【インタビュー】Joe Cupertino 『DE:』 | 再生と破壊を深掘りした

自身の出身地であるカルフォルニア州クパチーノを通名に冠するバイリンガルアーティスト、Joe Cupertino。2020年から作品発表を続け、これまで3枚のアルバムをリリース。そのいずれもで高い技術力とオルタナティブ性を発揮した気鋭が、4作目となる最新作『DE:』を発表した。前作『RE:』と連なった2部作の後編となる本作は、アグレッシブなサウンドと切っ先を磨きあげたラップにより、さらなる境地に進まんとするJoe Cupertinoの現在地を高らかに示した。充実の作品を装填し、6/6(金)代官山ORD.にてリリースパーティー『DE:CIDE TODAY RE:GRET TOMORROW』を敢行する彼に話を訊いた。
取材・構成 : 高橋圭太
撮影 : 盛島晃紀

- 2部作としてアルバム『RE:』と『DE:』を作り終えて、去年からの制作の流れがいったん終わって。
Joe - いまは時間を贅沢に使ってる気がしますね。ヒマを楽しんでます。
- なによりですね。Joeさんはヒマなときって、なにしてるのがいちばん楽しいですか?
Joe - 音楽聴いたり、あとはパソコンでネットサーフィンみたいな。でもインプットは絶えず続けてる気がします。インプットのソースが音楽だけじゃなくて、映画や本、マンガ、ゲーム、あとは友達と話してみたり……生きてるだけで絶対なにかしらのインプットになってるってマインドで生活してるんで、ヒマなときも“この時間も自分の音楽のためになってるから”って思えるというか。だからヒマも大事というか、あえて持て余そうというか、結局、自分を甘やかすのが得意っすね。
- 素晴らしい。本作『DE:』の前段として、前作『RE:』が出て半年ほど経ってご自身が感じた成果についてまずはお訊きしたいと思います。
Joe - 『RE:』は自分のコンフォートゾーンから飛び出して制作した作品だったので、身のまわりのひとたちやライブハウスで出会ったひとたちから“いつものJoeっぽくないよね”みたいに言われたのはうれしかったですね。狙い通りだなっていう。
- Joeさんが考えるコンフォートゾーンって具体的にはどんなライン?
Joe - ぼくが普段聴いてる音楽は、トラックにしても歌詞にしても、引き算されて完成されているものが多くて。でも、いざ自分がやろうと思うとどこかスカスカなような気がして、どんどん音を足していっちゃうんです。前作ではそこを意識して、自分が気持ち悪く感じない塩梅でどこまで引き算できるか、というところで苦労したのかなと思います。
- トライせずに制作すると足しがちになってしまう。
Joe - そうですね。前作を経て引き算の重要性だったり、じゃあなんで引き算するのかっていう必然性だったりを改めて考えるようになったと思います。それからはぜんぜん苦じゃなくなってきて。それは『DE:』にもだいぶ反映してると思います。
- “つい足しちゃう”っていう意識についてもうちょっと踏み込みたいんですが、それはどういった心理から来るものなんだろう。不安になるんでしょうか?
Joe - ぼくはトラックだけで成立してる曲に歌詞を乗っけたら無敵じゃね? という少年漫画みたいな考え方があって(笑)。つまり、以前はトラックだけで聴けるもの……歌詞ありきではない作り方をしていたので、そこで要素を足したくなっていたんだと思います。あとはやっぱり自分を誤魔化せるっていう部分はすごくあったんじゃないですかね。音が増えるぶん、身が詰まってる感じがして。それで得られる安心感は作ってる側としてはあるんだけど……あるんだけど、って感じじゃないですか。
- 土台の柱が少なければ少ないほど“大丈夫かな?”となってしまう部分はわかりますね。では前作の手応えとして、どれくらい聴かれたかの数字的な部分にはご自身では満足してますか?
