オカモトレイジインタビュー 盟友KANDYTOWNのアルバムにディレクターとして参加した理由

FEATURED  2016.11.29

KANDYTOWNが11/2にファースト・アルバム『KANDYTOWN』をメジャーレーベルのWarner Musicからリリースした。これまでセルフリリースを続けてきた、世田谷出身で長年親交の深いラッパーやプロデューサーが集ったクルーの異例のメジャーデビュー作に、制作スタッフとして関わったのがOKAMOTO'Sのメンバーオカモトレイジだ。KANDYTOWNのメンバーたちと子供の時から、様々な場所で出会ってきたオカモトレイジが、裏方としてアルバムリリースに関わった理由とは?そしてオカモトレイジだからこそわかるKANDYTOWNの姿とは?

取材 : 構成 和田哲郎 取材協力 Warner Music Japan / Sony Music Artists

オカモトレイジ - KANDYのメンバーは、保育園から一緒のDONY JOINTがいて、小学校に上がったらBSCがいて、中学校に上がったらIOと席が並びだったり。そういう出会いから、IOとまず仲良くなってYUSHIを紹介されて、すぐに仲良くなって、MASATOとKIKUMARUも仲良くなりましたね。それで高校に上がったらMUDが入ってきて、という感じです。あとは、中学の後輩でYOUNG JUJUがいて、YOUNG JUJUの高校の同級生でMIKIやYaBastaのグループがいて。

中でも1番びっくりしたのがmixiのアルバムを見ていたら、なぜかYUSHIの家に小学校の同級生であるBSCがいる写真があって、俺の中では別のユニバースだったので。俺もBSCとは小学校の時めちゃくちゃ仲良かったし、YUSHIも高校に上がれなかったので、久しぶりに会いたいなと思って、YUSHIの家に入り浸るようになったんです。そこからヒップホップの友達ができ始めた。BSCとYUSHIは地元が一緒だったということと、電車の中で同い年くらいのビーボーイを見つけて、こいつ絶対ブートストリート行くなと思って、行ったら案の定いて、そこで話しかけて仲良くなったっていう。あとは、BSCが上がった中学校の同級生に呂布くんがいて。砧公園でBSCがDABOを流しながら、野球の素振りしていたのを呂布が見て「お前ヒップホップ聴くの?」って話しかけて仲良くなったのが始まりだったらしいですね。

- じゃあ最初からヒップホップつながりで集まっていったというか。

オカモトレイジ -そうなんですよ、だから俺が中心というか、もちろんおれも沿ってはいる中で、それぞれがストリートで繋がっているんです。それがまさかの小学校の同級生だったり、保育園の同級生だったりした。あとメンバー誰がいたっけな。

ワーナー担当氏 - MinnesotahとかNeetzとか。

オカモトレイジ - MinnesotahはBSCの中学校の後輩。、Neetzは幼稚園だけ和光だったのかな。Neetzは幼稚園でYUSHIやKIKUMARUと一緒にサッカーをやっていたらしいですよ。

- それくらい自然に集まってる。

オカモトレイジ - 俺はNeetzを知らないけど、KIKUMARUはずっと知っていたり、本当に地元のずっといる仲間というか。それでワーナーミュージックが少し興味を持ってると聞いたときは、最初はもちろんただ紹介するだけのつもりでした。ただ、自分がこうして、みんなより一歩早くメジャーで活動している中で、KANDYTOWNから教わったこともたくさんあるし俺はせっかく培ってきた経験値でなんにか教えられることだったり、協力できることがあるかなと思って、もし良かったらプロジェクトに参加させてくれと自分から名乗り出て、メジャーレーベルとの通訳的なことで間に入りますよって。KANDYTOWNはドメスティックな活動しかしてなかったので。毎回同じ人しか来ないパーティーをコンスタントに5年連続でやっているみたいな。

KANDYTOWN

- KANDYのライヴを何回か見たことあるんですけど、ライヴ直前にみんなで来て、ライヴ終わったらすぐ出て行くって感じで。でもそのスタイルがアルバムにも出ていて、メンバーのラップが無個性とかではなくて、みんなKANDYTOWNのスタイルっていうのをわかってやっているなってと聞いたときに思ったんですよね。

オカモトレイジ - このグルーヴはずっと一緒にいないと生むことはできないですよね。

 

- それくらい美学のある人たちの間に入っていったわけですよね。実際どういう動きをしていたんですか?

オカモトレイジ  -  どうなんでしょう。ワーナーミュージック的には、俺がどういう感じの立ち位置で関わっていったと思いますか?制作ディレクター?

