【インタビュー】Kaneee 『ICON』| 思ったことは素直に言いたい

 

昨年の『POP YOURS』でのSTUTSのステージでの"Canvas"のパフォーマンスにより衝撃的なデビューを果たしたKaneee。11月にリリースしたデビューEP『ICON』には『ラップスタア誕生』の応募曲をアレンジした"Young Boy"やZOT ON THE WAVEが手がけたバンガー"Demon"をはじめ、オルタナティブなR&Bチューンの"Bed Room"、"Honey"などKaneeeというアーティストがどんな武器を持っているのかを示すようなオールラウンドな内容となっている。

今回のインタビューでは『ラップスタア誕生』から始まったKaneeeにとっての2023年をEP制作を中心に振り返ってもらった。

取材・構成 : 和田哲郎

撮影 : 横山純

- まず2023年はどういった1年だったか教えてください。

Kaneee - 今までの23年間で一番長く感じた1年だったと思いますね。本当、いろんな出会いもあり、環境も変わり。もちろん最初は変化が大きくてめっちゃストレスだったこともあったし、でも、今はやっぱどんどん環境に慣れて、よりクールになることもできた感じもします。

 - ストレスになった部分はどういうところですか。

Kaneee - 普通に環境の変化が大きかったですね。自分がずっと聴いてたアーティストの方が、今では自分と連絡先つながってたりとか、前はライブしてた時もお客さんが全然いなかったのが、今は多くのお客さんに見てもらえるようになったり。そういう変化が一気にごーんって来たので。とてもうれしい話ですけど。

 - Kaneee君はプレッシャーに強いほうだと思いますか?

Kaneee - 強いっちゃ強いと思いますね。

 - ポジティブさという要素は今作でも感じるところです。今ってメンタルヘルス的な部分で悩み抱えてる人も多いと思うんですけど、そういうストレスはどのように処理しているんですか。

Kaneee - うーん。何も気にしてない。自分が作品出したり、ライブしてるときに、めちゃめちゃいいコメントくれるヘッズの人もいれば、そうじゃないヘッズもいるんすけど、別になんかそれはそれぞれみんな一意見だし、自分の人生に直接関わることではない。仮にヘイターにがーって言われても、それで自分が死ぬわけでもないし、反骨精神でじゃあ曲にするよっていう人間なんで。逆にみんないいこと言ってくれてる、じゃあそれで自分の人生変わった、じゃあ曲にしようってこともあるし。いい曲できれば、もうそれでストレスは消えますし、うまく付き合ってる感じはしますね。

 - ヘイトも自分のパワーにできてる実感があるっていう。

Kaneee - もちろんです、逆にありがたいっす。そもそも、気にならなかったらなんも言わないじゃないですか。それのほうが逆に嫌で。いいことも悪いことも言ってくれる人は、自分の曲をちゃんと聞いてくれた上で言ってくれてる。自分が作ったものに人生の時間の一部を使ってくれてるっていうのは間違いないんで、負の感情は一切ないです。

 - なんかそこら辺がSNSとかの使い方とかにも出てんのかなっていう。一切ネガティブなことをSNS上で発信しないじゃないですか。

Kaneee - しないです、しないです。ハハハハ。リスナーも、自分たちをロールモデルっていう目線で見てくれてるのは間違いないと思うんで。こうなりたいっていうふうに見てくれてる人って絶対いるんで、自分がそういうネガな感じをSNSに発信してしまうと、ヘッズがどうしたのかなって思っちゃうじゃないですか。僕はそれはあんまいいことじゃないと思ってて。ずっとやっぱポジティブな目で見てほしいっていう。だから自分もポジティブにやるみたいな。ネガティブなことは自分の中にしまい込んで、曲で昇華できればいいなって。

