人たちが注目しているニュー・ウェーブR&Bではないよ。

- この質問は、やはりあなたの音楽はどちらかといえば「時空を浮揚して行き来する」音楽で、ジャンルレスという解釈ではないのでは、という視点からだと思いますし、あなたが老人を観察することから、映像とのコラボレーションに積極的であったりとか、あなたの音楽は「ヴィジュアル」というものもとても重要な気がするのですが、どうでしょう?

Kelsey Lu - 私にとって「ヴィジュアル」はとても重要な要素。音楽を作るときはとてもヴィジュアルで、映画的なイメージを音にしているというべきかな。だから聴いた人達がそれぞれ、なにかしら(の世界、映像など)を想像できる音楽だと思う。

- ヴィジュアル繋がりで、あなたがファッションにも深くかかわりがあるわけですが、ファッションでこだわっているところ、ファッションを通じて表現したいものはなんでしょうか?

Kelsey Lu - 私はファッションではなく、「スタイル」を表現したいと思ってる。「スタイル」のほうが、「ファッション」よりも、もっと重要な気がするから。スタイルは人生そのものになるけれど、ファッションは廃れていくもの。お互いがお互いの存在にとって必要な要素ではあるけれど、ファッションが生まれる前に、スタイルが存在すると思う。昔の写真を見てると、ブランドものがどうのではなく、伝統的な素材であったり、スタイルが引き立っていると思うの。ファッションデザイナー達はそういう昔からのスタイルを真似て作り出しているわけだしね。それに「スタイリング」を通じて自分を表現するように常に心がけてる。子供の頃から両親と一緒に買い物に行くにしても、ヴィンテージショップとかに連れて行かれてた。ショッピングモールはトレンドのものがたくさんあったりするけれど、こういうお店はまるで宝物を探すかのように細かく見て自分に合った物を見つけることが出来る。気に入ったものがあっても、自分のサイズじゃないかもしれない。でもそれを自分で着こなせるように考える。それが大切だと思うの。それでこそユニークで特別なスタイルに仕上げることが出来る。自分の年よりも古いものをどれだけ自分に合わせら、甦らせられるか。それが楽しみだよね。

- 日本の伝統的なファッション、着物だけではありませんが、そういったものや素材とかは見られました?

Kelsey Lu - 布の感触だったり、色だったり、パターン、細部へのこだわりとか素晴らしいよね。特に、細部へのこだわり!日本の文化、ファッションだけでなく、日本の人達も含めた文化で、その細部へのこだわりは頭が下がる思い。全てにおいて、細部まで気が回っていることがわかる。もう本当に感動する。前回の来日の後でも、すごく影響を受けた。細部へのこだわり。もちろん「大事なことじゃない!なにを考えてたの?」って思った。開眼したのと同時に自重した。

- 今回は2回目の来日ですよね?日本ではお気に入りの場所はありますか?

Kelsey Lu - 2つあるよ。渋谷の名曲喫茶ライオン。もう最高!クラシック音楽を聴かせてくれるカフェなんだけど、古いお城みたいな外見の中に入ると、少し暗くて、2階建てになってて、小さいテーブルと椅子が並んでて、年配の男性が確定申告でもしてるんじゃないかってぐらい書類を広げて仕事してたりしてるんだけど、とっても静かなの。静寂の中にクラシック音楽が流れてるという不思議な空間。中では私語厳禁で、静かに座ると、目の前にはたくさんのレコードが並んでて、その上には今まで見たことがないような大きなすごいスピーカーがあって、真ん中にはベートーベンの頭の銅像があって、おばあさんがレコードの棚にとことこ歩いてきて、レコードを出して、しまって、マイクを握ると、キー!ってフィードバックが聞こえて(爆笑)、「なんとかなんとか、なんとかベートーベン、なんとか」ってモゴモゴしゃべって、レコードかけてから、メニューを私たちのところに持って来て、手振り身振りで“声は出さず指で指して注文して”って(笑)私と一緒に行った友達は、数回昼寝してた。数回よ!(笑)一日中そこにいた。私は2回昼寝した(笑)

それと、もう一箇所、同じ音楽系なんだけど、そことは真逆の世界だったのが、バー・ナイチンゲール。すごく小さなノイズバーで、友達に東京に行ったらどこに行くべきかって訊かれると必ず、「ナイチンゲール」って答えるぐらいお気に入りのバーなの。最後の夜に行ったんだけど、とにかく見つけにくい場所で、周辺を15分ぐらいずっと歩き回って迷ってた。マネージャーと一緒だったんだけど、ノイズバーのことを知ってそうな人を見つけて訊いたほうが早いって言われて「“あの人達なら知ってるかしら?」って人に道を訊いたら、なんだかハイなのか、「うん、うん、フォローアス!」って、いきなり走り出したの!(笑)ずっと走ってるから、私たちも走って必死に追っかけた。「ここだよ!!!」って。いいながら、実は全く違う場所で、彼らの友達みたいだったんだけど、そこで働いている人に地図もらって、場所を教えてもらって走り回ってやっと到着したの。階段を上ってバーに入ってから、結局5時間もそこにいた。朝の8時まで。私とバーのオーナーと2人だけになってたぐらい(笑)。彼に色んな音楽を教えてもらって。あんな音楽体験は初めて。実はWWW Xのショーで彼がオープニングを務めてくれるの。

- (最後の夜=last nightと言っていたので、昨夜のことかと思い)、さっきまでいたって事ですね。

Kelsey Lu - そうそう。あっ、違う。Last night of the last trip! 前回の来日のときの最後の夜(笑)。おかしいのが、その朝ホテルに戻って、目覚めて携帯を見たら、ありえない数の人達にFaceTimeをしてた履歴が残ってたの(爆笑)「あぁ~~~、やっちゃったぁ!!!」って頭を抱えた(笑)。たぶん、あまりに感動して、「みんなに教えなきゃ!」って思ったんだと思う(爆笑)でも相手はたぶん何も見えなかったと思う。だって中は真っ暗だったんだもの(笑)」

- ありがとうございました。

Kelsey Lu - ありがとう!

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