使用済みレントゲンから作るレコード

1945年から1989年までの冷戦当時、旧ソビエト連邦のロシアではロック
やジャズのレコード販売が禁止されていた。当時のソ連の若者達はレコードを密輸する方法として、使用済みのレントゲンに音楽を焼き付けていた。そんな「ボーン・レコード」と呼ばれる手法を用いてレコードをリリースしているNYのレコードレーベルが登場。

1940年代、スターリン独裁下で、アメリカやヨーロッパなど西洋の芸術や音楽を輸入することを全面禁止されていた時代である。しかし戦争の前線でロックやジャズを聞き、惹かれた兵士がレコードを密輸するために、使用済みのレントゲンフィルムに音源を焼き付ける「ボーン・レコード」を発明し、流通させた。

スクリーンショット 2017-08-07 5.03.48

外国の音楽は社会主義にとって非建設的であるとされ、レコードを販売することも演奏することも禁止されていたため、もちろん所持していることがバレれば処罰されてしまうのだが、それでもロックやジャズを聞きたい若者たちの間でこのレントゲンで作られたレコード「ボーン・レコード」が出回った。

円型カッターでレントゲンを切り取り、音楽を焼き付け、真ん中にタバコの火で穴を空ける。肺のレントゲンがエルビス・プレスリーの曲になったり、そのミスマッチ感と当時戦争中禁じられていた音楽が閉じ込められているという不思議な「ボーン・レコード」に魅力を感じ、現代にレントゲン製のレコードを復活させたレコードレーベルが現れた。

NYのレコードレーベル『Blank City Records』はリリースする音源全ての使用済みレントゲンから作られた「ボーン・レコード」版を限定で販売している。

毎回レントゲン盤は数量限定なため、現在は全て売り切れている。また次のリリースの際にレントゲン版も同時にリリースされるはずだ。

『Blank City Records』の通販サイトはこちら

冷戦当時ソ連で作られた「ボーン・レコード」を画像つきで試聴できるサイトはこちら

RELATED

【対談】横尾秀俊 (Manhattan Records)× 大原一太郎 (Wolfpack Japan) | アナログレコードはどうなっていくのか

2010年代ストリーミングサービスの隆盛と共に再び注目を集めているのがアナログレコードだ。欧米ではアナログとは反対に売り上げが落ち続けているCDの売り上げを抜いたというニュースも出ているように、この盛り上がりは一過性のものではなく定着したと考えても良さそうだ。日本でもアメリカやイギリスほどではない...

THE NORTH FACE STANDARDからレコードバッグの新型が登場

THE NORTH FACE STANDARDから、オリジナルレコードバッグの新型BC CRATES 12と、BC CRATES 7が、8月23日(月)より発売される。

ウルフパックジャパンがレコードプレスをより身近にする新プランをスタート

メジャーレーベルのプレスも引き受ける欧州最大のレコード工場GZ Mediaの正規代理店であるウルフパックジャパンが、お得な新プランを先週からスタートさせた。

MOST POPULAR

音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果

音楽を聴いて鳥肌が立つ、という体験をしたことがあるだろうか。もしあるならば、あなたはとてもラッキーな経験をしている。

大人になってからの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽で形成されている

私たちの音楽の好みは14歳の時に聴いた音楽によって形成されていると、研究により明らかになった。

Appleの重役がiTunesの音楽ダウンロードが終了することを認める

ついにその日が来てしまうのだろうか。先日発表されたアメリカレコード協会(RIAA)の2017年末の収入報告でもデジタルダウンロードの売り上げが2011年以来6年ぶりにCDやアナログレコードなどの売り上げよりも少なくなったと発表されたが、ちょうどそのタイミングでApple Musicの重役のJimmy Iovineが、iTunesストアの音楽ダウンロードが、終了する見込みであることをBBCの取材に対して認めている。