 - めちゃめちゃ大人ですね。

Kaneee - アハハハハ。ありがとうございます。

 - Kaneee君のロールモデルの人っていたりするんですか。

Kaneee - いまバックDJもやってくれてる仲間のRayですね。Rayがいろいろ教えてくれてて、自分もうわーってなりそうな時期もあったんすけど、それも全部、彼が「いったん落ち着いてやろう」みたいな、「クールにいこう」ってのを教えてくれたのがRayなんで、ずっと自分の近くにいるのも彼ですし、今は母親よりもずっと一緒にいる人なんで、彼から学んだことが多いです。あ、ちょうどRayが来た。

 - 今、ちょうどRay君の話を。

Ray - 本当ですか。タイミング良かったです。

 

 - やっぱりKaneee君のクールなスタンスって言ってましたけど、なかなか身に付くもんでもないと思うし、どういうコントロールをしてるのかなっていうのがすごい気になったんですよね。そこを導入として聞きたかった感じでした。『POP YOURS』で、鮮烈に登場してEPは、いつ頃から作ろうっていう話になっていたんですか。

Kaneee - EPは6~7月から、12月ぐらいに出そうっていう話をしていて。多分"Demon"を作った辺りから、他の曲をどんどん作って入れてってみたいな感じなんで、

 - 今作はデビュー作というのもありますし、Kaneeeっていろんなことができるアーティストだというのがはっきり示されてる内容になってると思ってるんですけど、曲のタイプを、いろいろなパターンのものにしようっていうのも最初から考えてたことですか。

Kaneee - 最初から考えてました。

 - 一番最初にできたのは"Demon"ですか。

Kaneee - えっと、EPの曲だと"Bed Room"が一番最初に作ったんすよ。昨年の1月、『ラップスタア』中に作ってて。あと"Honey"も番組中に作って、ずっと温存してましたね。

- "Bed Room"と"Honey"は、温存してたっていうことだったんすけど、もともとはどこら辺でリリースしたいなとかって考えてたんですか。

Kaneee - 本当は"Bed Room"を4月に出そうと思ってたんですよ。『ラップスタア』終わった後に、これからどうしようってなったときに、やっぱRayもそうですし、自分の周りの仲間たちも、あの曲にめちゃめちゃ食らって、で、すぐその後にMVも撮ったんですよ。"Canvas"の前に出来上がってたんですけど、YZERRさんとお会いして、アドバイスしてもらったりとか、STUTSさんとかいろんな方に会ってそういう話をしてて、「この曲出したいんですけどどう思います?」みたいになったときに、「もうちょっと後ででいいと思う」って、共通の意見だったので、それを信じてタイミングずらそうっていうのは思ってましたね。あれを作った時は、寒い時期で、自分も本当あったかい部屋にこもってSZAとかを聴きながら作曲してたときにできた曲でしたね。あと『ラップスタア』に出て思ってたのが、みんなジャンルにとらわれ過ぎるなって思って。ラッパーだろうが、シンガーだろうが、DJだろうが、みんなやってるのって音楽だし、それをジャンル分けし過ぎても、寂しいっていうか、とらわれてるようにしか感じなくて。だから、別にR&Bみたいな曲もやるし、後々ごりごりのヒップホップのラップの曲もやるし、テクノとか、別にやろうと思えばできるしみたいな、本当、自分が音楽が大好きだっていう面で作った曲ですね。

 - SZAを聴いて出来たというのはわかりますね。EPを作ろうと思って作り始めたのは"Demon"からですかね

Kaneee - そうですね。"Demon"からぐらいっすね。

 - すごい抜け感があるし、最初の代名詞的な曲になるのかなって思ったんですけど、フックのデーモンとサインしたよっていうのは、なかなか出てこないリリックなのかなって思うんですよ。あれはなんであの表現にったんですか。

