ISSUGI & GRADIS NICE 『DAY and NITE』リリーススペシャル企画 Vol.1 インタビュー - ヒップホップ・東京・リアリティ -
MONJUや、SICK TEAMで活動するDOWN NORTH CAMPのラッパーISSUGIが、NY在住のビートメーカーGRADIS NICEが全曲プロデュースを行ったアルバム『DAY and NITE』を本日リリースした。常にブレることなく、自身のヒップホップ観を掲示してきたISSUGIは、今作ではGRADIS NICEによるメロウでありつつスケールの大きいタフなビートの上で、東京に生きる日常をラップしている。『DAY and NITE』には東京という大都市で生きる1人のラッパーが、しなやかに街を動き続けていく、力強い足跡が残されている。
アルバム『DAY and NITE』はどのようにGRADIS NICEと共に制作されたのか、そしてISSUGIが感じるヒップホップのリアリティーとは。NYのGRADIS NICEも参加して話を聞いた。
取材・構成 : 和田哲郎 取材協力 : P-VINE RECORDS
- 今回のアルバム『DAY and NITE』はGRADIS NICEさんと2人で制作したものですが、どのように進めたのですか?
ISSUGI - 基本的におれがGRADIS NICEからビートを送ってもらって、その中から自分が気に入ったものをチョイスして、声を乗っけて送り返すっていう感じですね。
- ビートはどれくらい聴いたんですか?
ISSUGI - 聴いたビートは60前後って感じですかね。その中から良いと思ったものと、今回の自分が作りたいカラーに合わせていったって感じですね。
- 前からISSUGIさんのインタビューを読むと色とかカラーとかがよく出てくるんですが、今回のカラーはどんな感じですか?
ISSUGI - 今回はおれはシンプルなものを選んだつもりですね。
- GRADIS NICEさんから見てISSUGIさんが選んだビートはいかがでしたか?
GRADIS NICE - 結構予想外でしたね。自分が想像していたのとは違うのが返ってきたから、面白かった。
- 制作で悩んだりした部分はありましたか?
ISSUGI - 今回は特にないですね、GRADIS NICEも作ったビートを送るっていう作業だったんで、特になかったんじゃないかな。
- 新しく今回のために作ったビートもあったんですか?
ISSUGI - どうなんだろう、新しく作ったやつとかもあった?
GRADIS NICE - 何曲かはあった。でも全体の中から良いやつを送った感じ。
- 今作のタイトルが『DAY and NITE』で曲のタイトルも朝から夜って流れがありますよね。朝っぽい曲は実際にリリックも朝にできたりするんですか?
ISSUGI - そういうのは特に関係ないかもしれないですね。そういう時の感情を覚えていて、書く時は全然バラバラもあるかもしれないですけど、リリックは夜に書いているパターンが多いかもしれないですね。
- 夜どういうときに書くことが多いですか?リリックはノートに書くんですよね。
ISSUGI - 基本的にノートを持ち歩いているんで、いつでも書いてるっちゃ書いてるんですけど、ビートを聞きながら思い浮かんだら外とかでも書いてますね。
- 今回GRADIS NICEさんと一緒にやってみようと思ったのはどうしてなんですか?
ISSUGI - もともとGRADIS NICEのビート自体は好きで、今までも何回もやってるんですけど、多分GRADIS NICEってラッパーと1枚丸々やったことってそんなにないよね?
GRADIS NICE - そんなのないないない。
ISSUGI - そうだよね、なさそうだなと思って、おれは1枚同じプロデューサーで作るの好きだったから、ちょっと1回作っておきたいなって感じで作りましたね。
- GRADIS NICEさんはISSUGIさんからオファーを受けてどうでしたか?
GRADIS NICE - へへへ、じゃあやろうみたいな感じで。
ISSUGI - ははは(笑)
GRADIS NICE - でもマジでこんな感じやったよな、多分。
ISSUGI - いや全然普通にこんな感じだね。やろうやろうみたいな。
- それがいつ頃ですか?
