「ディスコのレコードを爆破しようぜ」1979年にシカゴの球場で行われた反黒人/反同性愛を象徴するイベント「ディスコ・デモリション」のドキュメンタリー
Red Bull Music Academyが1979年に行われた悪名高き「Disco Demolition」のドキュメンタリーを公開した。
この「Disco Demolition」は、1979年白人のラジオDJの呼びかけで行われた、ディスコを破壊するためのイベントだ。シカゴの球場にディスコのレコードが持ち寄られ、爆破されるという、当時の社会を反映したイベントだった。
当時黒人の同性愛者の象徴的な音楽であったディスコは、音楽シーンを賑わせ、多くの人が夢中になってった。「ディスコのせいでロックがやばい」その状況を苦々しく思っていたラジオDJのSteve Dahlは、球団オーナーの息子のBill Veeckと協力し、ロックファンたち、主に白人の音楽ファンたちと一緒に、ディスコのレコードを爆破するプロモーションイベントを行うことを画策。
その日は野球の試合が2試合予定されており、このイベントは試合の間に行われた。爆破するためのレコードを持ってきた人は98セントで入場が可能になるという、球場の協力が無しにはあり得ないの大盤振る舞いのイベント。そこには反ディスコの人たちを中心とした大勢の観客が押し寄せた。その数は4万7000人とも6万人とも言われている。
「DISCO SUCKS (ディスコなんかくたばっちまえ)」という横断幕が無数に掲げられる中、グラウンド中央にディスコレコードが集められ、爆破。その瞬間ヴォルテージの上がった観客はグラウンドに流れ込み、グラウンドはカオス状態に。このイベントの後に予定されていた第2試合は没収試合となり、シカゴホワイトソックスの負けとなった。
このイベントはテレビ放映されており、アメリカ中に反同性愛、反黒人を広める悪名高いイベントとして記憶されている。
ドキュメンタリーはこのイベントをきっかけとして音楽にどのような影響を与えたか、そして人種的分断が行われたかということに、インタビューの手法を使用して光を当てている。
全米に広がった反ディスコ運動はその後のハウス・ミュージックを生むことになった。
文中写真: AP