Kaneee - あのときはメンタル的にいろいろあって。何ていうんですかね、自分の、今まで生きてきた人生が、好きじゃないんですよ。めちゃめちゃくだらないことを言ってたし、なんでこんなことしてたんだろうって、これまでの22年が後悔しか残ってない人生だったんですね、もう過去を捨てて、俺はここから生まれ変わりたいっていう意志がめちゃめちゃ強くて。で、ちょうどいろんな映画見てたりとかしてたときに、悪魔崇拝とかあるじゃないですか。自分は別にそういうのをやる人間じゃないけど、悪魔と契約するって、映画とかファンタジーの世界ではよくある話じゃないですか。直接、悪魔とは契約してないけど、そんな感じで俺は変わったんだよ、もう過去の自分ではない、俺はKaneeeです、もう新しい人間ですっていう意味が強く込められてるフレーズですね。

 - 悪魔をあえて出してるのが、逆にそれぐらい強い決意で変わるのを示すためっていうことなんですね。

Kaneee - まさにそのとおりです。

 - この曲がZOTさんとの初セッションですよねZOTさんはどういうプロデューサーだと思いましたか?

Kaneee - もうヒップホップ、日本のラップゲームのど真ん中にいるプロデューサーさんだと思ってて、自分もラップする前からやっぱ聴いてはいて、今のラップシーンの中で輝いてるラッパーは、ZOTさんのトラックで必ず蹴ってる人たちがやっぱ多いので。新しい道を切り開いてくれる人だと思ってて。ZOTさんと一緒にやることで、ラッパーとして、ちゃんとラップゲームの中に飛び込めたっていうのがあるんで、本当それを手伝ってくれた人っていう感じがします。

 - レコーディングも一緒にやった感じですか。

Kaneee - 仮録りも、本録りも、どっちもいてくれてって感じっす。曲作ってる最中はリリックの修正があったんすよね。で、基本的にもうフロウとリリック、自分が一回全部作り上げて、本当、細かい点を修正してくれたっていう感じなんで、がっつりディレクション入れてもらったっていうわけではないですね。自分もZOTさんが"Demon"のビートに求めていたフローとかリリックを、うまく乗せられたっていうシナジーを生めた曲だったんで、本当、最小限のプロデュースで終わりましたね。でも、リリック変えてもらった部分は、自分がもともと書いてたリリックよりはだいぶいいものにはなってるんで、さすがだなっていうのは本当感じました。

- フロウのイメージはすぐできた?

Kaneee - そうですね。トラックを10個ぐらい流すからこの中から選ぼうってなったタイミングで、5、6曲目ぐらいであのビートが流れてきたときに、フリースタイルでフロウを出してたんですよ。今のフロウが一発で出て、で、リリックもフックの部分が完成してたっていうか、自然と出て。ZOTさんも「これだね」ってなって、Homunculu$君もいたんですけど、「魂のフロウだからこれじゃない?」みたいになって、で、自分もそれに納得して、「これでいきましょう」ってなりました。

 - めちゃめちゃ早いですね。

Kaneee - そうですね。基本はフリースタイルで作るんです。ビートを全部聴いて、一からちゃんと構成を練るのが僕すごい嫌で。面倒くさいし、それをやったところでなんか作り込んだ感半端ないってのがあるんで、最初に出たファーストメイクを一番大事にしてる。それが良かったらそのままリリースしたりもしますし。百発百中っていうのはやっぱ難しいものではあるんで、もちろんボツになることもあるんですけど、基本的にはそういうやり方ですね。

 - この作品はそういうやり方で作った?

Kaneee - ほとんどそうです。"Canvas"も"Demon"も"Young Boy"も。"Young Boy"はRayのディレクションあって一緒に作った曲なんすけど、他の曲はそうですね。

 - 例えばボツにしたけど、あらためて聴くといいなみたいなこととかはそんなにないですか。

Kaneee - そんなにないっす。やっぱなんかボツはボツだなって感じっすね。もっといいの出せるでしょって思っちゃいます。ボツ曲でやっぱいいなってなったのってないよね?