ISSUGI - それがいつ頃か覚えてないんですけど、SCRATCH NICEとのアルバムが出た2~3ヶ月後くらいでしたね。
- SCRATCH NICEさんとアルバムを作ったときはNYも行かれてたじゃないですか。今回は特に行かずに。
ISSUGI - そうですね。今回のアルバムは、行って作りたいって気持ちもなかったんでGRADIS NICEのビートをもらってコッチでいつも通り作ってましたね。ここに住んでる日々の事や、そういうことを歌おうと思いました。
- 東京の街が似合うアルバムというか、1人で街の中にいるんだけど、いろんな人が周りにいるっていうのがわかるっていうか。
ISSUGI - 自分の普段っていったらあれになっちゃうんですけど、今回は特にそういう感じが多いと思いますね。
- それはGRADIS NICEさんのビートでやるんだったら、こういうテーマでやりたいっていうのがあったんですか?
ISSUGI - ていうのは特にないですね。GRADIS NICEのビートを聴くと、どんな感じだろうな。でもそう言われるとGRADIS NICEのビートは外に出かけたくなるビートかもしれないですね。なんて言えば良いんだろうな(笑)。
でも家で寝てるビートじゃないんですよね。GRADISのビートは寝るときに聴くビートじゃないと思うんですよね。聴いたら乗っちゃうビートで、ラップしたくなるし、むしろライブもしたくなりますね、ははははは(笑)。さっきも言ったんですけど、ビートのノリがでかいんですよね。破壊力あると思うんですよね、ズドンというか。話してるとなんの質問か忘れちゃいますね、なんでしたっけ(笑)
- 東京の街を意識してるっていう部分ですね。
ISSUGI - 自分では意識はしてないですね。毎日東京にいるので。でも今回地方でライブやって帰ってきたときの、あ、「東京のにおいだ」っていう気持ちとかを、Mr.PUGとやってる曲でも入れたりしてて。
- GRADIS NICEさんはISSUGIさんのビートに対する評価に対していかがですか?
GRADIS NICE - いやあ、ありがとうしかないですね、ほんとに。あんまり人に聴かせることないので。恥ずかしいねん、めっちゃ。
ISSUGI - らしいんですよ、あんな豪快なビート作っておいて恥ずかしいとか言って。謎ですよね、そこに関しては、ははは(笑)絶対違うでしょ。
GRADIS NICE - マジでなんか恥ずかしいねんな、人に聴かせるの。ISSUGIくんに送るのとか、めっちゃ頑張ってるからおれ。
ISSUGI - マジで?無用だよ、その心配。
- 今回Interludeで丸々インストだけの曲もありますよね、個人的にあのビートがとても好きなんですが、あれを入れようと思ったのはなぜですか?
ISSUGI - おれもすげー好きです。あのビートをどこの段階で入れようと思ったかは忘れちゃったんですけど、入れたいなと思ってて、GRADISにそれを言ったら、「おれもそれ使って欲しいと思ってたんだよ」って言ってて、だったら尚更入れたいなと思って、元々ラップを入れるつもりはなかったんですよ。それで位置的にもあそこらへんに入れたいなと思って、入れた感じですね。
- ラップを入れたくないっていうのは曲として成立してるからってことですか?
ISSUGI - あのトラックってGRADISが送ってくれたビートで1番音質が悪かったんですよ。
GRADIS NICE - それや、それや。
ISSUGI - マジでエグいノイズが全編入ってて、あれ使いたいっていうおれも結構ヤバいと思うんですよ(笑)
GRADIS NICE - ヤバいよ(笑)ちょっとごめん、でもデータが残ってなくて。
ISSUGI - でもあの音質だから良かったっつうか、あの音質だから入れたくなったっていうのもあるかもしれないですね。
GRADIS NICE - あのビートは最悪でしょ。
ISSUGI - ミックスのときにノイズが減るように調整してもらって、でもそのくせにあのビート使ってほしかったって言ってますからね(笑)
GRADIS NICE - ははははは。
ISSUGI - あとデモについてるタイトルが"Sexo's Way"でそのタイトルも好きだった。そういう感じですね、音質悪くてラップ乗せる気にならなかったのかもしれないですね(笑)でも入れたかった。
GRADIS NICE - すごいな。
ISSUGI - あのビート選ばれなさそうだよね。
GRADIS NICE - 選ばないよ、誰も。綺麗にミックスしてたら良かったんだけど、おれもあれはああいう使い方しかできひん。
ISSUGI - ベストな使い方だったでしょ(笑)
- あのインタルードからクライマックスに繋がってる感じがすごくして、その次の曲も派手じゃないですけど、高揚感があって。
ISSUGI - ありがとうございます。あのビートもすごい好きで、最初GRADISがSoundCloudにあげてて、使いたいんだけどって連絡して。
- フィーチャリングのアーティストについて聞きたいんですが、Besさんが入ってるのが印象的でしたが。
ISSUGI - そうですね、ビート聴いてて今回Besと1曲やりたいなっていうのは漠然と感じてて、どのビートでやろうっていうのはなかったんですけど、聴いていくうちに、あのビートでやろうって固まっていった感じですね。
- 他の曲に関してもビートを聴いていくうちにイメージが浮かんでくる感じなんですか?