Joe - 今回の作品で4枚目のアルバムになるんですけど、当初……特に1枚目と2枚目を出したときはやっぱり数字の部分は意識してましたね。ぼくはSpotifyユーザーなんですけど、制作者はアナリティクスでモロに数字がわかるじゃないですか。でも前作からは“世に出した時点で勝ちじゃね?”ってマインドです。結局、だれでも時系列関係なく聴けるサブスクの時代、リリースして何十年も経ってから再評価されたアーティストはめちゃくちゃいますよね。別にいますぐ評価されなくてもどこかのタイミングでだれかが見つけて、そのつど小爆発的に評価されていくポテンシャルがある。自信を持って出している作品なので、その時点で“もう大丈夫だろ”って気持ちです。直近の数字よりも、長い目で見て評価される作品になっていればいいなという考え方になっていってますね、自分は。それは業界での立ち位置みたいなものへの意識ともかぶるんですよ。シーン全体が盛り上がってくれたらいいって考えはもちろんあるんですが、正直あんまり評価されるタイミングにもこだわりがない。まわりとの差異というのはあんまり気にしていないです。生きてるうちにリアルタイムで反響をもらえるのは願ってもないことですけど。
- 日本のヒップホップシーンに在籍しているっていう意識がそこまでないということでしょうか。
Joe - 音楽業界のどこかしらにはいるんだろうな、くらいの感覚です。ラップをツールとして使っている以上、肩書きはラッパーになっちゃうんですけど、自分のなかではラッパーっていう形容があんまりフィットしてないっていうか。ラップがメインというよりは、ラップを含めた作品全体が自分の持ち味かなと。もちろん自分以外のひとが“Joeはラッパーだ”って形容することに関してはなにも思わないんで、あくまで自意識の問題ですね。
- 自分が感じるJoeさんの独自性はいま言った部分にだいぶ起因してるような気もしますね。
Joe - それはあると思います。


- さて、『RE:』を発表してみて、改めてどんな作品だったと自己分析しますか。
Joe - 過去のぼくって、どうしてもトラックのカッコよさに釣られて歌詞を書くことが多くて、自分もカッコいいと勘違いして大きく見せる感じのものが多かった気がしてて。でも前作以降はそれがほぼなくなったなと思います。安全圏から抜け出て制作するということを掲げていたので、そういう書き方をやめて、少し濁してはいるものの、だいぶ内省的な、自分の情けないところも聴いてもらおうと思って。
- 『DE:』につながる2部作という構想は、『RE:』の制作期間中からあった?
Joe - 『RE:』を作る前から2部作にする予定でした。“再生”って先に“破壊”がないと起こり得ないことなんですけど、あえて“再生”を先に持ってくることで連鎖的に交互に聴いてもらえるようにっていう、ちょっとした工夫として意識していましたね。テーマとしてはだれでも思い浮かびそうなものというのは自分でも思ってたんですけど、“再生”と”破壊”をテーマにどこまで安直じゃないところまで深堀りするかってところはどちらの作品でも強く考えた部分っすね。
- 『RE:』と『DE:』の制作は同時進行で?
Joe - 『RE:』で曲作りに行き詰まったときは、逃げ場じゃないですけど、自分が気持ちいい曲作りたいって気持ち……リフレッシュするって意味で『DE:』も進めてましたね。まったく別々で作っても乖離しすぎちゃうだろう、というのもありましたし。
- そもそもJoeさんの普段の制作ルーティンはどのようなものなんでしょう。
Joe - 基本的にぼくは歌詞を書きためる習慣っていうのがほとんどなくて、トラックが先にできてないと歌詞が思い浮かばないんです。だからトラックの完成度が50%だろうが30%だろうが、できた部分の歌詞を書いてみて、イメージ膨らませて、って感じですかね。
- リリックを書く際はどのように頭のなかで構築していきますか?