Ray - あと、ボツ曲もあんまり聴き直さない。

Kaneee - 聴かないです。フォルダから消しちゃうんで。あ、これ良くない、じゃあいいや、すぐ切り替えようって感じですね。それが自分の作り方っす。

 - 今作じゃなくて、アーティスト活動始めたときからもう、そういうやり方がしっくりくるなっていう感じだったんですか。

Kaneee - 『ラップスタア』出る前から曲は作ってて、その時からずっとその作り方です。

 - それは美学的なものなのか、体的にもうそういう作り方じゃないと生理的にやだみたいなものなのか。

Kaneee - どっちでもないんすよね。勝手に頭がそうなってるっていうか、そのつくりになってるっすね。なんで、自分でもよく分かんないんすよ。なんか取りあえずまあこのやり方でいいっていうのを自分の中でも落とし込めたし、Rayも「そのやり方でずっとやっていこう」って言ってくれたんで、本当そのとおりにやってるだけで、別になんかそうじゃないとやだとかっていうのはないっす。ただ、自分の中でやっぱ、ファーストインプレッション、ファーストテイクっていうのは大事ですね。

 - 『ラップスタア』の"Young Boy"は、最初から入れようとはなってたんですか。

Kaneee - "Young Boy"は、最初から入れる気はなかったですね。何ならリリースする気も全然なくて、『ラップスタア』の曲は『ラップスタア』の曲で、もう別に世に出すことはないしみたいな、て感じだったんけど、リスナーの反応とか見てても、番組終わって半年経っても、みんなめっちゃ好きな曲だったんですね。サンクラに勝手に載せてくれてる人がいるんすよ。それがすごい聴かれてたりしてて、やっぱ需要あるんだなって。Rayが「やっぱあれ入れたほうがいいよ」ってなって、で、自分もじゃあリミックスして確かに作って出したほうがいいって思って、2バース目とフックを作って、ちゃんと楽曲としてやろうっていうので入れたって感じです。

 - EPの制作は全体的に順調だったのかなっていう感じがするんですけど、どうですか。

Kaneee - 順調といえば順調だったんですけど、"Young Boy"をリミックスするのがめちゃめちゃ頭抱えちゃって。本当は一回、STUTSさん家に行ってセッションして、リリースしてる状態のフックと2バース目と全く違うものが最初あったんですけど、やっぱ自分の中でどうしても何か違うなって。俺ら2人の中では「うーん」みたいになってて、原点に戻って作ってみようっていうので、まあ、1日かけて一緒にLINEとかでやりとりしながら、ボイスメモを自分が送ってっていうのを繰り返してやってって、1日で今の形の"Young Boy"ができたっていう感じです。

 - 今のバージョンに至るまでは、どういうやりとりを。

Ray - 面白いよね? 僕たちとして一番最初の「Imm youngboy 22 cruise around」ってフロウがトラックに対して正解のフロウだと思ってたんですよ。僕もKaneeeもあのフロウを超えようとして作ると、いい曲はできない直感があって。2バース目も同じフロウにするべきって思ってたんですよ。で、今のフックとなってる部分は、僕たち的には、あのフロウとフロウの間に入ってて一番しっくりくるフックを探すっていうテーマで作ったんですね。

Kaneee - 言っちゃえば全部バースで、1個目のフックと2個目のフック、若干フロウが違うじゃないですか。あれもLil Babyの"Freestyle"って曲あるじゃないですか。あんな感じの感覚で全バースでしようと思って作った感じですね。リリックも同じだし、まあここはフックだなっていう感じですね、になったって。

Ray - 今まで一番作るのに苦戦した曲でもあると思います。

Kaneee - 間違いない。

 - やっぱり思い入れも強かったからこそみたいなところもあります?