ISSUGI - 個人的な視点なので呼ばれた人間がどう思ってるかはわからないですけど、自分の中での直感はありますね。自分がその人を見たり聞いてきたりした中で音楽感というか趣向がわかってくるじゃないですか?
こういうビートが好きなんだなとか、こういうビートでやってる時ヤバいなとか、それで自分のアルバムに誘う時は、こういうビートでやって欲しいなというのが、自然と思い浮かぶし、見えてきます。
- やはりイメージはとても大事なんですね。
ISSUGI - そうですね、おれの場合はイメージを形にするだけっていうのもあるので。頭にあるものをモノにするっていうか。
- ちなみにBesさんはISSUGIさんの中でどんなイメージですか?
ISSUGI - Besはラップめっちゃうまいですよね、リズム感もすごいし。すごい良いラッパーだと思います。言葉も面白いし。あとビート選びも良いとおもいますね。自分より年が4つくらい上なのもあって、俺がリアルタイムにまだ聞けてなかったEasy Mo Bee(Biggieの1stとかのproducer) とかそこらへんのプロデューサーのノリも超わかってて、Besの中にそのノリが有るんですよね。おれが自分のビート聞かせると日本人だと敬遠しがちな厳かな重たいビートとかも、「これヤバいよ」とか反応してくれてそういうのが嬉しいです。BesとMalikでやる時が特に好きです。
- 前のアルバムリリースの時のamebreakのインタビューでノリは1人じゃ作れないって言ってましたが、今回もそれは変わらないですか?
ISSUGI - あの時言った意味とまた違うかもしれないですけど、ヒップホップ自体が1人のノリで形容されるものじゃないと思ってるから。それがそういう言葉に繋がってるというか。ヒップホップってクルーだったり価値観の共同体みたいなところがあるじゃないですか。おれもずっと前からラップやってて、最初は東京の限られた人間、例えばダウンノースっていう友達とやるなかで、自分たちのノリを形成していったと思うんですよね。それからソロアルバムとか出して東京以外でライブやるようになっていったりして、大阪のSCRATCH NICE,GRADIS NICEに会ってあいつらホントNY好きだからNYのかっこよさとか自然に教えてもらって、その友達にEndrunとかK-Flash、DJ Shoeがいて。さらに熊本出身のDJ IMGやRyuhei君と一緒に初めて九州、福岡、熊本とか行った時もここにはこういうヒップホップが根付いてるんだ、いいなと思ったし。そこでFreezさんっていうラッパーがその場所の精神的支柱みたいな感じでずっとやってて地元の皆の気持ちを上げれる人のかっこよさとかもヒップホップだと思うし。松本のMASS-HOLEとかもそうですね。
全部場所場所で持ってる空気感が違うんですよね、でも皆共通してるヒップホップの好きな部分が確実にあって。そうやっていいと思える価値観を共有してお互いにリスペクトできるヤツとまた切磋琢磨してそれぞれが曲作ってライブしてっていうそういう遊びが好きなんですよね。おれが今喋ってるような事は、メディアがすぐ取りあげてくれるような煌びやかな世界とは違うから、そういうのって注目されにくいけど実は、そういうのがヒップホップにとって大事だと思うし忘れちゃいけない所だなって、自分にとっても大切ですね。そういうのをもっと目に見える形にしたいなと最近は思っています。そういう動きが、さらなるいいノリを生み出してくれる気がして。
- 動きっていうのは実際の体の使い方とかですか?
ISSUGI - あ、そういうのじゃなくて、おれだったらMONJUやってて、それとは別でSICK TEAMの活動もあって、新たに知ったビートメーカーと新しく曲つくったり、今年だったら毎月7インチ出してみたり、それでいろんな街でライブやってとか。最近だとCarharttとかNixonとかが協力してくれて自分だけじゃ届かない人や、自分を違う角度から見せてくれたりするので、それもいい動きをさせてもらってると感じてます。動きっていうのは、ダンスの体の動き方じゃなくて日々の動きですね。活動というか。ヒップホップのゲームが有るとしたら、その中のそいつらのやり方っていうか、その各自の動きですね。
- アルバムからは外れるんですが、先日King Of Kingsに出ましたよね。バトルに戻った理由はなんですか?