Joe - まず言葉選びの面から話すと、あまり聞きなじみのない言葉を使うようにはしてて。おなじ言葉でも書き言葉と口に出す言葉で受け取る印象って違うと思うんですよ。それに書き言葉っていざ口に出してみると、普段使わない言葉の持つ特有の音があって。それを利用するみたいなことは意識してるかもしれない。リリック全体としては、あまり直接的な答えを聴き手に与えすぎないようにってのは思ってるかも。余白を生むというか。明確な答えを自分から提示しちゃうと、もうそうとしか捉えられないと思うんです。それって音楽のポテンシャルを自分でつぶすことになるんじゃないかなって。答えを濁すことによって解釈の幅を拡げて聴き手に余地を残す、みたいな。フィードバックをもらったときに“たしかにそういう受け取り方もあるよね”ということもあって、自分自身の音楽で新しい発見をできるっていうのもめちゃめちゃうれしいことですね。
- そのせいもあってか『DE:』は歌詞の抽象度がより高まっているように思えましたね。
Joe - テーマが“破壊”ということもあって、支離滅裂とまではいかないんですけどだいぶ崩したニュアンスになってます。ぼくのなかでの“破壊”のイメージって、だれかや自分の記憶からなにかが消える瞬間だと思ってて。“破って壊す”と書きますけど、そういうわけじゃなくて、もっと“消滅”みたいなニュアンスに近いような感覚。たとえば“Destroy”って単語がわかりやすい例ですけど、“崩す”、“壊す”という意味合いの英単語には“De”がついているんですよ。“Deconstruct”なら“解体”とか。日本語だと暴力的で大げさなイメージしか思い浮かばないのですが、英語の“De”からはじまる単語から連想して、そこからはどんどん連想していくっていう作業。
- 本作でもこれまでの作品同様、Joeさん自身がパフォームに加えプロデュースも兼任していますが、サウンドとしての青写真はどのようなものでしたか?
Joe - アルバム全体で見たときのイメージというより、トラックひとつひとつで違う解釈の“破壊”のイメージを入れ込みたくて。まずトラック制作の時点でそのテーマに重点を置いています。今回の作品ではいつもいっしょに作ってるT-Razor、それにw.a.uのSakepnkとも制作していて。T-Razorに関しては付き合いもだいぶ長いんで、ぼくが思い描いているものを汲み取ってくれるっていう信頼度が高い。絶えず新しいことをやろうっていうスタンスがずっとあるんで、本当になくてはならない存在です。Sakepnkについては自分やT-Razorとはまったく違う作り方なんですが、すごく尊敬するプロデューサーですね。ぼくが“ここをこうしてほしい”っていう余地がないぐらい音の配置が緻密に計算されていて。細分化するとぼくらとはジャンルは違うけど、それでもシナジーがあって、100%いい曲になるのが確約されるようなトラックを作るので、助っ人外国人のような安心感があります。『DE:』の制作でも自分だけの引き出しではどうしても定まった数のアイデアしか出てこないので、ふたりの独自の解釈で“破壊”に沿った提案をしてくれたので幅がだいぶ拡がったと思ってます。
- なにか既存の曲やジャンルをリファレンスにしたりもしますか? もしあれば具体的に教えてください。
Joe - 3曲目の"I感知危険I"は昨年の末ぐらいから聴きはじめたジャンプアップ・ドラムンベースをリファレンスにしていて。“こんな感じのドロップが来るんだろうな”と思ったら急にまったく違うドロップで、すごく裏切られた感がある反面、その感覚がすごく新鮮で。曲のなかで積み上げたものを破壊して、違うもので塗り替えてるけど、それが結果めっちゃいいみたいな感じがコンセプトにもマッチしてるなって。最初上がってきたトラックはドロップがなくて、ドラムンベースのビートがずっと続く感じで。途中からどうしてもドロップの部分がほしくてお願いしました。今回の作品ではじめてT-Razorに“こうしてほしい”ってプッシュしましたね。
- 以前のインタビューではT-Razorさんとの共同作業では自分からはあまり要望を出さないと言っていたのを読んだんですが、そこに変化があったと。
Joe - そうですね。ジャンプアップを聴いて、自分のなかで“もうこれしかない!”って感覚に陥ったから。頭のなかで思い描いている構成を実現できたら絶対にいいものになるっていう自信があったんですね。自分に技術があったら作っちゃうんですけど、これは絶対T-Razorじゃないと作れないなって思って頼みました。
- これまでの作品でも、ひとつの楽曲でビートの展開が変わるような構成には何度もトライしていますが。
Joe - 大好きですねぇ。なんで自分はこんなにビートチェンジが好きなんだろうって思って考え直してみたんですけど、そのルーツはたぶんメタルを聴いてたからなんじゃないかなって。ビルドアップから入って、そこから重いブレイクダウンを持ってきて、それとは別にサビがあって。1曲のなかで劇的にBPMが変わるような音楽ジャンルってほかにはあまり聴いたことがないですね。足し算引き算の話で言うと、これって掛け算の理論。こういうのが好きなのはもう癖としかいえないっす。
- ではトラックメイクに関しても伺いましょう。前作から本作まででビートメイカーとしての変化はどのような部分だった?