Kaneee - もありますし、"Young Boy"のリミックスを作るってなったタイミングって、自分もある程度、知名度もあって状況が真逆だったんで、あのフロウを一番最初に作ったときは多分、ハングリー精神がマックスだったと思うんです。今もマックスではあるんですけど、トップを取りにいきたいっていうようなめちゃめちゃ強い思いがあってできたフロウだったって感じなんです。

 - そういう意味で言うとハングリー精神とか、トップを取るっていう気持ちっていうのは、多分、Kaneee 君ぐらいピュアに出す人ってなかなかいないのかなって思うんですよ。

Kaneee - うん。確かに。

 - お金のことだったり、貪欲な部分を出せる人もなかなかいないかなとも思ってて。そういう部分をしっかり言ってヘイトされようが、ポジティブなエネルギーに変えるから、はっきり気持ちとして言えるってとこなんですかね。

Kaneee - そうですね。なんか、自分で言うのもあれなんすけど、めっちゃ素直だと思うんす。思ったことははっきり言いたいタイプで。思ったこと言えないのがだるいんすよ。で、今の世の中、特に日本ってそうじゃないっすか。みんな思ったことを口にできないし、我慢しようって。それは違うなと思ってて。思ったことを素直に言えないやつが人の心を動かせるのかなと思ってて。もちろん言葉選びはありますよ。あるけど、本当にラッパーだったらリリックって思ったことを言うリアルなリリックを求められてるじゃないですか。俺はまだ金もないし、でも、音楽でヒップホップドリームをつかみにいきたいし。将来的に億万長者になったらなったで、そのときは、これぐらい金持ってたりとか、こういうことしてるよっていうのは、もちろんリリックにはするんですけど、そういった部分をただ素直に伝えてるだけなんで、自分の曲で言っちゃえばキャップしてる部分は一切なくて、ありのままを素直に僕は伝えてるだけっていう感じです。なんでそういうリリックができます。

 - 本当にUSのラッパーと変わらないピュアさですね。

Kaneee - それはあります。やっぱ自分が目指してる先はそこ。本当にもうUSしか見てないので。やっぱ彼らがやってるスタイルを自分もやんないと、まずそこには行けないしっていうのはあると思います。

 - 今年の活動を経て、USとか、今後目指す先がどれぐらい近づいたなっていう感じがします?

Kaneee - まだ全然遠いと思います、正直。自分のキャリアもまだ浅いっていうのはありますし、USなんて本当、日本よりも音楽までも資本主義じゃないですか。ラップも、日本はまだ音楽性の部分を、見てくれてる人もいるし、リリックがどうのこうのだって言ってくれる人もいるんすけど、向こうってもうリリックすら金だったりとか、金で買うとかなんかそういう話になってくるじゃないですか。その土俵で戦えるかって言われると全然まだですし、音楽業界全体の中で見ても、自分の知名度とか、取ってる数字なんて、本当にたがが知れてるようなものなんで。まずUSじゃなくていいんで、最初は東南アジアのマーケットとか、韓国のアジアマーケットだけでもいいんで、いち早く切符を受け取りたいなってのはあるんで、ここからが勝負かなっていう感じっすね。

 - USのシーンが厳しいとは理解しつつ、それでも憧れる部分っていうのはなんでなんですかね。

Kaneee - やっぱり一番でかいのは、もちろんヒップホップ発祥の地だからってのもありますし、やっぱそもそものレベルが高過ぎるってのはあるっすね。例えばMV一本の制作費でも日本のMVにかかってる金額の、下手したら100倍とかいくじゃないですか。1億円のMV作るのが当たり前みたいな。言いたいこと言えてるってのが一番でかいと思います。なんか自分に偽りがないっていうか、やりたくないことはやんない、やりたいことはやるって素直に言うのがアメリカの文化じゃないですか。で、僕もその血は入ってるんで、自分の親に感謝っすけど、やっぱそういうマインドは持てるように育ててくれたんで、やりたくないことははっきり「やりたくない」って言うし、やりたいことは「やりたい」って言うし、そこがUSのラッパーたちと自分の性格的な部分が、近いのかなとは勝手に思ってて。そこが本当にかっこいいなって感じですね。縛られることがない、表現の自由があるじゃないですか、やっぱ。それを一番こう、表に出せてるのがやっぱりUSのヒップホップシーンだってのは思ってて。変な話、ドリルのラッパーって「仲間が殺されたから、俺はあいつ、今からやりにいくぜ」みたいなリリックとか言ったりするじゃないですか。それも普通にストレートでいいなと思うし、わざわざ作ってないじゃないっすか、向こうの人たちって。

