Three 6 MafiaのDJ Paulが自身のフレーズを不正利用されたとしてTravis Scottを訴える
昨年を代表するアルバムとなったTravis Scott『Astroworld』。同作に収録された楽曲“NO BYSTANDERS”が原因で、トラブルが発生しているようだ。
メンフィスの伝説的ヒップホップグループThree 6 Mafiaの元メンバーであるDJ Paulが、自身のフレーズをTravis Scottに不正利用されたとして訴訟を起こした。TMZが報じるところによると、“NO BYSTANDERS”で用いられる“Fuck the club up”というフレーズがThree 6 Mafiaの代表曲“Tear Da Club Up”のフックの剽窃であるとDJ Paulは主張しているという。
さらに、Travis Scottがグラミー賞授与式でのパフォーマンスで“Tear Da Club Up”というフレーズをそのまま用いたことも問題にされている。
DJ PaulがComplexに発表した声明によると、彼は「Travis Scottと俺はこの問題について個人的に触れてきて、彼も彼なりに状況に向き合っている。全ては彼とJuicy J、そして俺の間で解決される問題だ。ビーフじゃない、ただのビジネスなんだ」として、個人的な確執ではなくあくまでコピーライトの正当な報酬を要求しているにすぎないことを強調している。
“Tear Da Club Up”はサウスのヒップホップのファンであれば誰もが知るほどの有名曲であり、『Astroworld』はDJ Screwなどサウスのヒップホップアーティストへのリスペクトに満ちた作品であるため、恐らくTravis ScottもThree 6 Mafiaへのオマージュとしてフレーズを引用したと推測出来る。ヒップホップにおいては他のアーティストの歌詞を引用することが珍しくなく、DJ Paulの厳しい態度はやや意外なところだ。こういったサンプリングはグレーゾーンであることが多くヒップホップマナーの中で個々の判断が下されるが、DJ Paulは自身が報酬を受け取る正当な権利を持っているという考えなのだろう。
訴訟問題は法律上の手続きを超えたレベルでの確執に発展しやすいが、Travis ScottもDJ Paulも大人な態度で問題に向き合っているようで一安心といったところだろうか。