G/P galleryにて写真家・小林健太の個展「自動車昆虫論/美とはなにか」が開催

CULTURE  2017.05.29  FNMNL編集部

昨年の初個展「#photo(G/P gallery、東京)開催以来、フォンダツィオーネ・プラダでのグループ展「GIVE ME YESTERDAY(イタリア・ミラノ)や国際フォトフェスティバル「FORMAT(イギリス・ダービー)に参加し、評価を高めてきた写真家・小林健太が、2017/6/3(土)~8/12(土)に東京・恵比寿のG/P galleryにて、個展「自動車昆虫論/美とはなにか」を開催する。

小林がカメラで捉えるのは、活動拠点である東京の街並みや、自身および親しい友人の姿など、ごくありふれた日常。撮影後にはPhotoshopで加工編集し、写真またはビデオ作品として発表する。ほかにも、同世代のアーティストやクリエイターらと等身大のZINEを展示するプロジェクトや、ライブパフォーマンス、VRを使ったインスタレーションに取り組むなど、小林の存在自体がひとつのメディアとして機能するような、幅広い活動で大きな注目を浴びている。

Hello_1, #9square #smudge_©︎Kenta Cobayashi_Courtesy of GPgallery
Hello_1, #9square #smudge 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo
小林健太
IAM_002 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo

個展のタイトルである「自動車昆虫」は、小林による造語だ。図像の生成起源をたどるリサーチ中に、画像データの基盤であるグリッド構造に興味を覚えた彼は、その分割システムが上下構造すなわちヒエラルキーと均一化を生むもの、また、対象を区切って認識することで対象そのものへの解像度を下げるというパラドックスが文明にもたらす影響について、彼なりに考察したことから導き出されたという。

小林健太
IAM_004 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo
小林健太
Hello_4, #9square #smudge 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo

本展では、Photoshopの指先ツールで画像データを編集加工した「#smudge」シリーズの写真プリントとビデオ作品をはじめ、床に焼いた正方形のタイルを並べたインスタレーションなど、身体に直接的な経験を促す意欲的な新作を発表。昆虫が群をなして知性を獲得し、交通網のようなネットワークを構築して活動していくように、この社会で営む人間たちを「自動車昆虫」に例えることで、グリッドの境界線の間に存在する割り切れないものや、未分化な状態に宿るもう一つの秩序・美学へと意識を向ける。

IAM_Blue Star_©︎Kenta Cobayashi_Courtesy of GPgallery
IAM_Blue Star 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo
IAM_iam_005_©︎Kenta Cobayashi_Courtesy of GPgallery
IAM_005 2017 ©︎Kenta Cobayashi, Coutesy of G/P gallery, Tokyo

[ステイトメント]

この手紙が君に届くことを祈っている。

 

僕は君が好きだ。粘土板が葦とパピルスに変わり、紙とタイプライターに変わり、キーボードとデスクトップに変わり、音声認証と自動筆記に変わっても、僕は君に手紙を送るだろう。君はこの世界に馴染めなくて苦しんでいる。人とはどんな存在であったか忘れられなくて、だから必死で想い出そうとしている。僕は答えを知る本当の大人に出会った。大人になれなかった大人しかいないこの星で。そこに仲間がいた。

 

君を紹介したい。だから連絡が欲しい。

---

 

この星は、人でないものによって支配されている。

 

虫は群知能のシンボルなんだ。個体は単純な反応で動くが、群となったときに強大な知性を発揮する。アリ塚を造るアリは、自分らが築き上げているものの全体像を知らないだろう。だが巣は完成する。巣の形状を司る知性がある。群全体で一つである、そういう種類の知性が。

 

同じことが自動車でも現れているとしたら?一体一体は知性を持たないが、群れとしての知性がそこにあるとしたら?土を固めて巣を造るハチの群れのように、アスファルトを固めて彼らは巣を造っている。粘菌と同じ形状の巣を。

 

そして、カッコウの托卵と同じ原理が働いている。僕たちは自動車昆虫を動かすその背景、経済と情報の流れによって彼らの卵を育てている。僕たちはこの経済システムに則って生活している限り、自分らの子孫を殺しながら、彼らが望むものを創り上げることに誰もが参加している。そして肉体を捨てて代替現実に撤退しようとしている。喜び勇んで、鼻息を荒くして。

 

この星の現状は、僕の責任なんだ。そして君の責任でもあるんだ。

だってこれは、僕らの宇宙で起こっていることなんだから。

---

 

僕たちは傷ついている。互いにどうやって信頼を築けばいいのかわからないから、貨幣を始めとするあらゆる偶像によって関係を代替しようとする。わからないのが恐くて、わかってもらえないのが恐くて、わかったフリと興味ないフリをする。そうしているうちにどうやってわかりあえばいいのか忘れてしまう。

 

もうそんなことやめたいんだ。本当に本当にうんざりしてるんだ。

わからないなら学べばいい。ただそれだけだったんだ。

 

絶望でこの時代を締めて、希望で別の新しい時代を拓こう。

僕たちはまだ身体を持っているから、また会うことができる。

 

生きた群れとしての生き方を想い出そう。人としての誇りを取り戻す時が来た。

 

2017年5月20日 小林健太

INFO:

小林健太「自動車昆虫論/美とはなにか」

会期 : 2017/6/3(土)~8/12(土) 12:00~20:00 (最終日は 17:00まで)

場所 : G/P gallery 150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F

オープニング・レセプション:2017/6/3(土) 18:00~20:00

関連企画:トークイベント(開催予定/詳細は追って発表)

MUSIC

FASHION

CULTURE