Migosの最新作『Culture』のジャケットを製作した20歳のデザイナーがその裏側に潜む美学を語る
Migosの2ndアルバム『Culture』のジャケットを担当した若干20歳のイタリアのグラフィックデザイナー、Stole"Moab"Stojmenovに対してHiphop DXがインタビューを行った。インタビューにおいて、一見Migosの3人が映ったコラージュのように見えるジャケットに隠された美学や制作の経緯が語られている。
Migosは先行曲"Bad and Boujee"でBillboardのチャート1位を獲得。やその知名度はアトランタのトラップシーンを飛び出てラップファン以外のメインストリームにまで迫る勢いだ。
『Culture』には"Bad and Boujee"はもちろん、その他先行でリリースされたシングル"T-Shirt"などが収録されている。
それらのシングル、アルバムのアートワークを担当したのが若干20歳のイタリア人グラフィックデザイナーStole"Moab"Stojmenovだ。彼は過去に、ニューヨーク出身のラッパー、WestsideGunnのEP『There's God And There's FLYGOD, Praise Both』のジャケットも手掛けている。
マンガのキャラクターを描いたり、父親が聞いていたジャズやヘビーメタルを聞いて育ち、16歳でHiphopと出会ったMoabは、バロックアートをグラフィティとブレンドさせる現在のスタイルになる前は、街でグラフィティを行っていた。
Migosとどう関係を持ったかについて聞かれたMoabは「Quavoが自分のインスタグラムのイラストを見て、去年の夏に直接連絡がきたんだ」ときっかけを明かした。その時にはまだ『Culture』のプランも何もなかったという。
MoabとQuavoは、Migosのニューアルバムがアナウンスされる去年の9月までSoundCloudで公開されたトラックのジャケットでコラボレーションをスタートさせ、アルバム制作の段になり、Quavoが300EntertainmentとQuality ControlのチームをMoabに紹介した。
Migos - Culture Album cover artwork ©Moab, 2017 Out January 27 ??⛩??
Stole Stojmenov ?さん(@moabvillain)が投稿した写真 -
そして、ジャケットのアートワークに施されている美学に関して「Quavoから言われたことはシンボルのようにしてくれってことだけだった」と語る。Migosの歴史を表現しつつ同時に、MigosがHiphopカルチャーに与えたこと、アトランタ、そしてMigosがラップゲームで歩んできた道のりを表現することをMoabは課された。
QuavoはMoabを信頼し、「やりたいようにやらせてくれた」とMoabは語る。Moabは『Culture』がMigosのキャリアだけじゃなくてHipHopにとって重要なアルバムになると考えたため「多様なイメージの全てを凝縮したかったけど、カオスで解りにくいものにはしたくはなかった」と説明する。
次に、シングル"Bad and Boujee"や"T-Shirt"のアートワークについては「"Bad and Boujee"はMigosのために作った最初のアートワークだ。『Culture』と"Bad and Boujee"のアートワークはとても難しかった。なぜなら最初にリリースされた8月には『Culture』のプランはまだ決まってなかったんだ」と明かした。MoebとMigosはその後"Bad and Boujee"が『Culture』に収録される際、アルバムのジャケットとの齟齬が生まれ、差し替えも検討したが、そのままで行くことを決めた。その出来事はコラボレーション当初に目指していたアートワークと楽曲のバランスを再発見させてくれた。
Stole Stojmenov ?さん(@moabvillain)が投稿した写真 -
最後に、イタリアのラップ・ファンによるMigosへの反応について聞かれ、「Migosは世界中で人気だし、尊敬され、ここでも愛されている。だけど、アメリカでも同じだと思うけど、イタリアでも全員がそれを賞賛しているわけではない」と答える。
「『Culture』はすでにいろんなところでクラシックになっている。ヒップホップが好きな人なら誰だって、このアルバムの事を好きになると思うよ。特にイタリアでは自分がコラボレーションしたことでメディアにも大きなインパクトを残しているよ」と自身も関わったアルバムについての話を締めくくった。
Stole"Moab"Stojmenovのほかの作品は下記から見ることができる。(野口耕一)