ISSUGI - ダースさんがちょっと出てみないって言ってくれたのもあるし、あとはそうだな、今流行ってるフリースタイルに対して、違うスタイルもあるんじゃないかなっていう、そういうおれみたいなやつが出てくるのも面白いんじゃないかなって感じですかね。
- 今のフリースタイルラッパーとは確かに違うスタイルですもんね。
ISSUGI - そう感じてくれていたら嬉しいですね。
- それこそ今回のアルバムのテーマである東京の日常生活っていうテーマと、フリースタイルで言ってることってほとんど一緒というか。曲とフリースタイルで一緒のことが言える人ってなかなかいないと思うんですよね。
ISSUGI - 自分にとっては、言えるのが当たり前だと思うのでそこが一緒に言えるやつがたくさんいたらいいですよね。
- それがやっぱりヒップホップらしさなんですかね?
ISSUGI - 自分に関してはフリースタイルバトルとリリックで変わらないのが普通というか、そういう意識もあるし、おれがラップするとこうなるというか、そういう簡単なもんなんですよね。自分の思うラップに基づいてというか。
でもそれすらも考えてないですね。何も考えなくてもラップできるっていうか、そうなんですよね。別になんか、ラップするのが普通すぎて。リリックも毎日書いてるし、ラップもほぼ毎日してるし。自分にとって何も分ける必要がないんですよね。バトルに関しては出て行って、その時思ったことを言うだけっていうか。
- それがラップになっちゃう。
ISSUGI - そうです、そうです、まさにそうなんですよね。
- 今年はかなり多くのプロジェクトを同時に進行してますよね。それも自然にできるから、やれちゃうという感じですか?
ISSUGI - いろいろなことをやるのが好きというか、1個のことだけを最後まで、やるのにラップアルバムだとまあまあ時間かかるので。アルバム作ってる間に、DJのミックス作ったりっていう感じが好きですね。
- 7インチの企画だと新しいトラックメーカーともやってますよね。そういうのも刺激になったりしますか?
ISSUGI - そうですね、これまでは知り合いのビートメーカーとやることが多かったんで、せっかくああいう毎月7インチ出す企画があるから、新しいやつとやる機会も作りたいと思ったし、まだ知らないかっこいいビートメーカーがいるんだったら、そういう人間を世に出せた方が面白いんじゃないかとも思うんで。100人くらいビートを送ってくれてたんで、それも嬉しかったし、その中からSlepttっていういいビートメーカーもいたので、やった意味はあったなって。
- 1回ハマると今後もそのビートメイカーと継続してやっていきたいっていう風になりますか?
ISSUGI - そうですね、でもおれは1曲だけのビートが良くても「じゃあ一緒に1枚アルバム作ろう」っていうタイプじゃないと思うんですよ。おれが良いと思うビートメイカーって、そいつのビートが全部良いっていうか。そこまでいかないとおれは手を出さないタイプだと思うんですよね。この1曲だけが良いねってなるのはまた少し別というか。もちろんGRADIS NICEも全部良いし、どこ切ってもそいつのスタイルが出てるビートメイカーにならないと、おれは完全にはひかれないですね。そいつ自身がそいつの音楽になってないと、そうはならないと思うから。
- ちなみにGRADIS NICEさんとはいつ頃から交流があるんですか?
ISSUGI - おれの1stアルバム『Thursday』が出た2009年頃ですかね。GRADISが大阪から東京に引っ越してきてたのかな、もうちょい前からいたのかもしれないですけど、池袋のBedってクラブで会ったと思いますね。
- その時のことはGRADIS NICEさんは覚えてますか?
GRADIS NICE - とりあえずトラックがヤバい人がいるなと思ってて、その人を探してたらISSUGIくんだったていう。
- ISSUGIさんはどこらへんでGRADIS NICEさんがヤバいなって気づいたんですか?
ISSUGI - それは最初から気づいてましたね。会う前から多分GRADISのビートを聴いてて、Coe-la-canthの他のメンバーと仲良くなってたんですよね。大阪にライブに行ったこともあるんですけど、その時はGRADISとかいなかったと思うんですよね。いなかったよね?
