ラップ人気が高まるロシアのプーチン大統領が「ラップを政府の管理下におくべき」と発言
ヒップホップやラップミュージックは、その国の若者の文化に大きく影響をもたらす。中には暴力・ドラッグといった悪い影響ももたらすと懸念されており、国が何らかの規制をもうけるケースが少なくない。
今年初めには、中国政府当局がTVなどの各メディアへの特定のラッパーの出演を見合すように要請。ラッパーのPG Oneと有名女優の不倫報道を受けて、彼の過去曲に暴力的で女性蔑視的なリリックがあったことで批判が高まりPG Oneはあらゆるメディアから排除されてしまうことになった。
また、イギリスでもUKドリルシーンのミュージックビデオ30本がYouTubeから削除された。これはロンドン警視庁がビデオ内に、暴力的な表現や暴力を促す箇所があるとして規制したものだ。
そして今回ロシアでも、若者の間で急激に人気を獲得しているラップミュージックに対して政府が直接規制する事案が発生しているとAP通信が伝えている。プーチン大統領はラップを禁止するのではなく、規制する事を望んでいるそうだ。大統領は「もしラップを禁止することが不可能だったとしても、私たち政府が指導しラップを導いていく必要がある」と語っていた。
大統領は先週土曜日の会合では、活動を禁止させる事は逆影響であり、彼らの人気を高めてしまうだけだと話し、また「ラップは主にセックス・ドラッグ・プロテストの三つで成立している」とラップミュージックそのものの成り立ちについても言及した。この中で、大統領は「ドラッグは国家を衰退させるものだ」として、主にドラッグにおける悪影響を注視しているようだ。
先月、YouTubeにてミュージックビデオが600万回以上再生されているラッパーのHuskyが地方都市クラスノダールでのライブの後に逮捕された。貧困や汚職、警察の蛮行に対してのリリックで関心を集めていたHuskyは地方検察官に過激派と見なされ、裁判所から拘束12日間の行政罰を受けた。
同じく11月にはGone.Fluddは警察からの圧力で2つの公演をキャンセルし、同様にヒップホップアーティストAlljも脅迫を受けてキャンセルしている。
上記のラップミュージック以外のアーティストもこの影響を受けており、音楽カルチャー全体に対しての取り締まりが続いているようだ。ロシアでも盛り上がるラップミュージックだが、シーンが政府によって規制され、他愛ないものに変容としてしまうとしたらそれは致命的なダメージになるだろう。