Joe - 機材まわりは特に変わってないかな。楽器も弾けないんでいま持ってる機材で充分っていうのもあるし、ぼくとT-Razorの共作では、音源を送り合うなかでそのつど必要だと思った音を付け加えるって作業なので、機材面ではそこまで不足がないっていうか。声のレコーディングに関しても新しいものを買ったりはしてないけど、マイクの使い方の幅みたいなのは考えるようになりました。前作でもやってるんですが、あえて遠くから発声してみたり、コーラスを録音する際に何人かがいるように自分の声色を変えるとか、そういう部分は今回特に意識しています。
- これまでもそうでしたが、本作も声の響きや録音に耳が向きます。そういったノウハウは独学で学んだんですか?
Joe - すべて独学で、それこそメタルのバンドやってたときにオリジナル曲も作ってたんですけど、スタジオで録音して音源化みたいなことはしなかったんで、レコーディングはJoe Cupertino名義でラップをはじめてからいろいろ勉強していった感じですね。
- なるほど。ミックス音源をチェックする際のこだわりについても教えてください。Joeさんはどんなところを留意しているんでしょう。
Joe - 大前提にあるのは、トラックと自分の声のバランス感。あと、音楽作りはじめてもう6年ぐらい経つんですけど、ずっと自分の声とリバーヴの相性がすこぶる悪いと思っていて。定石ではミックス段階である程度のリバーヴってかけるものなんだけど、自分は毎回リバーヴは全部削るようお願いしてます。これはもうぼくの好みなんですかね。自分の声にリバーヴが乗るのがすっごいイヤで……イヤというか気持ち悪い。少なくともラップしてるときの自分の声には合わないって思ってます。純正品じゃないパーツを取り付ける、みたいな感覚。浮いて聴こえちゃうっていうのかな、リバーヴを入れることでかえって安っぽく聴こえちゃうっすね。


- さて、本作では客演にDaichi Yamamotoさん、Calli Stephusさんが参加されていますが、客演のイメージは当初どのように考えていましたか?
Joe - 今回テーマになっている“破壊”は、喜怒哀楽の“怒”ではなく“哀”のような、内省的なイメージを取り入れたいと思っていました。悲しさみたいなものって、だれしもが経験する心理的な破壊だと思っていて。そういったテーマを音楽で表現するのには自分のラップだけでは完成しないなという気持ちがあって、当初から女性のシンガーが必要だとは考えていました。
- そこでCalli Stephusさんが候補に挙がった。
Joe - はい。Calliさんの「NEROLI」という曲が大好きなんですけど、それを聴いたときに“これだ!”って、自分の持っているイメージとかなり近いなと感じて。Calliさんからはデモといっしょに歌詞も送られてきて、“Joeさんほど(英語に対して)ネイティヴじゃないので文法的な間違いもあると思うので、直すところがあったら言ってください”って言われたんです。たしかにいくつか文法的に合ってない部分もあったんですけど、音楽って教材でもなんでもなくて、音でどう印象を与えるかなので。文法よりも音を重視したくて、Calliさんには“送ってくださったデモがもう完璧なんで、直す必要はないと思います”っていうのを伝えました。
- ではDaichiさんとはどういった経緯で?