GRADIS NICE - ないない。
ISSUGI - SCRATCH NICEとGRADIS NICEはその時まだ大阪で会ったことないんですよ。多分。でもCoe-la-canthの『Change』ってアルバムでGRADIS NICEがビートをやってて、その時にGRADIS NICEのビートはこんな感じだ、おもしれーっていう風にはなってましたね。でも実際に会うまでは一緒に曲とかやらなかったと思うんで。ビートしか聴いたことなくて、こんなキャラクターだと思ってなかったんですよ(笑)。キャラクター知って仲良くなっちゃったって感じはかなりあるっすね(笑)ヤバいんすよ、色々うけますねGRADIS NICEは。そうそう、そういう時代があって。ビートはブレないやつだと思ってますよ。メロウな部分もあるんですけど、メロウなだけじゃないっていう。弱々しくないっていうか。そういう部分かな。バランスが超いいと思うし、力強さは感じますね、とりあえず。あと音楽としてのグルーヴも乗れるって意味でありますね。
- 抽象的な質問になるんですけど、ISSUGIさんにとって東京はどういった場所でしょうか?
ISSUGI - 生まれ育った場所で、今もいるんで、なかなか外側から見た東京はわからないですけど、他の県から帰ってきたらやっぱり落ち着くなって場所にもなるし、品川駅について新幹線のドア開くと大体において帰ってきたなって気がします。東京は好きですね。
- amebreakのインタビューでNYでもっとヒップホップが好きになりましたって言ってましたが、東京に住んでてヒップホップが好きになる瞬間ってありますか?
ISSUGI - 東京に住んでて、ヒップホップが好きになる瞬間か。でもまた感じ方が違うかもしれないですね。おれNYに行ってそれを感じたのは、単純にヒップホップがもっと街にあるし、Bボーイとかそういうやつもたくさん歩いてるって、そういう面で思ったんですよね。やっぱ実際東京ってNYに比べたらヒップホップ好きな人も少ないと思うし、昔はそれこそ東京もBボーイとかすげーいっぱいいたと思うんですけど、いつの間にか聞くのを止めたのか居なくなったのかわからないですけど、今やっぱ電車とか乗ってても自分くらい首振っちゃてるヤツって、そこまでいないと思うんですよね(笑)。でもNYではおばさんもヒップホップで乗ってる。その感じ方だと違う感じになっちゃうんですけど、東京でヒップホップ好きになる瞬間は、自分の思う東京の空気をもったヤバい曲を、ライブで見れたときじゃないですかね。あと東京のヒップホップを東京のDJがかけた時とか。東京ってかっけえなって思う音楽に触れたら思うんじゃないですかね。しかも東京でしかない、他の都市にはないものに触れたときにそう思いますね。
- 今年そういう風に感じた曲ってありますか?
ISSUGI - CJ&JCのコンビは東京を感じますね。
- ちなみに今年もかなり動かれてて、来年以降もやりたいことがあったりしますか?
ISSUGI - いろんなラップ入りの作品も出したいと思ってるし、ビート集も出したいと思ってるし、でも完全に確定してないんで、あれなんですけどやりたいことはいくつかあります。あとやっぱりMONJUで何か出したいですね、久々に。
- アルバム制作中って他のアーティストの曲とかも聞くんですか?
ISSUGI - 普通に聞いてますね、全くシャットアウトだとかなりキツくなっちゃうと思うんで。最近だとDe La Soulの新しいアルバムとかHavocとAlchemistのとか聴いてましたね。ヒップホップ以外だと80'sの音楽とかも聴いていたし。R&BかわかんないけどAnderson .Paakも結構やられましたね。海外の新しいラッパーはそんなにCheckできてないかもっすね、CurrensyとかTroy aveは好きでCheckしてます。
- アルバムをどんなシーンで聴いてほしいとかはありますか?
ISSUGI - 歩いてるときとかいいですね、おれ自身移動しながら音楽を聴く事が多くて。全然飛行機の中とかでもいいし(笑)。いつでも聴いてくれたら嬉しいですね。
ラップ入ってないビートの時にビートの状態で聴いて歩いてるっていうのが自分にはたくさんあって。それで思い浮かんだら、ちょっとノートに書いておくとか携帯にメモしたりして、とにかく何回も聞きますね。作ってるビートを。
- 例えばそのときにみえた景色とかも?
