Licaxxxインタビュー | 新メディア『シグマファット』と愛を持って外枠をつくること
LicaxxxはDJとして全国各地のパーティーに出演しつつ、近年では、Microsoft「Surface Pro 4」の全世界タイアップCMにも出演、他にもライターやラジオ・パーソナリティーなど多彩な顔を持つ。そして新たに所属するASOBISYSTEM内にできたウェブ・メディア『シグマファット』の編集長という顔も加わった。自らを「人集め係」で外枠をつくる人と語るLicaxxxのその真意や『シグマファット』でどのようなチャレンジをしていきたいかを中心に話を聞いた。
写真 : 寺沢美遊 取材/構成 和田哲郎
- 自分でもメディアをやりたいというのはあったんですか?
Licaxxx - 最初から明確にあったわけではないですがありましたね。2.5Dでバイトをしていた時からウェブを担当していて、好きなアーティストにインタビューとかしてました。
ASOBISYSTEMに入ってからは原宿に興味がある女の子のウェブメディアがあり、そこで中高生向けのコンテンツを作っていく中で、そもそもASOBISYSTEMは自分も所属だし、大人になってコアなカルチャーが好きなモデルもいて、それがちゃんと載っけられるようなメディアを作りたいなと思っているところに、会社として全体の幅広げるためにメディアを増やそうってなって4つに増え、そのうちの1つがシグマファットになりました。
- 記事ページの作り方がウェブっぽいというより雑誌ぽさがあるかなと思ったんですが、10代のときとかはもうメディアもウェブがメインになりつつあった時期ですよね。雑誌は読んでたりしましたか?
Licaxxx - 雑誌は読んでましたけど、ウェブがあるからこそ雑誌買うみたいな買い方でした。(情報を得るためというよりは)モノとして欲しいから買うみたいな。デザインについては特集記事がメインで、特集記事をよりよく見せるための形にしようと思って、とにかく写真がドーンって出てきて文字がスタイリッシュという形がいいなと。
フタを開けたら結構長文のインタビューとかもあるんですけど、逆に写真ばっかりあがっているページがあっても違和感がないものにしようと思ったら、ああなりました。
- 音楽と映像とファッションとアートを全部一緒にやろうとするメディアってあんまりないじゃないですか。それを全部集めてやろうと思ったのはなぜですか?名前もΣって総和って意味でいろんなカルチャーの総和ってことで時代感を出してくってことなのかなと思ったんですが。
Licaxxx - 名前に関してはシグマが数列の和を表すΣで、ファットがF・A・Tなんですけど、それがΣを横にしてMusic Fashion,Art.TechnologyでそれをKAT-TUN方式で並べ替えてつけた名前がシグマファットなんですよ。そこでジャニーズが地味に生きてくる(笑)。
それで最初は「Σf(a)t」で関数みたいにしてたんですけど、一発で読めないよねってなってロゴをこれにして、基本カタカナ表記になったというのが名前の由来です。
なんでカテゴリーを集めようかと思ったというのは、自分もそうだと思うんですけど1つのカテゴリーに固執して、出てきてるタイプの人間じゃない。そういうタイプの人が結構いるんじゃないかなっていうのが発端で。インターネットの音楽ってインターネットの一部で固まりがちなところがあるじゃないですか。
でも自分は幅広くいろんなところに遊びに行っていて、おじさんしかいないようなイベントも好きだし、ちょっと華やかなファッションの方でも、コアな人もちゃんといて、よく一緒に遊んでいたり、属性は違っても、音楽的にはかなり近かったりする。それをいろんなジャンルに置き換えたときに、もうちょっと縦で切るんじゃなくて横で切ることで何かできないかなってことで始まりました。
- 今ってなかなか横で切るって動きは難しくなっていて、音楽的には近いんだけど合わないみたいな空気とかがあると思うんですが、そこをLicaxxxはどっちもいけるよってことで動いているっていうことですね。
Licaxxx - だからAsparaくんとかと始めたパーティー『MAL』も雰囲気はパーティーぽいけど、音はしっかりしていて、来る人種はアートも好きだったりレセプションのノリで来てる人もいれば普段からクラブにいる人も楽しいっていう認識でやっています。
自分的にそういう意識が強くて、音楽的な玄人が楽しいのは大前提の上で全然関係ない要素をいっぱい入れることで、それを目的で来た人も楽しいっていうのが、ここから広げていく鍵なんじゃないかなと個人的には思っています。
- そういう雑多な要素が入ったパーティーって今は少なくなっていますよね。フレンチエレクトロが流行っていたときのパーティーって音楽じゃなくてファッションが好きなんだろうなっていう人もたくさんいたりして、i-Dのインタビューでも言ってましたけどそういう時期のパーティーの空気感は影響源としてありますか?
Licaxxx - 多分あると思いますね、私がパーティーに行き始めた頃(フレンチエレクトロが流行っていたとき)は、オシャレで服もこだわってて、音楽もカッコよくて、DJがみんなそれぞれデザイナーとかやっててみたいなところを見ていましてた。でも気づいたら音楽が超コアなパーティーはいわゆるヲタクっぽくて華やかさがない感じになってた。全部がそうじゃなくてもいいんじゃないかなって。
C.Eみたいなスケシンさん自身がアンダーグランドな音楽に精通していたり、見た目や音楽も含めてその人自身の背景がわかったり、その背景ごとかっこいいと認知されてもいいんじゃないかなって。
- 例えばL.I.E.SとLQQK Studioとかそういうファッションと音楽のつながりが今の日本だと希薄な感じにみえてしまうのはなぜだと思いますか?10年前くらいはそういうのが普通にあったわけじゃないですか
Licaxxx - なんででしょうね、確かになんでなんだろう。あの時代もエレクトロが今のEDMほど大衆的ではなかったじゃないですか。それと付随してオシャレな人がたくさんいるわけではないと思うんですけど、今はみんな服装は似た感じのカジュアルめが流行ってて、服装が尖った人はちょっと減っていて、音楽が尖った人は服を気にしなくなり。時代の流れかもしれないですけど、バラバラになったことにより全員が弱体化したみたいな。
- 全体みたいなものをみんな気にしなくなったというところはあるかもしれないですね。
Licaxxx - これだけやっていればいい、もしくはみんなと同じことをやればいいの二極化になっていて、どっちもいけるタイプの人間が減ったのか散り散りになったのかなって感じです。
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