Joe - 以前、ぼくが〈AWDR/LR2〉から出した"EMERALD"をDaichiさんがラジオで紹介してくださったのがきっかけで、ぼくからInstagram経由で連絡を取らせていただいて。本来は『RE:』に参加してもらう構想でトラックも作っていたんですけど、Daichiさんのタイミングが合わなくて。そのときお願いしようと思っていたトラックと今回のトラックは別のものなんですけど、前作でお願いしようとしてた曲も本作につながるような立ち位置の楽曲だったので、もう一度お願いしたという流れですね。基本的に客演のみなさんには、こちらの意思を汲み取ってもらうっていう意味でも、ある程度まで完成させたものを送るようにしていて。なるべく手を煩わせないように少ないラリーでできるようにしてます。
- "DUMP!"後半で聴けるスキルフルな掛け合いはおたがい一歩も退かない応戦ですね。
Joe - ぼくの2ヴァース目については最初に送った音源から書き替えました。当初のヴァースはグリットから外れてだいぶポリリズミカルにラップしてたんだけど、Daichiさんの詰まったヴァースからの流れだと最後が尻すぼみになっちゃうなと思って。Daichiさんからの勢いを絶やさないままビートスイッチに持っていきたいという意図で作りましたね。
- その意図が十分に機能していると思います。Joeさん自身はDaichiさんに対してどういうイメージがありますか?
Joe - ぼくも日本語と英語でラップしてる以上、そのバランス感みたいなのが絶妙なラッパーが好きで。さっきも言ったように発音とか文法はどうでもよくて、音として成立していたらいいと思っているんですけど、そうなったときにやっぱりDaichiさんはどんな曲でも、声が入ってきた瞬間めちゃめちゃ耳が喜ぶんですよね。そんなアーティストってなかなかいないよなっていう。客演をお願いしてた時期にお会いできる機会があって、そのときもめちゃめちゃ腰が低くて、すごく表情も柔らかくて、人間としてもめっちゃいいひとだなって印象。“どこで勝てばいいんだよ! 勝てる余地残しておいてくれよ!”って思ったのを覚えてます(笑)。
- ここまで作品の直接的な経緯を訊いてきたんですが、『RE:』、『DE:』を作るまでの1〜2年で間接的に影響を与えたようなできごとなどはありますか?
Joe - なんだろうなぁ……自分って心配性みたいなふしがだいぶあって、考えなくてもいいことをものすごく考えちゃうんですけど、それで本当に寝つきが悪くて……時計の音が気になったらもう電池抜かないと寝れないぐらい。いざ寝るぞと思って布団に入って、スマホも触らず暗闇のなかで目をつぶった瞬間って、いちばん考え事がはかどるというか。寝る前に考えているときがいちばん大きいインプットだったと思います。それが現実味を帯びたものなのか、非現実的なものなのかに限らず、あらゆるパターンを考えて、印象に残っているものを肉付けして音楽に昇華するっていうような感じで。特定のできごとというよりは、毎晩の考える時間の積み重ねで今回の2部作ができた感じがしますね。
- それは覚醒している状態で考えている?
Joe - そう。ずっと考えてて、でももう体に限界が来て、外が明るくなってきたからがんばって寝るってパターン。そこで考えてたことって書いて残したりはしないんですけどね。スケジュール管理とかもそうなんですけど、書き記すと自分のなかでタスクが終わったみたいになって、頭から抜けちゃうんですよ。だから書いてはなくて、頭のなかに残しておく。
- でもそれってめちゃめちゃ脳のストレージを使いますよね。
Joe - めっちゃ要領悪いっすよね。だからストレージの整頓の時間が寝る前になってるのかもしれない。特殊だし、絶対効率は悪いなと思ってますけど、作品としてアウトプットできたので結果オーライって感じですかね。
- 作品として吐き出すことで脳内ストレージを整理できたということですね。ではこれからどんな作品を作りましょうか。構想はすでにありますか?
