Vince Staplesがアルバムとミックステープの違いを契約の観点から語る
音楽シーンにおいて作品の形というのはシングルやアルバムだけではない。EPや基本的に無料で聞くことの出来るミックステープなど様々な形が存在する。アーティストによってそれぞれ何が異なるのかというのは違ってくるだろうが、レーベル契約がその違いにとって重要になってくるのは言うまでもない。そんな中、Vince Staplesが彼自身の考えるアルバムとミックステープの違いについて語った。
今回、動画で公開されたのは昨年の11月に開催されたComplexConにて行われたインタビューだ。その動画の中でVinceはミックステープとEP、そしてアルバムの違いについてレーベルとの関係性を交えながら話している。
Snoopとの対談形式のこのインタビューで彼は「彼ら(レーベルの人間)はミックステープに金を払うでしょ?でも彼らはそれを収益化しない。アーティスト側の予算に上乗せされるんだよ」と語り、続けて「契約に基づいて4枚のアルバムを制作したとする。でも彼らはミックステープを出せと怒り、EPを出せと怒り、これをやれと怒る。その全ての金はアーティスト側の予算に上乗せされて、契約には入らない。なぜなら、ひとたび契約が終わってしまえば、アーティストは(リリースに関して)楽になれるからね。だから、基本的に彼ら(レーベルの人間)が最大の利益を収益化出来ると考えるタイミングまで、アーティスト側は赤字の状態で活動しているんだ。でもアーティスト側はまだお金を借りている状態だ。今や彼ら(レーベルの人間)は全てをストリーミングサービスに投入しているから、全てのものからお金を奪っているんだ」とレーベルとアーティストの関係を述べるとともに、レーベル側が収益を独占していると批判した。要するに、アーティストがミックステープやEPをリリースしたとしても、レーベルとの契約にそのリリース条項が入っていない場合、アーティスト側に利益は還元されないので、アーティストは常に自身の契約金などの予算を使って活動する状態になってしまうというわけだ。
主にリスナーなどはアルバムとEP、ミックステープの違いを曲数や曲のクオリティだとしていることが多いが、彼はレーベルとアーティストの関係性からその違いを紐解いてくれた。大手レーベルであるDef Jamと契約している彼だが、今回の発言は暗にDef Jamを批判しているようにも思える。
先日にはLil Uzi Vertがレーベルとの間に問題を抱えていることを明かしていたが、アーティストとレーベルの関係性は想像以上に難しいのかもしれない。いずれにせよ、利益がアーティストに還元されていないのは今後の音楽シーンの発展を妨げる要因にもなりかねない。早急に改善するべきだろう。