Para One来日記念インタビュー!

8月に来日したばかりで、昨年リリースしたアルバム『Passion』が大ヒットするなど、ここ日本でも高い人気を誇るフランスのトップ・プロデューサー、PARA ONE!彼が現在気になっているアーティストや母国フランスの音楽シーンについて、更には、気になる彼の次回作について、block.fmのクルーが聞いてくれた。

取材 Hiroki Ueda 通訳 Alain Bosshart<

- 日本のカルチャーで好きなところは?

Para One - 僕の世代のフランス人達には、日本の80年代頃のアニメとか漫画、ビデオゲームなどを、ほぼメインストリーム並みに受け取られるくらいに入って来ていたりしたから、それらにすごい影響を受けていると思うよ。子供時代を過ごしてる頃に、日本の文化とフランスの文化を両方同時に吸収して身に付けていったからね。ぼくは、漫画とアニメから始まり、映画、音楽、文学へと興味を持っていったんだけど、実際に日本へ来てみると、やっぱり凄く好きな国なんだなと何時も色々納得しながら実感する感じだよ。

- 日本のアーティストで、初めて聞いたアーティストは?

Para One - ぼくは、アニメや漫画からの影響を受けているから、日本のアーティストとして初めて聞いたのは、サントラとかになるんだけど『AKIRA』や『X-Or/邦題: 宇宙刑事ギャバン』のサントラは、特に影響を受けた作品だともいえるよ。他にも、90年代になって色々な活動をしているCorneliusにも影響を受けたし、他にも坂本龍一がやっていることすべてが最高だとも思っているよ。正直、David Bowieよりも彼の方が優れているんじゃないかというくらいに、一人のアーティストとして彼を尊敬しているよ。

- 最近制作で意識していることはなんですか?

Para One - 最近のトラック制作に関しては、自分のヒップホップのルーツに戻っている気がしているよ。ヒップホップを基準にして話すと、ヒップホップが凄く盛り上がっているアメリカでは、みんな面白いことをしているし、ヒップホップの曲をそのままクラブでも全然かけられるような状況になっているんだよね。それに、コマーシャルな面でもアンダーグラウンドな面でも面白い曲がたくさん出てきているから、それを関心深く日々チェックしている感じだよ。ぼくが作るビートは、主にクラブ向けにと考えるんだけど、"ファット"なビートを作ることも意識しているよ。ぼくのアルバム『Passion』は、元々家で聞くためのアルバムとして制作したんだけど、今は、次回作アルバム向けに、それをクラブ向けに作り直す作業にも取り組んでいるんだ。

- 今のフランスの音楽シーンについて感じている事は?

Para One - パリとかもそうだけど、フランス全体を見ても、すごく良い時代に入っている気がしているよ。フランスの音楽シーン自体結構波があるんだけど、元々Ed BangerとかInstitubesが注目され始めた当時も、最初の"フレンチ・タッチ"の波が去った後で何も無くて「何をしようか」って話をしていた連中がやりだして、もう一度盛り上げる事ができたような感じだったんだよ。それを、今に例えれば、Sound PellegrinoやMarble、Clek Clek Boom、BromanceやZoneといった新しいレーベルが、新しい音を打ち出していて、凄く刺激的な音楽を送り出している感じだと思うよ。インターネットのおかげという部分もあるだろうけど、フランスの若いDJ達も、凄くオープンマインドでイギリス、アメリカやヨーロッパの別の都市で注目されるような音楽も取り込んで面白い音楽をどんどん作っているしね。ぼく自身も、まだ最前線で活動出来ている事をとても嬉しく思っているし、パリもまた新しい波に乗って動いてる気もしているよ。元々フランスの音楽は、70年代から既にシンセサイザーを使ってるような音楽もあったけど、Jean Michael JarreやOnyxのようなシンセサイザーを使った音楽以外には、少し切なくて、泣きが入っている、ドラマチックなメロディーも、フランスの音楽の重要な特徴だったりもするじゃないかな。フランスの音楽もラテンのビートやディスコの影響を受けていた時期もあったけど、若いアーティスト達が、そういう所も意識してちゃんとやっているのがフランスの音楽の凄さだと思っているよ。

 

 

-休日はどのように過ごしていますか?