Joe - 自分が作る作品はシングルやEP、アルバム、どんな形であろうと、なにかしらのコンセプトは持たせたいと思っていて。後年いつか評価されるとなったときに、やっぱり細部までこだわってるほうが印象に残るんじゃないかなって。1作目と2作目のアルバムがだいぶファンタジー寄りな、空想上のコンセプトをもとにしていたんだけど、今回でだいぶリアリズムというか現実に寄り添ったコンセプトに挑戦したので、次はまた空想系のなんでもありな作品を作りたいと思ったりはしてます。アルバム完成後も制作は続けてて、形にするかしないかは関係なく、自分が興味のあるジャンルでどれだけ完成度を上げられるかという実験はしているんですけど、それが反映されるかどうかはまだわかりませんね。
- 具体的にどういったジャンルに興味がある?
Joe - 2枚目のアルバムのコンセプトが西部劇だったんですけど、やっぱりフルでトライできなかったんで、カントリーやフォーク、ブルーグラスみたいなサウンドにはどうしても挑戦したいんですよね。いまの僕の技術力じゃ無理なんですけど、そこは絶対にリベンジしたいなと思います。あとはそれまでにライブの練度を上げていきたいっていうのはひとつ目標で。
- ライブといえば本作のリリースパーティーも6月6日に決定してますね。以前、Joeさんの出演したイベントでお話しさせていただいたときにライブにおいてのパフォーマンスの展望について話されていたのが印象に残ってます。
Joe - あのときお話ししたときは、ライブでの演出について自分でどこまでできるんだろうと考えてた時期で、そういう話だったと思うんですけど、まだ明確な答えは出てないですねぇ。いまはやっぱりクラブで20分前後のセットっていうのが多くて、できることに限界があるというか。これはぼくの応用性がないってことなんですけど。でも、ここ最近は改めて“ラップがうまい”っていう前提をもっと印象づけないとはじまらないなと思って。音源だと音源テイストの発声があるように、ライブでもその場の空気を汲み取って発声のテイストを変えていかなきゃいけない。そういったことをひとつづつライブでするようにはしてます。リリースパーティーは新しく代官山にオープンするORD.っていうライブハウスで。やっぱりリリースパーティーは自分のホームゲームになるので、どれだけお客さんを自分の世界観に染められるかっていうのは、いまからライブまでのあいだに考えていきたいですね。
- リリースパーティーでのライブ、楽しみにしてます。ありがとうございました。

Info

「DE:CIDE TODAY RE:GRET TOMORROW」
Joe Cupertino 「RE:」「DE:」Release Party
2025.06.06 [Fri] at ORD.
Open 19:00 - 22:30 End
Adv. 3,000 Yen [+1D]
Door 3,500 Yen [+1D]
Ticket [ https://t.livepocket.jp/e/5dcnw ]
Live :
Joe Cupertino
Featuring Artists :
Calli Stephus
Daichi Yamamoto
Lil' Leise But Gold
Ole
環ROY
Opening Acts :
Fried Banana Shop
Beat Live :
Sakepnk
Food :
NAWOD CURRY

Joe Cupertino Presents & MONKWORKBASE Curated
「DE:CIDE TODAY RE:GRET TOMORROW」After Party
2025.06.06 [Fri] at ORD.
Open 23:00 - 5:00 End
Door 1,500 Yen [+2D] ※ワンマン来場者(リストバンドあり)は [+1D]
Guest Live :
Campanella
Live :
Calli Stephus
Ole
Leviryi
DJ (Joe Side) :
Appreciate the Love
Nano dia
shakke
DJ (MONKWORKBASE Side) :
Bungo
Daz
MICO
Yohei Tsushima
YU
半蔵
ORD.(オード)
渋谷区恵比寿西1-34-17 za HOUSE 2F
[ https://www.instagram.com/ord_d_tfo ]

Joe Cupertino「RE:」[ https://ssm.lnk.to/RE_ ]
- Stars
- Ruby feat. Lil' Leise But Gold
- わがまま feat. 鈴木真海子
- Soup feat. Ole
- Benidorm
- 再生 feat. 環ROY
- sadjoeaido
- Destroy

Joe Cupertino「DE:」[ https://ssm.lnk.to/DE_ ]
- TOAA
- Rem, Non-Rem
- I感知危険I
- DUMP! feat. Daichi Yamamoto
- Who?
- Ugachi
- Detriment feat. Calli Stephus
- 靄