ワーナー担当氏 - 正にA&Rだと思います。アーティストと関係値を作っていくための役割というか。あとはそういった以前に、マスタリングとか業界用語のレベルから、アルバム制作のプロセス、原盤権のことから音楽業界の仕組みなどを彼らに、分かりやすく伝えてくれてましたね。

オカモトレイジ  - 通訳というのが1番近いのかな。

- KANDYTOWNはKANDYTOWNの言語で話してるから。

オカモトレイジ  - メジャーレーベルとのディールではこうだぞという話ですかね。少なくともレーベルの人から話すよりも俺から言う方が耳を傾けてくれるので、参加してよかったなと改めて思いますね。初回盤の写真集なんかも、俺だからやれたと話していたみたいですし。

- 写真集も他の人が撮ったら、この距離感では撮れないだろうなと。この写真は何気なく撮ってたんですか?

オカモトレイジ  - 最初は何気なく撮っていて。というか本当に昔からKANDYTOWNを撮ってます。もちろんYUSHIが生きているときのライヴ写真もたくさんありますし、BANKROLL時代からビデオもいっぱいあるし、かっこいいから絶対に残しておいたほうがいいと思って、映像、写真、音源のアーカイブも大量に持っていますね。今回色々なイベントにも出るし大所帯で動いていて、画になるから、きちんとおさえておこうと思って撮っていたんです。それを写真集にしようと思って、自分で2冊くらい作ったんですよ。写真集を提案するときもモノがあったほうが、みんなイメージしやすいし、単純にテンションがあがるから。それで提案したらみんな気に入ってくれて。じゃあ初回盤をそういう仕様にしたらと提案して、俺が撮った写真を全部投げて、IOとデザイナーの上岡さんでレイアウトしてもらって。この写真集に入っているのは、今年に入ってから撮ったものですね、多分。昔過ぎてもみんなみんな多分嫌がるので。みんなが違う靴を履いてるショットを使ってくれて嬉しいー。

オカモトレイジ

これはKANDYTOWNを表してるなと思って、新宿LOFTで撮ったんですよ。あれだけReebokをやっているのに、Adidasを履いてるやつもいればNikeを履いているやつもいるし、Converseを履いてるやつもいるし、ちゃんとReebokを履いているやつもいるし。この感じだよなと思って足元ばっかり撮ったんです。そういったこともKANDYTOWNと生きた仲間だからこそ、そのセンスを共有できたというか。普通だったら、なにこの写真、いらなくね?って思うじゃないですか。そういうことをわかってチョイスしてくれてる。あと曲順もだいぶ考えましたね。ただ曲数が多すぎて。

- レコーディングはどれくらいしたんですか?

オカモトレイジ  -  でもすごい早かったんですよね。

ワーナー担当氏 - レコーディングは5月から始めて、7月で全部終わり。曲もイントロとアウトロ入れて全部で24曲作って。あとは10月までMIX作業をしてましたね。

オカモトレイジ  - ヒップホップのレコーディングに、こんなにがっつり参加するのは始めてだったのですごく驚くことが多くて。KANDYTOWNは遅刻もしてくるし、リリックが書けてないから隣のスタジオにこもってその日に書き始めたりするし、こんなんでいいのかと思って。(エンジニアの)Tsuboiさんにこの制作ペースってどうなんですか?と聞いたんです。そうしたら「いや、すごい優秀ですよ。KANDYTOWNはめちゃくちゃ早いです。昔ながらの人たちはパンチインもしないし、直しもしないから、フルバースやって完璧なものが出るまで、やり続けるらしくて。そういった意味だとKANDYTOWNはこの人数で、この曲数をこの期間で録りきったということはものすごく早い。ヒップホップ的な常識で言うと、すごいスムーズだったそうです。

オカモトレイジ  -  むしろ俺なんかは、2枚分録れたなら2枚出したらいいのに、と思ったりして。そういう案も考えましたし、そんな曲数を並べるのがそもそも無理という話でしたが、メンバーである程度流れを組んでくれて、でそれを何回も聴いて、俺なりにここはこうなんじゃないかなという提案をしたら、すんなり聞いてくれて、最後のスイートな曲の流れが、最初はテンションの高い曲とスイートな曲が交互にきていたのでそこだけ固めたほうがいいよと口出しした感じです。

- アルバムを流れで聴いてみて、レイジくん的にはどうですか?

