10月から11月にかけてリリースされた聞き逃せないグライム5枚をピックアップ
年末に向けてリリースが加速していく11月。イギリスのラップミュージック、グライムのリリースもどんどん増えている。これまでクラブでしか聴けなかった待望の新曲が多くリリースされる中でも、期待の5枚をピックアップしてみよう。
Butterz - 『Grime 2016』10月28日リリース
2016年のグライムを総括するコンピレーションがElijah & Skilliam 率いるButterzからCDリリース。Skepta, Wiley, Kano, D Double Eなど精力的に活動を続ける大物MCから、Mez, Capo Lee, AJ Tracey, Splurge Boysら頭角を表す若手MCの曲まで収録。ロンドンだけでなく、ブリストル、バーミンガムなど力を増してきている各地域のMCも参加していて、シーンを世代(縦)だけでなく地域(横)にも横断したコンピレーションとなっている。収録されている、Ghetts & RudekidのOne Takeは今年のヒットの一つ。Stormzyをはじめ多くの「ワン・テイク」のビートジャックを生んだ。
https://butterz.lnk.to/grime2016
Jammz - 『Warrior EP』 [I Am Grime] 11月3日リリース
ロンドンのフロウ巧みなグライムMC “Jammz”が満を持してオリジナルEPをリリース。先行公開された「It's A London Ting (feat. Scott Garcia) 」 は、同名の1997年リリースの同名ガラージ曲を下敷きにした一曲。オールドスクールクラシックを受け継ぐトラックに、Jammzのハードなフロウが冴える。EP収録のP Moneyとのコラボレーション「What's Man Saying」にも期待。
https://iamgrime.bandcamp.com/album/warrior-ep
Kahn & Neek - 『FABRICLIVE 90』 [Fabric] 11月18日リリース
ロンドンのクラブ「Fabric」のミックスCDの90作目は、ニュールーツステッパー、ダブ、ダブステップのバックグラウンドを持つグライム・プロデューサー Kahn & Neekの作品。ブリストルのサウンドカルチャーを更新し続ける彼らによる74分のMIX CDは聴き応えがあるに違いない。Gemmy、 O.B.F、Gantzなど関わりの深いプロデューサーの未公開曲が14曲収録。2015年のOutlook Festivalでプレイされ、既にFacebook上で話題沸騰となっていたJamakabi – Hot it Up (Kahn & Neek Remix)や、Sir Spyro – Topper Top (Kahn & Neek Remix)も、初めてCDで聴けるのがファンとしては嬉しい。なお、「Fabric」はクラブ営業のライセンス取り消しを巡って行政と戦っているが、この作品がFabric Mix CDシリーズの最後の作品になるかも、と噂されている。このCDを買って「Fabric」の未来を支援したい。
購入 https://www.fabriclondon.com/store/FABRICLIVE-90.html
Spooky - 『Fiesta / Cherry』 [OIL GANG] 11月4日リリース
今年来日も果たしたSpookyの新作がリリース。今回もレゲエをグライムリフィックスした2曲入りアナログEP+デジタルリリース。A面のFiestaにはThe Notorious B.I.GやBig Daddy Kaneが使った大ネタ「ESG - UFO」が使われている。レゲエリバイバルの流れを感じさせつつ、グライムに落とし込むバランス感はさすがSpooky。
Sorrow - 『Brawler EP』 [White Peach Rec] 11月28日リリース
素晴らしいインストグライムを速いピッチでリリースしている[White Peach Recordings]から、ブリストル出身のプロデューサーSorrowのEPがリリース。不穏なストリングスとヘビーなキックとベース、攻撃的なトラックが4曲。しかし同時に、過去作のエレクトロニカやガラージの制作で発揮されていたプログラミングの緻密さ、繊細さを感じる。Kahn & Neekとあわせ、ブリストルで生まれた独自のグライムサウンドに今後も注目。