Para One -最近は、リラックスするためにも、15年ぶりくらいにスポーツをまたやり始めたんだ。主にスキーやバスケットボール、テニスだったりとね。だけど最近特に情熱を注いでるのは、「ストリートファイター」というゲームなんだ。それにハマっていて、今は、こっちに来て、日本の挑戦者と対決して勝てる自信もあるくらいなんだ。(レーベルのA&R担当いわく:先日も都内某所のゲームセンターで日々のトレーニングのように日本の挑戦者と対決して、普通に勝っていたくらいだそうです・・・)

- "Every Little Sing"のtofubeats Remixについての感想は?

Para One -彼のリミックスを凄く気に入っているよ。Canblasterも雰囲気の少し似たリミックスを作ってくれたよね。彼も日本の音楽に凄く関心を持っているからなんだろうけど、何か近い物を感じるよ。自由な発想や、日本人らしさだったり、遊び心とかもしっかり感じさせてくれるから、いい意味で驚かされたし、とにかく良いリミックスをしてくれたことに対して凄く感謝しているよ。

-tofubeats本人に会ってみてどうでしたか?

Para One - 凄く良い人だったし、直接会えてとても嬉しかったよ。タワーレコードで行ったイベントで一緒の舞台に立てたのもとても楽しめたしね。彼は、今後が期待出来るようなアーティストだから、今後も、是非、頑張って欲しいと思っているよ。それに、tofubeatsから自分に影響を受けている事なども聞かされたんだけど、それも、とても光栄に思っているよ。

-あなたにとっての今年のBEST3は?

Para One - 当然のことだけど、ベスト3曲を選ぶのはとても難しいね(笑)。でも、今年は、ヒップホップを結構聞いていたから、そこから1曲選ぶとしたら、先ず最初に、Rockoの"U.O.E.N.O(ft. FUTURE & RICK ROSS)"っていうぶっ飛んでいて、とてもゲットーだけと、すごい斬新で良い曲かな。それと、NumbersというUKのレーベルの曲も最近チェックしているんだけど、そこからリリースされたSOPHIEの曲"Bipp"も凄く良いね。プロダクションへのアプローチとかも含めて近い物を感じさせてくれるし、R&B、イタロ・ディスコ、それに、EDMではなくIDMの要素なども入っているような最高な曲だよ。Jimmy Edgarも良いよ。これから一緒にコラボ・トラックを作る話もあるから、それも楽しみにしているんだけど、彼の"Strike"という曲が特に素晴らしいね。ゲットーさもあって、ハウスで、ちょっとふざけた感じもありながらも、とてもクレバーな感じの曲だよ。この楽曲をかけると必ずフロアも盛り上がるしね。

-注目してるアーティストは?

Para One - さっきも話したNumbersというレーベルが、今年はリードをとっているように思えるんだけど、そこからでも、Marbleのパーティーにも出演して、ライブも好評だったRedinhoかな。ぼくは、ツアーに出ていて、残念ながらそのパーティーには参加出来なかったんだけどね。それと、Sophieも、もちろん注目しているよ。ワイルドでポップ・ポテンシャルもかなりあると思うよ。それに、自分以外にも、DiploやSkreamといったアーティストも絶賛しているくらいだからね。

- 今後のリリース予定は?

Para One -Marbleでいうと、Canblasterの久々の新作EPが出るよ。それに、長年計画していて、まだ実現できていない、Marbleのコンピレーションも計画しているとこらだよ。ぼく自身の方は、現在、自分のライブ・ショーを準備しているよ。それに合わせてアルバム『Passion』の楽曲を、ライブ演奏やクラブ向けに、セルフ・リメイクして、次回作アルバム用に準備もしている。いわばSoulwaxが自分達のアルバムをリメイクした『Nite Versions』に近い感じだと思ってくれればわかりやすいと思うよ。ぼくは、DJとして世界中をツアーして回って来たけど、今までは、アルバムは"家で聴く作品"という意識の元でしかアルバムを作ったことがなかったったんだ。だから、今回初めてアルバムを全体的にクラブ向けに作るというのもあって、気持ちも高まっているところなんだ。どんなアルバムに仕上がるかみんなも楽しみにしていてね。

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