オカモトレイジ  - 結構なんだかんだいい曲いっぱい出来たなと思いました。作っている時は正直『BLAKK MOTEL』や、『Kruise'』の延長線上で、意外と”KANDYTOWNですよ”って感じでまとまっちゃうかなっと危惧していたけど、いざ完成してみると全然違いますね。"R.T.N" の爆発力も今までにないテンションですし。あと"Get Light"が初めてきちんと収録されるのということもでかい。ただ、やっぱり"R.T.N"はいい曲ですよね。

- "R.T.N"はYUSHIが参加してるんですよね。

オカモトレイジ  -  声でもYUSHIが参加していますし、トラックもYUSHIとMIKIで作ったものですね。サビのドラムマシンの”タタタータタータタ“っていうのも絶対YUSHIが打ってると思います。

ワーナー担当氏 - 全く同じことを他のメンバーも言ってた。

オカモトレイジ  - ああいうパターンを打つんですよ。YUSHIが亡くなったあとに、PCに残していたビートなんかは超やばいですからね、もうめちゃくちゃ。だからあの”タタタータタータタ”がYUSHI印。これループ組めてないじゃんって。あの感じをメジャーで出せてしまうところがすごいし、そのビートを整えなきゃという思考じゃなくて、それがヒップホップでしょ、ファンクでしょってやれるところがKANDYTOWNならではな感じがしますよね。

- でもYUSHIくんの存在感というのを強烈に感じる内容になってるなと思いましたね。中盤の"Good Die Young"とかもそうだし、いないからこそYUSHIくんという人がいたんだよっていうのを刻むのがアルバムの裏テーマじゃないけど、あるのかなと。

オカモトレイジ  - そうですね、言ってしまえば記念碑ですね。KANDYTOWNが今後どういう活動をしていくかなんて分からないし、だからいいタイミングで、きちんとお金をかけたものいい作品を作れたなと思います。やっぱりメンバーもこれはYUSHIのことを歌おうぜと、打ち合わせはせずとも結局みんなそのことばっかり言ってしまうというか。存在が大きすぎたし、みんなの師匠という感じですからね。YUSHIのテンプルがあって、YUSHIのテンプルに入り浸っていた僧たちがKANDYTOWN。

Kandytown

 

- IOがインタビューでYUSHIがNo Goodだと思うことはやらないって言ってましたけど、その感覚をみんな共有してるってことですよね。

オカモトレイジ  - でもYUSHIは異常。ワーナーミュージックジャパンとやることも「No Goodだ」って言いますよ。普通におかしいので(笑)ズレテルズのときも、ほぼほぼ完パケした音源で、あとはサンプルが上がってくるのを待つだけだという段階で、「やっぱおれのラップ消してほしいんだよね。あのレーベルの人、あの人完全に眼が嘘ついてるから信用できない、出すんだったらおれのバース全部消して」と言ってきて、「いやそれは無理だよ、さすがに」ってなんとか説得したりして。

 

"R.T.N"のIOのバースもYUSHIが乗り移ってるんじゃないかって感じるくらいです。YUSHIの晩年のライヴ映像とかやばいですからね。本当にすごい奴ですよ。MPCが壊れちゃって自分で修理しちゃうんですよ。「わからないけど、やってみる」とか言って全部直しちゃったり。突然絵画に目覚めて、それもすごいんです、普通にコンクールで入賞したり。ちなみに通常盤のジャケットもYUSHIが描いた絵です。あとは、絵が家の壁に描いてあったりして。めちゃくちゃに見えるけど、めちゃくちゃ上手いなこれというものが中にはあったりするんです。点数もすごい描いてて、ジャケットになった絵となんか超でかいんです。

KANDYTOWN

- でもそれだけ、みんなが影響受けた存在がいなくならないと、できなかったってことなんですよね。

オカモトレイジ  - 全部何をやるにも、あいつがダメだ、ダメだと言っていただけなんです。でもYUSHIがいなかったらみんな早々に飽きてやめちゃっていたかもしれないですけどね。ダメだ、ダメだってずっと言われて、彼が亡くなってみんながやる気になった途端に、こういう話がきて。とある霊能者の話によると、死んだ瞬間に誰の顔も忘れて、YUSHIの魂はNYに飛んでいったらしいです。興味ないって感じでNYに行っちゃったらしいですね。

- そのエピソードも曲になってますよね。

オカモトレイジ  - Donyのバースですね。それもYUSHIらしい話なんです。それくらいスペシャルなやつ。YUSHIが死んでから1年でアルバム4枚作ってますからね。BANKTROLL時代から制作スピードは早くて、俺のアーカイブにも60曲以上あります。ラップするのがとにかく好きで、ずっと日常会話が全部ラップ。俺はラップができないので、レコードの針を戻す係。Premierのビートだけ使って、みんなはずっとラップしていましたね。