ISSUGI - それがはまれば全然あると思いますね。
- 今作で特定の場面をみてリリックにしたっていうのはあるんですか?
ISSUGI - MONJUでツアー行ったときにホテルであったこととかがリリックになってるんですよ。おれはそういう仲間だけが知ってる面白いこととかをリリックに入れるのが好きというか、そういうことをやりたいんですよね。それってそういうやつらが聴いたとき、1番上がってくれるっていうか、知ってるよ、このときみたいな。そういうの良いかなと思って。他にもあるんですよね、おれ。変な言い方してるけど、わかるやつが聴いたら、あの時のことだなみたいな。そういうのもいいんじゃねえかっていうのはあります。Wuもメンバーだけのスラングとか入れるっていう話とか聴いた事あって、そういう遊びというか面白さですね。
- でもそういう秘密のことを歌ってても、普遍性があるというか。
ISSUGI - ありがとうございます。長く聴けるものを作りたいっていうのが、この作品に限らず自分の中であるのかもしれないですね。それはなんかずっと聴けるとかじゃなくて、1回聴いて間があいてもいいけど、また聴いたときにいいなって言うようなものになればって気持ちもあります。
- 曲順の流れもすごいスムースですよね。
ISSUGI - 自然にそうなるっていうのもありますけど、DJとかやってるのもあるし、流れも選曲じゃないですけど、自分の中のまとめ方っていうか、この曲の次この曲とか、この曲の間にこれが入ったら1枚として良いものになるんじゃないかとか、そういうことは頭の中で考えてますね。曲順はおれ1人で決めましたね。
- GRADIS NICEさんは曲順を聴いて、どう思いましたか?
GRADIS NICE - ISSUGIくんぽい流れだなと思いました。そうっすね。
- ISSUGIさんぽい流れっていうのは?
ISSUGI - こいつが言ってること多分合ってるんですよ。おれとBudaくんで1枚出したことあるんですけど、そのときの流れにちょっと似てるって言ってて、それがすごいわかって、確かにおれの流れあるなって、ははは(笑)
Mr.Pugとかもそういうこと言ってくるんですよね、「ISSUGIは映画見ないけど、クリント・イーストウッドとかお前絶対好きだから見ろよ」って。あの人も自分で俳優やって監督やって作ってってスタイルらしくて。それでとめどなく作品も出してるじゃないですか、だからおれのスタイルに似てるって。
- イーストウッドは年をとっても、どんどん更新もしてますもんね。ISSUGIさんも以前年齢を重ねた方がよりかっこよくなるって言ってましたよね。
ISSUGI - もちろんそうですね。新しいアルバムを出すことによって、過去のアルバムもすげえ輝くようなスタイルでやりたいっていうのがあって、そうやって聴く楽しさってあるじゃないですか。このアルバムがあるから、こっちのアルバムもすげえいいよねみたいな。そういうアーティストでいたいっていうか。
全部のアルバム通して、いいバランスでいたらいいかもっていうのはありますね。出す順番も自分の中で、決めちゃうところがあって、これを出したあとに、これを出したいとかやっぱりあるんですよ。なんでそういう意味でも動きとかの話につながるかもしれないですけど、自分の中でそういう流れを作っていきたいですね。これの後に、これを出したらすげえ伝わるっしょっていうか。これからもやり続けていくと思いますね。
<Release Info>
ISSUGI & GRADIS NICE - DAY and NITE
P-VINE RECORDS / DOGEAR RECORDS / CD / 2016 年 11 月 2 日発売 PCD-25207 / ヒップホップ、ジャパニーズ・ヒップホップ / 税抜価格 2.500 円
<トラックリスト>
- Intro Cut by DJ Scratch nice
- Navy Nubak
- Flowr (album version)
- Skit(PM)
- Time feat Kid Fresino, 5lack
- Heat Haze feat Mr.Pug
- How Ya Livin feat BES
- Water Point (Remix) Cut by DJ Bress & DJ Shoe
- Midnite Move feat. 仙人掌
- Interlude(AM)
- Nite Strings
- Outro (In the evening)
*ISSUGI / DOGEAR RECORDS
http://www.dogearrecordsxxxxxxxx.com/
https://twitter.com/Dogear_Records_
https://soundcloud.com/dogearrecords
https://www.instagram.com/dogear_gram/
*GRADIS NICE
https://twitter.com/gradisnice
https://soundcloud.com/gradisnice
https://www.instagram.com/gradisnice/