【脇の下こちょこちょスピンオフ Vol.8】北朝鮮の場所を知らないアメリカ人を笑うなかれ
北朝鮮情勢が緊迫する中、ニューヨーク・タイムズがアメリカの成人1746人を対象に、北朝鮮の場所を地図上で指し示してもらう調査を行った。その結果がこちらだ。
なんと正解率はたったの36%、つまり64%は北朝鮮の場所を知らなかったことになる。しかも、不正解者が指し示した場所が予想の斜め上をいっている。北朝鮮と韓国を混同するならまだしも、日本だったり、インドだったり、イランだったり・・・。中にはオーストラリアを指し示した人も。そこは南半球やん!!!
とはいえ、アメリカ人の地理音痴は今に始まったことではない。イラク戦争の時も若者の63%がイラクの場所を知らなかった。19世紀の作家マーク・トウェインもこう言っている。「神はアメリカ人に地理を学ばせるために戦争を作った」と。この名言を裏付けるかのように今回の調査でも、不正解者(つまり無知な人)ほど好戦的で、逆に正解者(つまり教養のある人)ほど非軍事的解決を望むことが判明した。
「アメリカ人ってバカね。超ウケる~」とのんきに笑っているそこの貴方。この話は我々にとっても他人事ではありませんよ。ここ日本でも最近、偏狭なナショナリズムを煽り、中国や韓国に対して敵意をむき出しにする輩が増えているが、果たして彼らがどれだけ中国や韓国のことを知っているのだろうか。さすがに中国の場所が分からない人はいないと思うが、例えば北京がどれだけハイテクな都市かご存知かな。
実は先月、北京大学に留学中の知人に招かれて中国を訪れたのだが、その驚異的な発展ぶりに度肝を抜かれた。特にIT分野。老若男女を問わず誰もがスマホを持ち、店や公共交通機関での支払いは基本的にケータイで行う。だから彼らは現金をほぼ持ち歩かない。逆に現金で支払おうとすると嫌がられることも。QRコードが街中にあふれ、無人オーダー機が導入されたマクドナルドも存在する。そして極めつけはこちらだ。
一見何の変哲もないレンタル自転車だが、使い勝手が良すぎて感動した。サドルの下に付いているQRコードをスマホで読み取ると暗証番号が送られてくるので、それを使って自転車のロックを解錠する。あとは好きなだけ乗り回して、好きな所に乗り捨てればいい。支払いはもちろんスマホ決済。料金は30分1元ほど(約16円)。2016年の秋頃に登場したサービスらしいのだが、それを真似する業者が次々と現れ、現在では赤や青、黄色、オレンジと、さまざまな色のレンタル自転車が街にあふれ返っている。
こうしたサービスが急速に普及するのは、中国人の“新しい物好き”によるところが大きいだろう。どうも彼らは、新しい物や未知の物への抵抗が比較的少ないようだ。それに比べて日本人はどうか。小さな殻に閉じこもって世界や未来に対する好奇心を失ってはいないか。ヘイトを煽る前に自問自答してほしい。アメリカ人を笑っている場合ではないぞ。
(文・まごおりしんぺい)