- そのずっと遊んでる感じが、KANDYTOWNのアルバムにはありますよね。リリックにはK-Townとか出てくるけど、具体的な場所や出来事とかはあまり描かれてないんだけど、すごい集まってる感じっていうのはわかる。

オカモトレイジ  - そうですね、あとK-Townっていうのも喜多見だけを指している言葉ではなくて。喜多見のことをK-Townと呼んでいて、フタを開けたら当時IOが梶ヶ谷に住んでいて、Kだし、お前駒沢でしょ、Kじゃん、お前経堂KじゃんってみんなKがつくところに住んでいたんです。そのあたりからKがキーワードになりはじめた。あとカ行の単語をとにかくKに変えたがる。そのKはそういう理由なんですよね。

- そういう意味もわざわざ伝えてはこないですよね。

オカモトレイジ  -  そうですね。実はあるけど、その感じもクールというか。

- そうか、あのKool BoyのルールのKもそういうことなんですね。

オカモトレイジ  -  そうです。「1日1回熱いシャワーをキメる」って何度くらいなの?ってと聞いたら「41度だね」って全然熱くねえじゃんって(笑)45度くらいいってよというか。だから聴く人、それぞれのKに当てはめちゃっていいんだと思いますよ。

- この遊んでる感じをそのままパッケージしてるのはなかなかないなと。

オカモトレイジ  -  昔の音源の方がもっと遊んでいる感じはでてましたけどね。今は年齢が24~5になって車でクルージングってノリですけど、昔は本当に遊んでるだけのテンションの曲とかもあったし、トラックもコミカルなトラックを使ったりしていて。

- 今回の作品に携わって、レイジくんにフィードバックはありましたか?

オカモトレイジ  - ものすごくありましたよ。勉強になったし、OKAMOTO’S最高と改めて思いました。意識高いし、遅刻もしない、やることもきちんとやっているし、バンドメンバー最高って。いろいろ勉強できたおかげで、レーベルとの話し方も変わってきました。どういう意図でこういう提案を受けているのか、今までよくわからなかったけど、今なら理解できることもあるし、わかったからこそ、だったら違うやり方があるんじゃないかと指摘もできるようになりました。単純に音楽ビジネスとして、他の可能性を掲示できるようになったというか。まだまだですけどね。園子温監督の家で会った魔女の末裔というアメリカ人に、あなたは勉強不足だからもっと勉強しなさいって去年くらいに言われたんで、ドラマに初挑戦してみたり、こういうことをやってみたり、常に勉強です。

ワーナー担当氏 -あと1個言えるのは今回、運営面でもレイジが入ってくれて、そこもかなり助かりましたね。

オカモトレイジ  - 楽しかったし、悩まされたこともあったけど、いい経験になりましたね。今後アーティストだけどディレクターも兼ねてます、ということが主流になる時代がくると思いますし、そういう人がやらないと絶対にいいレコード会社なんてできないと思う。レコード会社の人がみんな音楽に興味なさすぎる。本当にやばいと思います。偉くなればなるほどスマホゲームばかりやってますから。業界の人たちはマジでヤバいと思いますよ。どんどん今後も勉強していきたいですよ。

Kandytown

 

タイトル:『KANDYTOWN』

価格:初回限定盤:\4,500(税込)・通常盤:\2,700(税込)

品番:初回限定盤:WPCL-12494/5(2CD)・通常盤:WPCL-12469(1CD)

収録曲(初回限定盤・通常盤共通)

1. Intro

2. R.T.N

3. Twentyfive

4. Get Light

5. Just Sink

6. Evidence

7. Good Die Young

8. Beautiful Life

9. Round & Round

10. Ain’t No Holding Back

11. Amazing (Interlude)

12. Feelz

13. Song in Blue

14. Scent of a Woman

15. Paper Chase

16. A Bad

17. The Man Who Knew Too Much

18. Against

19. Rainy Night

初回限定盤付属 ボーナス・ディスク収録曲

1. Oboro

2. Rap City

3. Dejavu

初回限定盤仕様

・ポケット・バイブル・サイズの書籍仕様

・3曲収録ボーナス・ディスク付属

・全40ページによるアートブック及びポスタージャケット封入

店頭特典:TOWER RECORDS 未発表曲「Keep It Kool」1曲入りCD

TSUTAYA未発表曲「My Business」1曲入りCD

応援店:オリジナルステッカー

※特典は数に限りがございますのでお早めに。

iTunes: http://apple.co/2eXaFvh

Apple Music: http://apple.co/2edAGrw

【KANDYTOWN オフィシャルHP】

http://kandytownlife.com/

MUSIC

FASHION

CULTURE