 - 本当にそれがリアルだからってことですよね。

Kaneee - そこが僕、めっちゃ好きなんですよね。

 - 了解です。ちなみにここまでは2023年のことを聞いたんですが、2024年はどういう年にしたいって、自分の中で明確にありますか。

Kaneee - 1年を通して、昨年より多くの作品を出したいなって思ってます。日本って右向け右の社会じゃないっすか。これやれって言われたら嫌でもやるし。そういう社会の中で、その常識をぶち壊すのが自分たちのモットーなんで、本当、今までいたアーティストとはまた違う新しいアーティストっていうことを、いろんな作品を通してみんなに伝えていきたいってのがあって、EPタイトルも『ICON』にしたんですよ。今の世代のアイコンになりたい。しかも人間って今まで見たことなかった人とか、なんかこいつヤベえみたいな人を好きじゃないですか。固定観念もぶち壊していきたいなっていうのが大ざっぱな目標ではありますね。その中で今までヒップホップ聴かなかった人とかも、Kaneeeがいるから聴いてみたいっていうのでどんどんファンも増やしていきたいですし、やっぱそうすることでどんどん海外の切符も、自然と手に入るんじゃないかなと思ってるんで、そういう年にしたいです。あまのじゃくなことをやり続ける。どんどん新しいことをやってって、固定観念にとらわれず、自分のやり方でやっていきたいと思います。

 - それも別にあまのじゃくに見えないっていうか、他に誰もやる人がいないけど、実はど真ん中なことをやってるようにも見えるっていうか、それがすごいいいバランス感なのかなって思うんです。

Kaneee - その塩梅が今のリスナーの評価にはつながってると思います。いいプラスの評価が本当に多いんでありがたいんですけど、うまくそこにつなげれてる気はします。

 - ちょっとこれは余談になるんですけど、Kaneee君の中で、日本のシーンで、同世代でも上の世代でもいいんですが、いいなと思うアーティストっていますか?

Kaneee - 食らった人だと5lackさん。めっちゃ食らいましたね。KOBE MELLOW CRUISE主催のイベント『Youth Ray』で初めてお会いさせてもらって。ご飯食べたときも席が隣でめっちゃいろいろしゃべったんですけど、ザ・アーティスト。クールなアーティストで、男ならやっぱ誰もが憧れる人だなと。俺もこうなりたいなっていうのをやっぱ一番感じられたのは5lackさんでしたね。

 - 自分がインタビューして同じような質問すると、5lackさんって返ってくるのめちゃめちゃ多いんですよ。

Kaneee - まずオーラが桁違い。リスナーだったときの自分は、どのアーティストに会っても、どのアーティストのライブ見に行っても、みんなオーラはすごいっていうのはあったんですけど、自分がこの業界に入ったときに、オーラがないってわけじゃないですけど、自分もアーティストだし、この人もアーティストだしっていう、オーラとかそういうの一切関係なしで見てたんすけど、5lackさんだけはなんかえげつないオーラがありました。ヘッズに戻った気分になれるなって。かっこいい男としての生き方をし続けたからこそ5lackさんが得れたものだなってのは思います。クールさがめちゃめちゃ本当いいなと思って、それを貫いて今の5lackさんの人物像を作り上げたっていうところが、今後の自分にとっても絶対必要になってくるところではあるなって思わされました。生き方がやっぱめちゃめちゃ食らったっすね。

