【ライブレポート】オープニングからエンディングまで踊り明かした『dodo×tofubeats×VaVa』スリーマン

Spotify O-Eastが企画したスリーマンライブ『dodo×tofubeats×VaVa』が6/2(日)に東京・恵比寿The Garden Hallで開催された。この企画は2023年9月にSpotify O-Eastで行われた『Daichi Yamamoto x JJJ x STUTS』の第二弾。今回は原島"ど真ん中"宙芳がオープニングDJを務めた。熱心なファンたちは開場と同時にフロアに入って、宙芳のDJに身体を揺らした。

原島"ど真ん中"宙芳

序盤はJJJ"STRAND feat. KEIJU"、Daichi Yamamoto"Find Away"、SHAKKAZOMBIE"空を取り戻した日"、NF Zessho"Inner Child"といったメロウなナンバーを選曲し、NewJeans"Bubble Gum"、仙人掌"Darlin' feat. jjj"で徐々にテンションを上げつつ、Chaos On Parade"グッドフェローズ"、PUNPEE"フレンヅ"からのNumber_i"SQUARE_ONE"、YENTOWN"不幸中の幸い"と繋いでばっちりと良い雰囲気を作り出した。

Peterparker69

オープニングアクトはPeterparker69。「今日はスリーマンなんですけど、帰る時に『フォーマンだったな』って思われるようにがんばります」と気合満タンのパフォーマンスを見せた。代表曲"skyskysky"、"deadpool"をはじめ、"Fallpoi [Princess Ketamine Remix]"など、テクノ/エレクトロニカ/ハイパーポップを通過したPeterparker69のカラフルなポップスワールドで観客を踊らせた。

dodo

スリーマンのトップバッターはdodoが務めた。シンプルな照明の中、"Swagin like that"でステージに現れ、"wrong"からライブをスタートさせる。序盤の"late"と"again"には少しずつエネルギーを込める。場内があたたまったところで自己紹介。「改めましてわたくし、小文字でdodo、ドドと申します。よろしくお願いします!」と話すと歓声が上がった。「Garden Hallは人生初です。みなさんほんとありがとうございます。立たせていただいて。何かのご縁で。僕はよく恵比寿に来るんですよ。配信をお願いしてるTunecoreさんもすぐそこだし、通ってる美容院も恵比寿なんです。今日は2024年上半期の恵比寿祭りです。ウェイ」と話して"jungyo"、"get it"、"OOMB"、"goyen"を歌った。dodoは自虐に込められた強力なエモーションと、愛嬌あるキャラクター性を存分に発揮して聴き手をどんどん引き込んでいった。

だが後半からは地元・川崎を出る際の気持ちを歌った"nambu"、大切な人に高級バッグをプレゼントしたいと気持ちをdodo流に落とし込んだ"kelly"、「二人で過ごした日々が証拠/誰が何言おうとあれが本当/悩むのは終わり二度と今後/ネガティブはやめる笑うもっと」と歌う"Fo"など、現在のdodoを表現した楽曲群をプレイする。観客からあたたかい声が上がる。そして代表曲"im"へ。「そして体臭/ハンドソープ」やフックの「君がいてくれたから楽しかった/あの日もあの場所もやっぱ」では大合唱が起きた。クライマックスは定番曲"era it"と"kill more it"。絶え間ない内省と優しさから表現される猛毒。「山椒小粒でぴりりと辛い」という諺を地でいくdodoの魅力が存分に発揮されたパフォーマンスだった。

tofubeats

tofubeatsは1曲目の"PEAK TIME"からギアをトップに入れて、"STAKEHOLDER 2024mix"で観客の気持ちをダンスモードにシフトさせた。そこから最新EP『NOBODY』収録の"EVERYONE CAN BE A DJ"、"Why Don't You Come With Me"にスイッチ。一定間隔で打たれるハイハットとキックの中毒性と、サウンドエフェクトで観客をtofubeatsの世界へと没入させていった。観客の体があたたまってきたところで、"YOU-N-ME"から再びエネルギーを注入する。「あなたとわたしなら」というリリックで歓声があがるが、この声は歌声合成ソフト・Synthesizer Vによるもの。エモーショナルではあるが同時に無機質でもある。tofubeatsは『NOBODY』のさまざまなインタビューで、Synthesizer Vを「ツールとしての歌声」と話していたが、現場でこの相反を体感すると彼の意図の一端を感じることができた気がした。