 - 最初から、クールさが大事という発言が出てますが、クールでい続けるために必要なことって何だと思いますか。

Kaneee - うーん。身の回りで起こることにいちいちこう動じないっていうか、なるようになる、なんか全部なるようになるって思うことですかね。最初は環境が一気にがらっと変わって、まあクールではなかったんですけど、生きていく上で身の回りで起こることは、まあもう自分では変えられないっていうか、全てがなるようになるから、それを全部受け入れてやってこうってRayが言ってくれたんですよね。例えばライブしますってなって、めっちゃ楽しみに行ったのにお客さん全くいないってなっても、「ライブせずに帰ったほうがいいんじゃない?」ってなる人もいるとは思うんですけど、それはそういうことだから、自分にまだ実力がない、お客さんを集めれる知名度も少ないんだから当然だって。じゃあ今、来てる人たちの前でやろうっていう、その落とし込みだったりとか一喜一憂しないようにしてますね。

 - いいマインドですね。リリースイベントをやったじゃないですか。

 Kaneee - 言葉が出ないっすね。いまだに余韻も強いし。一番は自分の周りにはいろんな人がいて、それを支えてくれる人がいてこそできたものだったりするんで、WWWのツジモトさんもやってくれたし、自分が昼間まで寝てる間とか、ただぼーっと家でYouTube見てゆっくりしてる間でも、イベントのために多くの人がチケットの宣伝をしてくれたり、フライヤー作ってくれたり、本当いろんな方が動いてくれてるっていうのがすごい感じられて、やっぱ自分一人の力では絶対ないし、ましてや自分がやらせてもらった立場なんで、自分以外のいろんな人がいたから、成功できたイベント。あんまつながり深くないのに来てくれたBonbero君とか、Skaai君、SANTA(WORLDVIEW)君もそうですし、自分のために時間削って、いろんな人がやってくれたからこそできたイベントだと思うので、本当もう感謝しかないです。

 - 最後に、2023年で一番個人的に印象的だったシーンってどういうシーンでした?

Kaneee - これはYZERRさんに会ったことが多分、一番でかいと思います。ラップ業界における王様じゃないですか。王様が『ラップスタア』途中で敗退した始めて半年のやつを、救いの手を差し伸べてくれたっていうのが、ここに自分がいれる状況をつくってくれたのかなっていうのはすごい思ってて。やっぱ落ちたときって、本当にどうしようっていう感じで、どういうムーブをしていくかっていうのをすごい悩んでる中で、いきなり「スタジオ遊びに来てよ。話そうよ」っていうふうに言ってくれて、一緒にランチとかも行ったりして、そこでもまたいろいろ教えてくれてっていう、自分のために時間使ってやってくれて、直接自分に手を差し伸べたくれた人がYZERRさんだったんで、本当、その出来事自体に食らってます。そこから自分の人生って大きく変わったなってのはすごいあって、全部吸収できることしかなかったんで。今の自分がここにいるのも、こうやって作品出してリスナーも付いてきてくれるようになったのも、多くの方々のおかげでもあるんですけど、一番の根底にいるのは、「くよくよせずにいけ、突き進め」って言ってくれたYZERRさん、そしてSTUTSさんの武道館で会えたT-Pablowさん、あの2人ですね。2人に会えて直接いろいろ聞けたことが一番大きな部分だと思います。

 - ありがとうございます。

Info

Kaneee
1st E.P. 『ICON』
2023.11.29 Release
https://Kaneee.lnk.to/ICON

<Track list>
01. Canvas (Prod. STUTS)
02. Demon (Prod. ZOT on the WAVE)
03. Bed Room
04. Rich Kid (Prod. MONBEE)
05. Honey
06. Young Boy (Prod. STUTS)

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