さらにシンセのループに否が応でも高揚させられる"SOMEBODY TORE MY P"では、電子音楽家・tofubeatsのクレイジーなフリースタイル演奏が披露され、猛烈なテンション感とともに観客をどんどんと深いゾーンに連れていく。この流れから"Remained Wall"へ。EPで聴くのとはまったく違う感覚だ。体はハイハットのリズムの虜になり、感情はメロディーに誘われていく。そこに80'sのハウスクラシックスを想起するサックスのソロサンプリングが響き渡り、一気に"I Can Feel It Single Mix"へと傾れ込む。最新EPに込められた意図をぼんやりと感じつつも、それ以上にハウスのサウンドとリズムに目一杯浸ることの心地よさに支配されていた。クライマックスはtofubeatsがマイクをとった"VIBRATION remix"と、生ストリングの抒情性とSynthesizer Vの匿名性が奇妙な余韻を残す名曲"NOBODY"。最後はストリングとSynthesizer Vのコーラスでアレンジされた定番曲"水星"で幕を閉じた。

VaVa

トリのVaVaは1曲目の“ポルノ”から観客を一端しゃがませて、「3、2、1」とカウントしてから飛び跳ねさせる。これがトリガーとなって壮大にアレンジされた"現実 Feelin' on my mind(Remix)"では、観客からほとんどのラインで凄まじい声量で合いの手が返ってきた。エネルギーを受け止めたVaVaはさらに倍増して観客に返す。リリースされたばかりの新曲“Rolling Stone”もイントロが流れた瞬間に歓喜の声があがった。歌い終えたあと、VaVaは「今日はすごい特別な日で。みんなも(dodoとtofubeatsを)大好きだと思うんですよ。俺もめっちゃ好きなんですよ。どっちのほうが好きだと思う?」とかなりテンションが上がっている様子だった。「別に争うつもりはない(笑)。今日は普段あまりやれない曲を持ってきたんで」とtofubeatsを呼び込んで“夢のまた夢”と"Virtual Luv"を歌った。

もう楽しい! CreativeDrugStoreの"6ix Pack"のフックから"VIP"へ。Lil Soft Tennisのパートは観客が大合唱。"birthday"、"ロトのように"、"Honey"、"In My Sight"など久しぶりにライブで歌うという楽曲を織り交ぜて、しっかりとリリックを聴かせた。すでにVaVaは汗でびしょびしょ。それでも人気曲"Biscuit"、"Chapter"ではバックDJ・shakkeもガンショット音三割増で盛り上げ続けた。最後の曲は"Mugen"。ステージを走り回って、来てくれた観客への愛を表現した。

当然のようにすぐアンコールを求める拍手とVaVaコールが起こった。すごくポジティブな空気でその場にいるだけ楽しい気持ちになれた。そんな状況にぴったりな“ベストテン”のイントロが流れてVaVaが再登場。まさに「お風呂より沸かしたフロア」だった。歌い終えるとVaVaは「これで終わりなわけないじゃんっ!」「今日のイベントは俺だけじゃないんで、このかたをお呼びしたいと思います」と“RUN”のイントロとともにtofubeatsがステージにイン。tofubeatsとVaVaがヴァースを蹴ったあと、なんとKREVAパートをdodoがオリジナルヴァースでラップするというスペシャルヴァージョンを披露した。大興奮の観客にさらにご褒美。dodoとtofubeatsの名曲“nirvana”に今度はVaVaがヴァースを追加した。dodoの「“けど”とてつもなくいい人生」を引用した「“いま”とてつもなくいい人生」ではみんなが満面の笑顔になった。

エンディングのDJはokadada。テンションが上がりきったtofubeatsに「DJ・okadada、どろっぷ・ざ・びーつ!」と紹介されたokadadaは「むっちゃやりづらい」と言いつつ1曲目はCreativeDrugStoreの"Taste Test"。VaVaも「マジっすか」と驚き、しっかり自分のヴァースを蹴ってからステージを降りた。

その後okadadaはNewJeans"ETA"、DJ Q & tofubeats"Sirius feat. DEKISHI"、Campanella"I Don't Know feat. MFS"、tofubeats"Lonely Nights feat. KEIJU"とRed Velvet"Bad Boy"をブレンドしたブートリミックス、MFS"Bow(Submerse Remix)"、Nia Archive“So Tell Me..."、tofubeats"ふめつのこころ(パソコン音楽クラブ remix)"、Jorja Smith"Be Honest (feat. Burna Boy)"、MINMI"四季ノ唄"などなど、ラップとUKのノリを軸にさまざまなサウンドをミックス。ライブ後にも関わらず、3分の1程度の観客がフロアに残ってokadadaのDJで踊っていた。デイイベントにも関わらず、オールナイトのパーティーのような雰囲気で最初から最後まで楽しいスリーマンライブだった。

取材・構成 : 宮崎敬太
写真 : 寺沢美遊
企画 : 高根大樹

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